たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

クリスマスの様子から見る、時間の流れるサザエさん時空の世界

みつどもえ169卵性「時間だけは6年生ですが、人間関係は確実に積み重なっている」という話を書きました。
みつどもえ」って、基本いわゆるサザエさん時空です。wikipediaの項目がすごく詳しいですね。
サザエさん時空」の語は「年をとらずに何度もループする」状態全体をさす語として漠然と用いられています。
もちろん誰かが定めた明確な定義が存在する言葉ではないのですが、マンガ・アニメにおいては割と一般化した言葉になりつつあります。
はて、「みつどもえ」や「らいか・デイズ」はその「サザエさん時空」を明確に意識しながらも、確実に物語が進行し、前年度からの継続がある描写を入れた作品です。ようするにループした前の年のことを、キャラクターが覚えているんですよ。
WEB拍手でもこんなコメントが。

季節はループしているけど、経験は蓄積されていくあの不思議時空、押切先生のでろでろだとたしか「未来への道」って言葉で表されてましたね。ループしてた時間もそれは全部丸ごと「本物」の人生だからと…

>うーん、こういう不思議時空はなんて呼ぶべきかしら。

まさに「みつどもえ時空」と呼ぶのはいかかでしょうか?

なるほど、みつどもえ時空。
「未来への道」というのはすごい表現ですね。時間はループしているけど、確実に人生の積み重ねは描かれている。*1
今回は小学校6年生を何度も繰り返している、しかし時間は流れ経験は積まれている「みつどもえ」と「らいか・デイズ」から、ちょっとその様子を見てみましょう。
サンプルとして、一年でも一番わかり易いイベントであるクリスマスの様子をピックアップしてみます。
 

●「みつどもえ」のクリスマス●


みつどもえ」で一回目のクリスマスは2巻に収録されています。
ふたばがサンタを信じて待っていたところ、サンタを演じていたパパが風邪をひいてしまうというハプニングに見まわれ、こんな有様に。
ここで、「ふたばがサンタを信じている」「ひとはとみつばはサンタを信じていない」というフラグが一つ立ちます。

二回目のクリスマス。杉崎家にみつばだけ呼ばれています。
ふたばは一回目の「サンタを信じている」フラグがあるので、来ていなくて当然ということになります。
ここで二つ目のフラグ、「杉崎の弟の龍太はサンタを信じている」「千葉氏をサンタだと信じ込む」というフラグが立ちます。

三回目のクリスマス。
一回目のクリスマスとリンクが生じます。ふたばはサンタを信じているため早く寝ているけれども、パパが帰ってくるのが遅くなってしまった。ひとはとみつばで何とかしようとして、矢部っちを呼んだ、という流れです。
ひとはとみつばがサンタを演じなかったのは、「一回目でバレそうになったから」というのが描写されているため、順序的にもこれが3回目なのが分かる仕組みになっています。確実に経験は積み重ねられている上に、記憶もはっきり残っているんです。

そして、先週の4回目のクリスマス。
二回目のフラグがここで回収されます。龍太が千葉氏をサンタだと信じているため、最初から千葉氏が杉崎家に訪れるわけです。
この時、家に来ているのはみつごの中ではみつばだけ。これもふたばがサンタを信じているため、という理屈から来ていると考えられます。
 
みつどもえ」世界は基本ギャグマンガですが、かなり緻密に人間関係が生成されている群像劇でもあります。
ループの中で、大人は大人の時間を、子供は子供の時間をそれぞれ演じています。主人公の三つ子と絡んでいる子達はもちろん描かれていますが、それ以外の子達も画面の隅でちゃんと動いているのが特徴的です。主人公だけが動き続けているんでじゃなくて、みんな動き続けているんです。
あとで書くこととつながりますが、人間関係内のほのめかしが随所にあるのも特徴になっています。全部は見せない、チラ見せだけして、あとは読者のイメージに任せる。これが絶妙なので、年がループしても不自然さがあまりないとも言えます。大きなところだと丸井家のお母さんの存在、でしょうか。単に切り離すのではなく、おばあちゃんが出てきていたり、ひとはがそれっぽいことを言ったりしているのですよね。

 

らいか・デイズのクリスマス。●

らいか・デイズ」は4コママンガでサザエさん時空風をベースにしている作品です。こちらも6年生。
クリスマスは最初から来華がそれほど信じていないため、大々的には描かれていませんが、毎回必ずそれっぽい描写は入るため確認はしやすいです。
 
と、その前に、明確な時間の流れのサンプルケースとして、担任の藤田(現・東野)先生のことを書いておきます。

もともとは独身で、いつもひねくれていた藤田先生。
お見合い相手が惚れ込んだため、猛烈なアタックをしかけてくるのが4巻。
6巻では「おとつい入籍してね」とびっくりするほどさらっと言って、終わり。結婚式はないです、先生忙しいですから。
その後。

同じ6巻でなんと妊娠。
時間が進んでいるなんてもんじゃないです。生命が一つ、ループの中で生まれました。
 
はて、ここをおさえつつ、クリスマスの様子をさらってみます。
 

一回目のクリスマスは二巻収録。
ナバウサギが大好きな来華が、サンタさんへのお願いと称してお母さんにおねだりするのが可愛らしいです。
ここでナバウサギカレンダーと一緒にクリスマスブーツがプレゼントされているのと、「弟妹が欲しいな」というのがフラグになっています。

二回目のクリスマス。四巻収録。
ナバウサギ大好き来華のクリスマスですが、年末忙しくてあまりクリスマスらしいことしていません。が、彼女にとって一番の思い出がこのシーンなら、それで十分。
この前のコマで、来華がナバウサギのコレクションを友人に見せるシーンがあります。その中に「使用済みカレンダー」があります。サイズは一回目のが大きいかけるタイプのカレンダー、こちらが卓上カレンダーなので、彼女はループする6年生の中で何回もナバウサギカレンダーを買っている可能性があります。

三回目のクリスマス。五巻収録。
この年(?)のクリスマスは、2回に渡って描写されています。早めに行われていたクリスマスパーティーは施設の子のために財津紺太先生がサンタを演じているという驚きの展開。
このへんから6年生達の姿のみならず、様々な人間の人生の有様が作品内に明確に散りばめられます。ここで来華がトナカイの帽子を被っているのがフラグの一つになっています。
二話目の方はクリスマス当日の様子。竹田やマッキーの家に両親が帰ってくるとても貴重な回です。奇しくもいつも両親がいるはずの来華の家に両親がいない、という展開ですが、帰ってきた両親がプレゼントにクリスマスブーツをまた買ってきているのがポイントです。

そして4回目のクリスマス。七巻収録。
産まれた!!!!
先生の結婚話とクリスマスネタは別個で継続し続けていましたが、ここでバラバラだったそれらが一つになるとは、背筋がゾクゾクする。
6巻で入籍しているので、だいたい連載の時間にして一年。出産のペース的にもぴったりです。逆算して緻密に人間環境と時間軸を組み上げ、ここで一つになっていることがすごいんですよ。
加えてこの回のクリスマスで、来華が大量のクリスマスブーツをため込んでいるシーンが描写されています。そう、今までの回を見て分かるように、クリスマスブーツは毎年プレゼントされて蓄積されているんです。
一つの頂点になるこのクリスマスエピソードは、全編サイレントなのも見どころの一つです。
 
さて、人生は「結婚」「出産」では止まりません。むしろそこはスタートライン。
来華達のクリスマスも5回目を迎えます。

8巻より。
三回目のフラグを引っ張ってきて、紺太先生がサンタ、来華がトナカイ役で登場します。
紺太先生も、来華も今までのクリスマスのことちゃんと覚えてるんですよ。
加えて、この回で紺太先生のことを施設の女の先生が好きであることも描かれます。
見えないところで人間関係、着々と構築されています。
 

●生とか、恋とか、死とか。●

らいか・デイズ」はループの中で、人間の生死をほのめかす表現がたくさん盛り込まれています。先程の先生の赤ちゃんなんかは割と連載当時衝撃的でした。「サザエさん時空」だけど「サザエさん時空」じゃないのが、子供という形ではっきり出てきたわけですもの。
ループしているけれども、人生は始まったり終わったりする。この不思議な空間の中でたくさんの出来事がぼんやりと描かれます。
たとえばこのシーン。

来華の両親の会話です。
一回目のクリスマスのコマをよく見て比較してみてください。
「何が起きたか」はこのシーンでは明言しません。ただこの会話があるだけです。
実はお母さん、不妊治療の末に来華を産んだことは5巻で描かれています。
加えて、来華はそれを知らないのです。両親の心中が描かれるのは、このシーンで十分。
 
また、9巻ではこんなシーンもありました。

小西くんと言うのは、来華や竹田の友人の少年。いつも明るく元気なオバカさんです。
しかし、生も死も、みんなの元にやってきます。6年生という時代はループしているけれども、人間の中に流れる時間は止まってくれません。
かなり衝撃的な出来事ではありますが、幸せも不幸もすべて一律な物として描写されているのが「らいか・デイズ」。
クライマックスもあるけれども、その後も人生は続きますし、こうして終わる人も、またこれから始まる人も、並行して時間を送ります。
 
みつどもえ」の項目でも書きましたが、「らいか・デイズ」もほのめかしの多い作品です。

紺太先生と東野先生のシーン。結婚後です。
何が話しあわれたのかは、一切書かれていません。でも十分です。
時間の流れがこの作品の中ににあったが故に、起きた出来事の一つでしょう。止まっていたらこうはならない。
描かれていることだけがすべてではない。描かれていないところでもバックグラウンドでみんな流れゆく時間を過ごしているんだ。
 

                                                                                                                                          • -

 
4コママンガでは特に多い「サザエさん時空」。
もっともそれを自然にするために季節ネタをなるべく描かないようにしている作品も多いようです。季節ネタを描いた時点で、時間の流れが発生してしまうからです。
最近はもう「サザエさん時空」が一般化しているので、もう最初からそれを前提としてこれらのような「蓄積のあるサザエさん時空」(仮名「みつどもえ時空」)によって描ける世界も産まれます。
何回か書いていますが、みつどもえ時空のすごいところはどれだけ人間が成長しても、その年代の幅から飛び出さないことです。
来華も、三つ子も、6年生の枠の中で子供っぽさを残しながら、笑ったり泣いたりして、でも着実に成長しているんです。
 
みつどもえ 1 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 2 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 3 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 4 (少年チャンピオン・コミックス) 
みつどもえ 5 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 6 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 7 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 8 (少年チャンピオン・コミックス)
 
らいか・デイズ 1 (まんがタイムコミックス) らいか・デイズ 2 (まんがタイムコミックス) らいか・デイズ 3 (まんがタイムコミックス)
らいか・デイズ 4 (まんがタイムコミックス) らいか・デイズ 5 (まんがタイムコミックス) らいか・デイズ 6 (まんがタイムコミックス)
らいか・デイズ 7 (まんがタイムコミックス) らいか・デイズ 8 (まんがタイムコミックス) らいか・デイズ 9 (まんがタイムコミックス)
どちらのマンガも、時間軸の作り方、伏線の張り方、曖昧なラインの保持の仕方が本当にうまい。相当きっちり計算されて作られている作品だと思います。
ループはしていても、サザエさんと違って「永遠に終わらない」という空気ではなく、いつか彼女たちの物語に節目となる出来事が起きる、という空気がしっかり詰まっています。起きるかどうかは分かりませんが、起きうる、という可能性を生かすことで、今しかない瞬間は最大限まで輝きます。
何回目のクリスマスでもいい、そのクリスマスが彼女たちにとってどのくらい思い出として輝いたかが重要なんです。
 
余談。
サザエさん」は特に成長があるわけではない、物語が大きく変化するわけではない作品ですが、そういやとなりに住んでいた人、最初は伊佐坂先生、その後に浜さん、そして浜さん引越して伊佐坂先生、とアニメ版では変化しています。
また三河屋さんの御用聞きは最初は三平でしたが、今は三郎。
成長ではないけれども、なんだかんだで微妙に変化はあるようです。
もう一個余談。「らいか・デイズ」はむんこ先生の別作品「だって愛している」のキャラとクロスオーバーしているのも見どころの一つです。
 

*1:「でろでろ」のラストには驚きましたが。

私立桜が丘高校軽音楽部日記

どのアニメキャラに悩みを聞いてほしい?(2ch)
友人と色々話あった結果、コブラ一択でした。
たまごまごです。

コブラに励まされたい。
とはいえマジレスすると、スナフキンもいいかなーと。行き惑った時、助けてくれるだけじゃなくて背中を押してくれそうなので。
あとは次元とか。飄々としたやつに聞いてもらって笑い飛ばしてもらいたい。
からくりサーカスの鳴海にーちゃんもいいなあと思ったんですが、凹んでるときにも叱咤激励されすぎてすごい滅入りそうなので、それは場合によるという感じで。
 

                                                                                                                                          • -

 

LOの新しい表紙でましたね。
今回はねこづくし。ねこまみれ。
そういえば以前猫の出ていた表紙も文字ひっくり返っていましたね。

これこれ。構図も微妙にシンクロしているのが面白いです。キャラは別物のようですね。
たかみち先生表紙の歴史が積み重なりはじめて、それぞれの作品にリンクが出来て行くのはちょっと面白いです。
 
たかみち先生といえば「チェンジH BLUE」がでました。できれば、異性装モノとトランスセクシャルものは分けてほしいなーと思うんですが(ちょっとごっちゃになっているので)、それでもBLUEになって性転換ものが増えたのはうれしいところ。
是非この機会に、異性装ものとTSもの、分けてさらに深くアンソロ化しませんかね!?
ちなみにたかみち先生のカラー漫画は、pinkから続く男装モノ。最近たかみち先生色々な雑誌でショートマンガ描いてますが、ほんわかした空気そのままに、ほんわかした物語がうまくマッチしているのでかなり好きです。ただページ数毎回少ないので、本になるのは遠そうですな…。
 

                                                                                                                                          • -

 

黒ひげ 黒ひげ危機100発
タカラトミー (2009-07-23)
売り上げランキング: 701
いや、どうでもいい記事なんですが、たまたま見つけたら面白くてツボだったので。
100発って出過ぎ、マジで出過ぎじゃね。
これ飛び出した後、必死に飛び散った黒ひげを集めている光景想像するだけで楽しいんですが。
はっ、そこで黒ひげ集めた少年と少女の手が触れ合ったりしちゃえばいいのか!
黒ひげ、貴様やるな!
 

                                                                                                                                          • -

2009年の映画をふりかえる(空中キャンプ)
毎年恒例の企画だそうです。これは参加してみたいなあ。
とはいえ今年は…自分の中でアニメが強すぎてさー。
去年なら「ダークナイト」に迷わず投票していましたが、今年は実写映画が悪かったんじゃなくてアニメ映画がよすぎたよう。
とりあえず今年やっていた・見た映画を思い返しながら、ちょっとチョイスしてみたいです。
 

ラピュタ阿佐ヶ谷の「マイマイ新子」上映で、日替わりアート・カードがプレゼントされますよ。

今日のマイマイ新子
大人のためのマイマイ・ナイト 続報 - 映画「マイマイ新子と千年の魔法」公式ブログ

■来場プレゼントのお知らせ

「大人のためのマイマイ・ナイト」でご鑑賞の皆さま全員に
マイマイ新子 オリジナル・アート・カード」を進呈します。
(複数回ご鑑賞くださるお客様もいらっしゃると思いますので、
 絵柄は日替わりとさせていただきます)

なんですと!!
ラピュタ阿佐ヶ谷レイト上映にお越しのみなさまへ - メイキング・オブ・マイマイ新子
アートカードの写真載ってます。
むちゃくちゃ手作りです。もう監督自らの。
しかしこれ、毎日変わるとかすごすぎる。半ば執念に近いものすら感じます。
ラピュタ阿佐ヶ谷の席数は50席…さてはて。
大人のためのマイマイ・ナイト 続々々報! - 映画「マイマイ新子と千年の魔法」公式ブログ

◆劇場:ラピュタ阿佐ヶ谷
ラピュタ阿佐ヶ谷では、全ての上映作品の整理番号付きチケットが、
当日の朝10:15より劇場窓口にて販売されています。

確実にアートカードをゲットしたい人は、早めに整理番号付きチケットをゲットしに行った方がよさそうです。行かれる方はお気をつけて。
あわせて、ブログでも書かれていますがA4の画用紙なので、折り目を付けたくない方はクリアファイルなどをお忘れなく。
自分もコミケあわせで上京して、ラピュタで見たいなあと思っているのですが…入れるかしら。不安になってきました。
とはいえ、連日満員なラピュタ阿佐ヶ谷上映の方がうれしいので、行ける方はほんと、是非! 夜だから仕事帰りに見て、余韻を楽しみながらゆっくり寝られますよ! 
行ける方うらやましいなあ。

上映開始:21:00〜
上映終了後、マイ日、マイ晩、関係者による御礼ご挨拶をさせていただきます。

12/19(土)片渕須直(監督)
12/20(日)丸田順悟(エグゼクティブプロデューサー)
12/21(月)上原伸一(美術監督
12/22(火)世弥きくよ(初枝役)
12/23(水・祝)香月邦夫(演出)
12/24(木)片渕須直(監督)
12/25(金)Minako"mooki"Obata (音楽)
12/26(土)片渕須直(監督)

毎晩関係者の舞台挨拶付き。監督も3回出てきます。
なんかラピュタ阿佐ヶ谷の上映、えらいことになってるなあ…全力投球な一週間になりそうです。
 
12月13日「マイマイ新子探検隊2」写真特集(2) - メイキング・オブ・マイマイ新子
マイマイ新子探検隊2の様子の写真が載っています。

皆さんに説明した足元には、千年前お墓が埋まっていました。そのひとつには、14歳くらいの少女が葬られていました。そのなきがらは、今は文化財郷土資料館の1階で眠っています。

今があり、昭和30年代があり、1000年前があり、さらに昔があり、未来もある。時間は止まらない。
S.K式*:新子ときっこ

自分も新子と貴伊子が裸足で笑いあう光景が、ずっと頭から離れません。
触れた体温が、一緒にいた記憶の証。
 
「マイマイ新子と千年の魔法」個人サイト感想リンク集〜なんでぼくは泣いているのか教えてくれ〜 - たまごまごごはん
随時追加中。