たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

神話・伝説のヘビについてしらべてみた。その2

ヘビに咬まれて以来20年泣き続けている女性にゅーあきばどっとこむより)
泣きすぎです。たまごまごです。これって多分恐怖症の一種だと思うけど、ずいぶん特殊ですね。あるいは病気なのかしら?現地だと思わず「タタリだ!」とか失礼なこと言ってしまいそうな自分がいます。でもそんなに突飛な考え方じゃないよネ?
 
というわけで、懲りずに今日もヘビ神さま特集の続き。昨日のはこっち。

  • エジプトのヘビ

エジプトにもたくさんの蛇が出てきます。

イメージとしてピンとくるのはツタンカーメンの頭の部分のコブラや、杖のコブラコブラコブラ。渡る世間はコブラばかりです。
そんなコブラの扱いは「女性」です。コブラの立ち上がる様を女性が立ち上がる姿と似ているからだそうで、それを「ウラエウス」と呼びます。
 
ウラエウス女神たち。エジプト神話神々名簿より
集団でひとつの「ウラエウス」というチームになります。正義の怒りにふるえて立ち上がる美少女戦隊だと思ってあんまり間違ってないです。いやまじで。
彼女らはとんでもない力を持っています。それは太陽の光から生まれ、その力を手に入れているから。ビーム兵器のように何もかも消滅させます。サテライトキャノンの太陽版だと思ってあんまり間違ってないです。いやまじで。
それだけ強くてかっこいい女神様たちです、装飾品や杖にもつけたくなると言うものです。というわけで、ツタンカーメンの額のコブラは守護女神たちのようです。もしかしたらこの時代に萌えていた人も中にはいるかもしれないなと思いました。ないか。ヘビだし。
 
ウアジェト女神
そんな女神たちの中でもとりわけ強かったのが彼女。かの有名なホルス神と対になるそうです。
エジプトといえばサハラ砂漠で非常に乾燥したイメージが容易に浮かびますが、そんな中に流れるナイル川の恵みに、エジプト人たちは昔から畏敬の念を払っていました。そのまわりに広がる緑色の豊かな地域を「ウアジュ」とよび、そこから豊穣の女神である彼女が誕生しました。もちろん彼女もコブラのように強く戦う守護神です。
加えて、彼女が巻く「とぐろ」は、永遠に流れる時の循環を表すそうです。昨日書いた「ウロボロスの蛇」と同じですね。
他にエジプトのヘビとしては、「創造神クネフ」「原初の蛇アモン・ケマテラ」「魂の調停者メルセゲル」「ホルスの母レネヌテト」そして「遊戯王」に出てくる「大蛇アポビス」などがいるようです。いやはや、さすがエジプトというかなんというか、多いナ。
 
ボクらが神になった理由
ここのHPの神様の由来、全部面白すぎです。エジプト神話に興味のある方は、読みやすいのでぜひ。

◆ヘビが王家の守り手になったワケ◆
ヘビの中で、王家の守り手はウアジェト女神とウラエウス女神です。
これらの女神たちは、聖なるコブラの神でした。コブラが蛇の中でも特別だという思想は各地にありますが、それは、鎌首をもたげで立ち上がった威嚇ポーズが、凛々しくてカッコイイからでした。
すげえ。やつはただものじゃねえ。
そのイカしたポーズは、蛇の王にふさわしい。
と、いうわけで、この蛇を象った装飾品などが、多く作られるようになったのでした。

かなり安直ですね。

ようはコブラがかっこいいから、神様だべ、という話。うん、わからんでもない。こわいもんナ。頭につけたくもなるよナ。

  • インドのヘビ

インド神話
インド神話の中では「ナーガ」とよばれる人と蛇の合体したものが出てきます。ちょっとギリシア神話のラミアと似てますネ。

女神転生のナーガ・ラジャ。(コトブキヤHPより)
サンスクリット語で「蛇」という意味のナーガ。コレ神様ではなくて1種族(日本人、みたいな感じ)だそうです。人間と違うのは、水をあやつる力を持っているところ。人間ととても親しい一族もいれば、邪悪でむちゃくちゃなヤツラもいるのが、インドの地方色ならではです。そして、一番えらいナーガの王をナーガ・ラジャ。
そのさらに上に「アナンタ」というのがいます。
別名シェーシャともよばれるこれも、ウロボロスやエジプトのヘビと同じように、「無限」という意味があります。頭の数はなんと千。多けりゃいいってモンじゃないけど世界をすべて見届けるために必要らしいからしょうがないです。北欧神話ヨルムンガンドと同じように、大地の下で眠りながら世界を守っているそうです。
インドには数多くの神様がいますが、その中でもとりわけエライ位置にいる「ヴィシュヌ」のベッドっていうんだから、えらいなんてもんじゃないですこのヘビ。千個のうち7個はヴィシュヌを守るための天井になっています。ヴィシュヌ自体が永遠の存在(存続神)なので、このヘビに世界の最初と最後がかかっているわけです。あくびしたら地震起きるそうなので、それはカンベン。
これもひょっとして同じかなあ?インドの宇宙観。これもウロボロスのヘビですネエ?
 
他に、「タクシャカ」「ヴァースキ」「カーリヤ」「ヴリトラ」などもいます。
日本ととても似ているのは、ガンジス河の氾濫の恐怖と畏敬の念が混じって生まれていると言うこと。やっぱりヘビは川なんです。
ヴリトラ(イラスト付)
かっけーーー!リグヴェーダにもでてくる大蛇神です。大暴れする河がいかに恐ろしく、神々すらも苦労していたかがわかります。
 
はて、インドでは虹はインドラ神とマカラ(魔竭魚)がナーガを口からブーっと吐き出す時にできるものだとされています。インドラといえば「天空の城ラピュタ」でムスカがそんなこといってましたね。にしても、ナーガが虹になるならともかく、吐き出すときってシュールですネ。そのへんのカオスもインドっぽさってことで。
また、仏像でブッダがすわっているコブラもナーガ。八大竜王と呼ばれます。へえ、名前ついてるんだ?おそらくインドでは先ほどのアナンタと同じもので、中国にきたときに龍神になったんだと思われます。

難陀(なんだ - Nanda)歓喜
跋難陀(ばつなんだ - Upananda)亜歓喜。難陀の弟。
娑伽羅(しゃから - Sagara)海、龍宮の王。
和修吉(わしゅきつ - Vaski)多頭
徳叉迦(とくしゃか - Taksaka)多舌現毒
阿那婆達多(なばだった - Anavatapta)無熱
摩那斯(まなし - Manasvin)大身大刀
優鉢羅(うはつら - Utpalaka)青蓮華

  • インディアンとヘビ

インディアンの間でもヘビは雨と密接な関係があると考えられ、ガラガラヘビをシャーマンが首に巻いて雨乞いをするそうです。
普通そうやって使うなら死んだものだと思いますよね。ところが、祭りの時には他にも生きてるサイドワインダーなどを使って屈強な男たちがヘビダンスをしたりするそうで。口にくわえてふりまわすそうです。い、インディアン勇敢すぎ。いやムチャすぎ。かまれたら死ぬか、大怪我です。
ところが不思議なことに、インディアンはこの祭りを昔からやっているにもかかわらず、被害にあったことがないそうです。むしろ、それを危ないと言ってむりやりやめさせた白人に殺された数の方が多いという皮肉。アメリカの歴史は業が深い。

彼等の信念によれば、 蛇は邪悪な心を見抜く力を持っている。だから正しい心をもって接すれば決して噛み付かれるようなことはないというのである。大自然への、ひいては創造主の創造物に抱く絶対の信頼だろう。それでも単なる無知で信頼によりかかっているのではなく、十分な観察から来た蛇の習性への知識が被害を防いでいるのだという。
「インディアン・カントリー心の紀行」より

インディアンのシャーマニズムによく出てくる精霊としてのヘビ。アメリカの荒野にいるのはその毒で簡単に人を殺せる猛者ぞろい。ガラガラヘビのなかには2mを軽く超えるものもいるそうで、神話の中にそのまま登場してもぜんぜんおかしくないです。
実際、荒野の岩に全長400mの巨大ヘビの壁画が残っていたりもするそうで。でか!それ発見した人、よくヘビだってわかったなあ。ナスカの地上絵の有名なハチドリが50mというところから規模を考えていただければ、いかにでかいかわかりますネ。グーグルアースで見れないべかコレ。
 
ヘビの神様については民族ごとに違うので、あまりくっきりと伝承に残っていないようですが、有名なものとしてはホピ族のものがあります。
パロロコン
角を持ったヘビで、水の守り神です。翼も生えるそうです。ケツァルコアトルにちょっと似てますね。雷はコレが地面に戻るときの姿とも言われます。やはりこの地域でも、命をつなぐ雨をつかさどるのはヘビなわけです。

  • オーストラリアのヘビ

オーストラリア各地にはこんな石があります。

いかにもオーストラリアらしい光景です。オーストラリアといえばやっぱり岩ですよね。
一部の伝承ではこれらは「蛇の卵」ともいわれ、アボリジニの人もなかなか写真撮らせないそうなので貴重かも。アボリジニの人たちは、世界の創生を行ったのがヘビだと信じており、これらの石は精霊として見られているようです。

レインボーサーペント
通称虹ヘビ。「Tuwartu」とも呼ばれます。
面白いことにやっぱりこちらも水の神様。川や湖に住み、雨をつかさどります。色は部族ごとで別。なんだかやたらハデハデなのもいるみたいです。それこそ、虹のような色のヘビというかんじ。きらっきら輝くヘビなので、あらゆるもののまばゆい光はコレからでていると信じられています。たとえば石の結晶の光や、夜の海のきらめきなど。太陽はちょっと違うみたいで、どちらかというと夜に関係が深いそうです。
虹ヘビも一匹ではなく数多くいる種族で、部族ごとに虹ヘビたちと会話するシャーマンがいます。今でも病気の治療を虹ヘビにお願いする信仰治療があるようですヨ。

世界を創った一番えらいのはウングッド
「イェロ」、「ウォナンビ」、「ウォヌングル」、「ウォルンクア」、「ウォロンビ」、「ウングル」、「カリア」、「ガレル」、「ジュルングル」、「チェル」、「ミンディ」、「ランガル」と色々なよび方があります。ってばらばらすぎ。部族ごとの一番えらいのを総称しているみたいですね。世界の母であり父である、と両性具有のようです。
その他伝承としてユルルングルというすごいヘビがいたそうです。
これはまあ神様なんですけど、どっちかというとルシファーみたいな堕天使的存在で、大暴れん坊です。
ユルルングル イラストつき
豪雨と氾濫でめちゃくちゃにするインドや日本のヘビとは違い、大地を乾燥させちゃうというのがオーストラリアらしいです。そうだよなー、向こうは川がものすごいあるわけじゃないし、雨降らない方がよっぽど命にかかわるわ^^;
(追記・ユルルングルはたまに人を飲んだり怒ったりする力ある蛇のようですが、乞い願うことで体を癒したり、雨を降らせたり、時には未来を教える自然の守り神でもあるそうです。ただの暴れん坊ではないのですネ。こちらで知りました。9月12日) 
面白いのは、アボリジニ「ドリームタイム」という夢の時間が本来の世界だと考えていること。先ほどの「夜の輝き」がレインボーサペントだというのもなんか納得。その時間、石も人も動物も精霊になるそうです。先祖も精霊になるので、会うことができると言うまさにドリームタイム。そういえば北欧でもインドでも、ヘビ寝てましたね。夢と世界にはつながりがあるんでしょうか。とか書くとユングが喜ぶでしょうか。
 
ディジュリドゥ
こんな楽器を使って虹ヘビと交信します。記事を見ると新聞や一部の人が「神聖にしてうんぬん」「女だからうんぬん」と書いてたみたいです、アボリジニはあんまり気にしてないっぽいですね。いいじゃんブイブイしちゃえ。
ただし、写真に関しては撮影すると本気で怒られる地域(というか石)があるそうなので、行かれる方はご注意ください。
 

  • シーサーペント伝説

中世以降に恐れられていたヘビ、ってーかUMA(未確認生物)にはシーサーペントというのもいました。

湖沼怪獣とシーサーペント
UMA情報029 「シーサーペント」
シーサーペント目撃情報
伝説の怪物 シーサーペントの正体を探れ!
UMAファン 〜 未確認動物 シーサーペント
ばんばん記事でてくるなあ。みんなUMA好きだなあ。自分とか。
海の中にでかいヘビがいる!くわれる!っていう恐怖で船乗りたちはおびえていました。もっともコレがなんなのかはいまだにわからず、リュウグウノツカイなんじゃないかという説もあります。
しっかしリュウグウノツカイでかいですね。10mて^^;
海はまだまだ謎が多いので、もしかしたら数十m単位のヘビがいる可能性は、十分ありえます。ちょっと気になるのは、水とヘビが密接な関係だったこととの関連。やっぱりヘビは地面よりも水がにあうのかしら?

そのほか、アイヌ神話の精霊として、ヨーロッパの邪悪な竜として、南米の神様としてもヘビは登場します。世界中にはたくさんの動物がいますが、ここまで登場回数の多い動物は他にいないんじゃないべか?イヌとかオオカミとかウシですらこんなには出ないです。しかも、こんなにものすごく神様扱いされると同時に、ものすごい悪人になる動物なかなかいないと思います。
 
私達の視覚はヘビを避ける為に進化した? 
こりゃまたずいぶん突飛な題名だナア。
人間やサルの敵といえば、ワニとかトラとかたくさんいますが、わりとサックリ死んでしまいやすいのはヘビやサソリ。そりゃね、ワニみたいにでかいのなら警戒も簡単ですが、まさに「ヤブヘビ」。うかつに気を抜くと事故ってしまうスナイパーです。山に入るときも「ヘビがいるんじゃないか」とまず注意してからはいりますもんね。
ちょっと面白い名前なんですが「恐怖モジュール」という脳の機能があるそうです。なんだかそのままB級映画の題名にできそうですね。それは「警戒→恐怖→学習」という流れを神経に刻むものだそうです。毒蛇がいる地域の霊長類の脳にはそのモジュールが発達していて、鋭い感覚をもつというから驚き。地震雷火事オヤジよりも上にランクするくらい怖いって本能に刻まれてるんですよヘビ。あ、でも火のほうが怖いのでオヤジの上くらいかもしれません。

人間は今でこそヘビと格闘する日々なんてありえないですが、100年前にもどるだけでヘビと死の恐怖と戦っていた時代を掘り起こすことが出来ます。今でも一部の地域ではヘビは、日々死を運んでくる現実的に恐ろしい存在。
自然に対する畏怖の念を表現するにはもっとも適切な生き物なのかもしれません。
 
長々と書きましたが、オモシロイわー、神話は。書き終わってから日本のヘビに「安珍清姫」の話があったのを思い出しましたが、異なる種族と結婚する伝説も世界中にあっておもしろそうなので、もうちょいしらべてみようと思いました。
 
追記・ヒンズー神話の補足追加しました。(9月10日)
 
関連
地球でもっとも危険な毒蛇は?
数や生息範囲は狭いものの、やっぱり単発の攻撃力はアフリカのブラックマンバなんじゃないかと・・・><
ヘビにかまれるガレッジセールのゴリ。
http://youtubech.com/test/read.cgi%3Fdl%3DBXJ1Jms8hU4%26ext%3D.flv
彼が純粋ならばインディアンと競演できるんじゃないかと思いましたが、邪念を持ってたら死んじゃうのでやっぱダメです。しかしこれ、毒蛇じゃないっていったってそうとう痛くてのた打ち回ると思いますが、イヌにかまれるのとどっちが痛いべの?とりあえずアオダイショウだろうがヤマガカシだろうが自分はかまれたくないデス。
ヘビの散歩用首輪(ザイーガ)
カワイー!おもちかえりー!いややっぱいらない。ところでこれ、にゅるってとれちゃいそうですがどうヨ?そのうちネコミミとかウサギミミのヘビ用フードも発売すればいいんじゃないかなと思いますかわないけど。
見世物小屋の蛇女
少女椿みたいなかんじで。見世物小屋は是非一生のうちに何度か行きたいですが、ここしまっちゃったんですね。他にあるんだべか。
 
参考
神魔精妖名辞典
幻想世界小事典
Dragon Banqut 竜の宴
唐草図鑑
エジプト神話神々名簿