たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「サマーウォーズ」の最萌えはおばあちゃんでした。

サマーウォーズ見た。
面白かった!
 
で、友人と見に行ったわけですが。「なつき先輩はどうなんだ」「なつき先輩のエロ同人が読みたい」「なつき先輩はとりあえず一言謝った方がいいんじゃないか」「なつき先輩はとりあえず一旦『おいこら』と叱っておきたい」「でもなつき先輩かわいい」「なつき先輩抱きしめたい」「それがなんか悔しい」というループを友人と話していました。
いやね……死ぬほどかわいいのですなつき先輩。
だけどなんか、理不尽な感じなの。どうも釈然としないんですよ。
漫画版だとそのへん「いっぱいいっぱいで何も出来ない」という彼女の心の機微が描いてあるので補完されていますが、アニメではそれぞれの人物の心の内があまり描かれていないため、群像劇としての機能はものすごく面白いのですが、感情移入にはテクニックがいるような気がします。
 
感想はまた変わるかもしれないので、とりあえずメモも兼ねてファーストインプレッション。
 

●最萌えキャラは、おばあちゃんじゃないのか。●

いやあ。
70歳若かったら、20年前のアニメージュで一位だったね!
萌えというか、惚れましたよ。おばあちゃん。最高にかっこよくて、母性を持っていて、かつバックアップしてくれる最強の女性像でした。
毅然とした態度。
歪まない信念。
母親としての強さ。
そして、弱い主人公やなつき先輩受け入れる心。
 
どこかで見たなあと思ったら、これってナウシカの「強き女性像」の正統継承者なんだと思いました。実際戦う女性ですしね。
男に媚びず、でも男を許容できる存在。大家族全員がおばあちゃんを大好きなのがすごくよくわかります。
 
この映画、複雑なことはしないんですよね。全部、大切なことはおばあちゃんが言葉にして言ってくれるのです。
相手にぼんやりと何かを考えさせる暇なんてない。
本当に強い人は、決して嘘をつかずに「がんばったね」「大好きだよ」と言える人です。
だから、おばあちゃんに惚れざるを得ません。
あなたは、最高の女性です。
 
ネタバレになるので言いませんが、ラストシーンが一番それを物語っていたなあと。
いやね、大家族はたしかにあったかいけど、意外と鬱陶しいのもちゃんと描かれているわけですよ。ちょいお前ら勝手なことすんなあっちいけよ!とすら。
でもおばあちゃんがいれば一つになれる。
ヒロインというより、ヒーローなのはおばあちゃんでした。
 

●夏希先輩の奇妙な存在感。●

で、おばあちゃんをベタ褒めすると、正統派ヒロインの夏希先輩の立ち位置があやふやになります。
どーも夏希先輩が「主人公視点」から見るとつかみどころがないんですよね。
というのも、主人公がそもそも女性と仲良くなったことなんて無いから、よく分からない存在に見えるのは当然でしょう。
 
主人公から見てみたら、泣きじゃくったりいっぱいいっぱいになる夏希先輩は、戦えるピーチ姫でしょう。
おばあちゃんから「よろしく」とすら頼まれ、託されたお姫様です。
わがままが目立つし、言っていることはめちゃくちゃな子だし、主人公にしてみたら「お前そりゃねーよ!」という出来事にもあいますが、主人公的には「がんばった末に夏希先輩に好かれたい!」というのは賞品みたいな存在でしょう。
家族にも学校の人にも、「美少女」と呼ばれる「美少女」キャラクタ−。非の打ち所がない…ように見えます。
とはいえ主人公視点だと釈然としない部分(彼氏設定の部分とか)はあるでしょうが、そこまで頭は回らなさそうですね。
 
これが一歩離れてみると、実は非常にわがままな子であることがわかります。
わがままはかわいいもんです。とはいえみんなにちやほやされているだけではありません。
ここでまたおばあちゃんです。
おばあちゃんから「ろくでもない子」としての評価を受けているんですよ。
ろくでもないけど、愛する孫なのです。
この視点が入ることで夏希先輩の存在はがらりと変わります。
 
友人が「少女漫画のヒロイン」と言っていてすごくすんなり来ました。
少女漫画のヒロインの中には、少しわがままで自分ルールで動く女の子がいます。
それがかわいくもあり、読者にうざがられもする部分でもあり。
「夏希先輩視点」があまり作中にないためここが分からなくなってスポーンと「夏希先輩はヒロインなのか??」と不思議になりますが、ちょっと角度を変えると正統派ヒロインであることが腑に落ちます。
このへん漫画版ががんばっていて、心の機微をちゃんと描いているので必見だと思います。
 
夏希先輩に対しては、自分が最初に抱いたのは「とりあえず謝るか、応援するか何か主人公にしてくれ!」というモヤモヤした思いでした。
もうめちゃくちゃかわいくて好きで好きで、抱きしめたいんですよ。でも主人公に対してなんらかの声、なんでもいいからもっと声をかけてほしい!と思っちゃったわけです。
主人公視点だからなんでしょうね。「私はお姫様だから」という位置にいるんじゃなくて共闘者であって欲しかったんだと思います。謝って欲しいというのは謝罪するべき罪があるんじゃなくて、上にいる私、という位置から一段落下がって欲しかっただけなんだと思います。
 
人間そんな単純に出来ていないので、漫画版もあわせながら読んで「彼女がいかにいっぱいいっぱいでどうしようもない状態なのか」「主人公もいっぱいいっぱいで何も出来ていないじゃないか」というのが分かり、ようやく「これでいいんだな」と自分を納得させた感じです。
 
永遠に手の届かない存在としての高嶺の花でもいいんですが、夏希先輩と一緒に手を取って戦いたかったんだなあ、と思いました。ここから先はネタバレになるので書きづらいですが、夏希先輩にみなが力を貸したように、主人公にもうちょっとだけ、手を添えて欲しかった!
まあ、きっとそれはこれからの物語。多分ね多分。
…あ、「ケンジが主人公じゃない」って視点ならまた別?
 
ファーストインプレッションで夏希先輩が愛しいと感じるか、尻とりあえずひっぱたきたくなるか。
その差は、見ている側の視点の位置と心の余裕かな、と思いました。深いキャラです。
「男の子の憧れの女の子像」としての機能も忘れてはいけないんですよねえ。
 

●わびすけおじさんかわいい●

名前がすごいですよね。「侘助」ですよ。なんつー名前だ。
夏希先輩じゃないけど、侘助おじさんに惚れる気持ちすごいわかります。
夏希先輩は「大人っぽいから」、だったのかもしれませんが。
能力はあるけど使い方が不器用で。
寂しがり屋の癖にひねくれていて、かまってちゃんで。
あえて人の神経逆なでながら、自己嫌悪にはまりこみそうで。
それでいておばあちゃんのことが、大好きで。
一言もしゃべらない天の邪鬼なくせに、手を離さないで。
 
ほんとうにだめな男じゃないか!
だがそこが…そこがいい!
侘助さんの心理も、作品が群像劇なのであまり詳しくは描かれません。
でも登場人物の中では一番描かれていたと思います。
侘助さん、愛しいです。彼には幸せになってほしい。
もうなったかもね。
 
彼が一人の人間として生きて行けそうなのは、おばあちゃんがいたから。
おばあちゃん。あなたは最高です。
あ、また最初に戻った。
 

●キングカズマ●

ネットで話題のカズマ。男の子「だから」かわいい貴重なキャラ。
このへん、カズマに感情移入しやすいのは細田監督の手腕でしょうね。
どれみやデジモンを一番彷彿とさせるキャラです。
 
カズマはがむしゃらに一生懸命な、本当にいい子です。
で、主人公や周囲の人にはそれほど高く評価されるわけでもないんですが(oz内での評価は異常ですが)、それでも彼は本当にかっこいいんです。
彼が何かを解決したら、ここまで魅力はなかったかもしれません。
ヒーローになりたいわけじゃない。真剣に守りたいものがあった、その思いだけでもう十分です。うまくいかなくていいんです。
家族に言うわけでもなく、黙って一人ネットの中で真剣に戦い続けていた彼。認めて欲しかったのか?なぜ戦っていたのか?
 
彼の師匠が、そっとカズマの頭を撫でるシーンがあります。
自分はこのシーンが一番好きです。それでカズマの長い長い孤独な戦いは、救われたんだと思います。
 
ちなみに「女の子なんじゃないかな?」というのは自分も思いました。
そう考えさせられるのは、やはりカズマの根っこが立派で魅力的な男の子だからだと思います。
あと、「戦闘美少女」の型をこちらが脳内に持ってしまっているので、ついつい当てはめたくなっちゃうのかもですね。
結論・カズマは最高の男の子。
 

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一回見て、「うあー、最高でしたー!」と満足出来る、映画らしい映画だと思いました。
映画として「見せて欲しい」ものをすべてつぎ込んでますよね。
おおげさなアクションシーンも、嘘っぽいご都合主義も、最後の最後までギリギリいっぱいいっぱいなのも、主人公になんだかんだで特殊能力が一つあるのも、いいじゃない。
 

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あと、電脳コイルもそうですが、「バーチャル」の絆も家族の絆の一つになっていて、大切なものだと認めてくれると、なんだか涙が出るのです。あの世界の感動と冒険は、実体験として認知してくれているのがたまらなく嬉しい。
「そんなものはうんたらかんたら、実際に触れないとうんたらかんたら」と言われ続けた世代だからなのかなー。
 

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ああ、おばあちゃん。
俺ちゃんと飯、喰うよ。
 

夏の田舎ですごい経験をする、なんて言い方をすると、舞台がozという架空現実なので奇妙な感覚になりますが、夏のうちに滑り込みでこの映画見られてよかったです。
日本の夏は、やはり日本の夏。大好きです日本。
 
そんな夏を体感出来ず、部室でもくもくと頑張っていた友人の彼をちょっと褒めてあげたい。