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愛着を持った敵が復活しない、シビアな世界。「プリキュア5GOGO第11話」

この回最大の見所をまず紹介しなければいけません。

りんちゃんが、りんちゃんが。
ニーソを履いていない。
略して「りんちゃんはいてない。これはエロい。
個人的にはニーソ大好きなので絶対領域が侵犯したような感覚もありますが、生脚の魅力には勝てませんでした。これはエロい。
そして前回に引き続いてりんちゃんのスカートのラインはギリギリ。これわざとですよねたぶん。これはエロい。
 
そんな回ではありませんでした。
いやそれどころじゃないです。我らが愛すべきスコルプさんが死亡なされた回でした。
プリキュアシリーズには様々な敵がいますが、ギリンマといいスコルプさんといい、敵の組織の末端で働く男たちの末路の悲惨さには目を見張るものがあります。
とてもじゃないけど「ご都合主義」で片付けるには設定も最期もディープすぎます。
なぜ敵に愛着をわかせられるのか?
なぜそれほど描いてきた敵が二度と復活しない悲惨な死を迎えなければいけないのか?
 

●友情の哀歌●


前回、「敵が一緒に攻めてくる」という、ヒーロータイム掟破りの方策に出たスコルプさんとブンビーさんには目を見張るものがありました。
特にプリキュア5のナイトメアに至っては、同期なのに仲間のことをほとんど知らない、戦いの内容がフィードバックされないというチームワークの悪さでしたが、今回は戦った内容は全部報告書で知らせると言う筒抜け状態。どちらが効率がいいかは言うまでもないです。
しかしそんな彼らですが、協力したのは初めての様子。そしてそのとき生まれた二人の友情には、敵であるのが分かっていても応援せずにはいられません。
 
だってだよ。
かたやリストラされてバイト状態のおじさん、かたや失敗続きで徹夜で報告書書くサラリーマンですよ。
そんな二人に友情が目覚めたら応援しないわけいかないじゃない!

子供から見たらどうだったのかわかりませんが、大人から見てこの「働く男の哀愁」漂う二人のやりとりには涙するしかありません。
あんなに一生懸命働いたのにあっさり首切り。仕事一筋で働いてるのに給料もなしで、殺されるならまだしも待っているのは恐怖の永遠の「何もしない労働*1の日々。
まあ最初は利害関係で手を組んだわけですが、ブンビーさんは優しい、優しすぎる。蹴落として上に登る世界で相手の生き方を本気で心配にする彼に共感しないわけにはいきません。むしろ、子供と一緒に見ているパパママの気持ちを代弁してくれる貴重なキャラなのです。
 
敵だからほめるわけにはいかない。やっていることは決して正しくない。
だけど世の中には答えは一つじゃないし、善悪じゃない。負ける側の悲しみもあるんだ。
時には友情も簡単に踏みにじられる世界があるんだ。
スコルプさんの「優しい男だ」にはただひたすら、言葉なく悲しくなるしかありませんでした。
 

男たちの挽歌

スコルプさんがどんなキャラだったかをもう一度振り返ってみます。

・エターナルのやり方にストレスを感じつつ、異を唱えることはなかった。
・非常にマジメで、妥協はしなかった。
・ありえない報告書も文句を言わずに黙々と書く、敬虔なサラリーマンだった。

ブンビーさんのセリフからも分かるように、この組織は給料制。ただ金の亡者だったわけではないんですよね。彼は彼なりの正義があるんです。が、エターナルのそれはとたまにすれ違い、ぎしぎしと心に軋みを感じていました。
それが最後の最後になって爆発した感じですが、それでも「そうするしかない」とブンビーさんを振り切って行った彼の思いはあまりにも複雑すぎます。
このへん非常に丁寧に描かれているため、見ている側も感情移入をしてしまうように誘導しています。うまいんだ、いちいち彼の行動がかわいそうなんだもの。
ひいてはそれはこの組織の歪みに注目させるものです。同時にスコルプさんの悪に割り切れない生き方が悲しさを増します。


最期、彼は死に際に恨みやつらみではなく、ブンビーさんの名を呼びました。
ずるいよね。キャラを盛り上げておいて、そして最期に「友情」という人間的な部分まで出しておいて、魂まで消滅させてしまうんだから。
 

●幸せな日々は結構残酷なものの上に成り立っている●


その後でくるみが登場するシーンに移行するのですが、ここが面白い演出になっています。
このカットが止め絵なんですよ。
いつもの楽しい日常。永遠に続いてほしいと思わせるきれいな一瞬。それがスコルプさんが亡くなった後に入るのは非常に象徴的です。
 
プリキュア5の敵は、非常に細かく人間らしさが描かれていてファンの多いキャラがたくさんいます。今生き残っているブンビーさんはその代表でしょうが、他にもギリンマやアラクネアさん、映画版のDD様(ダークドリーム)そしてこのスコルプさんなど、とことんまで「かわいそうなキャラ」に徹しているのですよ。
もちろん彼らが勝てば世界はだめになります。負けざるを得ません。
でもそんなに勝ち負けは簡単なものじゃない。答えは二極化したものじゃあない。
はたしてスコルプさんが死んだのは正しいことだったんだろうか?彼が最期になぜブンビーさんの名を呼んだのか?
ひいては、なぜギリンマは非情な死を迎えて一言もしゃべることを許されなかったのか、なぜ改心したDD様やデスパライア様が復活を許されなかったのか。
 
子供でも引っかかるこれらの疑問にこそ価値があるんじゃないかと思ってなりません。前作のOPの歌詞にある「勝ち負けだけじゃない未来へ」が何を指しているのか、この作品はそんな微細なハザマに指を差し込んで行こうとしているんじゃないかと思うのです。
 
ただ正直ファンとしてはしんどい。
勧善懲悪じゃないそんなアンバランスなものの上に、一瞬の幸せが出来るとはいえ、死んでいった敵がよみがえることはないかというのは甘いファンの考えでしかないのですが・・・。
 
さようならスコルプさん。
 

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追悼・ギリンマへ。平社員の憂鬱と哀しみに敬礼
それでもせめて、DD様には復活してもらいたい、ブンビーさんには生き延びてほしいと願う自分は現実から逃げてプリキュアに幸せを見たいわがままさん。
なんかこの作品って思い切りメルヘンなのに思い切り現実的ですよね、時々。
 

*1:地下を一生ただひたすら歩き回るという、死刑よりも恐ろしい世界がプリキュア内で実現。夢に出そう・・・。