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この断面図がすごい!「ジョギリ屋ジョーがやって来る」

チャンピオンは最近「じゃのめ」といいエログロのすんげーのを持ってきてますが、ここに来て秋田書店パワー(具体的に言うとグロ熱いやつ)に拍車がかかっているようです。バキ関連も3つ同時に載ったりしますし。
そんなわけで、新連載の「ジョギリ屋ジョーがやって来る」がすんげー面白いのですよ。
で、グロいので収納。いや、この作品グロを欠かすわけにはいかんのです。そこが面白いのです。
 
 

●ジョギる。●

なんせこの作品、切断面へのこだわりがものすごい。
主人公…というか「語られる人物」は、でかいはさみを持った切断男なんです。
と言っても、切り裂きジャックのような快楽殺人犯ではありません。もっとドライでさっくりしています。
「切って欲しい」と願う相手がいたら、やってきて切る。ただそれだけ。
ただしかわりに、自分の体の一部も切られます。
ただ、それだけ。
それだけだからこそ、この切られた部分へのこだわりがその「力」を物語るのです。
 
ちょっと一つだけ切断描写を見てみましょう。


上のコマが横から見た図。下のコマに行って、その断面図が緻密に、かつぐしゃぐしゃになることなく綺麗に切られているのがよくわかります。
しかし、こんな斬られ方は実際にはあり得ないわけですよ。いやあるかもしれないですが、まず見たことがあるわけがない。どんな達人が刀を振るってもこうはいかないし、仮に切れたとしても見る機会があるわけもないし、見たくもないです。
でもね、そこがマンガの力のすごいところなんだな。
 

●グロテスクのフォーマット●


ジョーの立ち居振る舞いとその異様な姿は、ものすごく印象的です。
コレを見て、多分色々な作家さんを連想すると思います。たとえば自分が思いついたのだと平野耕太先生、藤田和日郎先生。あと切断面の見事さに関して言えば沙村広明先生。卍斬りは美しかった。
そんな様々な「かっこよさ」「グロテスクさ」の面白さってあると思うのです、マンガならではの。普通のグロは気持ち悪いけど、それをかっこよく魅せる絵柄と話の作り方。
それを一つのフォーマットとしておさえながら、自分のオリジナルテイストを加えてさらに別のものを作りあげた、そんなパワーをひしひしと感じてならないわけですよ。
それらの「グロかっこいい」マンガを読み慣れている人を理解しつつ、「おれはこう斬る」と言う物語作り。そして断面図。
ああ心地よい。
 
ちょうど高遠るい先生が「CYNTHIA_THE_MISSION」で、板垣恵介先生節を読者と作者の共通言語にしながら、あさっての方向へぐんぐんかけあがって全く新しい作品を作り上げてしまったような、そんな熱量をひしひしと感じます。
実際に見てもらえば分かるのですが、かなーり特殊な描写方法をする作家さん。うねるような線をがりがりと、なのにシンプルに絵を描くんです。
そして様々なシーンの切断面の描きこみは尋常じゃない。
ああ、心地よい。
 

●うたいに乗せて語るもの●

第一話ということで特殊なのかもしれないのですが、話が「ジョー」を二つの視点から描いていて、ものすごくクセがあります。
一人はジョーに依頼した男なんですが、もう一人は語り部ともいえる彼女。

氏素性はさっぱりわかりません。ものすごく小さい幼女(!)で、三味線を弾きながらジョーの物語を語っていきます。
この言葉のリズムがまた見事なもので、言葉も巧みで、読ませるんだなー。
最後のページで彼女がジョーについて歩いていることが分かりますが、ジョーが誰なのか、この子がなんなのかはさっぱりわかりません。地獄少女的な存在かもしれないし、単なる殺人鬼かもしれません。分かりません。
分からないから面白い。
今後この物語がどの方向に向かっていくのかも、現時点ではさっぱりわかりません。おそらくオムニバスタイプの話になると思うのですが、人の心の闇と、ざっくり斬られた美しい断面図と、不思議なリズムの物語の中毒になりそうです。もっと、もっと見たい、見たいんだ。
 

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余談。

これは単に被害に遭っていた女の子、モブキャラなんですが、なんだかわからないけどえらいぐっときましてね。
フクイタクミ先生は「女の子をかわいく描こう」「男をかっこよく描こう」という念を紙を通して伝えるタイプの人なのではないかと思うのです。
 
〜関連記事〜
「蟲」分満載、伝奇猟奇系アクションの「幻仔譚じゃのめ」が面白い。
蟲的なグロのこっちの作品。もう3月6日に一巻出ます。はやいよ!はやい!
そしてあいかわらずグロエロい。目玉なめとりもエロいですが、右目つぶってくいしばる少女って絵面がまたいいんですよなあ。