たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

不思議な不思議な、お姉ちゃんの小箱。「アネトリス」


コアマガジンさんから頂いたエロマンガの感想の二冊目です。
もう題名からしてストレートに「エロいことするからよろしく!」というのが爽快です。逆に言えば、ドエロいのが苦手という人がいきなり読むにはちょっとハードルが高いかもしれない作品なのですが*1作者のRAYMON先生がこうおっしゃっているのでその姿勢に敬意を表します。

「なんかエロ漫画不況とか言われて自分が載っていた本もバタバタと姿が見えなくなったりサバイバルな様相を呈していますが。
ちゃんと面白くエロい物さえ描ければ何の問題も無くいく残れる事を信じて日々精進であります。
そう信じるしかないのです。」

エロ漫画という特殊な舞台での、「男性が感じたエロスを描き出す」挑戦。それに挑むには相当な熱量が必要になると思うのですが、この作者はまっすぐに突き進もうとされているようです。
そうなるとある点にその視点を集中させる必要が出てきます。RAYMON先生が見つめているキーワードは「お姉ちゃん」「秘密の穴」「曲げられた脚」。
 

●お姉ちゃんの小箱●

RAYMON先生は年上女性専門作家というわけじゃないのですが、今作はとにかく姉姉年上の詰め合わせ。
そのため、視線は「年下のオトコノコの見た女性の肉体」の形を取るようになります。
はて、そうなると目と意識はどこにいくかな?と考えた時、出てくる答えは「おっぱい」「女性器」でしょう。色々なフェチを持っておられる方はいらっしゃいますが、もうここは避けて通れないです。人間動物なんだからそこに興味が行くのは当然なんです。
なので、この作品でも非常に丁寧におっぱいを描かれているわけですが、それ以上にとにかく性器にカメラを寄せていきます。
 
いいなあと思ったのがこの題名。
「姉の持つ秘密の小箱」。このセンスステキじゃないですか。
性の興味は、自分の持っていないものからはじまります。だからこそ、目線はお姉ちゃんの体にあいている不思議な穴に向かうわけです。
穴があったらなにかを入れたい、という、女性に怒られそうな興味。でもオトコノコがそう思っちゃったものは仕方ない。そもそもオトコノコは「穴」って聞いただけで反応するくらい敏感な生き物なのです*2
このマンガの中では、お姉ちゃんのアソコに対してものすごく好奇心いっぱいの瞳を輝かせる少年が描かれています。ああ、そうなんだよなあ。ものすごく行動は不純だけれども、その興味はものすごく純粋。「なんでそんなことするの」と言われたら「好きだから」を上回って「興味があるから」、という答えが出てしまう時期があるものです。
そんな興味を「何か入れる」というムチャな行動で描いていくのですが、それを全部受け止めてくれるファンタスティックなという存在にたたき出していきます。
そう女性であることを上回って、その存在は「お姉ちゃん」なのです。そういう性の特殊な視線を表現するのは、現実的な視線で考えるよりもやっぱりエロマンガが向いているんだなあ、とあらためて思いました。
 

●年上の女性の肉体美●

自分が個人的に気に入ったのが、この作家さんが描く肉体美、特に脚。RAYMON先生は曲げた脚によってできる太ももとふくらはぎの筋肉の感覚で、エロティシズムを出そうとされています。表紙を見てもわかるのですが、ふくらはぎの描き方が非常にダイナミックで迫力あるのですよ。
女性の快感を男性視線で見るとき、男性の射精のようなはっきりとした頂点が見えないため、ありとあらゆる手段を持っていかに快感かを描くのがエロマンガのテーマの一つ。それをピンと張り伸ばした体で描く人もおられますが、RAYMON先生は年上女性の力強く大きな体を曲げることでそれを描写していきます。
体が折り曲げられた時に出来る背中のしわ、筋肉に力が入った時に出来るふくらはぎの大人びたふくらみ、そして足の指まで神経が通い折れ曲げられた時にできる足の裏の筋。
 
オトコノコが年上の女の子を憧れの視線で見つめている時。
見ているのはおっぱいばかりじゃないよ。特に露出されやすい肌色の柔らかな部分、ふくらはぎにも目がいきやすいのですよ。
そんな経験がある人には、この力の流れを感じさせるふくらはぎに、強い性を感じるのではないかと思いました。
 

●憧れの、女性の体はダイナミック●

エロへの挑戦は、その視点をどこから描くかがスタート地点になるかもしれません。
そういう意味でも、RAYMON先生がひたすらに、年下男子視点からダイナミックな女性の体への好奇心で、キャラ達がかなりムリな行動で突っ切りながらも進んでいく姿は、波長が合う人にはかなりクるのではないかと思います。
絵柄的には少し濃い目。なのでエロが苦手なエロマンガ読み*3だと抵抗を感じるかもしれませんが、そこは舞台が「エロマンガ」ですもの、その空間独自の波に乗ったほうが心地よいです。
 

普段自分が買うのがわりとライトな絵柄だったりぺたんこ胸寄りだったりするので、あまり買わないタイプの力強い女性美賛歌的な作品でした。
しかしそこにダイブしてただひたすらに、お姉ちゃんの秘密の穴に対してピュアな瞳を輝かせる気分で読むと、なんだか温かい湯につかっているみたいです。
これが男性が女性に抱く、体のファンタジーなのかもなあ。
 
〜関連リンク〜
挿し違い団(差し違え団)
草野紅壱先生とRAYMON先生のHP。ギャラリーにある某キスの瑛理子の足の指の曲がり具合にその魂を見た。
ちなみに草野先生は自分ものすごいファンでしてん。女の子のニーソの肉の食い込み描かせたらピカイチなのですよ。

*1:エロマンガ買う人でそんな人はいないと思いケド!

*2:個人差あり

*3:いないとは思いますが