たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

貧乏を乗り切るたった2つの方法。「ふら・ふろ」

●ボロはやっぱり着たくない●

ボロは着れども心は錦、どんな花より綺麗だぜー、なんて歌があります。
「たとえ貧しくても心がしっかりしていればそれはすばらしいことだよ」とか、あるいは「質素な生活をして心を豊かにしなさい」的な意味だと思うのですが。
でもねでもね、ぶっちゃけ「貧しいのはいやだ!」が本音ではあります。
すいません俗っぽいのです。
 

●貧乏っぽくない貧乏さん●

カネコマサル先生の「ふら・ふろ」が貧乏マンガとして出色の出来でした。なんだそのジャンル。
貧乏マンガというと自虐ネタや悲惨さ、苦労やさみしさ、転じて健気さなんかが魅力になってくると思います。4畳半シリーズから貧乏姉妹物語までいろいろ。
しかし、この「ふら・ふろ」はそれらと一線を画しています。

1、着ている服が貧相ではない。
2、明るい。
3、深く考えない。

特に1は面白いところだと思います。表紙を見ると一番早いかもしれません。
ふら・ふろ (1) (まんがタイムKRコミックス)
あんまり貧乏くさい格好してないんですよ。
どちらかというと衣装チェンジも多く、そこまで豪華な服ではないけどそれなりには好きな服を買おうと努力はしているようです。少なくともユニクロの組み合わせバリエーションは楽しんでいるようです。
 
考えてみれば、いわゆる貧乏記号的なつぎはぎの服や着っぱなしの一張羅はあまり現実的ではないかもしれません。そういう意味でもこの作品のハナとナツは「貧乏だけどバランスよく生きている」子たちだと思います。

この手前の通称「お師匠さん」はアパートの子なんですが、主人公の後ろの子がハナ。
ファッションに詳しい人は、大体の金額を見積もってみるのも面白いかもです。
自分はあまり詳しくないのですが、あまり高くない値段のもの(古着とか、シンプルなデザインのものとか)をうまく組み合わせて着ているように描かれていると思います。
そここそが、このマンガの面白さ。
貧乏だから質素にこじんまり、清く正しくある、必要はないです。いや、あったほうがそりゃーいいかもしれないけど、楽しくやったっていいじゃん。
 

●視点を変えたら楽しくなれる●

このマンガ、ある意味人を選ぶタイプののんびりマンガなのですが、自分はこのコマで買いました。

はくまい 炊きたい
これこれ。もうこの描写に尽きます。彼女たちは明るい!
 
貧乏を乗り切る方法その1
まずは小さなことから楽しさを探すこと。
 
貧しい貧しいと思っていると、ただただ苦しくなります。
まずはちょーっとだけ視点を変えて、「自分不幸」とか考えない考えない。
「自分不幸」は考えはじめたらお金持ちだろうが家族持ちだろうが暗くなります。そういう時は生活の中のたわいのないことを見つめなおそう!

見よこの笑顔。
読んでみたらわかりますが、なんてことはないんです。
そんななんてことのない出来事に対する二人のリアクションが、もっさりしていたり、妙にキュートだったりします。本当に細かな描写なんですが、いい大人の女性二人のゆるい時間がとてもかわいらしいんだなあ。

別段何かすごいことが起きているわけでもないんですけどね。ほんのちょっとのさじ加減がいいのです。
 

●誰かと一緒に●

貧乏を乗り切る方法その2
人とのつながりを忘れるなかれ
 
といっても恵んでもらうようなことはしません。
アパートの管理人として暮らすハナとナツは、一応仕事をしているわけです。ですが管理人だけではやはり貧乏まっしぐら。
しかしここで「二人暮し」なのが生きてきます。彼女たちはお互いを、まさに空気のように捕らえています。うざがるでもない、ラブラブでもない。単にいるだけ。
でもその「いるだけ」がとても大切なんです。

二人の様子を「ゆるい友人同士」と見るか、「かけがえのない存在」と見るかは人それぞれです。自分の感想としては「何も考えないようにしている」です。
相手と自分がどういう関係なのかは、考える必要がないのですよ。でも常に何をするにも一緒。それでいいそれだけで幸せ。そんな距離感の描写をよく探してみると、絶妙にバランスを保っているのがわかります。
 
加えてこの子たち、非常に社交的です。貧乏にコンプレックスを持つでもなし、ただ「私は私」です。このへんはとても今らしい女の子像かも。
ポジティブに前向きに、思ったよりも楽しい世界を、無駄を省いて楽しむ二人の姿がいいんだなあ。これが学生ではなく普通の社会人(?)なのもポイントが高いです。成人女性のノンビリはツボにきます。

ボロは着たくないけど心は錦。
時には笑いながらのんびりと心は錦。
ああ錦、錦でいいよもう。つかわたしゃわたしだよ。とりあえず明日のことは考えず、二人で今ここにいられるだけで、いいんじゃない?
 

最初は自分も「苺ましまろ」っぽいなあと思って買ったのですが、そうでもなかったです。どちらかというとギャグではなく、そのゆったりした女の子二人の間の空気を楽しむ作品だと思います。
女の子が二人でのたくたしながら、ふとした瞬間に顔をあわせて笑顔になっているのを見て幸せを分かち合いたい人向け。彼女たちがどういう仕事をしているかとかは不必要です。だって本人たちがそれを考えてないんですもの。
 
あとね、無言のお師匠がいいキャラなんだこれが。

二人がかなわない無敵の幼女です。
 
〜関連リンク〜
いつでも何でも楽しめる少女達に癒される - ふら・ふろ(1)(真・業魔伝書庫)
ふら・ふろ(百合な日々)
「情報が少ないマンガ」というのはなるほど納得!なんで二人がいるのかわからないけど、そんななげっぱなところがかえって心地よいんですよねえ。