たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

『アイドルは××××なんてしませんッ!』から、おもらしについて真剣に考えてみようか。

すんごい出落ち感満載なんですが、これを続けるところがすごいんだなあ。
タイトルと表紙で見て分かる通り、アイドルがおもらしをするマンガです。
ところが、ヒロインのおもらしっぷりがちょっと半端じゃない。
普通なら一回漏らしただけでも、マンガとしては成立するわけじゃないですか。事件ですもの。
ところが、このマンガにいたっては毎話漏らす。
ヘタしたら、一話に何回も漏らす。
どう考えても体の異常としか思えない頻度で漏らします。
パブロフの犬のよだれが、尿になったレベル。そのうちベル鳴らしたら漏らすんじゃないかと思うくらいです。
 
なので、真剣に考えたらダメなマンガなんですが、これが意外に面白い。
作者も「こんなトンデモ本を」「まさか本当に連載になるとは」と言っていることから、これが普通ではないのはちゃんとわかって、トンデモないのを描いている、というのは伝わるんです、読んでいて。
性癖を振りまいて暴走している感じじゃないです。内容は開き直って暴走しているんですが、作者に理性が残っている。
だから、読んでいて独特の恥ずかしさを感じるんです。これは妙だー。
おしっこ物はぼくも大好きなので、エロ含む含まないにかかわらずよく読みますが、開き直って豪速球な内容を描くもの、当たり前のように呼吸をするかのごとく日常のワンシーンにすることに美学を求めるもの、ひとつの性癖の描写として丹念におしっこを描き上げる匠、色々います。
この作品はというと、おしっこをしまくっているんですが、得も言われぬ羞恥がキャラにも作品本体にもあって、おしっこ見慣れていても、なんか妙に恥ずかしくなるんですよ。
設定はぶっ飛んでるんですが、冷静に見ている部分がどこかにあって、壊れきってないから、なんだと思うのですが……。
うーん、これはちょっと興味深いので真剣に考えてみます。
 

●モレドル●

簡単なあらすじ。
就活に失敗した23歳の青年、八木宗治郎は、アイドル事務所を経営する叔母に雇ってもらって急遽、新人アイドルユニット「KEIREN」のマネージャーになります。
一人は桂奈・ジェノワーゼ。ツインテゴスロリ衣装に包帯で片目を隠した中二病キャラかとおもいきや、物騒なものをいっぱい持っていて、ウラで何をやっているかわからない凄腕系な極ドル
「とある事情で組織から逃げてる、元・マフィア」という話ですが、どこまでが設定でどこまでが本当かわからない。
そしてもう一人、こっちが問題なわけですが(桂奈も問題ですが)、見た目素晴らしいほど可愛くて巨乳で清楚可憐、しかし人前に出て恥ずかしいことがあるとすぐに漏らすという、尿パブロフの犬、三嶋華恋。
極ドルはまあネタで済みますが、アイドルになって人前に立った時に漏らすわけにゃあいかない。
いっそそれを喜ぶモレドルになるべきか、隠し通してアイドルになるべきか!
 
モレドルでいいんじゃないかな(個人的印象)。
まあ、隠しますよね。隠すよ。そんな、お漏らし版アイドルマスターみたいな話です。
いや違うわ。
 

●彼女の異常な頻尿●

で、この華恋の頻尿っぷりがちょっと尋常じゃないわけです。
おもらしがメインのマンガなので、それが多いのは当たり前ではあるんですが、重要なのはおしっこマンガではなく、おもらしマンガだということです。
おしっこをきちんとトイレで座ってするシーンもあります。これはこれで非常に素晴らしいんですが、そうじゃないんですよ。
歩けばおしっこもらす。
人前に立てばおしっこもらす。
歌えばおしっこもらす。
……かなりのレベルで、生活に支障をきたすレベルです。
 
ここで考えておきたいのは、おもらし、というからには生活の一部、人前、ステージでおしっこをしてしまう、ということ。
もちろん、パンツや衣装を履いたままで。
当然おもらしは「したくない」ものです。
じゃあおむつでいいんじゃないの?と思うんですが、そこは「ミニスカートだとバレるからだめ」らしい。
まあ、そうか。いや……漏らすよりよくね?! いやでも、うーん。
 
で。
おもらしシーンは描かれているんですが、よい意味でリアルではありません。
ふとももを伝うとか、ホカホカしてるとか、染みるとか、そのへんの重要な要素はしっかり描かれています。
あとはわりと「プシャー!」みたいな勢いで持って行くことが多いです。
基本はギャグマンガなんですよ。そこまで性癖追求マンガではないです。
おしっこは色がついてないせいもあって、きれいな水です。
 
エロマンガではないので、股間描写も詳しくはされていません。
まあそれでも、はじめて見る人には相当エロいとは思いますが、おもらしマスターさん達からみたら描写としてはソフトかと。というかデフォルメされています。
しかし、そういうおもらし本体の描写面を除いたとしても、このマンガはものすごいおもらしに対する執念があります。
 

●おしっこは顔でする●

ざっくり言えばなんですよ。
表情です。
ぶっちゃけ、どうおもらししているかより、おもらしした時どういう反応をしているか、の方がはるかに印象に残るんです。
これが「おもらし」であって「おしっこ」ではない理由。
 
おもらしは、記号的に最もわかりやすく、かつ18歳以下でも合法な(?)羞恥プレイです。
単純な「恥ずかしい」という思い。「おしっこ」という、普通なら嫌がられるものを出すという行為、人前ではし得ないことをしている背徳感。
このマンガを買う人は7割はおしっこスキーさんだと思いますが、マジョリティな反応としては「うわっ、汚い!」ですしね。
だから、「おしっこ出てる、でも気持ちいい」ではなく「人前で漏らしてしまう自分なんて本当にいやだ」なんです。
あーここか。これがこのマンガの正体か。
 
全編にわたって、華恋の羞恥の顔が描かれます。
基本赤面+涙。あとはそのおしっこの勢い、出始めか出終わりかで変わってきます。
「もうだめ!」なのか「もうこんな自分いやだ」なのか「助けてくれてありがとう……」なのか。
最初に、これを一発ネタで終わらせないのはすごい、ということを書きましたが、ようは漏らし方よりも、表情にこだわり続けるのがすごいなと。
彼女がおもらしに慣れたらもう、終わりなんです。
おもらしが「つらい」「いやだ」「恥ずかしい」から、いいんですよ。そこが見たいわけですよ。
 
個人的に好きなのが、ライブ中におむつを履かされておもらししてもOKな状態で、おもらししながら歌ったらすごい大きな声がでてパワーあふれたシーンと、桂奈が偶然飲み過ぎて漏らしてしまったシーン。
どっちもいつもの、我慢しているシーンじゃないんです。特におむつの方は、知っているのはキャラクターと読者だけで、観客は知らないんですよ。
その時の顔がねー、いいんだ。
眼とか描かれないんですよ。しかし、歌を絶叫した彼女にあったのは解放感でした。
これがもう、どうしようもなくエロティック。かつ美しい。
 
おもらしのもう一つの利点は我慢です。
おもらししていいよー、じょばー、だったら羞恥はしてもそんなでもない。
限界まで耐える状態の顔が、いいわけじゃないですか。
桂奈のおもらしシーンがいいのは、今までおもらししたことがない子が限界を突破した瞬間だから。
そこまで耐えているシチュエーションが、実にイイ。
 
ひいては、「おもらし」を追求していくことで、女の子の被虐美にたどり着くことができます。
痛い思いをさせない、苦しませないで、羞恥と我慢をする女の子。ならば、おもらし。
ちなみに、最も安全な苦悶の表情をフィクションで楽しむには、嘔吐、と沙村広明先生が言って生まれたのが『ハルシオンランチ』。
 
上から、下から。
人体に「入れる」か「出す」行為は、エロティック。セックスしかり、おしっこしかり、食事しかり。
このマンガは基本はギャグ成長譚なので、あんまり難しいことを考えず突っ走っていただきたいですし、おしっこもそんな勢いでプッシャー出て欲しいですが、この作者なら……「羞恥と我慢」の表情のバリエーションを増やしてくれるのではないか、なんて期待をしてしまいます。
 
マンガ自体は完全なおしっこスキー向けなので、苦手な人は気をつけてくださいまし。
ただ、マジックハンドで股間を握ったり離したりしたら、おもらし我慢で声量ビブラートもできる、っていうめちゃくちゃさはちょっと面白いかも。んなわけあるか!
個人的には、もっと桂奈におもらししていただきたいですね!
ただ、彼女は漏らさせる側(ライバルマフィアや極道を)だからなあ。