たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

理不尽に挑む、少年少女の魂をたぎらせろ。ゴージャス宝田「プリンセスカタパルト」

今号が100号記念ということで買って来たのですが、掲載されていたゴージャス宝田先生の短編に心震えたので、書き記します。
 
題名は「プリンセスカタパルト」
いきなり1ページ目にファンタジー風の絵が入るんですが、それは意味ありげながらもさくっと終わり。
次のページからチビで短気でケンカ好きの小学生に、クラスのアイドルの少女が告白するという、なんだか妙に都合のいい展開が入ります。
 
ゴージャス先生の作品は、ストレートにエロをコメディタッチで描く作品、とことんまで追い詰める陵辱系の作品、男女関係を描きながら壮絶なパワーのドラマを描く作品と、幅広くあります。だからこの時点じゃどれだか分からなくて、主人公の少年同様ものすごく困惑するんですよ。
しかもものすごい勢いでエロ展開になるんですもの。え?なに?どうなるのこれ?
いや、えっちなんだよ。素直に喜んでいい展開なんだけれども、どことなく漂う気味の悪さがたまらない。そこから、二人の接触がどんどん描かれていくのですが、同時にその不穏な空気が、エロシーンを通じて分解していきます。

ココから先は詳しく書くとすべてネタバレになるので書けませんが、先ほどの分類でいうと3番目、おそろしいほどのパワーを秘めた物語がそこから展開していきます。
 
世界は思ったよりも理不尽で、なんだか時々答えが出てこなくて。
キャノン先生トばしすぎ」でもそうでしたが、ゴージャス宝田先生は時々、勧善懲悪なだけじゃどうにもならない価値観のぶつかりあいを描きます。非情なほどにそれは通らないこともあります。妥協も時には必要に思えることもあります。
 
でもね、時には捻じ曲げられちゃって、それが覆せない事実なこともあるんだけれども。
挑むだろ?挑んで玉砕しにいくんだろ?

「プリンセスカタパルト」は24ページの短い作品です。しかし、その中で少年と少女は紆余曲折したり挫折しながら行きますよ。
愚直ですね。それでいいじゃん、まっすぐいけよ。
どうにもならない何かへの絶望と、それでも何かしようとする情熱を描かせたら、ゴージャス宝田先生は本当にすごい。特に最後の数ページの展開は、エロ一切なしですが、必見。
 
カタパルトで打ち出した石は、変化球にはならないです。戻ってくることもありません。ただ、まっすぐ貫くのみなんだ。

キャノン先生が好きなら、「絶対絶命教室」もいいですよう。 
あと余談ですが、今月のメガストアみた森たつや先生のがエロ的にツボでした。あしか先生のはもはやロリを借りた芸術でした。
 
〜関連記事〜
あくまでも「エロマンガ好き」な人に向けての「キャノン先生トばしすぎ」のススメ。