たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「けいおん!」の閉じた内輪の世界から、開かれた新しい世界へ。

けいおん!第8話見たよ−。
いやー、よかったですね、律と唯のコンビネーションが!ジャージが!


ハァッ!
中高生のジャージってね、いいものですよ。すごくいい。青春のにおいがする。ジャージはもっと評価されるべき。
そしてみんなジャージかわいかったんですが、やっぱり律が妙に似合いすぎですね。
是非とも第一話のときの、ジャージ+制服ルックをまたやるべきです。はにわルックも可。ジャージはいいものです。
 
さて、今回は新入生歓迎会ということで、大きな変化があります。
今までは、のほほんうふふんな「内輪受け」な世界だったわけですよ。
練習はマイペース。放課後はお菓子と紅茶。作業はルーズで書類はいい加減。
うん、ぐだぐだです。
まあそんなぐだぐだ感こそが魅力ではあるんですが、目標としての軸があるわけですよ。部活動ですから。しかも人前で演奏するという明確なビジョンが存在します。
 
以前一度学園祭の演奏シーンがありましたが、その時はプロモーションビデオ風映像が流れ多くの人の度肝を抜きました。
かなりオシャレでかっこよくてステキなシーンなんですが、ここで「なぜその時に演奏シーンを描かなかったか」が、今回の新歓演奏で明らかになっていきます。
ちょっと「軽音部の内輪」と「外部の視点」で切り分けて見てみます。
 

●外部の厳しい目線●

のほほんとやっていても、そこそこによく見える、よかったねやったね!・・・なんてのもいいものなんですが、この作品は意外とその点厳しくて、「だめなところは、やっぱりだめ」というのを描き出しました。

部員勧誘のシーンでは、いわゆる「いつもの4人」が再現されます。律が騒いで、澪が突っ込んで、唯はのほほんとして、むぎはお茶を出す。いつもどおりです。
が、それってやはりおかしいわけです。彼女たちは楽しいかもしれないけど、それで「ああいい部活だな」とはならない。
 
今回は主に新入生である、唯の妹の憂と、新しいキャラ梓の視線が中心になります。
憂は特に、唯と3人のことを知っているから、大きく加点があるはず、というのも重要なポイントではあります。
が。

憂と、もう一人友達の前で4人が演奏するシーン。
例の「ふわふわ時間」なんですが、これ実際の音を聞くとすっごいリズムちぐはぐで、合ってないわけですよ。
もう憂は気が気ではない。特にギターでメインな唯が危なっかしくて見ていられない、不安で不安で仕方ないんです。
唯が好きだからこその不安でもありますが、「これはまずい」というなんだか漠然としたものも感じているわけです。

見学が終わった後の、気まずい二人の表情があまりにも印象的です。
ギャグ漫画的には「いやー、まじで!」みたいに苦笑してくれればいいんですが、もう「その話題には触れない」という複雑な空気が漂います。
 
内輪で「楽しい!」をやるのは、そりゃいいことです。楽しくないことにははじまりません。
しかし、その「楽しい」の力が内輪の外を出ない限りは、第三者から見て魅力が感じられないのもまた事実です。
視聴者はむぎの視線だったり律の視線だったりを介して情報を得ているので、その内輪の中の楽しさを知っています。楽しいです。
でも新入生はそうはいかないんですよね。やはり「内輪」であることが、残酷にたたき出される瞬間でした。憂の笑顔のシーンを意図的に排除することで、「内輪」と「外からの視点」の温度差、コントラストが浮き彫りにされます。

一方梓も、この4人の勧誘に接触します。
が、さわちゃん先生の暴走によって「なんだろうこの人たち・・・」と、頭にクエスチョンを抱えることになります。出発の時点で、軽音部に対する印象はマイナスから出発。
 
いやはや・・・きっついのう。
しかし本気で部活やりたい人には「先輩達が自分達で勝手に盛り上がってる?」というのは微妙に映るのもまたしかり。残念なことにこの憂の友人は別の部活に行きます。
 

●外部に向けての輝き●

だがしかし!
普段はだらしないかもしれないけど、きちんと練習だってしているし、決める時は決める!のだ!
前半は上述の通り、なんとも不穏な空気漂う展開なんですよ。
しかし、中盤で「ぱっと見はいい加減だけど、きちんとやっているんだよ」というのが憂の視線を介して見ることが出来ます。

今まではだらしなく寝っ転がって、なにもしていなかった、そんなお姉ちゃん。
でも今は、暇さえあればギターを触って、そして何より楽しそうじゃないか。
努力をしているのは分かってる。一生懸命なのも知っている。
後は、誤解されることばかりを内輪で繰り返すのではなく、外部に発信するだけだ!
 
後半は前半の鬱憤を晴らすかのように、一気に「軽音部かっこいい!」にシフトチェンジ。
この流れが鳥肌ものですよ。だって最初は、新入生ならずとも「なんだかこの部やばいよ」感で不安だらけだったのに、後半のライブシーンで一気に「入部、したい!」って気持ちを奮い立たせるんですよ!
それらは、徹底して「憂と梓視点」で描かれることによって成功しています。
たとえばこのシーン。

体育館側の、憂から見た唯です。
ステージの上でボーカルを務めているお姉ちゃん。
いつもはごろごろ寝転がって、寝坊して、寝癖をつけているお姉ちゃん。そこがいいんだけれども・・・このりりしさ!堂々とした形振り!
身近にいて、よく知っている人間ががんばっているシーンというのは人の心を大きく動かします。
軽音部での勧誘は内輪でごたごたやっていてだらしなかったけれども、しっかり裏で練習し、がんばっていたことをこうやって形にすることで、人の心は大きく動かされるのです。
 
もう一人、心を動かされていた人間がいました。
梓です。
 
彼女は、特に何かを今回語るわけではありません。表情にもあまり出しません。
しかし、ステージを必死に見ているこのシーンだけで十分じゃないですか。
彼女の心は、「外部に向けられた軽音部」の姿にしっかりわしづかみにされているんです。
 

●学園祭のPVと、新歓の演奏シーン●

今までは「いかにみんなでやることが楽しいか」が一番の重要なポイントでした。
だから、とりあえず無理して「外部からの視線」を入れる必要はありませんでした。何よりもまず4人の絆が深まっていくことが一番重要なのです。
そのため、学園祭での演奏シーンは入らず、PV的なシーンが入りました。
これは4人にとって「そのくらい今の演奏している自分達は楽しんでいる」という証でした。彼女たちにとってはリアルな客の反応よりも、楽しくて仕方ない疾走感に身をゆだねている感動の方が大きかった、という表現です。
そもそも、舞台上で「歌えない!」「大丈夫だよ澪ちゃん!」とかやっている時点で、はたから見たら「なんかやってるのかな?」と頭に「?」が浮かぶかもしれません。でもいいんです、乗り越えて「楽しかった!」を手にしたんですから。
結果観客も大喜びでしたが、そこは詳細には描かれません。それよりも4人がお互いの顔を見合わせることのほうが重要だからです。
 
今回は違います。憂、梓という第三者視点です。
「楽しいねえ」ではなく「人に見せる演奏」の描写が求められます。そこに魅力がなければ、新入部員として梓が入ることができないんです。
演奏曲のレベルも格段に上がっていました。「ふわふわ時間」に比べて相当難しいです。
もっとも題名は「私の恋はホッチキス」で、澪のセンスは相変わらずですが。ソコガイイ。
 
MCが律ではなく唯なのも面白いですよね。
律部長はちゃんと唯の「いいところ」を見抜いているわけです。
人前で物怖じしない。人を和ませる純粋さを持っている。
なにより「楽しいよ!」を体全体で表現出来るのが、唯。

目立ちたがり屋な律がやってもいいところですが、律はどんどん部長らしさを発揮していきます。適材適所。ふざけてはいてもバランスをきちんと考えています。
それは、メンバーに対する信頼でもあります。「唯のMCは安心して聞いていられるな。」の一言が重みを感じさせました。
とはいえ唯にも欠点があります。それを「いざ」と言うときに補える澪。

これこそが澪の最大の魅力だと思うんですよね。
泣き虫で、恥ずかしがり屋で、苦手な物が多くて、悩みがちで・・・でもみんなのためならがんばれる、いざというときにしっかり相手をフォローできる!
影で努力し、練習し、あまり表に出さないけど一生懸命に取り組んでいる。そんな子。
もちろんそれは彼女ががんばっているからに他ならないのですが、律がそれを影から支えているのも大切な部分。支えてくれる相手への信頼があるから、がんばれる。

むぎはそれらのバランスを保つ、安定剤的な役割があります。色々ひっちゃかめっちゃかやっても、むぎが見守る立場にいるからこの4人は崩れない。
加えて今回は自主的に「内輪」に飛び込んでいるのが印象的。話数はまだ8話ですが、もう1年もたったわけです。遠くから見守るむぎではないよ、一緒に楽しみながら、前に進む馬力を持っているむぎですよ!
 
トータルしての「軽音部」の姿が外部に開かれたとき、彼女たちの成長は明確なものになっています。

唯が跳ねるギターのように体いっぱいに楽しさを掲げる。
澪がしっかりとベースのリズムのように整える。
律が後ろから見守りながらドラムのように全力で前進する。
むぎが味わいと関係の豊かさをキーボードのように彩る。
楽器にあったそれぞれの立場が、公的な場で表現されるとき、外部の冷静な目も評価をします。
それが、梓を動かした、という演出に持って行ったことに拍手!原作は展開が違うのですが(元は学園祭の演奏を聴いて憧れて入ってきたという設定)、4人の「いいところ」「わるいところ」をきちんと出しながら、新しい視点(憂と梓)から見て「やっぱり、いいな!」と思わせる流れがお見事であります。
 
一つ気になるところ。

ふざけてばかりだったさわちゃん先生が、今回演奏を見ているときすごく真剣なんですよね。
これが演奏に対するものなのか、他の何かに対する物なのかは・・・今後語られそうですね。
 

●律は「かっこいい」か!?●

で、後輩から見て律が「かっこいい」と言われるシーンがあって、ちょっとびっくり。
あの4人の視点で見てると「アホ」「かわいい」という印象が先走るんですが、「かっこいい」か!なるほど、そういわれてみると??

だらしねえなおい!
・・・そんなりっちゃん隊員のおでこにキスしたいです。
じゃなくて。
りっちゃん隊員は、はたしてかっこいいのか?

ずぼらで、色々思いつきで言い出しっぺにはなるわりにきちんと処理するのが苦手で、ちょっとだらしない。
人望があるかどうかというと・・・これがあるから不思議。ガキ大将的ではありますが、なんだかんだでみんなに好かれています。学園祭でお化け屋敷やるときの言い出しっぺだったのも興味深いです。
じゃあ彼女の「かっこよさ」はどこから出てくるのか?

それは、この笑顔ですよ!
ライブ終わった後に澪に対してはもちろんみんなに「よくやったじゃん!よかった!」とか言う律の顔が容易に想像できます。
律はみんなのことを本当によく観察しています。律がみんなを見渡すシーンは頻繁に挿入されています。モノローグもダントツに多いですね。
もちろん最初はいい加減でめちゃくちゃもしていた彼女ですが、部長としての自覚が彼女を大きく成長させつつあります。いや、元々彼女は「自分も楽しみたい!みんなも楽しくあって欲しい!」と掛け値無しに考えられる子なのです。
 
結論・律はかっこいいかわいい。
・・・いやー、かっこいいのもそうなんだけどさ、やっぱ・・・ほら、気遣いよりも「元気」じゃん。かわいいじゃん。ね?
ああー、律にひざかっくんされたい!
 

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あずにゃんが加入することで「楽しい軽音部」から一歩前に進むことになりそうです。
音楽的にも「高校生らしい曲」から一歩踏み出し始めました。
さー、ここからが本番だね!!
ちなみに、8話のMVPはむぎだと思います。
あんなにニコニコとみんなの輪にはいり、澪いじりすら楽しむむぎがいるなんて・・・!いやー、幸せだなあこの空間は。
 

 
以前の「ふわふわ時間」のしゃがれ声コーラスもすごかったのですが、今回の澪の「唐突にフォローに入る」という演技があまりにも絶妙。声優さんってすごい!としみじみ感じる回でした。
で、「私の恋はホッチキス」がすげーかっこよかったのですが・・・澪ってひょっとしてセンスいいんじゃない?え?だまされてる?
どうでもいいですが「ふでぺんボールペン」マダー?