たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

人が手にしていた本を君は読めるか?中古本のハードルと魅力。

WEB拍手で面白いのがあったので拾ってみます。

たまごまごさんは、「本は新品じゃないとダメ派」ですか?それとも「中古でもOK派」ですか?

なんという永遠のテーマ。
解答しようとしたら、どうにもこれは簡単に答えられません。考え始めたらものすく色々なことがグルグルと頭をよぎったので、まとめてみたいと思います。 
 

●本は新品じゃないとダメ派●

友人にちょうど、本は新品じゃないと買えないという人がいたのを思い出しました。
自分もわりとブックカバーで悩んだり、きっちり並べる方法を考えるの自体がたのしい人間なので、新品が好き、といえます。新品じゃないとダメ、とはちょっと違いそうです。
当然本は積んでいる二冊目からとるよ!
 
はて、新品じゃなければ気がすまない理由をすごい端的にまとめると、こんな感じかと思われます。

1、新品統一したい。
2、誰かが持っていたものを買うのはイヤ。
3、作品愛の証。
4、なんとなく。

1は、一回1巻から新品で買うと、よくあることなのではないかと思います。最初の巻が新品だから、最後まで…というタイプ。惰性の場合もありますし、習慣になっている人もいるでしょう。
もちろん、その作品が待ち遠しくて仕方ない場合は当然新品になります。
加えて、本の傷や折り目が許せなくて念入りにカバーをする人も、このタイプになると思います。
 
2こそはかなり大きな考えの分かれるところだと思うので、ちょっと保留。
 
3は、それ以上にその作家さんを応援したいという気持ち一心でしょうか。新品で買えば印税入るでしょうし、売り上げが少しでもあがってもりあがってほしい!というピュアな感覚です。もしかしたら、意図的に新品しか買わない人はこれが一番多いかもしれません。
加えて極めてオタク的な感情として、初版の新品をそろえることで「私はこの作品を最初から追っているんです」という愛の証にもなります。

らき☆すた」3巻より。こういうところ本当に鋭いマンガですな。
証っつったって、誰に見せてどうこうするもんじゃないし、だからどうだと言われると困るんですが。証ってそういうものじゃないだろう?(首をかしげて微笑みながら
や、自己満足です。はい。
 
4の「なんとなく」は地味に大きな理由。なんだそりゃと言われるかもしれませんが、これが意外に多いと思うのです。単に古本屋いかないだけ、とか、そういえば考えたことないけど気づいたら新品しかないなあ、とか。
そこでそのタイプの人に「古本屋でもっと安く買えるよ?」と言って「まじで!うわあ損したなあ」となるか、「ふーん、でもいいや。」となるかでまたその人の本への視線が変わってきそうでちょーっと面白いです。
 

●中古でもOK派●

先ほどのコメントの言葉を借りるならば、あくまでも「OK」なところがミソだなあと思いました。

1、安い方がいいに決まってるじゃん。本は本だろう?
2、本当は新品がいいけど、お金ないから…。

先ほどの2と呼応するような中身なのですが、1の場合は、相当じゃない限り本の汚れや傷をあまり気にせず、あくまでも中身を読む人だと思います。これが圧倒的に多いのでは。
自分もかなりの量の古本を買いますが、これが理由ではあります。ほんっとにすきな本は「愛の証」とか言って新品買いますが、「とりあえず」な本は中古で一冊買います。
あわなかったらもったいないしなあ、という思いもありますしね。
これが中古本の最大の魅力でもあるので、当然といえば当然。そりゃもう、安くたくさんの人がいい本に触れる方が、触れないよりはるかにいいんじゃないかと。
 
2は自分も相当悩みます。新品だと1000円、中古だと800円…200円差で新品をとるか、その200円で中古をもう一冊買えると取るか。…なら後者かしら!と。
こういう場合は100円均一棚はまさに宝の山。もちろん100円均一だと結構状態のいい中古本屋さんでもある程度古かったりキズがあったりするので、「美品」とは言いずらい状態の場合が多いです。アマゾンの1円本なんかでもきちんと「日焼けアリ、キズあり」って書いているところ多いですよね。*1
あとは、古いマンガを一気に何十巻も買うときでしょうか。新品だとえらい額になるので「くっしかたない、中古で耐えるしかない」と涙を飲んで中古でそろえるときも。
 

●中古だからいい派●

さて、もう一つ加えてみました。
中古本大好き、中古屋めぐりは生きがい!という人です。ブックオフをはじめとし、由緒正しき(?)中古本屋までこよなく愛する古書マニアさんたちです。

1、絶版なんだから古本で手に入れて当然
2、管理された古本は宝物ですよ。
3、数こそ正義、読んでこそ本。
4、誰かが愛した本だから。

まだまだありそうだ!
 
自分もよく直面するのが1。古本だからとかなんとかじゃなくて「古本しかない」。まあ、これも当然といえば当然。古い本が好きな人にとって、復刊される見込みのない本と出会える機会は古本屋とオークションくらいしかないわけで、必然的に中古本屋が好きになるっちゅうもんです。よね。
 
2については、マイナー本好きな人は特にこの古本屋での一期一会に至上の喜びを得ているのではないかと思い書いてみました。
なんせ、注文したら手に入るっちゅうもんじゃないわけですよ。散々ネットを駆使しながら最後は脚と目で勝負なわけです。その時に見つけた古本の輝き!忘れられるわけがない。特にしっかりとカバーをかけられ、きれいな状態で管理された本は、お金の価値ではかることのできない何かが潜んでいます。それが100円均一であろうと、高価本であろうと。
中古本屋めぐりを「宝探し」という人の気持ちを、ほんと最近じわじわと感じるようになりました。
ああ、君と会えてよかった!なんて思わず脳内で漏らしたことはないでしょうか。
もちろん、安く売っている本の中に、真に金銭的にも内容的にも「価値」あるものを探すお宝鑑定団さんもいらっしゃいます。かなりの知識量と、微細な状態管理を見破る目が必要。ある意味職人です。
 
3はちょっと逆で、どばー!っと読んでどばー!っと売る人。読書量こそ命、っつか本って読むもんだろう?というストイックな方が、中古本で超大量買いしているのをたまに見かけます。もちろんそれも本の見方の一つ。
実際、大事に大事にしすぎて本棚の肥やしにするよりは、どんどん読んでいく方がいいんじゃないの?という方もいらっしゃるでしょうしね。
そんな自分はたまに保存用の本を買って開かないままです。すいませんごめんなさい、って本に謝りたくなりますが、これも価値の見方なのでしゃあない。
いずれにせよこのタイプの人は、中古本も新品もごっちゃに大量購入して、どんどん読んで読んで読みまくる、という人が多い様子。家も書庫なら脳も書庫です。うらやましい。
 
そして4です。
これも最初の2と呼応します。
「人が読んでいた」という事実が、「いくらきれいでも、知らない誰かの何かがしみこんでいてなんとなくイヤだ」という人もいれば、「誰かが大切に愛した本を、次は自分が大切にしたいなあ」という人もいます。
これも本の状態によるところは大きいですが、自分、どうしてもやられてしまう古本があるのですよ。
それは、しっかりカバーや油紙をかけられ、しかも手書きで背表紙に題名書いてあったりする本。
持っていた人か、書店員さんかわからないけど、この本一冊への愛情!心打たれるじゃないですか!一つ一つに手織りで表紙をつけ、題名を書き込み、丁寧に並べ、それが本当に欲しい人のために見守る。
あくまでもこれは「そういう書店員もいるんだよ」という妄想ですが。
妄想とはわかっていても、そこまで愛されている本ならば手に入れますよ。あなたの意思は受け継いだ、と。
 

●古本との出会いは、自分探し、人とのつながり。●


金魚屋古書店」1巻より。
誰かが大切にしていた本が、自分の大切な思い出の本だった場合。こんなに心震えることはないです。
それは、さりげないけれどきれいに並んでいる古いありふれたマンガかもしれないし、あまり話題にはならなかったけど確かに大切にしていた形跡のあるハードカバーかもしれません。
 
ん?本当に大切にしていた人が本が売るのかって?
うん、それはわかりません。読んで飽きたからかもしれないし、泣く泣く手放したかもしれないし。
しかし、自分は置く場所がなくて本を売りにいくとき、ほんの1mgだけですが、「捨てるよりは、誰かこの作品を好きな人の手に渡るといいなあ」という思いはやっぱりあるんですよ。ほんとちょっとですけどね。
そりゃー、高いところに売れる方がいい、ってのは当然です。でも、やっぱり、ちょびっとだけ。
だから、古本にはそんな「思い」があるのかもなあ、なんて妄想を抱きながら、古書店めぐりをし続けます。
 
それは、かつて自分の中にあった自分の血肉を探す、自分探し…自分集めなのかもしれません。人に読み古された中に、自分の欠片を見つけることもあるかもしれません。
まあ、集めすぎてすぐパンクするんですけどね。
でも、たまにはそのくらい本一冊のためにバカになるのも、楽しいものなんだな。人の細胞が土に帰って、そこからまた芽が生える、とか。その実を大切に自分が受け取る、とか。
 
ところで受け取りすぎて腐り始めている積み本の山という実はどこから食べたらいいんだろう。ああもう、ごめんね、ごめんね、本。
 
金魚屋古書店 1 (IKKI COMICS) らき☆すた (3) (単行本コミックス) R.O.D 第1巻 (ヤングジャンプコミックス)
 
ちなみに、「図書館の本」というのを今回は全く考慮にいれていません。はい。
 
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「今日の早川さん」危険なライン(coco's bloblog)
全くだ!
ダブったときは「ああよかった、これでまた一冊すてきな本を保護してあげられたよ!」と言って友人にプレゼントするといいです。
だがしかし、マンガの半端な巻だとちょっと困る。けど「ああよかった、(略

*1:1円本が流通するしくみは詳しい人に聞いてみてください。宣伝効果や郵送料のうんぬんで、一応トータルで利益にはなっておるようです。