たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

たかみち先生の描く少女のノスタルジィ


たかみち祭り1。

たかみち祭り2。
「LOクリアシートコレクション」を箱買いしてしまいました。
 
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コミックLO 下敷きコレクション 第1弾 BOX
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コミックLO 下敷きコレクション 第2弾 BOX
あみあみで今安いので。ですが!全16種類が1ボックス12枚入りじゃ揃わないじゃん!罠じゃん!
でも満足です。そしてそれはともかくたかみち先生の画集はまだですか。復刻はしないですか。
 
はて、LOの表紙のたかみち先生イラストといえば、「ロリエロマンガ(しかも結構尖ったのが多い)雑誌とは思えないじゃん!」ということでよくネタにされます。
杏野はるな(19)さん「エルオーという漫画雑誌の表紙がかわいい!読んでみたらエロ本でびっくり!」 (2ch)
あるある。ねーよ。
 
しかし、確かに少年漫画雑誌コーナーに置かれていたら、成年マンガマークがなければまず分からない、というのは間違いないでしょう。時折ヌードも描くので全部が全部というわけにはいきませんが。
にしても、LO好きのみならず「イラスト」文化が好きな人には絶賛されることの多いたかみち先生。
TAKAMICHI FACTORY
かつてはエロゲ「果てしなく青い、この空の下で…。」のイラストを描いていたのも伝説となっています。覚えている人は心にクルと思うんですが、とにかく青いんですよね。目がくらむほどに。あのゲーム、絵買いした人は多いはず。
自分もたかみち信者なのですが、イラスト技法はよくわかりません。でもこの空気には惹かれる。
そんなわけで、これから絶賛してみようと思います。欠点とかは分かりません。絶賛だから。
 

●日本の黒髪●

幼女・少女で萌え世界全体を見渡すと、黒髪は極めて少ないのは今となっては常識のような感じかもしれません。無論いっぱいいますが、それでも「ゲームやアニメの中に一人」という個性になっている場合の方が多いです。
しかし、たかみち先生の描くイラストはほぼ黒髪。まずここがすごい。
いや、すごいというか日本なら黒髪・こげ茶は「当たり前」です。染めたり天然でもない限り、基本黒っぽいわけです。高校大学と色気づいてくると、染めたり髪型に凝ったりします。そりゃね。おしゃれするよね。
しかしたかみち絵は黒髪で、髪型はそれほど少女自身が凝ろうとはしていません
ここです。ここが生なんです。
 
おしゃれするにしてもちょっと縛る程度。時にはボサボサだったり、親が切ったのかしらという黒髪をごく自然に描きます。髪型は個性の表現としてはもってこいなのでガンガンいじりたくなるものですが、たかみち先生は黒髪の自然さを生かしつつ、かつ並べても個性を感じさせます。
今では小学生でも染めたりパーマをかける時代。でもたかみち少女はそんなことしません。ナチュラルヘアーの中に個性を出します。
髪の毛だけで「生の日本」「レトロだったり田舎っぽい雰囲気」を作るのが、魅力の一つなのです。
余談ですが、鳴子ハナハル先生や松本規之先生も同じような魅力ありますよね。
 

●日本の陰影●

たかみち先生の絵は陰影が濃いです。そして肌の色や背景の色も淡くなく、ぎっちり濃く描かれます。特に恐ろしいほどに強烈なのがでしょう。
がっちりと塗りこめられたこの色、でもこんなに濃いのに原色のけばけばしさはありません。少しくすんでいるようで、でもセピアではない。
この色合いと濃い陰影こそが、日本ノスタルジックをうまいことたたき出しているなあと感心します。
「日本の四季」みたいな写真を見ると、確かに少し青や赤が強かったり、強い緑に覆われている印象が自分にはあります。まあ印象でしかないんですが、カレンダーや写真集でそれだけよく使われいるのは間違いないでしょう。そして、実際結構色濃いです*1
そこに陰影の強い黒髪の少女をバランスよく取り入れることでメリハリがでます。また配置がいいですよね。「空気を描く」なんてよく言いますが、空気の中に少女がいるんじゃなくて、少女が空気を生んでいると自分は思います。
景色と少女の組み合わせ?いえいえ、少女と景色で一つの世界です。どっちがかけてもいけない。
だから、美しい背景の色の濃さにあわせて、少女の肌も陰影を増します。
その影の部分は「古臭さ」という言い方もできるかもしれませんが、むしろその影の部分がぼくらのイメージする「日本の色」なんじゃないかと思うのです。世界に、少女に、影あってこその、日本。
 

●日本の少女(を見るボクラ)●

実はたかみち先生のイラスト、完全に幼女な年齢から結構上の年まで幅広く描かれていると思います。高校生くらいまであるんじゃないかなあ。
LOという雑誌の中心になる年齢を考えると、ちょっと高い少女も描かれます。
以前、少女は骨で描くか肉で描くか、みたいな話を書きましたが、たかみち先生の絵は「骨格についた筋肉」だと思います。
筋肉の流れを描くのは重要で、「この少女は次にこう動く」というのを予想させる力があると思うのです。
実際たかみち先生のイラストは、とまっている状態でもどこに力が入っているか分かるようになっています。動いている絵だとどの方向に彼女たちが動くかを、10秒後まで予測させるほどの時間の流れすらその筋肉に描きこんでいます。
力の流れがしっかり描かれた少女絵っつうのはもうすばらしいですな。
 
じゃあその彼女たちを見ている視線はだれのものかというと、やはり日本人なぼくらです。
そして、想像してみてください。今ぼくらは、この少女達の前で。
間違いなくカメラを構えている。*2
スナップ写真的、というと陳腐ですが、逆に言うとカメラがそこにあるのを理解していながらも自然体になっているんですよ、この少女達の表情と動きは。
つまりカメラを構える自分達とその向こうにいる少女達は、心を許しあえる関係、あるいはあまり力んでいない素の少女達、なのです。
これがたかみち先生ならではの、最大の魅力なのではないかと自分は思うのです。
 

●日本の少女をファインダーから覗く●

少女とカメラ、なんて描くと「このロリコンどもめ!」といかがわしい発想をしてしまいそうになります。しかし、かつて美しい少女のスナップ写真を、心を許しあえる関係の中で切り取ったすばらしい少女写真家がいました。
故・青山静男さんです。
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少女と懐かしい日本の光景が好きな人には是非おすすめしたい写真集。基本モノクロです。
彼の写真は、隠し撮りではありません。みな表紙を見ると分かるように、ほぼこちらを向いています。それは彼が少女たちの美しさを写真におさめるために、強制を決してせず、少女達と人間関係を築いた上で日常を切り取っていったからです。
だから、日本の風景の中で少女達は非常にありのままの視線をカメラに向けました。
残念ながら某事件がおきたため、彼は迷惑をかけるのを避けるために少女写真を撮る事を一切やめ、そして亡くなってしまいました。今生きていたらどのような少女の姿を撮っていったのかを考えるだけで、非常に惜しい。
「少女たちの日々へ」青山静男写真集
こちらにかなりたくさんサンプルが掲載されてますのでゼヒ。

 
たかみち先生の描くイラストも、実はこの理念が流れているように思うのです。
ほら、少女達はこちらの視線に、こちらのカメラに気づいているんです。そして強制ではなく、きちんとカメラのこちら側の人間と、人間の関係を持っているんです。
だから、こんなにもあったかい。こんなにも見ていてほっとする。
 
以上べた褒めでした。
もっとも内容がエロマンガで極めて偏った雑誌なのですが、あくまでもLOは「少女との世界の凶暴な性の妄想は二次元で満たされる」という理念や「愛することは間違いではない、でも他人や少女に迷惑は死んでもかけてはいけない」という理念を時々かかげる雑誌です。
だから、表紙はエロを推さない。まずは表紙で、カメラのファインダーから覗いた少女との距離を保ちます。
そう、彼女たちはガラスの向こう。手を触れてはいけないところに。
次号、たかみち先生はどんな写真を撮ってくれるのでしょうか。
 
たかみち画集 [asin:B0013UK3U8:image] [asin:B0013UP3QM:image]
画集再販かからないかなー。
あと最近LOの話ばっかりだなー。
 
〜関連記事〜
二次元少女の骨格と、お肉。
 

*1:といってもワタクシ色弱なので完全な色は分からないけども。

*2:心のカメラも可