たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

性転換のドキドキにおいて重要なのは、男の子のソウルだ。「アスカはいぶりっど」

最近「男の娘」「女装少年」マンガが猛烈に増えました。
しかし、何故か性転換物は比較的少ないです。ないわけではないんですが、そんなに爆発的に増えてはいません。
あるぇー? もっと山ほど出るかと思ったんですが意外と。「ふたなり」と「女装」はものすごい勢いで増加しているんですが…。ラノベだとそこそこあるみたいなんですが、マンガは結構探さないと見つからない感じです。
もちろん、そこにチンコがない、と言うのがマンガとして表現しづらい最大の難点だったりするのですが、「性転換」でしか描き得ないドキドキってあるわけですよ。
 

●問題・女の子になったら何をしますか?●

「アスカはいぶりっど」は、捻りや難解さを一切排除し、徹底して性転換にこだわった、正統派性転換マンガです。…正統派の意味が間違っている気がしますが、えーと、スルーで。
 
性転換といっても、「入れ替わり物(精神が女の子と入れ替わってしまうタイプ)」や「憑依物(女性の対象に男性の心が入り込んでしまう)」など精神面での転換はたまにありますが、こちらは身体が完全に女性になってしまうタイプ。分かりやすいところだと「らんま1/2」や「かしまし」などです。
身体がそっくり女性になるわけですから、精神は元のまま。ここが非常に重要です。
つまり、男の子の精神で、女の子の身体を人に迷惑かけず自由に出来る。これって性転換の醍醐味の一つじゃあないですか。性のな話なのだから、ここはリビドーに忠実に行きましょう!
ではそこでクエスチョン。
 
問題・男の子が女の子になったらまず最初に何をしますか?
 
ここで「着替えてみる」とか「化粧をする」とか答えちゃう人もいるかもしれません。
いや、いいのですよ。いいのよ。それでも。
でもさ! もっともっと、女の子になったら本能的にしてしまうこと、あるでしょう? 


触るよね。
どう考えても。
興味本位にならないわけがない、まず色んな所を触りますよ。あるいは見ますよ。触りまくり見まくりですよ。
男の子が、女の子の身体を前にしてどうしても目が行ってしまう、あるいは触れたくなってしまう、その心理そのままです。あの拒絶できない、なかば反射にも近い不思議な感覚!
なにもエロい気持ちだけじゃあありません。今まで感じたことのない感覚を味わってみたい、どうなるのか興味が沸く。至って普通のことです。
もっともこれ、「入れ替わり」だとなかなか出来ないんですよね。というのも相手の女性に対する後ろめたさが先走るから。だからこそ「見たい!でも失礼だし、どうしよう!こんなに近くに、自由に出来るあの子の身体があるのに!」という葛藤が面白いんですけれども。そこはD.Tイズムを貫いて「見てないから大丈夫だから!」と言って欲しいですね、だって男の子だもん。
 

●理想の身体をコーディネート●

この作品は、徹頭徹尾「自分がかわいらしい女の子になったら」を追究しています。とにかくひたすらに「女の子になったらこうしたい」を描こうとしているのです。一人称視点のセリフが多いので、恥ずかしがることなく一人の時間に「かわいい女の子になる興味」をストレートに打ち出してきます。
加えて、元々確かにかわいらしい男の子ではありましたが、女性化の際にさらにこじんまりとかわいくパワーアップ。そう、なりたいのは正確には「女性」ではなくて「かわいい女の子」なのです。二次元的な意味で。
面白いのは、その主人公の望むかわいさというのが、胸はひかえめ、身体も小さめ、という割とロリ体型なこと。


体型も、見た目も好みの女の子になりたい。夢ですよドリームですよ。なるのなら絵に描いたような自分の最強の理想でありたい!
まあ、何かしらの力で望んだ形に変わったわけではないんですが、彼の理想の女の子になった、というのは美味しいポイントです。いくら美少女でも、貧乳好きの人が巨乳になっても嬉しくないわけで。逆もしかり。
このへん、男の子の自分勝手な妄想がうまい具合に炸裂。理想の美少女になって身体を触ったり見たりした後は、自分のフェティッシュ欲求を満たしたいと願う。至極当然のことです。


水を得た魚のようにオーバーニーソックスを履く、彼。
分かるよ…理想の美少女になって、理想のアイテム…身につけたいよね。
自分も二次元美少女になったら、色々観察したあとにまずはスパッツ履くもん、間違いなく。100%。紺か黒の。折り返しに縫い目あるやつを。うわ、想像するだけで興奮してきた。
履かない手はないですよ。縞パン好きな人なら縞パン履いちゃうでしょう?ブルマ好きな人ならブルマ穿くでしょう!?
この後、彼がずーーーーっとニーソを履きっぱなしなあたり、非常に好感が持てます。理想の美少女になったら理想の「かわいい」を身につけ続けたい。
 
これはある意味において、女性の身体の持つ記号を玩具にしている行為になります。
実際に他人の女性にそれをするのは、非常に失礼な行為にあたりますし、申し訳なさ後ろめたさも産まれます。
しかしながら、自分の身体ならいいのですよ。
自分の好きなように着て、自分の好きなように感じることができます。しかも自分に全てその感覚は跳ね返ってきます。
まさに知らない世界へのジェットコースター。楽しくないわけがない。
いずれは「戻りたい!」と願うのかも知れませんが、まずは…浮かれてしまって当然、それが男の子。
 

●自分ではない女性への壁●

さて、彼の身体は自分の理想通り、幼形成熟したような体型になりました。
しかし、彼以外に出てくる女性達は一様に、ものすごいグラマラスなんですよ。


この感覚の差が興味深い。
なるほど自分が女性の身体になることで、女性の感覚を得ることはできました。しかし中身は男性のままです。
そうなると、彼の視線はあくまでも「男→女」のまま。
いくら自分が女性になっても、やはりそこの壁を越えることは出来ません。越えられないからいいのです。
自分が女性の感覚になることで、より一層女性をよく観察するようになり、その胸の大きさ、腰の丸みを強く意識するようになります。それが他のキャラを見る彼の視線として、グラマラスに誇張されていくわけです。
 
非常に欲望に忠実なこの作品、真正面型の性転換マンガとして貴重だと思います。作者も相当に性転換には熱い思いがあるようで、面白い後書きを書いていました。

この種の漫画は結構ありますが子供の頃からそういった作品を見て「そうじゃねえだろ…」とか思って見ていた物です。
キャラ設定の違いもありますが仮に自分が女になったらと想像すると、美少女だったとしても女の子らしく振舞うのは難しいと思います。
(後書きより)

ですよね、男の子ですものね!
中身は男なんですもん。なのに外見は女性。そのギャップこそが面白いわけで。
彼の「女体への興味」にシンクロして興奮出来ますし、そんな興奮している彼のかわいらしさにも客観的に興奮出来ます。
そう、ちゃんとした性転換ものは二重に美味しいのです。
 

にしても、表紙と帯で猛烈に損をしている気がします! だってこれ性転換ものだって一瞬分からないですもの。後ろの文章を読んで初めて気づいたくらいです。
絵柄はかなり記号的になっており、かつ携帯マンガであったこともあってかコマ割や線が独特なので、ちょっと最初読んでいて不思議な感覚になるかもしれません。独特な描き方です。
しかし、この作者の性転換好きは本物だと思います。そう感じさせる熱いオーラが全編を覆っているので、安心して「女の子になってこんなことしたい!」の波に身を任せられます。
それにしても、ケータイマンガあなどれないなあ…。
 
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TSと言ってもほんと幅は広く細かく深いので一概に言うことは不可能なのですが、「自分の身体の感覚に戸惑ったり興味を持ったりする」TSが、自分は好きです。やっぱり女の子の感覚への興味はあるわけで。とはいえ別に生理になったりしたいわけではないといういいとこどりなずるさですが。
正直、TSがこんなに好きになったのはこの方この方のせい。こういうジャンルは人と話すとものすごい興味がムクムクわくのよね…。猛烈にTSと女装少年について話し合う会とかやりたいです。