たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

みんな集まれ、愉快で下品なミュージカルだ。「みんなミュージカル!」

以前うちでやっていた「ドキドキ対決」に参加していただき、「淫漫王」でもイラストを描いてくださっていたアサイさんという絵師さんのWEB漫画が、漫画SNSマンガ読もっ!」から抜擢されて、ついに書籍化しました。
漫画家(仮)
WEB漫画の書籍化は確かに多いですが、漫画のSNSからの正式デビューって初めてだと思います。全く新しいデビューの仕方、ですよね。
漫画SNSから「漫画家デビュー」決定!
確かに、絵のクオリティ、更新の頻度、漫画の内容とクオリティの高さは間違いなし。まさに「実力だった」と言っていいのではないかと思う内容でした。
 
と、まあ固い話はこのへんにして。
この漫画、WEB媒体だった要因もあるのですが、下ネタがフリーダムすぎる。
いやー、確かに色々「アウトかな?セーフかな?」とか考えるよりも、勢いで突き抜けられる力がうまく発揮されたのはWEB漫画ならではの気がします。
改めてそれを本で読むと、下ネタと友情のテンポのよさが、心地よいのなんの。
 

●ざっくり!●

簡単に説明すると「学園もの4コマ」なんですが、いわゆる萌え系とは一線を画しているこの作品。
メインキャラが金髪碧眼のハーフ、エリスが名古屋弁と、確かに普通ではなかなかあり得なさそうな初期設定は盛り込まれていますが、内容はすこぶるリアル寄り。
型にはまった「属性」を、あえてずらしたキャラクター達には好感が持てます。
 
例・めがねの女の子なのに、頭が良くない。
 
「そりゃそうだよなあ」と思いつつ、改めて「めがねっ娘=まじめで頭がいい」みたいな漫画的刷り込みになれちゃってるんだなーと思い直しました。
そもそも最初の時点で、そのめがねの子と先生の会話がこれですよ。
 

ばっさりだー!
 
彼女が非処女かどうかは、とあるところに隠されています。まあそれは見てのお楽しみに。
考えてみたら、高校生ともなればこういう話題はさくさく出てきますよねえ、実際のところ。
なんとなーくそれを避けて、話題にしないようにする空気は当然あるわけですが、それを一気にぶち破ってくれたのが爽快でなりません。
「下品だから面白い」ではなくて、「日常生活で下ネタって言うよね?」というノリです。そこがツボに入ると一気に楽しさが増します。

おしっこだってするよ!人間だもの!
におうよ!
ねちっこいエロネタがあるわけじゃないです。普段の生活の中でするような下ネタがざっくりざっくりと盛り込まれています。
そのざっくり感の見せ方がうまいんですよ。
後味の悪さや気まずさがありません。
だけどほら、あるじゃないですか。
「あいつとあの子ヤってるのかなあ・・・」っていう悶々とする高校生の止めどない欲求が!
それがムクムクと蘇ってきます。性春だなあ。
もっとも、それらも彼女たちの人間関係ができあがっているからこそ、くどくないんです。

こういう言葉の使い方がうまくてニヤニヤ。「女の子がこんな会話していたらわくわくするぜ!」っていうツボを突いてきます。
 

●百合っ子エリス●

WEB拍手より。

ヒット数が少ないのに単行本化!というのが気になって手に取ったのですが、転校生の舶来娘エリーがハンパなく美味しいです。面構えは外人なのに、英語が喋れないまではいいとして、名古屋弁で話すんです、メインキャラの眼鏡っ娘が大好きなんです。下ネタとハイテンションが入り乱れて一気に読めます、面白いです。ごきげんようこさま
武田でした(^ξ^)http://anpan.bufsiz.jp/

完全一方通行なエリスの恋心と暴走っぷりが面白いですよねえ。
表紙の右手にいる、碧眼の少女がエリス。
先ほど出ていためがねの女の子が好きで好きで仕方ないんですよこの子。
最初は「大和撫子らしい!」とシゲキされて好きになるのですが(実際は全然大和撫子ではないんですが)、あっという間に好きが暴走しすぎる変態キャラに。
おっけい、どんとこいです。

女の子が好きだから、おっぱいいだって揉むさ!
揉むよなあ。仕方ない。
 
このエリスの表情はころっころと変わります。
表情の行き交いがギャグだけではなく、時に丁寧に繊細に描かれていることによってストーリーが生まれていくのが、この作品の魅力だと思います。単発の4コマだけではなく、全体がゆったりとストーリーになってつながっているんですよね。このへんがミュージカル。

泣き疲れたエリスの顔。
 
高校の時って「マジにならないおつきあい」と「マジになれるおつきあい」の線引きが曖昧ながらも存在するじゃないですか。
そもそも「マジ」になって「本気」を言ったことがない高校生もいっぱいいると思います。だけど何かの引き金でパチーン!と本音のぶつかり合いが生じるわけです。そのきっかけはささいなことの積み重ねなんですが。
とある事件を境目にして、エリスとその周囲の人間関係ががらっと変わります。
彼女が「女の子好き」なのを抜きにしても、友人を大好きになるそんな出来事。
笑い混じりながらも、きちんとまとまっていくその様子が表情劇できちんと描写されているのが、いいんだなあ。
あと名古屋弁
 

●うぶな体育教師、カオリちゃん●

こっからちょっと自分の好き勝手に書きます。
メインキャラどころか、サブキャラなんですが。体育教師でカオリちゃんってのがいるんですよ。

若くて、元気で、「生徒になめられてないかな?」と一生懸命。ショートカット。
この時点でもうぐんぐんと自分の中のパラメーターが上がる音が聞こえるのですが、ここに「ウブ属性」が付け加えられたとき、自分の中のいろんな物が音をたててはじけ飛びました。

先生!先生!せんせい!
ああ、あかんて。おれ、ちょっと弱い女の先生がどうしようもなく好きなんですって。あかんて。
カオリちゃん、完全に生徒のことを意識するスイッチが入ってしまっていて、それを必死に否定しているのがかわいいのなんの。
だけど虚勢をはるわけですよ。ほら、なめられたらだめだから!って。
もーその犬っぷりがね!わんこっぷりがね!
恋愛経験にとことんまで慣れていない、大人なのに少女なそのアンバランスっぷりがね!
本当に女の先生っていいものですな。
 
決定打になったのはこのシーンでした。

体育教師なので、保健も教えるわけです。
で、この漫画の中の子たちは割と進んでいるので、コンドームくらいさくっと出てきちゃうわけですよ。
しかもカオリちゃんたら、「ひにんぐ」って言えてない。たぶんコンドームって言えないと思う。うふふ。
で、そのコンドームが「味付き」でした。
そんな時、さあどうする?
どうする?

ですよねー!!
「結構しっかり先生やってます」っぷりと、「実は弱くて乙女ちっくで性的なことに興味津々です」っぷりがちぐはぐで、先輩先生に流されてぐだぐだなのがたまりません。
ほんともう・・・こういう先生と結婚したいんですがどうすればいいですか。
まじカオリ先生は俺の嫁
 

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とりあえず一巻完結。
で、次のコミックハイ!から連載が始まります。
抜擢されるだけの事はあると思います。絵も構成も本当にうまい。特に白黒の濃淡が強めの絵柄が放つ魅力は、この作家さんの武器になると思います。
ちなみに表紙にも一つ仕込みがされていて。

こうなってるんですが。
背表紙だけにすると・・・。

腋とブラ。
これはすばらしい。
 
〜関連リンク〜
漫画家(仮) 
内容が気になる人は、こちらで原版読むことが出来ます。本は大幅に加筆・修正されてとてもきれいになってます。
アサイさんのpixiv
「漫画家(仮)」の「仮」が取れました。
毎日描き続けることで、まさに実を結んだ作家さんだと思います。
関係ないですが、コミックハイ!でざっくりした下ネタというと「女子高生」を思い出しますな。