たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

少しでも長くこの屈辱の時間が続きますように。「Her Majesty」

そんなわけで今月のLOでぐぐっときたのを一つ紹介。

水無月露葉先生の「Her Majesty」
もうこの一枚で様々なものが伝わる、あまりにも秀逸なコマだと思います。ぐっとくるね!
 
先に言っておくと、このエロ漫画、セックスシーンがないです。そして女の子の裸もありません。
また場所がめまぐるしく変わることもありません。教卓に座る少女に、ひたすら男が言葉でいたぶられるという、ものすごいドM仕様です。
安易にセックス描写に走らずに、徹底的にSMの言葉責めのエロスを追及する…そういうの、大好きだぜ。
 

●18禁だから超えられるライン●

大人同士のSMは、意外と信頼関係の上になりたっています。
与える側であるSは、Mがどこまで受け止められるかをきちんと見計らって責めます。また受ける側のMは、Sがどこまで加減するかを信頼して身を預けます。だからSにはSのプライドが、MにはMのプライドがあるのです。
あ、漫画のなかの話ね。SM体験なんてないからリアルはよくわからんです。
 
近年は少女と男性のSM物も増えてきています。
といっても、男性がSで少女がMというのは実は減っていて、少女がSでで男性がMという作品が徐々に拡大しています。
自分も「えらそうな少女」属性が強いので、そういう作品を好んで集めているのですが、最近は苦労せずとも手に入るようになりました。
ところが、それってあくまでも「結局は少女が男性の望むことをしている」という部分に突っ込んでいくんですよね。ドMが描かれる作品でも、ドSな少女は男性の望む一形態だったりします。情にほだされて、なんだか気づいたらラブラブになって「あんたのためじゃないんだからね!」。
そう、人はそれをツンデレと呼ぶ。ツンデレって、甘いにおいがするよね。バニラエッセンス的な。
 
しかし18禁でそれを描くときは、その「トータルで丸く収まる」というラインを超えることができます。大団円とか、最終的にいいバランスとか考えなくてもいいのです。枠をとっぱらったと言うのが適切な表現かもしれません。
 

●踏み越えた場所と、触れてはいけない場所●

この作品もその「枠を超えた場所」に踏み込んだ作品です。
取り返しのつかない事態になるからと、そこにストッパーをかける必要がありません。待っているのが破滅だけなんじゃないかと分かっていても、それでいいのです。
ここはエロマンガの空間。一瞬の輝ける快楽のために作られた、美しくももろい塔。

この女の子がもうね、後先をいい具合に考えてないのですよ。M教師がいかにして「もう勘弁してください」という顔を見せるかを楽しみにしています。まさに題名の通りの「女王陛下」。
それに対して、ひたすらに従い屈辱を楽しむM教師。その瞬間の全てを、甘んじてではなく、宝石を扱うかのように受け取る様は、気持ち悪く滑稽ながら、どうしようもなくMのプライドに満ちています。
 
この二人の信頼関係があるのかどうかというと、多分あるでしょう。でもそれは「このくらいで許してくれる」という類のものではありません。そんな甘っちょろいものじゃないです。「わざわざ与えてあげる」「うやうやしく受け取る」という信頼関係です。
徹底して、そこに妥協がないのがいいんだな。結構やさしいじゃん、なんてものはナシ。そんなのいらないでしょう、だって与えてくれるのだから。少女が。
 
だから、「少女とセックスをする」というラインは絶対に超えません。滑稽なまでにそそりたつ男性器ばかり出てきます。
この男が、少女を、高い位置にいて至高の瞬間を与えてくれる存在である限り、そこは踏み越えられないのです。
力づくでどうにかすることはできますが、壊してはいけないのです。切れそうな細い糸の関係をただただ丁寧に扱う。
弱弱しさの中に不思議な絆が見えるからこそ、非常にエロティックなのです。
ああ、女王陛下殿。その目でわたしを見てください。
 

水無月先生の単行本がついに出ると言うことで、ちょっと過去の作品の目を見てみます。
これは「永久少女-逢魔ヶ刻-」の少女。こういう捕らえて離さない視線がものすごくうまい。夢に出てきそうです。

「永久少女-夏緑-II後編」より。
水無月先生は物語をいろいろ説明的にするよりも、目で語らせようとしているんじゃないかな、と思います。この少女の目がどういう感情をたたえているか、そうそう単純ではないのが伝わってきます。
今回の「Her Majesty」、目の力はさらにパワーアップ。多分自分の中にぼんやりとM属性があるのを感じている人は、その目に持ってかれること間違いナシ。
少女にいろいろな形で見つめられるファンタジー体験ができるっつうのは、幸福なことでございますよ。
 

今月のLOも言いたいこと多すぎて…うーん、LO用ブログとか作るべきなんだろうか。
とりあえずオオカミうお先生、町田ひらく先生、EB110SS先生の作品は、ハッピーじゃないんだけれども猛烈に頭から離れない濃度をたたえていたので何か書いておきたいところ。
 
〜関連記事〜
そういうのろりこんっていうんだよね?秋葉凪人「パンダかめんの最期」
こちらもMっけある人は是非とも見てほしい、セックスなしのエロマンガ
 

〜関連リンク〜
webAMBIVALENCE
水無月先生のサイト。今は毎日女の子の写真のマンガ的な模写をされているようなんですが、これがえらい面白いのでぜひ。