たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

あくまでも「エロマンガ好き」な人に向けての「キャノン先生トばしすぎ」のススメ。



最近各地で話題のキャノン先生トばしすぎエロマンガという狭いジャンルの中では、異例の盛り上がりっぷりを見せています。
昨日もネトラジでひたすら話題にしていましたし、ネットテレビの方でもバカなんじゃないかと思うくらいキャノン先生について自分はしゃべっていました。自分と某氏が夜中の3時にカメラに向かって、キャノン先生ー!と絶叫していた記憶がおぼろげにあります。かなりバカでした。
それだけ自分の心を激しく揺り動かし、ぶっちゃけ涙ぼろぼろ流すほど影響を受けた作品ですが、んじゃ誰にでもすすめられるのか?と言われると非常に困惑します。これはいい意味での困惑です。一緒にラジオやっていただんげさんがちらっと昨日も話していたのですが、そのへんの「エロマンガ」というハードルが、いい意味で機能しているんだと思うのです。
 

キャノン先生は、基本的にトばしすぎです。●

簡単にどんな話か説明だけ。
こだわりが強すぎるがゆえに全然売れない(というか作品が出来ない)エロマンガ家ルンペン貧太が主人公。この男、ひたすらに「静かに熱いヤツ」で、一見それほどでもない地味なヤローなんですが、最後まで読めばなぜ地味で、なぜ原稿が遅いのかが理解できます。
一方、彼の元に現れたのは1●歳の超天才エロマンガ家、巨砲キャノン先生
この時点で思いっきりファンタジーです。なんせそのシチュエーションで、エッチに興味津々な少女ときたら、すすむ展開はただ一つじゃないですか。そして期待どおりの展開にレッツゴー。
ところがこのレッツゴーの勢いが半端じゃあない。通常のエロマンガではやりえない描写が続きます。
グロではないです。むしろめちゃめちゃかわいいです。が!主人公も、題名も語るように「トばしすぎ」なんです。
 
だからこそ、この作品が18禁であることは、非常に意義があると思いました。
もちろんエロとして興味を持って読むのもアリではあります。ええ、正直最初のエロシーンでドッキドキさせられ、痴態テレビには笑いました。
この時点で、エロマンガはちょっと苦手だなあ、という人も出てくると思います。しかしそこで読み続けていく人は逆に言えば「エロマンガが好きな人」でしょう。
これはどっちがいいとか悪いとかではなく、純粋に好みの問題です。エロマンガは基本的に、絵がうまい下手や、エロいエロくないでは図りきれない読者との相性があるので、それだけではどうこう言うことは出来ません。しかしエロシーンを読むだけではなく、本を買って家に持ち帰って、最初のページから読む人はエロマンガを作品として好き、と言っていいんじゃないかな、と思います。
そこが、キャノン先生がトばしすぎながら、「エロマンガ愛する人」の心をわしづかみにする一歩だと思います。
媚びない、甘えない、振り向かない。だからヒく人も当然いますが、逆にハマる人はとことんハマるのです。
 

●その熱さが生まれるのは、どこだ!?●

この作品は、「エロありきの物語」としてマッハの勢いで駆け抜けて行きます。エロのために描かれた、と言うよりも、「エロマンガだから描かれた」と言う方がふさわしいでしょう。
 
主人公のルンペン貧太は、とにかく状況に流されまくります。原稿もちっともあがりません。しかしなぜそうなの?彼はただのボンクラな人格のないキャラなの?違う!違うんだ。
彼はとにかく「エロマンガ家」にこだわります。「マンガ家」じゃないんです。サブキャラに出てくる海乃先生が、エロマンガ「ポルノ」と言っているのはちょっとドキっとしました。確かに「エロマンガ」は「ポルノ」として見るのか、それともエロマンガエロマンガだよ!」と言うかの個差はありそうです。これも答はないんですが、個人的には後者です。確かにポルノなんだけど、エロマンガが大好きだから特別に感じてしまうんです。
だからこそ、ルンペン貧太が「エロマンガ」にこだわる事には、えもいわれぬ熱いものが吹き上がってきました。同じようなことを作中で彼も体験しているのですが、それを疑似体験することになるんですよ。この描写が非常に秀逸で、有無を言わせぬパワーに満ち溢れています。
 
しかし、エロマンガが好きですか?と言われたら、「はい!大好きです!」と言いますが、職場ではなかなか言えません。恥じるとかもあるし、一応マナーも考えるし。
しかし言ってもいい場所が出来たら「好きです!楽しいです!面白いです!」と何時間でも叫びそうです。好きです!好きです!好きです!
ただ、なかなか言える場所ってないんですよね、話し言葉としては。
だから文字に叩きつけます。絵にします。マンガを描きます。そういう経験のある人、きっと多いはず。発表しないで自分の中だけに納めたものも、含めれば。
 
一方、普段突き抜けているキャノン先生。それはどう考えてもやりすぎだろう、の繰り返しなんですが、彼女にもたくさんの悩みがあります。苦しみがあります。そもそもなぜ危険をおかして、かつ写真のエロだけにとどまらず、「エロマンガ」なのか、ってところなんですよ。
極端な話、実写エロはいいんだけど、エロマンガはなあ・・・という人も多いです。それは当然だと思います。ごく純粋に、性癖的な部分があるからです。
しかし、自分はエロマンガが好きです。なぜなら、エロマンガでしか描き得ない、エロ抜きには語りえない情熱と興奮がそこに待っているから。
いわばファンタジーなんです。ちょうどキャノン先生が極端なように。とことんまで突き詰め、作家さんが情熱を注ぎ込める舞台だと思います。*1

ただし、やはりエロです。18禁です。どんなに好きでも、街中で大声で叫ぶことは出来ません。
「Hなのは、悪いコトですか?」
 

●必ずしも共感するとは限らないから、共感した時の度合いが半端じゃない●

副題なげー。でも書きます。
あくまでも、この作品は「エロマンガが好きな人」に向けて描かれていると思います。合う合わないはきっとあるでしょう。しかし、エロマンガを実際に単行本や雑誌を定期購読するほど好きならば、楽しさは何十倍にも膨れ上がっちゃうんです。
それは、この作品の基本文法が「エロマンガ」だから。情熱の激しさは少年漫画的ではありますが、やっぱりエロマンガなんです。知らない国の言葉の名作映画は面白いことは面白いかもしれないけど、ネイティブで言葉が分かる作品の方が絶対面白いですもの。
ムリに「読むべき!」とは言いずらいです。でもマンガが好きでたまらない人、そしてエロマンガが好きでたまらない人には読んでもらいたい、と思うのは事実です。非常にすすめ方が難しいんですが、少なくとも言葉で「ぼく・私はエロマンガが好きです」とカタチに出来る人なら、オススメできます。
むしろそういう人はみんな読んでそうですが。
そういう人たちと、一緒に言い合いたいです。
「僕だってエロマンガが大好きだぞ」って。


ゴージャス宝田先生には独特の、ゴージャス宝田節があります。セリフ回しがものすごい勢いで詰め込まれたり、流れるような勢いのコマ割がほどこされたり、感情の暴走が理論を越えたり。
しかし、理論だけでどうこうできないのが性であり、情熱であり。だからエロマンガは面白い。
今後のエロマンガ好きなオタクのための、起爆剤としての作用は十分にあると思います。応援歌なのか、自虐ソングなのかは読む人それぞれ。自分は、過去を肯定させられたために、この作品は特別な位置におくことしました。
初回特典版の、巨砲キャノン先生とルンペン貧太先生、および他のエロマンガ作家さんの小冊子はこれまた、エロマンガ好き・サブカル好きにはニヤリとさせられるつくりになってます、が、こっちはさらに極端。巨砲キャノン先生の作品あまりにも極端。そこがいい。
あ、あと「ハードルはある」とは書きましたが、基本ラブラブなので好きな人はとことん好きだと思います、と言い添えておきます。
 
〜関連リンク〜
エロ漫画に必要なのはエロさ、そして情熱なんだよ!(真・業魔伝書庫)
超エロくて超アツい! 30男×12少女のエロマンガロマン「キャノン先生トばしすぎ」(しばた@OHP)
今回の記事はあまり客観的にレビューしてなかったので、ちゃんとした内容のレビューはこちらで。
 

*1:もちろんエロゲやAVにもそういうのはありますが、それぞれ別ベクトルなのが面白いんダ!