たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

好きなんだから、伸び続けたいよ。一生涯。

僭越ながら(螢日記)
漫画家の海野螢先生の日記なのですが、なかなか普段聞くことの出来ない、「漫画家になりたい人へのアドバイス」がみっちり詰まっているので、とにかく必見。
理想論じゃなくて、まったくもってその通りで、かつ忘れがちなことを整理して書かれています。
 

●世界は全て学ぶモノ●

自分は漫画家になるわけではないですが、読んでいてぐっさりきたことが多いので、少し引用させていただきながら感想を書いてみます。
まずここ。

ストーリーを表現するメディアは映画や小説、芝居とか
色々あるワケですから、そういうものを幅広く見ておくべきでしょう。
というか喰わず嫌いが一番ダメですよね。
俺は漫画家志望だから漫画以外は興味ない、なんて云わずに
世の中には面白い作品はいくらでもあるワケで、
それを見ないなんて実にもったいない。

自分の場合は「マンガオタク」なわけで、どうしても「マンガ>>小説・映画・音楽>その他」になってしまいます。
それって確かに「もったいない」。
たとえば自分はスポーツ観戦とかほとんどしないわけですが、そこにある人間たちの姿を一生知らずに過ごしたとしたら…これはもったいない。
そう、世界中のありとあらゆるものは、見逃したら「もったいない」んですよ。
無論人間限りがあるので、精選して選んでいく必要はあります。そして外れに当たる場合もあります。
「ハズレ」に当たったからといって、嘆く必要はない。むしろそれを「反面教師」にするくらいのパワーが、創作をする時には必要…という理論には恐れ入りました。
いやいや、なかなかその思考の力は出せるモノじゃないですよ。「くそっ!金返せ!」とか怒るよりも、糧にしてしまえという、全てを飲み込む力。
 
まあ趣味だとしたら「好きな物」だけ見ればいいんですが、「好きな物」だけ見続けていたら「好きな物」の枠から出られない、ですよね。
ラーメンばっかり食べていたらおいしいカレーのよさを一生知ることが出来ない、みたいな。もったいない!
 
とはいえ、アンテナの高さって一朝一夕で伸びるモノじゃないです。自分もぐいぐい伸ばして色々吸収してやるぜ!と思った途端、猛烈に色々なノイズが入ってきてワケ分からなくなることが山々です。
ただ、そのノイズの向こう側に「人間」がいる限り、学ぶことが「0」ってことはない、んでしょうね。確かにそういう「ノイズ」っぽい人間のどうでもいい思考を、文字や絵にするすごい作家さんはいますね…。
 

●完成させる力●

完璧な出来なワケないんだから、そうと割り切って
ヘタでもいいからとりあえずENDマークまで辿りつくのが先決。

以前別の作家さんがラジオで言われていたのを記事にしたこちらもあわせて。
「完成させてこそ」上達する。
 
「完成させる」って実はすげー難しいわけですよ。
プロットはいっぱいあるよ!ラフスケッチは山ほどあるよ!途中まで作った曲はHDDに眠ってるよ!
「んじゃ作品見せて」
それはちょっと…。
なんてことはざら。耳が痛すぎます。
 
とはいえ、逆にこの言葉をポジティブにとらえてみましょう。
「ヘタでもいい」んですよ。
 
絵や音楽のデジタル化の最大の功績は「作業の簡略化」ですが、実は最大のデメリットは「いつまでたっても終わりが見えない」ことだったりします。
そう、「CTRL+Z」ですよ!
アナログ絵だとやりなおしがきかないので、その失敗すらも作品の味にして完成させるしかありません。
しかしデジタルはどこまでもやり直せる。ぶっちゃけ最初の方でのミスも完成間際に直せる。全く別物にだってすぐできる。
すぐできるから終わらない。どこまでもどこまでも気になって、いつまでたってもつくのは「未完成」のマーク。
 
ばしっ!と切り上げて、ちゃんと終わらせる「勇気」が必要なんだろうなあと思いました。
んで、未完成な部分を人に見せて指摘されて、「悔しい!もっとやれるのに!」と思ったらそれを次回やればいい。
完璧なんて、出来ません。むしろいつまでも伸び続けることのほうが、大事でしょうね。

あと自分の経験では、練習はいくらやっても実践には叶わない。
いやもちろん基礎能力がない場合はある程度は必要ですが、
一番の練習は実際に漫画を完成させることですよ。

太字はこちらで入れました。
絵や文が上達したかったら、人に見せるしかない。
「完成させる」ことは、「実践」ということでしょう。
完成させ、人に見せて、その後に後悔したら次は確実にレベルアップする。その繰り返し。
 
趣味の話ですが、自分がやっているブログも同じだなあと思いました。どうしてもいいわけで逃げて、「未完成ですがー」とか言ってたら「面白いもの」は作れなくなりそうで怖いです。とは言っても、人に見られていることを意識して書く作業も、実際怖いわけです。
でも楽しい!だって書くの好きだもの。
好きだからやる。好きだから上手くなりたい。
そして、こうやって書いてることは三歩進んで二歩下がるだけかもしれないけど、ムダにはならないと信じる勇気を、この海野先生の話から得ました。
耳が痛いけど、勇気わくね。
 

最後に、志望者へのアドバイスとして、
「漫画家を目指す」ことじゃなくって
「漫画を描く」ことを目的にしましょう。

なにげにコレすごく大事なんじゃないかしら。文章も、絵も、音楽もそう。スポーツもそう、料理もそう。全部そう。
当たり前だと分かっていながら、すごく忘れてしまうことを、言葉にしてもらった気分です。
 

●一歩踏み出すために●

WEB拍手より。

エロマンガについてですが、コミックメガストアの4月号の巻末付近にあるコミメガ大賞の
月野 定規先生のコメントがなんか尊敬できる内容でした。
エロマンガの奥深さが改めて実感できます
メガストア内ではダーク系の話は避けたほうがよいかもという趣旨のアドバイスとかも興味深い

そういえば竹村雪秀先生も言っていましたね。
メガストアの応募にガロ系を持ってこられても困る、とか。
うん、志は悪くないと思うんだ。それを描いた人も。でもラーメン屋がスイーツで勝負しても意味がないのと同じでしょうね。適材適所。
ちょっと引用してみます。

現段階ではいろいろな可能性を模索するためにも、同じようなカラーの作品を続けるのではなく、その都度目先を変えてバリエーションに富んだ作品制作に挑戦していった方が引き出しが増えると思います。

先ほどの海野先生の話とも似てきますが、とにかく完成させる。とにかく吸収する。とにかく挑戦する。
カンタンなようですごく難しいことです。
ただほんと、作ることに「ムダ」はないと思います。
 

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ものを作る、ってほんと難しいね…。ましてや「プロ」となると。
自分はマンガに関しては応援する1ファンの立場でしかありませんが、生き方として見習いたいです。何においても。
だってね。好きなこと、上手くなりたいじゃん。しかも一生のばし続けられるとしたら、楽しいじゃん。
ゴールないから厳しいけれど楽しい、って思えるようになりたいなあ。
 
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