たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

【ネタバレなし】「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」序をまだ見てないからどうしようかなだって?いいから見てきたほうがいい。

ヱヴァ破見てきました。
で、いきなりネタバレ感想を書くのも味気ないので、「ヱヴァ序まだ見てないんだよねえ…」とか「とりあえず様子見かなあ」とか「序面白かったけど、どうしようかなあ」という人に向けて、ネタバレ無し「いいから急いで見ておいで!」感想です。
 

●1、完全新作と思ってヨシ。●

アスカの名前が「式波」だったり、マリという謎の女の子が出てきたりと不可思議満載な事前情報が飛び交っていた「破」。
序でも「今までのつなぎ合わせ」かと思わせておいてまるっきり新しいシーンがばんばん追加、今までのシーンすべて描き直しとドギモを抜いた新作具合でしたが…。
「破」は完全新作といっていいです。
一応テレビ版の内容も網羅されていますが、それは脳みその中で比較する対象だと思った方がいいです。全く別ルートで話が展開します。
使徒に至っては・・・おっと、なんでもないよ!
パンフレットによると、テレビのとある話の原画はすべて紛失した(!?)とのことで。なので「序の始点だけ同じ。あとは別の世界」と考えてみた方がいいです。
詳しくはネタバレの方の感想で書くことにします。
 

●2、町に萌えろ。●

序の時も「新劇場版の町の描写は異常」と話題沸騰だったのですが、今回はさらにパワーアップしています。
要塞都市は要塞都市でも「そう来るのですか」というギミックだらけ。
もうね…町全体がぐいぐい動くわけですよ。
といっても、危険だから潜るとか、対空迎撃用のミサイルが飛び出すとか、そのへんはもうすでに通過済みなわけです。
無論出たり入ったりギミックだけでもワクワクしてならないわけですが、そんな程度で済ませるわけがないだろう?
 
「あの」シーンを、信じられないくらいかっこよくするために、町にはすごいギミックが備わりました。
巨大なものが、役に立つのか立たないのかわからないけれども「こんなこともあろうかと思って」メソッドで動く面白さを、全身で味わってくるが吉。
ものすごいぶっちゃけ、エヴァテレビ版も見ておらず、内容がいまいちわからないんだよねえ、なんて人でも。ストーリー理解しなくても町だけで楽しめます。
 

●3、人として動くモノ●

2作目、って鬼門なんですよね。どんな映画にしても「プロローグ」と「エンディング」のおいしいところがない。
物語的には超絶消化不良を起こさないわけにはいかないわけです。これはどうあがいても仕方ない。
まあ、物語的な話に触れるとネタバレになるのでここでは割愛しますが、じゃあ見終わった後に消化不良を起こしたかというと、そんなことはないんだなー。
それは、全くだれることなくアクションシーンが絶妙なタイミングで入るから。
いくらストーリー重視とはいえ、やはり映画は面白くなくてはいけません。
そう、「ヱヴァ破」はちゃんとエンタテイメントなんですよ。
 
少し寸胴で、スーパーロボットっぽくなったヱヴァ達ですが、これがただの戦う兵器ではなく、人間の肉体躍動美を「これでもか」と再現してくれるわけです。
ロボットは限りなく人間に近く作るのが目標の一つですが、エヴァはご存じの通り正確にはロボットではない。
では人間はどうするかというと。オリンピアの時代から人間が最高の動きを追究し美を求める時には、天使や神を目指そうとしました。
それが、今回のエヴァ達です。
ロボットのようでありながら人間の動きをし、人間のようでありながら限りなく神の領域に近い躍動を見せるために、スクリーンいっぱいに動き、動き、動きます。
往年の様々なロボットアニメや特撮ヒーローの動きも取り入れつつ、おそらく日本最高級の動きを見せる「ヒトのような存在」は、スクリーンで見ないともったいない。
 

●4、破壊の「破」●

「破」の題名が気になっている人は多いと思います。
どうしても「破壊」を想像し、今までのエヴァよりさらに悲惨な破壊が訪れるのではないかと戦々恐々としている人も多いでしょう。
なにが「破壊」かは言いませんが、破壊はあります。
 
破壊というのは「カタルシス」であり、「ストレス」です。
賛否両論とかじゃないです。「ストレス」なのです。作る側も見る側も。
3に書いたように、ストーリー・映像共に恐ろしいほどカタルシスの詰まった作品でもあるんですが、映画を見ていくとそれが順序立てて、今まであらゆる意味で伝説になりかけていた作品を「破壊」し「再構築」していく綱渡り感が感じられます。
かと思ったら、スポーンと気が抜けるシーンがあったり。押したり、引いたりしながら、ゆらゆらと歩みを進めます。
そんな不安感を、映像を見る視聴者は、作り手と共感できるような作りになっています。
見ている僕らにとって「エヴァ」が大きすぎる存在であれば、作り手にとってはさらに揺るぎなさ過ぎる存在。それが新しい場所に必死に動こうとする瞬間が、この映画にあるわけです。
 

●おまけ・パンフレット二種類について。●

で、劇場に行くとパンフレットが二種類あります。

右が1000円のパンフレット。左が1300円のエクストラマガジン。後ろがアスカコンボ。フィギュアは顔が割と残念な出来。でも買う。
 
1000円のは、絶対に映画見終わるまで読んではいけない。絶対だ!
ぜ っ た い だ!
ダチョウ倶楽部的な意味ではないです、クリティカルな部分のネタバレなので、見たらワクワクが激減します。
逆にいうと、見終わった後に読むとすべての糸がつながる仕組みになっているので、買うことをオススメ。
 
1300円のエクストラマガジン「01-04」BOXは、パンフレットとは全く別物。こちらは映画始まる前に読んでもいいです。
ファン特典要素の高いものですので、必読というほどではないかもしれません。むしろ「ヱヴァ破のビジュアルを楽しみたい人」向けなので、映画のいろいろなシーンを反芻したい人ならば。
 

                                                                                                                                            • -

 

コンティニューvol.46
コンティニューvol.46
posted with amazlet at 09.06.27
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 菅野 よう子 京田 知己 Perfume 仲村 みう 白井 ヴィンセント みうら じゅん 吉田 豪 掟 ポルシェ 川島 明 栗山 千明 小野 恵令奈 渡辺 麻友 北原 里英 マリエ
太田出版
売り上げランキング: 94

emotion style 式波 アスカ ラングレー
バンダイ (2009-08-25)
売り上げランキング: 184



なんだかんだいっても、序を見てから見た方が間違いなく楽しいのですが…もし「どうしようかな」と迷っているのならとにかく突撃したほうがいいです。帰ってきてから序を見ればいい。
迷う時間がもったいないのです。エヴァ好きな人にとっても、そういうのは別としたアクション映画好きな人にとっても、かわいい女の子みたいよという人にとっても、ちゃんとエンタテイメントしている作品です。
よく頑張ったなあーと拍手を送りたいです。
 
面白いのは、映画が終わった後一斉に劇場がざわめきだしたこと。
そう、ヱヴァは「話がしたくなる」作品。あれはどうなんだろうか、これはああなんだろうか。誰かと話したい、誰かと感動を共有したい。場合によっては隅っこで作品の愚痴を言い合うのもいいでしょう。それが作品への愛なら。ただ、一人で抱えて劇場からは帰れない。
人とのつながりがヱヴァのテーマだとしたら、映画を見て話したくなる、ざわめきたくなることもまた、この作品のテーマ。
だから、…見てきてみんなでヱヴァの話しようよ。アスカとかさあ。
 
〜関連記事〜
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」エヴァを知っている人もそうでない人も。