たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「大人の手が触れない」の今と過去



敬愛するSF貧乳ショート作家、海野螢先生の新刊が同時に二冊発売されました。感想はまたいずれ。
んで、この絵は正式な表紙ではないです。実際は帯がついていて・・・おっと、ここから先は見てのお楽しみ。
WEB拍手より

海野螢先生のオークスの新刊、あのオビのギミックにはもう素直に感心するしか…。

ほんとですよね。帯にくわえて、カバーめくったところもまた。
デザインまですべて海野先生がやっているということもまた驚きです。なんでもできるんだなあ。
 
さて、この表紙、よく見てください。
少女が駆け上がる階段と、布団などが干してある生活感がとっても郷愁を誘います。空が見えてさわやかなはずなのに、ほんのちょっとしか見えないってのもまたトリッキー。帯付き表紙は買うときに恥ずかしくないくらいに、とてもさわやかでいろいろなことを考えさせる構図になってます。
この絵を見たあとに、こちらを。

退廃的な画像(2ch)
コメント欄で教えていただきました。えださんありがとうございます!)
あの生活感あふれる懐かしい景色の、現在の写真です。
波のように襲いくる、時間の流れと無情さ。ここには生のにおいは全くありません。
 
海野先生がこの表紙と、作品「地上のすばる」で描いている場所は、軍艦島がモデル。
廃墟、夏の空、そして少女。とても美しいけれども、そこにあるのは「失われてしまったもの」なのです。
 
軍艦島
「軍艦島」消えた炭鉱集落〜近代化産業遺産としての魅力〜
 
二つ目のリンクを見ると、非常に切ない気分でいっぱいになります。
表紙の場所は「地獄段」と呼ばれる名所らしいのですが、人で賑わっていた頃、昭和35年にはこんなにも活気があったのです。
それも今は失われ…。
 
軍艦島のような廃墟は、とても寂しい場所です。
しかし、そこに人が生きていたこと、失われて今はその価値を持っていないことを考えると、たまらなく惹かれるのも事実なのです。
 
WEB拍手より

「大人の手がまだ触れない」の表紙でちらっと見える本はハヤカワSFシリーズの「人間の手がまだ触れない」だと思われ

正解(螢日記)
正解のようですよ!銀背だそうです。
今は手に入らない版なのかしら。1962年だそうですね。

というかこの時代の翻訳タイトルっていいのが多いですよねえ。
『天の光はすべて星』だの『地球の長い午後』だの
『人間がいっぱい』だの『宇宙を僕の手の上に』だの
いやほんとカッコいい! 昨今の、ただ原題をカタカナにしただけの
洋画タイトルのなんと味気ないコト。

確かにセンスいいですね、SFのタイトル。
 

廃墟めぐりしたいですね。自分も一眼レフカメラもってよく夕張近辺まわってます。
ただ、廃墟めぐりはキケンなので、行くときはきちんと準備してから行きましょう。
 
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