たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

新年だから、瞳子の話をするぜ

新年最初の更新で、何書こうか迷いましたが、さくっと短く好きなものの話をすることに決めました。
好きなものといえばサナギさんマリみてが浮かんだので、自分が愛している瞳子の妄想について書きます。
 

●君のドリルは心の扉●

瞳子といえばよくいわれるのは、「ツンデレ」でしょう。
この「ツンデレ」という用語、極めて難しいものです。
いやまあ、こういうのは楽しみ方の入り口に過ぎないので、解答なんてありません。ツンデレテンプレートにのっとったツンデレも、時にはかわいらしいものです。なんというか、マクドナルドのハンバーガーセット的に。
しかし熟練のツンデレラーになると、かなりのこだわりを持つようになります。「らき☆すた」の白石みのるが力説しているのを見てヒきながら「でもそのとおり」と感じた人は日本に3万人ちょいはいるはずです。
それらの厳しい審査をドモホルンリンクル並に受けながら、確実に松平瞳子は「ツンデレ」の称号を冠されるにふさわしいキャラです。烙印ではない、王冠です。
その理由を自分の思ったところで書いていきます。
 
1点目は、元の状態にデレがないこと。最初から好きなのにツンツンしているのは、デレツンです。もちろんそんな、いわゆる「恥ずかしがりやさん」は最高にかわいいわけです。赤面する子ってだけでまいっちゃいます。心の起き上がりこぼしが倒れっぱなしです。
しかし、彼女は最初に明らかに祐巳と面識がありませんでした。くわえて最初の頃は嫌っていたでしょう。そう、今となっては明らかになった彼女の秘密が、心をかたくなにさせていたのですが、当時は「瞳子じゃまくさい」というファンの怒りの声すらありました。特にレイニー止めの頃の描写は秀逸のキワミ。
 
2点目は、時間がたつにつれて片鱗が小出しにされたこと。これを「長すぎる」という方も確かにいます。ええ、確かに長いです。
しかし、長いからこそ瞳子なんです。
そもそも彼女は真の人間関係を作るのが最初から苦手で、かりそめの人間関係を作っていました。それがほんの少しずつ崩壊していく様は圧巻。「瞳子じゃまくさい」といっていたファンも、だんだん彼女の心の壁に亀裂が入るのを感じ、みるみるうちにそのストーリーに息を呑みました。これが、ていねいに時間をかけて、謎を解くように描かれた結果でもあります。
 
3点目は、完全なるデレにならないこと。祐巳x祥子なんかが「デレデレ」としてみた場合の相対値です。
ネタバレは避けますが、瞳子の心はもう過去とは違うのは間違いありません。しかしそれなのに、外見では「今までの元気で気の強い瞳子」なわけです。ここがキモです。
彼女がもうベタ惚れしちゃうのもおおいに見たいんですけど、あくまでも、ここまできても小出し。でもちょっとだけ祐巳に心を預けるかのようなしぐさが入るのが、閉じたカーテンから差し込む光のようでとてもまばゆいわけです。でも、トータルでいえばツン。心の中は微デレしたりしなかったり、基盤はもうデレデレなのを必死におさえつけていたり。
そんな、気づけば押さえつけてしまう自分がいることが、また歯がゆそうで。
 
このような醍醐味にあふれ、それを非常に長い時間をかけ、他のキャラをダシにせず、全て丁寧に愛され描かれてきたことに、この「マリ見て」の魅力があります。
瞳子は、そのようなわけで、マリ見ての魅力をとても明快に表現しているキャラでもあるのです。
 
とはいっても、彼女の心のカベをとりのぞくのは、ヒロイン祐巳の力だけではどうにもなりませんでした。そこに登場する主要人物が、乃梨子なわけです。
最初はうざがっていた瞳子に対して、乃梨子が共感し支えるその心の動きは、まさに読者そのもの。
 
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こっから妄想なんであんまりあてにしないでください。
  
瞳子はたまに髪の毛をおろします。ドリルなし瞳子では天を貫けなさそうです。
しかし、貫かなくていいんですよ。常に破壊し、自分の心に傷を負わせるドリルなら。
それを受け止めたのは確かに祐巳かもしれないですが、巻かれていた心のドリルを引っ張って伸ばしたのはまぎれもなく乃梨子です。
乃梨子瞳子のためにともき傷つき、共に歩み、笑い、泣きました。そんな押したりひいたりも含めて、二人の絆はそれぞれにしかわからない信頼関係で結ばれているわけです。
 
だから、二人きりで山百合会の仕事をするときに、乃梨子瞳子の許可を得ません。一緒にやるってわかっているし、聞くよりも信頼を預けるほうがよいからです。
そうすると、二人きりの部屋で瞳子はこういうわけですよ。
「今日も乃梨子*1が勝手に仕事を増やしましたわ。私は部活があるのに。」
もう、いたずらっぽく口を尖らせながら。わかっているんだけどさ、というオーラを出しながら。
しかし乃梨子はそれを見て、急にだまるわけです。
「ごめんね。」
急な沈黙で、瞳子の胸は高鳴ります。
あれ、私何か傷つけてしまったのだろうか。そう、受け止めてくれると思って放ったボールが、気がつけば暴投になってしまったかのような不安に責めさいなまれます。私の投げたボールはどこ?まさかデッドボール?!
瞳子の気持ちも考えず、勝手にいっちゃってごめんね。」乃梨子はそういって悲しそうにほほえむじゃないですか。
泣きそうになる瞳子。あわてて、手にしていたプリントをおかしな方向にわたわたと置いちゃいます。
「い、いえ、乃梨子さん・・・乃梨子がそういうなら、わたしやりますわよ!」
あわてすぎて椅子からガタン!瞳子は滑り落ちます。
それを支える乃梨子
「ご、ごめんなさい、ごめん乃梨子・・・」
消え入るような声で、目に涙を浮かべながら震える声で瞳子は声を絞り出すのですよ。
それを見て、乃梨子はくすっとわらって、一言だけ言うんです。
「素直じゃないんだから。」
くわー!っと赤くなる瞳子の顔。やられた!やられた!普段の信頼感に寄りかかろうと思ったらすかっと空振りしたかのような、階段がもう終わっているのに一段上ろうとしちゃったみたいな。急に消え去ったようなフェイントをかけた乃梨子は、すぐそばに、彼女の元にいるんです。
「乃、乃梨子ー!」
「なあに、瞳子?」
「ずるい!ずるい!ずーるーい!」
瞳子はポカポカと乃梨子をグーでたたきます。耳まで真っ赤なのが分かられているのがまた恥ずかしい。
しかし乃梨子はその耳を指でつまみ、そっとささやきます。
「んじゃ、素直に、言える?」
「え、あ、ええ・・・」
「どうしてほしい?」
乃梨子の吐息が耳にかかります。瞳子はそれがこそばゆいような、甘ったるいような、でもずっとこのままでいたいような妙な感覚に襲われ、困惑してしまいます。
「やっぱり、素直じゃないよね、瞳子って」
「あの!・・・も、もうちょっとこのまま・・・で」
瞳子は、後ろから抱きついているような状態になっている、無邪気に笑う乃梨子の瞳を見ることもできないままいいます。恥ずかしい!でも素直に言わなきゃ。
「ほーんとに、このままだけで、いいの?」
乃梨子はにっこりと笑ってさらに瞳子のほほの温度を感じるところまで近づいてきたのです。
 
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そんな初夢を見たいです。エロくないですよ。
乃梨子瞳子の関係は、二人にしか分からないようなものがひっそりとはぐくみ続けられているといいな。
今年はそんな年でありますように。
 
では改めて、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
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*1:説明しよう。二人きりのときではそうよぶのだ。と今決めた