たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

マンガにおける髪型の考察その2〜髪質と髪の色と前髪パッツンと。〜

前編からの続きですー。
後半では、髪の色・髪質・髪のボリュームに合わせて、前髪パッツンについても考えてみました。
  
 

●黒髪の魔術●

たまごまご:やっぱりプリキュア初代のあのイメージがわかりやすいかも。黒と茶。

マツダイラ:初代は、本当によく出来たデザインだと思う
たまごまご:うんうん。見るからに百合臭がする。
マツダイラ:茶髪でスポーツ少女=色黒だとね、全身の色が均一化されるんですな。エッジが効かないデザインになるんで、『どこにでもいる感じ』や『生活感』が強くなる。黒髪で色白だと、どこに配置してもモノクロームで浮くんで、『世界から浮いてる』『現実感がない』になる。
たまごまご:ははー、肌かあ。ほのかは浮いていますね、かなり学校全体からしても。なぎさはどこにでもいそう。*1
マツダイラ:白黒マンガだと、また別ですが。白黒で黒髪だと、ベタの塗り方とかで差をつけたりするな。
たまごまご:ハイライトを入れるかどうかとか?
マツダイラ:同じ黒髪ストレートでも、ツヤベタ少な目とか、サラサラツヤベタとか。逆に、ガチお嬢様や不思議ちゃんの場合、ベタ塗りつぶしになったりする。そこだけベタッと黒いと、視線が引き寄せられて、特別感が増す。
たまごまご:「絶望先生」の千里あたりはべったべたな黒ですね、そういえば。
マツダイラ:まあ、あのマンガはみんなべったりですがw*2
たまごまご:そか、ハイライトないんだw
マツダイラ:小森ちゃんなんかは、黒髪もっさりの中に目だけがキラキラしてて、『すごくかわいい』って印象が際立ってますよね。

たまごまご:うんうんうん。千里の黒いのと違いますね。

マツダイラ:ハイライトは、過剰に入れると、逆に視線がバラけるんです。白い部分があちこちに出来るから
たまごまご:ふむふむ・・・
 

●頭のカタチ●

マツダイラ:二次創作なんかで描いてると、『こいつ、こういうことには向かないデザインだな』ってのがね…
たまごまご:なるほどw
マツダイラ:最近発見したことで『頭の形』ってのがあるw
たまごまご:はっ、ってことは「絡ませやすいキャラ」の感覚って、実は元のデザインを見た時点でぼんやり感じているものなのかしら。
たまごまご:カタチ??
マツダイラ:同じ髪型でも頭の形で印象ががらっと変わるんですよ
たまごまご:ふむふむ??
マツダイラ:絶壁か、後頭部が丸いか。後頭部が丸いほうが、幼くて育ちがいい感じが出る
たまごまご:絶壁w
マツダイラ:大体、マンガ家のほうもコンビで動かすキャラは、デザイン被らせないで作りますからね。デザイン的に対になるキャラは、そのあとも絡むんだな、って分かるw
たまごまご:カタチは考えたこともなかったなあ・・・ちょっと色々見直してみようw髪型はそしたらキャラわけの初歩みたいなもんなんでしょうね。

マツダイラ:こんなん
たまごまご:でっぱっているかどうか・・・
マツダイラ:前にチラッと書いたんですけど、『初恋限定』は、女の子の髪の毛の量がみんな一緒なんですよ。そのせいで、キャラに特徴がつかなかったと思う。
たまごまご:ぬぬぬ、でもそれって重要ですね
マツダイラ:同じツインテールでも、ふっさりしてるか、細くてへなっとしてるかで、全然違うわけですし。
 

●髪の質感の産む効果●

たまごまご:髪質??
マツダイラ:髪質重要。柔らかいか硬いか
たまごまご:んーなんかいい比較例ないかな・・・あ、絶チルの3人はうまく髪質分かれてる気がしてきました。
マツダイラ:あれはいいですな

マツダイラ:

薫=硬・少
紫=軟・多
葵=硬・中

たまごまご:うんうん。長さと色だけじゃなくて、ボリュームが違いますね。
マツダイラ:プリキュアもボリュームで分けてるでしょう。黄と青は量が少ない。量が少ないとぺったり頭の形が出るんで、聡明っぽい雰囲気が出る。賢いというか。



たまごまご:黄色はあんなに派手な髪型なのにぺったりしてますね。確かに。緑がすごいふんわりしてる。
マツダイラ:桃も量が多い上に、頭の上のほうにふくらみをつけてる。頭がでかいと安心感がある。子供っぽいというか。髪型ふわふわの女教師キャラとかいないじゃないですか(笑)
たまごまご:いない!確かに。
マツダイラ:緑は大人びた顔だけど、頭がでかいので、夢見がちなキャラがつく
たまごまご:うん、少し浮世離れした感じしますね。ピンクとキャラが近いかんじ。
マツダイラ:現実から一歩浮いてる感じ
たまごまご:そういう意味では、髪質が異様に固くて、ショートなりんは、「身近」で「しっかりもの」って感じですね。
マツダイラ:そうですね。少年漫画主人公タイプでもある。
 

●目を隠すことが感情を豊かにする●

たまごまご:前髪はうららが異常に短いんですが、ツインテールで隠すから欝表現もできてるんですよね。・・・子供アニメのデザインってすごいなあ。
マツダイラ:前髪が重いと、下向いてる時に目が見えない=感情をこちら側が推測するんですけど、前髪がないと、目が見える=何を考えてるかが分かるんですよね。
たまごまご:ただ、メインキャラだと前髪なしってそんなにないんですよね。
マツダイラ:ないですね「こちら側が推測する=感情移入」ですから。
たまごまご:なるほど、推測の余地が必要なのかー。少年漫画は主人公だと多いんだけども、おデコキャラって女の子だとサブキャラなかんじする。
マツダイラ:憧れキャラとか引っ張っていくキャラとかに多い気がする>デコ。『この子は今何を考えてるんだろう』ってそのキャラの考えを追うことで、感情移入していくわけで。
マツダイラ:最近ジャンプ読んでて気付いたんですが、ワンピースのルフィは前髪の役割を帽子でやってるんですよ。で、帽子で目を隠すのは、常に『自分で帽子を深く被る』っていう自分の意思なんで砂。
たまごまご:あああ、かぶかぶる。確かに。
マツダイラ:推測させるんじゃなくて、読者の感情をルフィ側にぐっと引き寄せる演出。『こいつは今考えてるよ、決意したよ、お前らも決意しろ』って。
たまごまご:普段目を見開いている子が目を伏せるとぐっときますね。
 
マツダイラ:「バクマン」がねえ。あの主人公二人、一見対照的なんですが、髪の毛のパターンが同じなんですよね。色しか違わない。

たまごまご:確かに「デスノート」のLとライトほどぱっとみてわからないですね。というか・・・あずきママが・・・w
マツダイラ:多分、どっちかが挫折とかして、坊主になるエピソードが来るねw
マツダイラ:あれ、ひどいわw>あずきママ*3
たまごまご:40台で縦ロールはやめたほうがいい、っていうセリフで吹きましたwでも一瞬でキャラたったねw
マツダイラ:変なお母さん、っていうw
 

●坊主キャラ、ベリーショートキャラ●

たまごまご:あー、坊主いいなあ。あと、ベリショの子って男女問わず、なんかやたら強い意志を感じてなりません。
マツダイラ:表情が隠れませんから、迷う余地がないんですな>ベリショ
たまごまご:うん。だから過去になんかあったかな?ってかんぐっちゃう。
マツダイラ:Dグレのリナリーのベリショは失敗だったなあ…もとから、髪形変えても通用するタイプの絵じゃないしなあ。
たまごまご:「エウレカセブン」も強烈に賛否両論わかれましたね。自分は好き。
マツダイラ:エウレカはよかったと思います。もとがペッタン量が少ないショートで宇宙人っぽかったのが、人間に近づいた感じ

たまごまご:うんうん。でもやはりベリショ自体が全体数から見るとあまり好かれないこともあるので、よくぞやったなあって思いました。そか、あれも感情がダイレクトに見えるのがよかったのか。
マツダイラ:元は好かれるタイプのヒロインでもなかったしなあw
たまごまご:ちなみにアネモネ派です。あれも対比ないいデザインw
マツダイラ:でも、同じ前髪ないぺったりなんですよねw

たまごまご:あっ!!どっちもデコキャラかあ。タルホもデコだなあ

マツダイラ:同属性だけど、違う子だよ、ってのが、ちゃんと出てると思う。
 

●前髪ぱっつん●

たまごまご:んー、こうなってくると、前髪ぱっつん*4が少ないのもだんだん理由がわかってきたような。ぱっつんにした時点でキャラできちゃうんでしょうね多分。
マツダイラ:眉毛のラインが決まっちゃうんですよ
たまごまご:眉毛!
マツダイラ:ごんぶと真っ直ぐ眉毛と同じ効果になる
たまごまご:お嬢様というか、芯がすごい強そうな感じはしますね>ぱっつん
マツダイラ:髪の上に眉毛かいても、そこに線ができるんで、感情が揺れないキャラになりますね。ファティマなんかパッツンおおいじゃないですか。逆に、前髪フワフワしたファティマは、特別に表情豊か。

たまごまご:ファイブスター?うん、前髪がプラスチックみたい。
マツダイラ:ヘルメットのイメージからのパッツンなんでしょうが、結果として、『人間らしい表情に乏しい』って効果にちゃんとなってる
たまごまご:それ踏まえたうえでぱっつんキャラ集めたら面白そうですね。
たまごまご:「マリみて」だと瞳子とかだなあ。確かにドリルで浮いてるんだけど、パッツンで表情がにせものっぽい。

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マツダイラ:あれも意志の強さのパッツンですよね。お人形さんっぽいすました感じもある
たまごまご:うん、初期は心の壁も感じます。
たまごまご:面白かったー。またわからなかったら聞きますw
 
マツダイラさんありがとうございました。こういう話をするのすげー楽しいです。
もちろんこれが全ての表現技法に当てはまるわけではないですが、髪質・髪の色・髪の長さ・頭の形で、非常に幅広いキャラクターの表現ができるんですねえ。特に子供向け・少年少女向けは「一度見てすぐわかる」のが重要なので、改めて念頭に置きながらキャラデザインを見つめなおすと相当面白いと思います。
また、ヒロインに端的に表れる部分が大きいと思うので、ギャルゲ・エロゲで見つめなおしてみると面白いかもしれません。ゲームだと色(赤・青・緑など)も重要なファクターですしね。
 
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*1:なぎさとほのか、咲と舞は肌の色も微妙に違うので、チェック!

*2:久米田先生は改蔵も絶望も、ハイライトをわざと入れないことで有名。

*3:主人公の好きな女の子のお母さんが、40台で縦ロールの美人というすさまじいキャラ。

*4:前髪が横一列に切りそろえられているキャラ。もみ上げも切ってあったりロングだったりすると「姫カット」になる。