たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「ムダヅモ無き改革」は、ちゃんと燃える、燃えるよ。

話題が話題をよんでえらいことになっている、麻雀マンガ「ムダヅモ無き改革」。
そもそも自分は麻雀のルールも知らないわけですが、これは麻雀のルールを知っている必要皆無なマンガでした*1。なんせ勝つ方法が素人目に見てもむちゃがありすぎます。
というかそれどころじゃないよ。小泉ジュンイチローをはじめ、各国の要人のような何かが有無を言わさず麻雀をして世界を動かす様は、おいおい大丈夫なの?要人じゃないから恥ずかしくないもん、てなレベルです。安倍さんのアレはちょっとハラハラしましたが、まあマンガなので。
 
もう「さすが大和田節」と言わんばかりに繰り出すダイナミックさと、危険を恐れぬネタの数々に、色物の太鼓判を押しても問題はないでしょう。褒め言葉として。
 
はて、大和田先生といえば、熱くかっこいいことを繰り出しておいて、おおげさにおおげさを重ねた上で技を決めて落とす、熱血をギャグにするのがうまいマンガ家さんです。
「ドスペラード」や「大魔法峠」など、無駄にかっこよく、無駄に変。そのギャップこそが面白さなのです。この「ムダヅモ無き改革」も同じ路線ではありますが。
いやいや、これ一回目読むと笑えるけど、二回目読むと相当燃えますよ。
 
とりあえず、「各国のえらい人っぽい何か」はネタとしてとらえて、彼らのバトルぶりを見てみます。
 
一戦目のアメリカっぽい何か戦。
一度めためたに負けたブッシュっぽい何かが再戦を挑むわけですが、彼がたたみかける勝利こそ正義」の力技、なんとも見ていてキリキリします。牌を打つときもパトリオット打っちゃうしね。また国防長官っぽい何かの参謀っぷりのいやらしいこと。
それをとある無茶でたたき返すジュンイチロー
いやいや、卑怯というなかれ。そこが笑えるところでもあるんですが、めちゃめちゃ燃える瞬間でもあります。
 
人間は、弱くて小さい物、絶対的にかなわなさそうなものが、強大なる物に戦いを挑む時に心のそこから燃えます。
強い物にも憧れますが、本当は、歯を食いしばって立ち上がるものにこそ魂が圧倒されるのです。
このマンガ、そのシステムが見事に組み込まれています。
さらに続くパパ・ブッシュ戦ではどう見てもかなわないような局面なのに、ジュンイチローはひるむことなく挑むのです。アウェーな場所で。
さらに続く金正日戦、プーチン戦では、さらにえらい追い詰め方をします。もうね、そりゃやりすぎだろうっていうかねーよ、レベルなんです。笑っていいところです。
 
ですが!その負け戦の中に飛び込んでいき、魂を削って戦いにいくジュンイチローの姿は、二回目からはもう笑えない。いや、笑えるんですが、ぎしぎしとハートをたぎらせるだけのものを持っています。彼の瞳に宿る覚悟と「絶対に負けないケンカ」の光に、タイゾー共々震えるしかない。
またそれをサポートする麻生タローが、汚れ役も背負っているハードボイルドでかーっこいいんだこれが。この本の大ボスにあたるプーチンも、これまたギラギラしていてしびれます。各国の決め技も無駄にかっこいい。強そう。強そうだからこそ燃える。
 
大魔法峠」などではそのおおげささがギャグとしてまとまっていましたが、「ムダヅモ無き改革」はギャグとしても楽しめる、熱血ヒーロー物としても存分に楽しめるいい作品にしあがっています。これもまた大和田先生のテクニック。本当にお見事。
一応一巻完結になってますが、近代麻雀オリジナルではまだ続いているようなので、さらに笑わせながら心をヒートさせてくれることに期待しています、大和田先生!!
 
〜関連リンク〜
【ムダヅモ無き改革 迫りくる脅威 プロローグ】大和田秀樹(近代麻雀漫画生活)
うあー

*1:むろん知っていると数倍面白いはず。