過激なだけが魅力じゃない。「ソフトヤンデレ」のススメ。

●nice boat.●

個人的には爽快感と、背筋のぞくぞくする恐怖感が一体になって、かなり精神的に大打撃を受けた「SCHOOL DAYS」の最終回。
もう言うまでもなく各地で話題になっているので、ここではネタバレを避ける意味でも内容は書きませんが、見た瞬間「これを地上波で放送するつもりだったのか？」と首をかしげた人は多いみたい。そーりゃそうだ。この自分ですら思ったヨほんと。

いや、もちろん今まででももっと過激な作品はいっぱい（？）あったとは思うけれど。でも、学園ラブコメがここまで混沌の海に堕落して、世界中の多くの人が「誠死ね」と嫌悪感を持ち*1、「誰か死ぬんだな」というネタバレが事前にあったのにみんなが見て驚いた、と言うのは演出の妙です。
そして（いい意味でも悪い意味でも）嫌悪感を抱かされた、って時点でおいらの負けです。
すごいよスクイズ。
今後これをどう越えられるんだろう。
　

●過激さのハードル●

しかし、ここで大切なことを忘れてしまってはいけない、とふと我に返りました。
スクイズは確かにすごい。恋愛修羅場の最悪の部分に踏み込んで、かつ残虐描写としても最上級でした。
でも、それを大喜びで歓迎した人ばかりではない、ということ。
作品として本当に面白いものだとしても、あくまでも、この惨劇を見て拍手喝さいだったのはごくごく一部のファンです。質が高い低いの問題以前の部分での、生理的な部分です。
残虐すぎて見ていられない。
悲惨すぎて正視していられない。
トラウマが引き出されてしまって耐えられない。
ホラー映画もそうですが、こういう意見が大多数を占めるのはもう言うまでもないことなんですよね。
全くの正論です。残虐系ヤンデレの一番のネックは、あくまでも恐怖と背中合わせで、比較的業の深い趣味だということ。
最近はネットでヤンデレ愛好家が増えて、個人的には話せる人が増えてすんげー！楽しいのですが、友人に「ヤンデレおっかなくて好きになれない自分は変なのかなあ」と言われたとき、なんだか不思議な感覚に襲われたものです。いや、それ逆っすから。
うん、ツンデレと違って、あくまでもマイノリティでハードルの高い楽しみ方なんですよね。それを忘れたらいけないなあと思いながら、後ろめたい楽しさに酔うのです
　

●修羅場や惨劇にときめく瞬間。●

先週、だんげさんと「ヤンデレ好きになれないから魅力を教えろラジオ」をやったのですが、やはり確かにヤンデレのおっかなさが好きな人と、そこが好きになれない人がいるのが分かり、とても興味深い話ができました。
そのときの実況ログ

52 ：名無しさん：2007/09/23(日) 22:11:25
可愛いというか、愛おしいです。
病むほどに愛してくれてるってあたりが。
　
53 ：収納場所がない！：2007/09/23(日) 22:11:44
確かに病んでる所に萌えは感じないなぁ
猟奇的展開にｗｋｔｋするだけでｗ
　
56 ：しいたけ：2007/09/23(日) 22:12:09
ヤンデレは結構好きですが、萌えというか怖いもの見たさ的なものがありますね
　
57 ：バー：2007/09/23(日) 22:13:13
>53 に完全同意ですー。
猟奇展開にドキドキワクワクはするけど
ヤンデレ女の子そのものにキュンとしたりはない。
彼女が巻き起こす恐ろしい展開こそに萌える。
79 ：ショウ：2007/09/23(日) 22:26:47
ヤンデレは
キャラとして萌えなのか
物語として美しいのか
　
80 ：名無しさん：2007/09/23(日) 22:27:38
ヤンデレは神話の登場人物（というか神）を好きになるようなもんって思う。
たまごまごさんには同意。
　　
84 ：TEK：2007/09/23(日) 22:29:55
ヤンデレの魅力は、強い依存性かな？
「お兄ちゃん、私を一人にしないで……」的なのが大きくなった感じ。
守りたいとか、そういう風に自分は萌えてます。
　
128 ：収納場所がない！：2007/09/23(日) 22:52:27 ID:???
スクイズはとにかく誠に死んでほしいゲームだったからなぁ
やっぱヤンデレ自体には萌はないなぁ
廃人になるとかの鬱の後味は好きだけど
　　
150 ：名無しさん：2007/09/23(日) 23:05:48
「知り合いになりたくない、関わりたくない、彼女にするのはカンベン」
って視点だとヤンデレに萌えないのは当然ですけど、
本人に共感したり、同情して味方や仲間のような気分になると
好きになる部分もあると思うのですけど。＞共感
ヤンデレなる*2に萌えてるお二人にもそんな雰囲気を感じるかも。

書き込みのすべての意見が非常にレベル高いヤンデレ論になっていて、ぞわぞわしました。最高の空間でした。オタク的に。
「萌える」という感情自体非常に複雑怪奇なもので、一概に「この感情」という定義はできません。が、自分なんかは５３番さんの言うように、ヤンデレに「萌えている」かというと、「そのシチュエーションにわくわくする」が近い気がします。
ラジオでも言っていたのですが、ヒンズー教のカーリーみたいな憧れもあるんです。特に「未来日記」の由乃なんかそうです。
次はどんなすげーことしてくれるんだろう！お、ラブラブモードだ、いけ、殴れ！みたいな。
だんげさんいわく「ヘルシングのアンデルセンと同じノリ」とのこと。これは分かる気がしますネ。恋愛はその要素の一つ、ということです。
　
世の中には「修羅場萌え」というものもあります。言葉だけ聴くとみょうちきりんですが、昼ドラでワクワクする気持ちや、三角関係のいがみあいを考えてもらうと「あ、確かにドキドキする」という人は意外に多いのではないでしょうか（もちろんマイノリティだけど）。
このへん、もちろんそれくらい嫉妬心が強いキャラが愛しくてたまらない！そのくらい愛情表現できるところがかわいい！という人もたくさんいます。
そして、自分なんかもそうなんですが「鬱展開がキモチイイ」「バッドエンド大好き」という人もいるでしょう。ああ、なんと歪んだ愛情。それゆえに作品への思い入れも真摯。おそらくこのタイプの人は、ヤンデレだけじゃなく「病んでるキャラ」「狂ったキャラ」も大好きだと思います。

119 ：LIT：2007/09/23(日) 22:48:07
ヤンデレ＝殺傷、流血沙汰だけがヤンデレじゃないと思います。
スクイズの言葉と世界の二股エンドが、二人の会話が精神が壊れている感じで一番怖い。でも死ぬやつより好きだなぁ。

これご存知の人なら分かると思うのですが、スクイズのハッピー？エンドの一つが言葉も世界もラブラブで誠とくっつくのがあるのです。それがすごい冷静に「ハーレムエンドの真の狂気」を表現していて、惨劇より怖いです。これこそ１８禁というか。血のでない狂気でした。
それらを楽しめる人はＷＩＮＮＥＲ。楽しさの視点は多く持てるほうがオタ生活は充実しますよネ。
　
以前書いたものと今回のスレから、まとめて載せておきます。

ヤンデレを好きになるわけを考えてみる。

１、悩みもだえるキャラたちを遠巻きで見て、葛藤や苦悩を楽しむ。
２、嫉妬される側や被害を被る側のキャラになり、恐怖感や苦しみを味わう
３、病んでいるキャラに感情移入し、物語の悲劇性や世界観のゆがみを楽しむ。
４、病むほどに相手のことを想う恋の狂おしさにゾクゾクして恍惚となる（by フランさん）
５、ヤンデレキャラの味方になって、仲間のように感じる視線（スレより）

やれいけそれいけストライク！nice boat！な楽しみ方をしている自分は、３かもしれないですね。
こうしてみると、恋愛描写、過激描写が激しい方がインパクトと魅力を引き出すようにすら一瞬見えます。
　
が。同時に、それがヤンデレのハードルを恐ろしく引き上げることになります。
　

●ヤンデレへの拒絶反応。●

90 ：名無しさん：2007/09/23(日) 22:30:48
僕はヤンデレ受け付けません
たとえ物語の上であっもキャラには人格を保っててもらえないと安心して見れない

極めてもっともな意見だと思いました。
人格の崩壊、物語世界の破壊と狂気。それが魅力の一つであるため、過激に走ったヤンデレは、ヤンデレ大好きな人には拍手喝さいで受け入れられますが、同時にどん引きさせるだけのパワーもあります。そりゃそうです。

Nice boat.で今日はひとしきり笑いましたが、ﾆｺﾆｺや２ｃｈが無かったら吐いてました（ＷＥＢ拍手より）

スクイズ最終話は、一人で部屋にこもって見るタイプのものじゃないですね…。
ヤンデレが昔からあるのに、最近になって話題になりはじめたのは、実はネットで共有して安心して見られるから、というのはある気がしました。
　
このように、単純に「血はだめだ」「あの光のない目が怖い」という人も多いはず。繰り返しですが、決して万人受けするネタではありませんよネ。

129 ：GOLGO31：2007/09/23(日) 22:52:37
「CROSS†CHANNEL」の支倉曜子は殺傷キャラだけど大好き。
結局自分を殺傷してくるようなキャラは駄目ってことかな。

ゲームでもマンガでも、主人公に自分を重ねるような作品の場合、こっちに向かってきて刺してくるのは恐怖な上に、カンベンです。好きだから殺す、という「殺され萌え」なんてのもあるのですが、そこが苦手と言う人は多いかもしれません。
加えて、主人公や他の人によって、そのキャラが「救われるかどうか」は大きなファクターになりそうです。
救われないバッドエンドこそ最高！という人もいれば、苦悩が昇華されていくのがたまらなく愛しい、という人もいるでしょう。
このへんは「ヤンデレ大全」にもちらっと書かせていただいたのですが、「破壊型⇔自虐型」「昇華型⇔惨劇型」でまた好き嫌いの分かれるところかと思います。
　
はて、だからといって全部アウト・受け付けません、はちょっとだけもったないない。ならば「惨劇や狂気じゃなくて」「救われる」ヤンデレってないものかしら？
　

●やさしいヤンデレ、かわいらしいヤンデレ。●

過激度でいえば、「SHOOL DAYS」アニメ版はけっこう行き着くところまでいった感じがします。もちろん今後さらにストライク！な過激さをもった作品が出てくるのも期待したいのですが、どうせなら見ていて「ああ、本当にほっとするなあ」というヤンデレが出てきてもいいよね？という話にラジオでは発展しました。
とりあえず暫定的にそのときは「かわいいヤンデレ」と名づけられました。
別に言葉や由乃がかわいくないわけじゃないですよ。「程度がかわいい」という意味です。

187 ：s-diy：2007/09/23(日) 23:33:30
お昼にお弁当のおかずを一品奪う＞かわいいヤンデレ
　
188 ：LIT：2007/09/23(日) 23:34:20
お兄ちゃんがデートに行けないように、家中の靴を隠す＞可愛いヤンデレ

なんだよかわいいな！
恋愛で盲目になって確かに正常な心理状態は保ててはいないけれども、別に殺傷沙汰になったり惨劇になったりしなくてもいいわけです。
んで、主人公が誠並にヘタレだと受け止められずダメダメなんですが、主人公がそれを許容できる人間性の持ち主で、「あっはっは、かわいいやつめ。」くらいになれるとこのようなライトヤンデレっ子のかわいらしさは一気にヒートアップ。
うん、これは個人的には、萌える。かなり。

212 ：名無しさん：2007/09/23(日) 23:42:00
恋すると大抵の人は病気っぽくなるので、
それを理性で抑えてない子が軽めのヤンデレ、とも

恋愛状態は基本的に「普通じゃない」ですものね。
それを隠さず、ちょっと行き過ぎちゃってやりすぎるけれども、笑って済ませられるヤンデレ。
あるいは笑ってすまないようなことをしでかしても、きちんと救われるヤンデレ。
そういう視点を含んでいけば「ヤンデレ苦手だなあ」という人でも、恋愛視点のかわいらしさに萌えることがかなりできるのではないかと思いました。
　

●安心感やカタルシスが、ヤンデレの新しい魅力を開く●

99 ：86：2007/09/23(日) 22:36:13
パンジャ*3も、可哀想な運命に同情というか共感して
パンジャ萌えになるよね
　
100 ：ショウ：2007/09/23(日) 22:36:28
救われたヤンデレは
岬ちゃんと名取*4とよっぴー*5？
　
102 ：AK9：2007/09/23(日) 22:37:21
よっぴーはヤンデレになる原因が解決されてハッピーエンドでしたな。

この点でわかりやすいんじゃないかと思ったのは、「ＮＨＫにようこそ！」の中原岬ちゃん。

軽い！
彼女はヤンが先かデレが先か微妙ですが、なんせやることが微妙すぎる上に、佐藤にすら笑われるレベルだったりすることもあります。
そして、最終的には共依存的なダメダメ感を経つつ、ちゃんと救われていくのが魅力。マンガもアニメも小説も、いい救われ方するのでほっとしますよ。

完全なる解放ではないけれど、希望の光が見える瞬間。このへんは実際に読んで楽しんでください。リアルでへっぽこながらも爽快です。
そして、なんせかわいいんですよ。顔がじゃなくて、その言動が。確かに「おかしな行動の子」ではあるのですが、佐藤がさらにダメな人間なのにしっかりがんばっていたり、結構岬が葛藤の中で光が見えているので共感しやすいです。
他にも救われるヤンデレとしては、「かってに改蔵」の名取羽美や、「エウレカセブン」のアネモネなど。
　
このへんは、人によっては「ヤンデレに入らない」という人もいます。それはそれで正しいと思います。
ただ、ヤンデレという言葉を色々な広い視点で楽しむ切り口と考えるならば、そんな「救われる、やさしいヤンデレ」や「たわいのない、かわいいヤンデレ」は、ヤンデレが苦手な人が入りやすいきっかけになると思うのです。
　
余談ですが、あとは二次創作のパワーがヤンデレの大きな原動力になるのではないか、と思いました。超絶悲劇な作品も、かわいい軽い程度の作品も。
恋狂いを様々なキャラに当てはめてその過激さ・かわいらしさを表現できる作家さんが出てくることを、ヤンデレ好きとして心のそこから期待！！！今後ますます楽しみなこのジャンルはやっぱり発展途上ですねえ。
　
　　

ムヒョロジのパンジャはほんとにわかりやすいヤンデレな上に、非常にかわいらしいので、内容しらない方でもこの巻だけでいいので是非読んでほしいです。９巻でパンジャの話は全部読めます。