たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

貧乳は、愛しさへの視線。「だって貧乳だもの。」

●二次元の大切な大切なステータス。●

むかーしむかし、えらいお坊さんは言いました。
「貧乳はステータスだ」と。
勉強になりますね。
もちろん、胸のサイズなんてどうこう言ってもしかたないのですが、ある意味「二次元においては」その表現は事実であります。一部の人にとって。
だがしかし、「貧乳キャラ=年齢が低い」というのは誤り。「それは貧乳じゃあない、ロリです」ってとある人にいわれてすげー感心したものです。
本当の意味で「貧乳がステータス」なキャラクターは、年齢がそれなりに高くあるべきじゃあありませんか、どうですか。


永間ひさし先生の、「だって貧乳だもの。」ラブラブの詰め合わせな一冊です。
題名が素晴らしすぎますよね。「だって」、って言われたらもう「はいすいません好き」と返してしまいます。そして、それに呼応するかのようにひたすら、そこそこ大人な女性の小さな胸に、夢をいっぱい詰め込んでペンを走らせている。こりゃたまらなく「ありがとう!」という気持ちでいっぱいになります。
なんせ貧乳へのこだわりが半端なくて、ラインナップに命名されるほど。「先輩貧乳」「姉貧乳」「妹貧乳」「天然貧乳」「アホ貧乳」。
「アホ貧乳」とかセンスありすぎです。どういう新ジャンルなんだかわからないけど、この説得力。
 

●だらしない、お姉ちゃんへ。●

個人的に描写がすばらしいと思ったのが、姉貧乳です。
酒癖が悪く、いつも髪のセットが甘くぼさぼさ。男にもなんだかだらしない。
ええ、ここまでならまだわかる。だらしない姉、でくくれましょう。
でもですよ、この姉のすばらしさはもう一段階上です。なんとゲップとおならをするんですよ*1
冷静に考えたら極めて姉弟らしいリアルな関係なんですが、それがこの妙に呆けた顔の描写と貧乳で緩和され、そんな生々しいだらしなさすら愛しく見えてくる弟クンビジョンが、さらっ、と描かれます。

そう、弟クンから見て、この姉はとてつもなくだらしなくて、とてつもなく愛しいんです。
まあ、18禁マンガだからこの後ことに及ぶんですが、とにかく姉側はそれをさらりと流しており、逆に弟クン側はそれを真剣に考えているそのギャップがまた愛しくなるから大変です。
その視線は、めぐりめぐって、姉が「自分なんてどうでもいいと思っている」という部分に帰結していくのがまた切なく甘い。
ものすごいさっぱりと描かれているので何も考えず「あまーい」とか言いながら見ることもできるんですが、よくよく見ると「だらしない姉」がなぜだらしないのか、なぜ性に流されてしまうのが見えてきて、弟クン同様甘々のなかに、ちょっぴり酸っぱい気持ちが混じってくるんです。
 

●貧乳という、自信のなさのシンボル●

甘々系マンガに欠かせない要素として、どのように男性側・女性側から相手が愛しく見えているかがあります。
この作家さんの場合、それは「女性が非常に柔らかそうで、貧乳で、けだるい目をしている」ところにあると思います。
とにかくどのキャラもみんなけだるい目をしているんですよ。それぞれ性格もバラバラなんですが、統一されたかのように、ぼんやりとした視線を浮かべています。
それがまたかわいいのをちゃんと理解して描いているんでしょうね。そして、そんな瞳であるがゆえに、こっちを真剣に見つめている描写をしても視線がほんのちょっとズレます。だから、照れて顔をあわせられない感覚ががっちり出ています。ほとんど、視線が読者ともキャラともあいません。ふわーっとどこかを見ています。
ひいてはその愛しさは、男性側が女の子を大好きである証でもあります。もうたまらなくかわいい彼女!という目で見ているから、常に赤面してぽやーっとしているように見えちゃうんでしょう。
 
面白いことに、このぼんやりとした瞳と貧乳(ぺったんこではない、ちょっとあるのがミソ)は、同時に女の子側の不安定さを露呈しています。
みんなそれぞれ、男の子側を大好きなんだけれど、ちょびっと自分に自信がないんですよ。特に先ほどのお姉ちゃんはそれが顕著で、自分自身はマイペースにのんびりやっているつもりのようですが、自分の心身の価値を感じられずだらだら流されるのが、小さな胸に表れています。これは別に大きい胸の人が自信があるというわけではないです。あくまでも二次元のキャラとして、なんだかんだであらゆる面で控えめになってしまうということ。
それを男キャラ側がバカなんじゃないかと思うくらいの愛情で包むとき、女の子側のぼやけた視線はなにを見るのかな。
 


そんなこんなで18禁。だからこそ、大人な方は読んで幸せ気分にひたるもよし。世の中を全部見られないような半開きの瞳に悶えるもよし、胸骨の描写にときめくもよし。
普段ラブラブもののエロマンガって、「いやー、こんちくしょう」とか思ってニヤけつつ本を閉じるんですが、今回とにかくお姉ちゃん描写が秀逸で、紹介せずにはいられませんでした。
全くもう、二次元年上貧乳はステータスすぎる。きっとこの値が大きいとクリティカルでやすいんですよ。多分。

*1:そういうプレイじゃないよ!