たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

無機物パーツと少女達〜装置としてのメガネの誘惑〜

無機物パーツと少女達〜ヘッドフォンの美学〜
無機物パーツシリーズ、なんだか個人的に面白くなってきたので、ちょっとずつかじりすすめてみようと思います。
「身体を補う、人間の働きを手助けする」という意図で考えられ試行錯誤され続けている「ロボット」。もちろんそれは人間ではないものなのですが、「体の機能を助ける」という意味では以前書いたヘッドフォンのほか、メガネ、時計、ローラースケートなどがあげられると思います。
今回はそんな、人の体と心を補助する「メガネ」をかけた女性達について、オタク視点から自分の思ったことを書き留めてみます。メガネ男性の話はまた異なるので、別の機会に。
 

●いなきゃいけない気がするほど、一般化した「メガネっ娘」●

といっても、メガネスキーは世の中に非常に多く、自分のようなぺーぺーな素人がえらそうに語れるジャンルではないくらい、深い。深いのです。
自分に出来ることといえば「めがねをはずした方がかわいいだと?ふざけるな!メガネは体の一部に決まっているだろう!」と島本和彦風に自分の主張をひっそり語ることくらいです。
というわけで、マイペースなメガネ語りになります。
 
はて、マンガやアニメで、特に女性の多い作品の場合、「メガネキャラ」は一つの指定席のような位置づけにある気がします。もちろんメガネ皆無の作品もいっぱいありますが、一人くらいは出てくる、というのは観客側であるこっち側の、いつの間にか芽生える欲求だったりします。たとえば今回の「YES!プリキュア5」にはメガネキャラがいないので「こまちさんはそろそろメガネかけるだろう」的な妄想を勝手にしたりとかしますよね。しませんかそうですか。
たとえばメガネ枠としてわかりやすいのはこのキャラ。

あずまきよひこあずまんが大王」3巻より。よみちゃん。
女の子だらけのマンガですが、彼女が一気にメガネ分を補給してくれます。
最近は「メガネ女の子キャラ」をムリに入れない作品の方が多いですが、それなるとなんとなく「あれ、メガネっ娘いないなあ」なんて感じてしまう自分はアニメ脳。
 
はて、メガネ女性キャラを「ある種の定位置」とした場合、無機的な物体を体の一部にすることで、キャラの性格を左右するものになるんですよね。ただ「目が悪い」だったらコンタクトでもかまわないのに、そこをあえてメガネ。ここ大事。
 

●無機物パーツとの融合としての、メガネ。●

無機物と少女の融合性としてみた場合、メガネがどんな方向へ印象付けるアイテムになるのか、ちょっと考えてみました。

1、パワーアップアイテム。知性、性格を強化させる「加速装置」。
2、ウィークポイントを補うアイテム。弱さ、素朴さの補強としての「補助装置」。
3、本人のマニアックな性格のシンボルとしての「レーダー」。
4、外界と自分を隔てるカベとしての「バリア」。

もちろんキャラやイメージの数が半端ないジャンルなので分けようがないのもいるのですが、受け取り手の側としてはこんな感じではないかな、と思います。
なぜ少女にメガネをかけさせ、無機物を体の一部に変化させていくのかを、このへんを手がかりにしながら考えて見ます。
 

●1、「加速装置」としてのメガネ●

メガネが、そのキャラの強さを推進する場合は非常に多いですよネ。さっきのよみちゃんもその一人だと思います。ツッコミキャラがそのメガネに表現されています。

氷川へきるぱにぽに」より。玲ちゃん。
このキャラはサディスティックで気が強くツッコミで仕切り屋、というなんとも力強いキャラです。マンガのグダグダ感を一挙に引き受ける最強キャラ。
ですがこれ、実は伊達メガネです。そんなわけでネコかぶるときはすぐにメガネをはずすのですが、かけていることで「威圧感」を持つ記号であることは間違いありません。

ぱにぽに」付録「スクールメガネ」より。このマンガ、メガネにやけくそなまでにこだわっていてステキです。そして、そのほとんどがパワーアップアイテムなのも興味深いです。ベホイミは3の「バリア型」なのでちょっと別。
メガネによる力強さを持ったキャラって結構多いですよね。いわゆる「委員長キャラ」ってやつ。その中にはこの後の方にからんでくる複雑な心理状態のキャラもいるのですが、気丈さをよりはっきりさせる「加速装置」であることは間違いありません。

高田慎一郎「ククルカン 史上最大の作戦」4巻より、マーガレット。
女教師、上司などの場合も、その気の強さを表現する加速装置になります。このへん、メガネの気の強い女性が好きな人としては「それは体のパーツだからはずしたらダメだ!」という人と「はずすときのスイッチオフ感がいい」という方とにくっきりわかれそうな気もします。
ちなみに、究極の加速装置メガネ少女キャラは、自分は「ブラックラグーン」のロベルタだと思っています。
 

●2、「補助装置」としてのメガネ●


ばらスィー苺ましまろ」4巻より。茉莉。
当たり前ですが、基本的にメガネをかけるのは「見やすくするため」です。ということは、元々キャラクターがメガネをパーツとして身に付けている場合、「普段はあまり見えない」という弱点を浮き彫りにすることになります。
加えて、そこでコンタクトを付けず、オシャレっけを出さないメガネをかけていたら、「素朴なんだなあ」という空気を持つことにもつながっていきます。先ほどの「加速装置メガネ」がジェット機ならば、こちらは「複葉機」。遅いのではありません、そこが味なのです。
弱点がある+素朴=守ってあげたい
ピコーン!
 
思いっきり男性視点ですが、このタイプのメガネっ娘はその「男性から見た幻想少女」の割合が非常に高いのではないかと思います。

さんりようこB型H系」2巻より宮野さん。
男性も女性もトリコになってしまう天然メガネっ娘です。「そんなんいない!」と言いつつも「でもかわいいよなあ」と思わせる、天然記念物級の幻想少女像の塊です。もちろん現実的に「メガネだから素朴」なんていうのも幻想でしかないのですが、マンガの中でくらいは…!という男の、女の熱い思いが無機物と少女を融合させます。だからこの子がメガネをはずしたらアイデンティティが減ってしまいます。

松山せいじ「ゾクセイ」2巻より。
松山先生が描くと、そのあざとさが武器になるから非常に分かりやすいですネ。守ってあげたい型メガネを一発で印象付けるパワーがあります。
このタイプ、一昔前は「普段はやぼったくて、はずすとかわいい」みたいなパターンがネタのようにされていましたが、今はそんな考え方よりもはるかに「やぼったいメガネはその子の体の一部、おしゃれメガネ不可!」という感覚の方が強いのではないでしょうか。当然自分もこっちです。
 
補助装置型は、ドジじゃなくても使用される場合があります。たとえば「レイアース」の風のような、「やさしい子」という記号です。うっは、例えが古すぎですがこれが一番わかりやすかったんだい。こちらもおしゃれメガネじゃない方が、「守ってあげたい」と思わせる補助装置になります。
 

●3、マニアの「レーダー」としてのメガネ●

これは男性キャラでもかなーりかぶるので、マンガキャラ記号として定着しているかもしれませんネ。
メガネをかけているキャラはオタクだったり、趣味をもっていたりする場合が多いです。理系博士っ子の場合も多いかもしれませんネ。

ももせたまみ「ななはん」1巻より、園美さん。
801小説家という設定で、常に脳みそは801モードです。そして温泉にいこうが熱で寝込もうがメガネは決して離しません。まあ温泉はともかく、寝床にいるときくらいとればいいのに、と思いますが、体の一部なんだからしかたないんだよ、と言っておきます。
オタク系キャラ少女のメガネは、言ってみればレーダーです。常に周囲の自分の趣味にかかわることに目を光らせ、ピンときたらメガネがキラリンと輝きます。

紺條夏生妄想少女オタク系」より浅井さん。
もうマンガそのものがオタクを描いた作品です。いわば、浅井さんのメガネレーダーは、この作品のアイデンティティでもある気がしてなりません。おおげさですが。
他にも「さよなら絶望先生」の藤吉さん、「マリア様がみてる」の蔦子さん、「こみっくパーティー」の猪名川由宇、「サクラ大戦」の李紅蘭、「R.O.D」の読子・リードマンなどなど…。挙げていったらきりがないくらいのメガネレーダー少女がいそうです。
 

●4、心の「バリア」としてのメガネ●

今までは「メガネは体の一部」として無機物と融合させていたのですが、ここからはちょっと毛色が変わってきます。
先日のヘッドフォン同様、外界と隔てるカベとして、一枚のレンズがあるというキャラもいるんじゃないかな?と思います。

金田一蓮十郎「ニコイチ」より、菜摘さん。
メガネ時はツンツンした非常にキツいキャラです。素を出さないんですよね。メガネをかけることで切り替えていると言ってもいいです。
しかし、彼女、気を許すとメガネをはずします。

クールなお姉さんキャラが、一気に明るくはじけた少女に!
「ニコイチ」というマンガ自体、男性と女性のカベや人間の意識のすれ違いを描いたコメディなのですが、この菜摘さんのメガネもまた、そのスイッチの役割を果たしているようです。
メガネがあると心のバリアがオンになるキャラは結構多いのではないかと思います。そこだけとりあえげると加速装置のようなものなのですが、実はそれをオフにするとバリアが解除される、という「ツンデレ」的ギャップが男心をくすぐるのです。

私屋カヲルこどものじかん」より、白井先生。
さすがに少女と言える年ではない(失礼!)ですが、常に気を張りつめ、メガネバリアーを展開している彼女です。3巻のふとした瞬間に、そのバリアーが「メガネをはずすことなく」砕けていくシーンが2度3度と出てきます。はずさずにバリアーのオンオフが行われると言うのは高度すぎ。
 
例に挙げた二つのキャラ。年齢的に少女ではなくとも、そこにあるのは間違いなく「少女性」をたたえた女性なのではないかと思います。自分の中の少女性に気づいているから、それを隠すバリアとしてメガネを一つの心の支えとしているんですヨ。
少女キャラとして思いついたのは、「ぱにぽに」のベホイミ。今までは新感覚癒し系魔法少女として明るい日々を送っていたものの、心に傷を負って、目の奥の見えないメガネをかけてしまいました。彼女のメガネは心のカベです。と同時に、謎の過去を隠すベールでもあります。

やしち
『この考察を読んで、ドキドキの投稿にあった『白衣の女史サマ限定で、眼鏡をかける時に目を閉じる「あの」一瞬。』を思い出しました。
一般的に男子が強く女子は弱いと思われている「理数系」を思わせる白衣。入り口となるパーツに、メガネ。そのメガネをON/OFFする「一瞬」がドキドキにつながるのではないかな〜?なんて。』
コメント欄より)

バリア型、加速装置型の場合、メガネが男性が抱く少女・女性イメージの架け橋だったり、拒絶するカベだったりするのかもしれませんネ。
 

たまごまごの、マイベスト メガネ少女●

自分もメガネ暦の浅いあまちゃんですので、多様なメガネキャラをちゃんと見切っているわけではないです。精進しなきゃ。
そんな薄い自分のメガネ暦の中で、「少女」として「メガネ」を装置として融合させた一番好きなキャラをあげてみます。

植芝理一ディスコミュニケーション」の戸川安里香。
同調してくださる人いらっしゃいましたら、親友になってください。一晩戸川のメガネで語り明かしましょう。
 
この子もメガネを体のパーツにしているタイプの子です。確かに何度か特殊な事例ではずすことになるのですが、基本的にかけぱなしです。
そしてそのメガネは、意思を曲げない「加速装置」であり、純粋さの「補助装置」でもあり、時折あふれる興味への「レーダー」でもあり、自ら距離感を近づけたり遠ざけたりする「バリア」でもあります。
植芝先生がまた特殊なマンガの描き方をするのは、読まれたことのある方ならご存知かもしれません。あらゆる無機物を少女や少年と融合させちゃうんですよね。森羅万象すべて人体と融合して、ロボットやアンドロイドやサイボーグの中間地点みたいな独自のものを作ってしまいます。このへんはまた別の機会にイヤというほど書きたいです。書かせてください。

そんな植芝先生だから、当然のようにメガネも一つの身体パーツとして描きます。
SFチックな世界で、スコープやノクトビジョンを体の一部のように描くことってありますよね。ごてごてしたアイテムすべてそういうノリで描きこんでいきます。
今まであげてきた例が、比較的「隠喩」としての「少女性の機械化」だとしたら、こちらは直接的に少女性を機械化していきます。
 

●少女とメガネの未来像●

「今日の早川さん」ハードワイヤード(coco's bloblog)
早川さんがそもそもSFマニアなのでこういう妄想はもっともなのですが。
もしイメージとしての「メガネ+少女」が発展していけば、SFマンガなどではこういうサイバー化したメガネは増えるはずでしょう。いやさ、だって宇宙に飛び出したりできる世界観なら、視神経とかをいじるくらいお茶の子さいさいじゃないですか。いっそ融合させてメガネをパーツにすればいいんですよ。
…あれ?そうするとメガネじゃなくてもよくなる?…なにをいっているんだ、メガネじゃないとだめじゃないか!
 
結局、どんなに文化が発展した世界観の小説・マンガでも、レトロなメガネはなくならないだろうなあ、と思いました。昨日のヘッドフォンもですが、でかくてレトロな方が「融合感」があふれるんですよ。
それは男性から見た「入り口」かもしれないし、「特別さ」かもしれません。

ヘッドフォンと少女というのは日常に溢れていながらや柔らかさと堅さ、軽さと重さという分かりやすい対比を含んでいてさらに「空間を遮断する」という、つけるにしてもはずすにしてもいかにも物語が発生しそうな動作を含んでいる所にその魅力がある気がする。iPodとかよりMDもしくはCDウォークマンのほうが機械っぽい素朴さがあってヘッドフォン美学には似合うかも。
梅ラボ

これすっごく同意なのです。動作まで言及されているあたりに深く納得しました。
ヘッドフォンがレトロであればあるほど、その「無機物の存在感」や「空間の遮断感」を感じさせるとの同じように、メガネもまたちょっと野暮ったかったり目立ったりして、付けている時間が長いほど「存在感」「少女とのカベ」を感じさせます。
今後もすてきなメガネキャラは増えていくと思われますが、もうちょっとだけ「ブランド」や「形状」にこだわったものや、「特別なデザイン性」と持った「メガネ」そのものに比重をおいた女の子が見たいなあ、なんて思うのでした。
というわけで、メガネ的にはでかくて目立つのを付けている子が好きです。
 
ここまでは「無機物と少女のコラボ」ということで書いてますが、メガネフェチの世界はまことに深い。いやあ深い。
眼鏡キャラクター
眼鏡フェティシズム(Wikipedia)
記号としての眼鏡じゃなくて、フェティシズムとしての眼鏡の場合、そこにサディスティックな感情、マゾヒスティックな感情が入り混じり始めます。中には「メガネをかけていた女の子の、メガネそのものが好き」なんていうのもあるですよ。
また、男性のメガネくんのかっこよさもベクトルが全然変わってきます(かぶる部分もありますが)。深い。深すぎる海溝の、上の方で自分は水遊びをしている程度な気がしてきました。
 
とりあえず「メガネっ娘へのフェティッシュ」を楽しむ上でオススメしたいのは、屈折リーベというマンガ。

ストレートにメガネフェチの話です。メガネをかけた子への愛の物語。その偏りっぷりが素晴らしく、また「マンガにおけるメガネ」を語る上では欠かせない作品です。賛否両論含め、メガネを愛する人の必読書です。…ですか?
このへんの話は「フリクリ」のニナモや、「涼宮ハルヒの憂鬱」の長門とあわせて色々考えると面白いところですが、また別の機会に。
 
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