たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「こどものじかん」4巻から見る、先生達の見るこどもへの視点。

こどものじかん」4巻買ってキタヨ。限定版じゃないほう。
あ、別にポリシーとかじゃないです。単にお金がなかっただけです。

あえて並べてみたヨ!
 
「こどものじかん」もとうとうアニメ化するわけですが、実はなにげに4局でしか放映しないというワナがあったりします。
このへん、色々あるのだろうなあとは思いますが、その周辺の盛り上がりぶりと、盛り下がりぶりがちょっと興味深いです。
ちょっと関連で、DVDアニメの方の感想のサイトを並べてみます。
こどものじかん 〜確かにこれをTVで放送するのは挑戦かもね〜(二次元空間)
こどものじかん「OVAだからすごいんだよ?」(ねこあれブログ)
いやはや、エロいね。否定なんてしませんよ、全肯定ですよ。
まあ、確かにこれは「放送は冒険だよなあ」と思うのもむりはありません。実際原作の方も、放送できなさそうなのをあえて盛り込んでいます。
 
とはいえ、自分は少し青木先生と白井先生にちと思い入れが強すぎるので、どうにもこのマンガを「エロ」だけでくくりたいくない、と延々と語っていたことがあります。このマンガは裏に隠れた先生とこどもたちの心理の生々しさがいいんだよと。
まあ、今もそれは変わらないのですが、だからといって「エロくない」とはいいません。ええ、エロいですとも。自分もりんちゃんをエロい目で見ますとも。
 
とりあえず「こどものじかん」4巻もエロいです。が、自分は淡々と、大好きな先生達に視点を向けて、あんまりエロくない感想を書いてみようと思います。コミックハイで毎月読んでいるのでそんなに目新しい何かがあるわけじゃないけど、やはり並べて読んでみると、ひときわ目立つのは先生達なんですよ。
 

●この一年を経ての青木先生●

はて、3巻は比較的青木先生の成長がメインにすえられていた気がします。彼はなんだかんだで、相当がんばっている先生だと思います。
参考・「こどものじかん3巻」から「教師の時間」を考えてみる。
がんばっているけど時には空回り。それが3巻の時点の青木先生でした。
すごく外側から見ると、青木先生は小学生の女の子に詰め寄られてエロいことばっかりされて、うらやましいな!と思ってしまいたくなりますが。
教師という仕事はそんなに甘かぁない、っていう現実もびしびし突きつけてきます。
 
ところが、4巻で彼はぐいぐい成長していくんですよ。
子供達も4年生になって、1年たち、ませた「りん」や「黒」達と仲良くなったから、というのもあるのですが、それ以上に彼の中で何かの手ごたえがあったり、自分を振り返る余裕があったりします。

飲みの席で愚痴る青木先生。
今までならうまく行ったら「おれすげえ?」的な思い込みに振り回されて、それをりんにスカされたりしたわけですが、今回は「自分が何を出来ないのか」をちゃんと分かっていたり、また「ならこうして行こう」という前向きさを感じます。
そんなわけで、青木先生が見る子供達の姿は、確かにまだ手に負えないものなのだけど、かなり全体的なものを包含した視点も持てるようになっています。
と、なると。次にそこから見えてくるのは、こどもたちの姿と、他の先生の生の姿です。
こどもも人間だったら、先生も人間なんだ。
 

●宝院先生はもうただのボインキャラじゃない●

そんな青木先生にぴったり寄り添って、空回りぶりを発揮していたのが隣のクラスの宝院先生でした。常にポジティブ思考で明るい性格で胸が大きいため、生徒にこよなく愛されています。主に胸が。よく揉まれます。
そんなんで今までは「青木先生がちょっと好きなアホの子姉さん」ポジションだったのですが、この巻に入ってから、ぐいっとその思いが前面に押し出されることになります。
 
ちょっと面白いシーンとして、コレ。

まあ、演技なんですけれども、宝院先生が青木先生に「先輩風」をいい具合に使いながら子供の前でアピールするシーンです。
今まであまりこういうのはやらない先生だったんですよね。どちらかというと「抱きしめればわかるよ!」的なストレートな人でした。
まあね。小学生男子は抱きしめられたらわかるわ。胸で。
しかし、青木先生が教員として成長するにつれて、自分がその先輩という立場であることの意識がぐぐっと増してくるわけです。
ちょっとからかってみようかな。たまには遊んじゃおうかな。
しかし気が付けば。

まっすぐ童貞青年青木のペースに完全に飲まれてしまいます。まあ、これがどういうシーンかは読んでみてください。正直宝院先生かわいすぎます。
 
教員社会には出世とかはありません。20歳だろうが60歳だろうが、みんな同じ。だけれども、だからこそ「先輩と後輩」と言うのは必要以上に意識されてしまうもの。それが男女間でほのかに好意を寄せていれば、その感情は複雑なものになっていきます。

宝院先生は青木先生が、弟のようにかわいく見えて、そして同じ教師として、先輩としてもとても目をかけている。そして男性としても好き。
その後輩教員が、先ほども書いたように「何かの手ごたえ」を感じているのを見るなら…間違いなくうれしいのだけれども。
宝院先生の笑顔と赤面の裏にある感情は、確かにド正直な彼女ではあるけれども、いまだに押さえつけられたもののまま。さあ今後それはどう発露していく?彼女は先生として成長できるんだろうか。

もやもやは溜まるばかり。
 

●白井先生が、自分を見つけはじめた。●

はて、このマンガで自分が「一番かわいいって!」と色々な人に言っていたのが、姑役にいた白井先生です。ゴルゴさんと巫女居酒屋で、白井先生のよさを語り合ったのが懐かしい。

初期は青木先生にしてみたら目の上のたんこぶ的な「いないでくれ!」なキャラでした。
もうー、失敗したら痛い所突くし、よけいな詮索するし、道徳基準はカタブツすぎるし、もうほっといてくれ!と言いたくなるのももっともです。
しかし、実は白井先生ってずーっと青木先生に、必要以上に声かけてきた人なんですよね。
彼女の中の漠然としたモヤモヤは、3巻にきて急に爆発、4巻では一気に愛らしい少女へと戻っていきます。

青木先生もその扉をノックはしたのですが、こじあけたのはりんの友人の黒ちゃん。
この子も結構苦労やらもやもややらを抱えてきた子ですが、白井先生とシンクロするところがあったのは、はたまたその閉じた心に惹かれたのか、大人嫌いなのになぜか白井先生にだけ懐きます。
この子の存在は、白井先生が抱えている困惑を鏡に映すかのようなものなんですよ。
 
白井先生は、人に愛されること、愛することをほとんど知りません。
けん制し、抑圧され、人との距離をおいてきました。その理由は読めば分かります。
教員としてのそれは確かに苦痛なもの。人間好きでスキンシップの多い青木先生や宝院先生がウザったく見えるのは、自分の価値観を壊されるのが怖いからなんです。

黒ちゃんの存在が一気に白井先生の中のカベを突き崩していくのが、非常に爽快であり、切ない。
まだまだ、彼女の心の壁は厚いのです。
しかし、「少女」な彼女の心は、じわじわと表れていくから、彼女は非常に魅力的に輝き始めました。
 
教員という仕事が、人間関係メインの仕事だからこそ、先生達の人間性やメンタルな繊細さが描かれるのは心に響きます。

子供の存在が大人の心を…なんていう美辞麗句はいりません。でも子供が真正面からぶつかってくるのを受け止めるとき、大人側の受け止める心の形を変えねば、キャッチできないのもまた確か。
影響は受けないわけがない。それが青木先生、宝院先生、そして白井先生に表れてきています。
結局は、1対1の人間なんですよね。それがりんのエロスやどたばたっぷりでうまーくクッション化されて、あまり説教くさくなく、でも人間くさく読めるのがこの作品の化け物なところ。
とはいえ、ちょっと「エロい」と強調されすぎという意見も?
 

●ロリエロな作品の中の根っこ●

「こどものじかん」4局問題(異常感想注意報)
この作品、そのエロの裏にある子供の心理や先生の成長を楽しんでいる人もいます。
でもどうしてもエロリが前面にでまくってしまって「エロい作品だよ」と言われるとちょーっと悲しくなるのはやっぱりあります。「でも本質は!」とか言いたくなるよネ。自分の思いも、ここに書かれているとおりです。
けれども、エロい作品ですよ。私屋カヲル先生はちゃんと狙ってエロを入れていらっしゃる。そして「泣くまでなめさせていただきます」とか言いたくなる。え?ならない?そうですか。
 
これ、先ほども書いたように、ロリエロなのがうまいバランスを保っているんだろうなあと思います。
いやね、この作品のテーマだけ抜き出したら、本当に重くて読むのしんどいですよ。生々しいし。一歩ずれれば「仮面天使」の痛々しさになるし。
しかしそれをうまく軟着地させて、笑いながら「いやあエロかったね!でもいい話だね」と言える方向微修正がいいわけです。エロがきつくなればなるほど、ストーリーに描かれる心の重みも増やせます。
 
加えて、「このマンガはエロいよ!」という話題を聞いて「ほうほう、エロいね!」と買った人が、この作品の中にある子供の葛藤、大人の悩みがつぶさに描かれているのを見て、なにかをこのマンガから感じる「機会」が出来る、ということにもつながりますよね。
これが教育を描いたうんたら、とかって宣伝ならまず読まない。
「先生の『筆下ろし』してあげようか?」なら手にもとるっつうもんです。
逆に、この本買うの恥ずかしいなあという人は「いや、これは教師達が生身で生徒と接する姿を描いた作品なんだ」と言い訳して買えばいいと思います。
そしてこういえばいいじゃない。
 
かわいいですよー!
 

●蛇足●


コミックハイ!が夏に出した限定同人誌の「百合のコミックハイ!」に、2Pほど白井先生と黒ちゃんのマンガが載っていますが…これがたまらなくよくて。
それだけ目当てに買うにはちょっと金額とページ数が割に合わないかもしれませんが、見られるなら見る価値ありです。
とりあえず、自分の中では「こどものじかん」のヒロインは白井先生です。がんばれ白井先生。
 
〜関連記事〜
「こどものじかん3巻」から「教師の時間」を考えてみる。
この記事にあるカラーは、単行本では白黒なのでご注意ください。
今日から読み始める「こどものじかん」第二巻
無機物パーツと少女達〜装置としてのメガネの誘惑〜
白井先生のメガネについてとか。
 
〜関連リンク〜
こどものじかん4巻発売 特別限定版には「小学3年生の無修正・全裸OVA付」(アキバBlog)
すごい煽り文句ですな。いやまあ、そうなんだけれども。
ちなみに、限定版は白スク水なんですが、通常版の表紙の服装の方が好きです。
白ちゃんと黒ちゃん! −こどものじかん4巻(MOON CHRONICLE)
ミルトさんはゼヒ「百合のコミックハイ!」を読んでください、きっと喜ぶと思う。
 
こどものじかん 1 (アクションコミックス) こどものじかん 2 (アクションコミックス) こどものじかん 3 (アクションコミックス)
こどものじかん(4) (アクションコミックス) こどものじかん 4 特別限定版(アクションコミックス) こどものじかん 九重りん (1/6スケールPVC塗装済み完成品)
アニメはどうなるのかなあー。
色々書いたけど、やっぱり先生たちの心の動きの描写はしっかりされたのが見たいところ。