たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「とろける鉄工所」の女性陣がものすごくかわいい件について。

一巻が発売されて話題になっている「とろける鉄工所」。
表紙を見てびびっとくる方も多いんじゃないでしょうか。
とろける鉄工所 1 (1) (イブニングKC)


なんともいえず印象に残りまくるこの絵柄と、このテンション。
びびっときた人は買っていいと思います。自分はびびっと来て買いました。
 
題名の通り、鉄工所の溶接工を描いたこの作品。他のマンガではまず見ることのない溶接作業の様子が見ることが出来る…のが売りではあるんですが、それ以上に、このマンガものすごい「現実の感覚」の位置が違う!
 

●なにげに死と隣り合わせの灰と青春●

デスクワークで「過労死」なんて話もたまにききますが、そもそもそうそう簡単に人は死にません。死ぬような仕事ならやめる人が多いでしょう。
ですが、日本には死と隣り合わせの仕事があるわけです。漁業もそう、林業もそう、警官もそう、そして溶接工もそう。
鉄を扱う仕事な上に、溶接だから高熱です。やけどもするし、ちょっとしたことで怪我もします。そして…。

志村うしろうしろ!!
洒落にならないです…が、ありえる話です。
 
このへんを「ハードできつい職場」として描かず、淡々と描くのでものすごい感覚が狂うんですよ。
やけど?日常茶飯事です。手を切りそうになった?いつもです。目玉が焼けた?よくあります。
それどころか「指がなくなった」「失明した」というのが、すぐ側にあるのです。
そんな光景が当たり前のセカイ。
やだなあおっかないなあと感じるのが当然なところを、なんだかちょっと面白そうだぞ?と思わせるのが作者の腕。きっと作者自身、溶接工が大好きなんだと思います。
仕事と、家族への愛あふれる、そんなマンガなのです。
 

●愛しいあの人へ●

んでー、これに出てくる娘さんや奥さんがもー死ぬほどかわいいから大変。
いや、萌え絵とかじゃないんです。あくまでも表紙と同じような絵柄です。狙った萌えは一切ないです。
比較してもしかたないんですが、わかりやすい例としては福満しげゆき先生の「僕の小規模な生活」を思い出すといいと思います。

これも奥さん、ぽよんぽよんでごろごろしてますが、すっごいかわいいじゃないですか。
福満しげゆき氏の斜めに構えた目線の向こう側から、奥さんへの愛情が感じられるからこその愛しさだと思います。ほんと福満しげゆき先生の奥さん(のイラスト)はかわいい。
 
この「とろ鉄」でも奥さん・娘さんが出てきます。出番はそれほどないのですが、だからこそなのか…かわいいんだこれが!

手前にいる同僚、小島さん(左目は作業で失明!)の娘さんが後ろのにいる高校生のさと子。
…DNA間違ってないですか!?ってくらいかわいい。
それもそのはず。小島さんは奥さんと別離しており、今はさと子ちゃんと二人暮らし。またこの子がしっかりしたもんで、お母さんのように弁当をつくり、家事をこなします。
小島さんも彼女のことを気づかって「弁当つくらんでええ」とかいうんですが、さと子は作るわけですよ。
なんていじらしい…!
そりゃ小島サンから見たら、このくらいかわいいですよね。目に入れても痛くないくらいの娘さんですよね。
 
…という愛情が感じられるのです。
明らかに絵柄が男女で違うのですが、女性陣のやさしくかわいらしい描かれ方から、いかに「働き戦う男性」から愛されているかがよく伝わってきます。そのくらい家庭は愛情いっぱいの場所、なんです。
 
主人公、北さんの奥さんを見てみましょう。

もさーっとしていて、淡々としゃべる感じの奥さん。
時々にやーっとしたり、ほにゃほにゃーっと笑ったりします。
安いトイレットペーパーを買っては悦に入ります。
台所の(溶接がゆるゆるな)棚を買ってニコニコします。
カワイイですよ。めっちゃかわいいですって!

ほんと出番はそんなにないんですが、出てきたときの破壊力は抜群。
先ほども書いたように、いつ死ぬか分からない、いつ大けがするか分からない職場で働く、そんな男の奥さんなんです。いくらマイペースでも心配もします。旦那さんも日々の不安に耐えながら、家に帰って奥さんがいるのが本当に幸せなんです。時々怒られるけども。
そんな二人の関係がにじみ出るような、無精ひげはやした北さんとほんわか顔の奥さん、見ているだけで幸せになります。
 
何度読んでも泣きそうになる、大好きな奥さんのセリフ。
「でもね、ボロボロ作業着ってね、なかなかカッコええと思うん」
地味に日本をささえる旦那。
その旦那をかっこいいと思う妻。
いいじゃないか。いいマンガじゃないか。
  
正直読んでみて、溶接工を尊敬しました。
決して「いい話」をわざと描いているマンガではないんです。だからこそ、本当の「仕事」の価値がにじみ出てくるんです。
色々でこぼこあって、いいマンガです。溶接工は日本を支えているんだよ。
 

〜関連リンク〜

東京サミット
作者、野村宗弘先生のページ。
たまに描く日記 - 朝日新聞ととらのあな難波店とか
すごい大プッシュっぷり。