たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

2008年、エロ漫画はエロあってこそ!エロ漫画の持つ底力を見た! ストーリー編

各地で今年のエロマンガベスト記事が出ていて、うーん31日まで待ってからアップしたいなあと思ったのですが、考えてみたら自分はコミケで上京して31は記事が書けるかどうかもままならないのでもうアップすることにします。
と言ってもやはり、ベストとはいえ「物語性でベストなのか」「エロス的にベストなのか」は全く別次元ですので、今回も物語編とエロス編で分けます。
ちなみにエロス編は自分の性癖が多分に入っているので、参考になるかどうかは知らんよ!
あ、もう一つちなみに。好きな物に無理上下をつけることに意味を感じないので、並列して「すごい好き!」と書かせていただきます。あと「キャノン先生トばしすぎ」は発売が昨年度末なのではずしました。発行は2008年だから入れてもいいのかもだけどー。
そんなわけで、今回は「ストーリー編」
 

年末に来てすごい水爆が来ましたよね。非18禁ですがエロ漫画として描かれているので入れます。入れないわけにはいきません。
ギャグ混じりのものもありますが、異形で人外のものをいかに愛し続けるかを描くというスタイルは一貫して変わっていません。これはエロがあるからこそ、人外たちへの愛情を感じる作品集です。
でも、エロがあって、どんなに密着しても越えられない壁があるのも同時に見えてしまうのが、もの悲しい。その日の精神状態で読後感がかわるので、何度も読むこと推奨。
にしても巻末のあの宣言、気になります。エロはもう描かないのでしょうか、描けないのでしょうか…道満晴明先生のエロ漫画が見られないなんていやだー!
 鳴子ハナハル先生のカラーエロ漫画はもうエロ一本道でとても心地よいくらいエロなのですが、この作品集はストーリーこそがステキ。
エロシチュエーションを交えた人間模様と余韻を引く締めくくり方がとても秀逸。「蔵」のようなねちねちとした暗雲立ちこめるエロ漫画を緻密なタッチで描けるというのはとても貴重なことです。あとは雑誌側でこういうのが定期的に連載されると個人的にはうれしいのですがががが。
それにしても今年は激売れでしたね。みんなが待っていたというのもありますが、普段エロ漫画はちょっと買いずらいなあ、という人をも引きつけるようなセンスのいい表紙、色々な人の心をつかむ絶妙なバランスのストーリーが見事だったから、かと思います。逆に言えば、ものすごーく濃いエロスを求める人や、残虐きわまりない作品を求める人にはあまり向かないかもですが、じっくり読むエロ漫画がここまで売れたことは「それを求める人が多い」という証だった、ということでやはり大きな一歩だと思います。
 女性にもオススメしたいエロ漫画、として挙げたい一作。
だってね、援助交際メインのストーリーだけども、あんなにも女心を丁寧にやさしく、そして純粋に描かれたらそりゃころっといってしまいますよ!そしてころっといってしまって誠意を尽くす男がかわいくてしかたないですよ!ああもう、マキちゃんと歩はいつまでもいつまでもチュッチュしててほしいよ!
むりやりセックスが挟まれるわけではなく、セックスを「相手を求める気持ち」「相手との絆」として描いていたことがやはり心に残ります。男性側は最初は快楽ですらなくてお金儲けの手段だったあたりもグサリときます。
なのになのに、エロシーンが強烈にハートに残るのはやはり作者のやさしさゆえか。エロ漫画ってほんといいなーと感じる作品。
 最近の作品を集めたわけではないどころか、「卒業式は裸で」のプロトタイプが載っているという驚異の集約版。それが出たことだけでも価値がある。
「ひまわり」の倒錯しながらも妙にゾクゾクする世界観は、人間の内部にある性への拒絶感と憧れがいっぺんに集結していて、とても困惑します。そして「アダム達とイブ」のように人類が動物として持っている性への欲求の歪みも描かれます。「ガラスの櫂」はエロシーンはないですが、老人になっても無意識に離れることができない少女と性への憧憬が込められています。
逃げられない呪縛。目を背けたくなる背徳感。なのに欲してしまう欲求町田ひらく先生作品が常に世にあることによって、欲望と理性はバランスを保たれていると思うのです。
 ストレートなエロを描いても、物語を描いても超一流に成長しつつある作家さんだと思います。いやほんとすごいよ。連作「Gift」の少女の心理と離別は、ものすごく巨大な穴と、それを補うかのような満足感を与えてくれます。
また連載時にはなかった後日談が載っているんだもの、にくいわ−!その後日談の少女の素直さといじらしさがたまらない。気を張って一人で立てよ、だけど時々は抱きしめて。
 アマゾンに表紙画像がないのもちょっとしたトリック。エロ漫画界のSFトリックスター的な技術が魅力的な海野螢先生ですが、本作は中でも「喪失感」が果てしなく強いテーマになっています。
性の快感は実際に触れた物なのか、はたまた脳の生み出した幻影なのか?そんなものすらも曖昧になりながらも、確かに感じたその時の感動を胸にして、別離を繰り返す様子は心に複雑な傷をつけていきます。その傷がなんだか甘美なのは、少年期を過ぎた大人だから、かもしれません。…いやまてよ、この感覚すらも実は偽物?
短編集ですが、一作の長さが長いので読み応えは満載です。
 奇才、雨がっぱ少女群先生が、ものすごく心に悩みを抱えているかのように難産している感じが伝わってくる作品集。しかし難産っぽいのにそれぞれの作品のレベルが異様に高いのだからもう頭を下げるしかありません。
「家庭菜園」と「夕蝉のささやき」はエロ漫画の歴史に残る傑作だと思います。この路線で、手を伸ばしたところにあるものをつかんでぐいぐい上昇してほしいところ。今はきっと手を伸ばしても伸ばしてもネコの死体しかつかめず苦しんでいるのかもしれませんが、きっとそれすらも作品にしてしまう方だから、期待しつづけます。
 少女美、というほうが適切かなと思われる作品集。なにげに微妙に成長しかけていて、ささやかに陰毛が生えているのが特徴的。
がっちりエロシーンで終始している作風なのですが、なぜか読み終わった後に何かを失ったかのような感覚に襲われるのがミソ。どうもこの作家さんの中での少女像とセックス感は、一瞬の山場であると同時に、何かが切り替わる瞬間でもあるようです。
 まるで絵画を見るかのような、ロリよりも年齢が低い少女達の物語。妖精のような少女達が戯れ、徹底して美しく描かれる「キングオブリリパット」の絵画力は異常。性はステキ!性はすばらしい!そんな熱い思いが作品全体を覆いつくしています。
個人的に大好きなのが、「男子は校庭でサッカー 女子は視聴覚室へ」。性に対して「凄い凄いスゴいスゴいスゴい!!!」と好奇心と感動を受ける少女の姿は、人間という動物の生命力すら感じる力強さがあります。かなり年齢の低い少女達が結集しているので性癖的に合わない人もいるっかもしれませんが、この描写力は漫画が好きな人なら必見だと思います。
 ついに完結したので。でも「海神」「海贄」と読まないといまいち分からないかも。少なくとも連作もののエロ漫画としては金字塔の一つだと思います。これこそ「エロ漫画でなくてはいけない漫画」の一つかと。
物語のスケールのでかさも半端ではありませんが、気が狂ったかのようなエロシーンの描写はこの作家さんならでは。脳髄を刺激するエロシーンと人間の姿を目に刻み込むんだ!
 妊娠も一つのファクターにしながら、少女とのガチ恋愛を描かせたら超一流の裏次郎先生。
メインになっているネコのコロとのストーリーもとてもいいんですが、「大人も恋をする」のおっさんと少女のガチ恋愛がやはりぐっときます。男がどこまでも純粋にバカで、女の子がそれを支えるように恋をして…。ロリコン純愛路線を描かせたら超逸品。泣いてる少女を描かせても超逸品。
あとこれは抗議なんですが、裏次郎先生の傑作「ひよこのたまご」がアマゾンでハブられていることに納得がいきません。あの純愛の傑作が扱われないのは不満。
 堂々完結!エロ編に入れようか迷いましたが、徹底した純愛主義に感動してしまったのでこちらで。
最後の最後まで柳田君が水野さん一筋で、愚直の極みなのがどうしようもなく嬉しくて仕方ない。そしてツンデレどころかデレデレな水野さんがかわいくて仕方ない。ハッピーエンド中のハッピーエンドなラストも含め、どうしようもないくらい愛しくて愛しくて相手を欲してしまう二人の様子は、見ていて幸せいっぱいです。「いちゃラブ大全」にも入れさせていただきました。もう−、ちゅっちゅしちゃえよ!
 セックスからはじまる恋もある…なーんてな。でもこの作品を見てると、それもありかなと思ってしまう。
最初はあてつけだったエッチだけど、肌を重ねるにつれて情もほだされていく有様がなんとも好み。ツンデレが「ツンからデレへの以降」をさすなら、まさにどんぴしゃ。もうかわいいったらありません。
連作型のエロ漫画のよさは、ストーリーの中でエッチを通じながら人間関係を描写するところなんだよなーとつくづく思い知らされる良作。絵柄もキュートな上に読みやすいので。おすすめな作品です。
 天竺浪人先生の作品集ですが、なんといっても中編「クレイドル」に尽きます。これが世に出たことに拍手を送りたい。未完らしいのが悔やまれますが。
身体と性とモラルの乖離が何を生んでいくのかが淡々と描かれていて、恐ろしい作品ではありますが、現実は小説よりも奇なり。このような描写がある作品を見て嫌悪感を催すなり興奮するなりして、追体験することには大いなる価値があると思うので今回は入れておきたいと思います。
 性癖的にも物語的にも、今年一番読んだ本かも。大好きです。
楓牙先生作品は毎回1冊分の長編なんですが、それを生かして少年と少女の心の機微をものすごく繊細に描くから、読んでいて胸がきゅんきゅんしてしかたありません。セックスシーンももちろんえろいんですが、なによりも物言わず視線を向けてほほえみもしない女の子の表情があまりにも秀逸。青春の甘酸っぱさと恋愛の切なさと見えない空気の壁とをいっぺんに持ち合わせたその視線を見る度に「ああ、ぼくは楓牙先生作品が読めて幸せなんじゃないだろうか」とつくづく思います。ほんとすき。大好き。
他の作品ともキャラがクロスオーバーしているので、全部の作品がおすすめ。
 

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明日エロス編やります。
それにあわせて、だんげさんのところでやっている「エロ漫画10」にも参加します。
2008エロマンガ10〜アカネを追いかけて宝物を発見したあの頃〜  - 酔拳の王 だんげの方
今日の時点で10越えてるー。しぼれるかなー。
 
続き・エロス編