たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

清く(ない)正しく(ない)大人の性教育。「正しい保健体育」

さっきの「30代の性教育」の本が、笑い飛ばそうと思っていたら意外にしっとりしたいい本だったので、この行き場のない思いをみうらじゅんにぶつけたいと思います。

正しい保健体育 (よりみちパン!セ)
みうら じゅん
理論社
売り上げランキング: 9931
一見とても清く正しい保健体育本に見えますが、なんせみうらじゅんです、そんな正しいわけがない。
ものすごいテンポと、明らかに間違った理論と、でもなんだか納得しちゃうような性の知識で固められた、まあなんとも見事な「アイラブエロス&人生のタワー」です。

本当はモテない人はダメなのです。モテようとしない人は動物としていちばんダメで、松崎しげる氏のような方こそ、トップに君臨するはずなのです。
しかし、弱い人と共存するためにできたのが「社会」で、その社会を守るために生まれたのが「義務教育」なのです。
(中略)
そこで考え出されたのが「恥ずかしさ」を教えるという方法です。

なんだかそれっぽい(いやそれっぽくないけど)ことをすらすらーっと書きますが、この後の展開がひどい。

すなわち、義務教育における性教育とは「セックスは恥ずかしいぞ」ということを教えることこそ本質なのです。
(中略)
「ずるむけ」「ちんぽ」といった言葉を本当はそのまま使ってもいいはずなのに、わざわざ「亀頭部」「海綿体」といった言い方をするのも、「しっくりこないように」するためです。どうしてそういう言葉が生まれたかというと、そういう言葉まず医学の分野で使われていることを考えるとわかります。つまり「医者が勃たないため」なのです。
(中略)
すべては「勃たないための教育」なのです。

あたかもマリオカートでバナナを踏んだかのように、だんだんおかしな道にずれてきました。
 
こんなノリで、全編にわたってD.T.力を激しく強めたエロ妄想+オナニー万歳主義が書かれていきます。
オナニーはしっかりやりなさい、焦って早く大人になろうとしたら、ドリームが、夢が育たないでしょう!女体に夢を持ちなさい!とか。
五感を育てるのはとても大事なこと、それは優しさにもつながる、だからこそエロ画像はjpgじゃだめだ、エロ本を買って切って集めてこそ、優しさは育つんだ!愛撫の時に役立つぞ、とか。
うん、そうだよね(なんとなく納得した)。
 
エロばかりではなく、人生を楽しむ方法も書いています。たとえば寿命を鑑みて、いかに人生を楽しむかの秘訣として「先に戒名を考える」という例があります。

こりゃ楽しいね。
んじゃ自分も「やさしくてエロマンガ大好きたまごまご」か「はじけるレモンの香りたまごまご」にでもしようと思います。
また、覚醒剤や薬物に対しては危険とはいわず「まああんまりお得じゃないよね」とした上で、「マイ覚醒剤を見つけよう!」という啓蒙が行われます。

図は、マイ覚醒剤であるエロ写真をスクラップ帳に集め始めてはや25年になるみうらじゅん先生の写真。
こんな大人になりたいものです。
 
そんなこんなで、生まれてから死までをばっさばっさと、極めて適当に切り刻むみうらじゅん節が爽快。まあ、全編にわたって「嘘を嘘を見抜けない人は…」なんですが、これでいて一貫して「学校でやってる性教育のグラフとかあてにしてどうなる?」とか「恥ずかしいと思うための教育に浸りきるより、変態なことを楽しんだ方がいいじゃん」というものすごいポジティブな内容で占められています。
1ページずつはバカすぎる内容に笑うか頭を抱えるかだと思いますが、一通り読み終わった後「こんな楽観的な人生が送れたらいいかもしれないなあ」という明るい哲学を見つけることが出来ます。
それ自体が立派な「個性」という名の性教育、なんですよねえ。そんなちょっとアホで幸せな本なのです。
中高生よりは大学生以上の、人生って大変だなあと悩んでいるタイプの人にオススメ。
 
ちなみに、随所にはさまってるQ&Aも面白い。

なーるほーどねー。
分からないお子様は、ママに聞いてみよう。
あとタバコはよくないよ。
 

D.T.
D.T.
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みうら じゅん 伊集院 光
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楽しい物を全力で楽しむみうらじゅんの思考が大好き。 
 
おまけ。