たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「N・H・Kにようこそ!」はリアルか否か。

N・H・Kにようこそ!が現実的すぎて気持ち悪い発展途上の趣味たちより)
賛否両論あるようですが、これだけ話題になったのなら、成功なんだと思います、NHKアニメ化。
個人的にはマンガ版のライトな展開が好きなんですが、5巻あたりから本当に心がキズだらけになっていきますよネ。「むしろひきこもり時代はよかったね」というくらいにダークな方向に。あれをアニメでも再現したら、すごいなあ。そういえばDVD版は「無修正」になるそうで、オタネタどのくらいまでギリギリなラインで出してくれるか楽しみです。
アニメはyoutubeでちびちび見てますが、よりリアルにダメな方向で好きだなー、個人的には。特にネトゲの回は本当にひどくてよかったなあ。踊るダメ人間かかってたのもGOOD。
 
はて、「N・H・K」は全然リアルじゃネー!という人は多いですよね。ついつい「げんしけん」と比較したりもしますよね、やっぱオタクがテーマですし。
ちょっと個人的に「『N・H・K』がリアルじゃない」と思われるとこを軽くまとめてみます。

1、佐藤君がわりとかっこいい。太ってないしキレイな格好もできるし。
2、となりの山崎がかっこよすぎる。痛いけど時々常識人。
3、岬ちゃんがかわいすぎるっていうか、あんな女の子いないわマジで!
4、先輩の設定とか、ないだろう普通。

小説版は全然別物なので、マンガ・アニメのほうを中心に。
 
はて、1・2に関してですが、原作のイメージだとあそこまでかっこよくないですよね。少なくともデブではないんだけど、カリカリにやせてるイメージかなあ。マンガも二人ともスレンダーです。
そりゃもう、作品の作りの問題ですよネ。デブオタ二人が主役でずっと出てる小説やマンガを誰が読みたいですか、という話です。そういえばネトゲ廃人になって50過ぎのデブになっているシーンがマンガにありましたが、あれは強烈ダー。(このへんは生々しくて見てられないゾーン)
 
佐藤くんは、洋服がオシャレなのはちょっと不思議な感じしますネ。どこで買ってるの?買い物にも行けないヒッキーなのに?と思いましたが、もしかしたら親がいろいろ送ってくれるのかも。ああ、ますますダメじゃん。あとは岬ちゃんコーディネートは何回かやってましたネ。
それ以外は、ほんとリアルで「見ていられない!」と2ちゃんに書き込み増えるのも納得です。佐藤君妄想は、作者の滝本さん妄想と直結してる気がするので、痛い苦しいやりきれない。原作の方が緩急なくグダグダなので、生々しい痛さがあると思います。あれはそのままマンガにしても、面白くないしキツいだろうなー、と。
 
山崎は見た目はメガネ男子スキーとしてはかっこよく見えちゃうんですが、性格はリアルすぎてキツいものあります。佐藤君が山崎の通う専門学校に行った時の、彼の女の子への接しっぷりはヘコみます。しかもそれを「彼女ですよ」という痛々しさときたらっ・・・!マンガ版では5巻ラストでなんか展開があったようですが、今はどうなったんだろう。少なくともエロゲやフィギュアの片付けっぷりを見る限り、痛いオタだけどまだ性格は几帳面なんですよね。見ていてまだ許容範囲。もしかしたら、「佐藤君から見たオタクなんだけど自分よりも上行っちゃってて比較したらオレ凹むよほんとまじ死にたいよ!」という印象から描いた姿なのかもしれません。
 
はて、問題の3番。「岬ちゃんみたいな人なんていないよー」というのはごもっとも。いないいない。ただし、滝本さんの「超人計画」を読むと、なぜこんな美少女が出るか、よーくわかると思います。「作者の脳内彼女」と考えてみると、リアルさ30倍です。
もっとも岬ちゃん自体にもリスカ少女や電波少女の痛々しさもマンガでブレンドされて、単体で見ると妙にリアルなキャラになっていると思います。むしろ、境遇的には彼女のほうが佐藤くんよりよっぽどキツい位置にありそう。社会復帰を本気で考えないといけないのは彼女の方でしょうね。
 
個人的に見ていて本を閉じたくなるくらいキツいのが、4番の先輩。五巻の新婚生活、きっついってマジで><もうなんか説明したくないくらいしんどいので、読んで確かめてください。他の若者はまだ希望の光がなんとか見えるっつーのに、彼女に至っては見えていたは希望の光がシュンと消えちゃった。あー、生々しい!ほんとキッツ。これはマンガ描いた大岩ケンヂさんのテクだと思いました。
 
はて、小説版に関して言うと、面白いのはアマゾンのレビュー。
ぱーっくりと「すごい面白い!引きこもりの気持ちを描いてる!」「ぜんぜん感情移入できない、パクり?」の二つに見事に分かれてます。個人的には、「ネガティブハッピーチェンソーエッジ」や「超人計画」の方が断然面白いなーと思います、滝本さんの文章としては。ただし「NHK」は、エンディングや岬ちゃんが「滝本脳内ワールド」だと考えると異常にリアルだと思います。あとは自分の経験とだぶるところがあるか否か。あるいは、否定しないと気持ちが落ち着かないくらいの何かがあるのか。
「N・H・K」をマンガ化するとはじめて聞いたときは「あのグダグダなのをマンガにしてほんと面白いんですか?!」と思ったものですが、やっぱりそこがキモだったんでしょうね、佐藤・山崎がわりとイケメンになり、それぞれのキャラの個性がわかりやすくなり、痛いシーンと明るいシーンの緩急がはっきりした感じがします。そこも「N・H・Kってリアルじゃないんじゃない?」という要因だろうなあと思いました。
 
全体の流れじゃなくて、カットごとを切り抜いてみると、自分に当てはまる部分があるはず。それが「N・H・Kにようこそ」の面白さであり、痛々しさであり、見ててきついけどつい見ちゃう、ってとこなんだろうな。
というわけで滝本&大岩&アニメスタッフ支援のエントリでした。小説もマンガもアニメも大好きなのヨ。通常版と文庫本どっちも買うくらいに。
なにはともあれ、「超人計画」を読もう!まずはそれからだ。
 
蛇足ですが、なんとなく「かってに改蔵」のエンディングを思い出しました。
あれこそがこの系統の作品の究極エンドなんじゃないかなとか。いや、個人的好みですけどネ。
 
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