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無機物パーツと少女達〜ヘッドフォンの美学〜

ヘッドフォン娘とその人気の秘密●

今巷で大ブレイク!…なわけないですが、じわじわと昔から人気のあるイラストの構図に、「大きなヘッドフォンをした少女」があります。
Headphone+musume
Meta*Headphone-Girls

このへんは「ヘッドフォンっ娘」好きな方の間では超有名サイトですね。
苺ましまろ オリジナルサウンドトラックニア・アンダーセブン ― オリジナル・サウンドトラック ? NieA's Loco
また、ヘッドフォンっ娘はさまざまなCDのジャケットにも使われています。これはアニメの「ニアアンダーセブン」と「苺ましまろ」です。どちらもノリがちょいオシャレ系なアニメですね。もちろんアニメじゃなくとも、多くのCDジャケットでヘッドフォンっ娘は見ることが出来ます。
ビートマニア II DX 12 ハッピースカイ
BM2DXキャラもヘッドフォンでかい子多いですね、そういえば。DJだからなおさらですが、少女がDJしながらでかいヘッドフォンという組み合わせがたまりません。
 
音楽CDのジャケとなると、ヘッドフォンを身に着けて音楽を聴いている姿は当たり前といえばそうなのですが、ここで「ぐっ」と来る何かがある方、友達になってください。
 
実はポイントになるのが「イヤホン」ではなく「ヘッドフォン」だということ。ここ、ポイントですよね、ね。音楽聞くかっこよさなら、i-Pod風イヤホンでもいいのですが、ここであえて「ごついヘッドフォン」を、しかも少女がしているところが特別なのですよ。
 

●機械との融合の入り口、ヘッドフォン●


「ククルカン 史上最大の作戦」第一巻より。
このマンガ自体「メカ+銃器+少女」の魅力をふんだんに詰め込んでいるのですが、とりあえずヘッドフォンということでこのシーン。通信兵とはこれまた特殊で萌えるシチュエーションじゃないですか。
ここでも、機器がハイテクだったり小さかったりすればまたSFな魅力があるのですが、あえて古臭くてでかいヘッドフォンなのがポイント。
そしてそれはでかくてごつくて、ディティールに凝ったものであればあるほど、少女との組み合わせで魅力を増幅します。
 
ヘッドフォンであることの魅力は、たくさんありますが、今回ポイントにしたいのは「無機物との融合感」です。

村田蓮爾画集「0.5 Like a barance 2nd mix edition」より。
ヘッドフォンと聞いて村田蓮爾先生を連想した人はかなり多いのではないでしょうか。レトロとハイテクの合間のような特殊な機械類と、可愛い少女と、かっこいい男の組み合わせを描かせたら天下一品なイラストレーターさんです。
村田先生は、青年もそうなのですが特に「少女+機器」のフェティッシュさを、まるで当たり前のように描かれます。実際、身に着けているものの違和感があってしかるべき形状の機器を身にまとっているのに、違和感が全然ないんですよネ。
特に多様されるアイテムがヘッドフォン。色々身に着ける無機物はありますが、中でも外界と自分を切り立つアイテムであるヘッドフォンは特殊だと言えます。
 

ぱにぽにだっしゅ!OP「少女Q」より。
これは実写のヘッドフォンとベッキーをあわせた絵柄です。
このように、アニメ・マンガの「ヘッドフォン娘」は目をつぶっていたり、視線が別方向だったりと「自分の世界に入っている」シーンがとても多いです。まあ、ヘッドフォンしながら会話する人なんていませんよね。
自分の世界に入り込むカギとしての「ヘッドフォン」は、ある意味「身体の一部」になっているといっても過言ではない、と思います。
イヤホンでもいいんだけどさ、ほら、そこはでかくてかっこいい形状の方が記号的役割が大きいわけですよ。メカニカルなものを身体に身に着けて、それを自分の一部にしている融合感が、「少女性」と相性抜群なのです。
 

●特別な「少女性」と、記号的なパーツ●

ヘッドフォン男子のイラストやマンガも結構あるんですよね。どちらかと言うとアクティブで、オシャレアイテムの一環という感じで描かれるか、あるいはゲームキッズ的なテクノ記号かなと思います。
しかし、意図的に描かれた少女のヘッドフォンは、テクノ記号としての意味ももちろんありますが、「人造的少女性」の第一歩として使われることもあります。
 
「少女性」はうちのサイトでは何度もごちゃごちゃ書いていますが、「男性」でも「女性」でもない特殊な記号だと思っています。小説やマンガなどでは特に意識されていて、生であり死、安定であり不安定、客観であり主観、という多くの二律背反を抱えた存在として描かれることが多いと思っています。詳しくはこっちで長々と書いてます。
ヘッドフォンという「現実と切り離す」アイテムを身につけることは、その少女を、外界のものから遮断した、一つの特別な「個」にすることになります。
大きなヘッドフォンをしている女の子には、特になんらかのこちらからの働きかけが出来ず、向こうからもこちらに何かしてくるわけではない。だから遠くから見守る「特別な存在」になるのではないかなあ?なんて思います。
それが身体の一部として描かれることは、こんな意図が含まれているのかな?と自分なりに考えてみました。

1、少女が他とは少し離れた場所にある存在として描かれている(少年の場合も大いにあり)。
2、人造のイメージとしての少女に置き換えやすい。
3、SF・ファンタジー的要素の入り口のカギとして少女が使われている。
4、テクノ・近未来的な、ある種彼岸の存在としての「手の届かない憧れの位置」に少女がいる。
5、コードがつながっていることで、少女が現実ではないどこかにつながっている。

 

●少女がヘッドフォンをはずすとき●

以前のドキドキ対決でやしちさんが描いてくださった絵がとても印象的でした。

勝手に再掲させていただきました。
このシチュエーションを考えてくださったたかしさんの突きどころが結構鋭いと思うんですよね。
 
ヘッドフォンが外界から個人を切り立ち、少女を特殊な存在にするアイテムだとしたら、逆にそれをはずすことで一気にこちらとの距離は縮まります。自分のパーツの一部を切り離すことで、「特殊な少女性」のカベが少し崩れるんですよ。
そうしたときに、人造少女的な部分が取り払われ、リアルな「生」の部分がふと見えます。人間に戻る、って言ったらおかしいかもしれませんが。
 
そのギャップの幅が産む「特異な少女性と、身近な生身少女」の感覚をいとも簡単に産むのだから、ヘッドフォンはすごいんですよ。
 
そういうアイテムは他にもあります。メガネと時計です。
おおげさかもしれませんが、パワードスーツとメガネ・時計は思想的には同じ、とあるロボット学者が言っていました。なるほどねえ。そういう原理ですか。
このへんはまた別の機会に書いてみようと思います。
 
ところで、ヘッドフォン詳しくないのですが、少女につけてもらいたいヘッドフォンのこだわりって皆さん何かありますか?おすすめのがあったらこっそり教えてください。個人的にはいかついやつが好きです。
 
〜関連記事〜
ヘッドフォン娘、いったりきたり。
この記事の補足。
「百合的作品」群から見た少女幻想と、ネバーランド住人たち。
MS少女、メカ少女、甲冑少女、ビキニ甲冑。
無機物パーツと少女たち、メモその2
 
〜関連リンク〜
エロゲ関連CDジャケット「ヘッドフォン娘」まとめ