たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

ロックするよ、軽やかに。「ぎぶそん」

 ぎぶそん (teens’best selections)
「ぎぶそん」、左がマンガ、右が原作小説です。
伊藤たかみ先生の「ミカ!」が大好きだったので小説もだいぶ前に買いました。マンガを描いているゴツボ×リュウジ先生がちょうど原作小説のカバーをさわやかに描いており、そのインパクトと印象があまりにも強かったのか「マンガ化のときはゴツボ先生で!」という読者の声が殺到したそうな。
まさにゴツボ先生の描くさわやかな作風がぴったり似合う作品に仕上がっています。青春バンド物というと「青春デンデケデケデケ」や「グミ・チョコレート・パイン」なども思い出しますが、それより時代はずっと後。ガンズ・アンド・ローゼスが中心になっている時期のお話です。
 
といっても、それが感傷的だったりノスタルジックだったりしないで、さらっと流されているのがゴツボ先生流。現代といっても通用するけど、ちょっと読んでみると「あれ?確かに昔?」という程度。ロックに情念を乗せるでもなく、そのへんもライトにすらりと駆け抜けます。
自分もドラマーだったので、ヒロインの子視点でドラムたたいているシーンは楽しくて仕方なかったです。そんな彼女の「絶対くっつくよなあ」という関係がいい具合に進展していく様も、女子から見た男の子の友情への嫉妬心も心地よいんだなー。
だから、オトコノコたちはみんなカッコイイし、オンナノコたちはみんなかわいいです。
「そんなもんじゃないだろう、ロックっていうのはなあ!」と言われても、まあそういう憧れも一つの視点だから、ここは楽しんじゃいましょう。たまには、こんなそよ風みたいに、あんまり難しいこと考えずただ「あのミュージシャンかっこいい」くらいの憧憬で楽器をただ強く握って、青春駆け抜けてみるのもいいものです。
中学生の時、人間関係とかしがらみとか全く考えずに、ただヘタクソなギターかきならして「たのしー!」ってやっている気持ちって、こんなんだったのかもなあ。そんな憧れ。
ああ、バンドまたやりたいな。へたくそでもいいから。
 
ただ一つ注意点。帯にある「大槻ケンヂ大絶賛!!!」だけに釣られると結構トラップになるかもしれません。
いやっ、ロック大好きっ子のさわやかライフという意味ではよくできているんですが、オーケンの描くロックと方向性が違いすぎるよ!「モテたい」とか「情念」とかのかけらもないよ!鬱屈した何かがないよ!
決してギターをガラスの破片でかきならしたり、好きな子でオナニーするか悩むような方向のロックマンガじゃないんだよ!正反対だよ!
多分この子ら、オナニーすら知らないよ!
ミカ!ミカ×ミカ!
伊藤たかみ先生の「ミカ!」「ミカ×ミカ!」も面白いです。幼い頃のわくわく感と、過ぎていってしまう時間とがいやみなくブレンドされてぐいぐい飲める感じ。「ぎぶそん」もそうですが、あくまでも中学生くらいの駆け回るような感性の相手向けなので、そういう気持ちで小難しく考えず読んだ方が吉。
ちなみに大人向けのは読んでません。ヤングアダルトのみ。