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「超弩級少女4946」から見る、巨大娘のフェティシズム

世界には巨大な女の子に興奮する、「巨大娘」通称「GTS(Giantess)」フェチというのがあります。
日本ではそれほどメジャーではないのですが、世界的規模で見たら案外これが多かったりします。
まあ2mとか3mでも十分でかいんですが、そうじゃないそうじゃない。もっと!もっとだ!2倍?10倍?いや、20倍くらい。
巨大娘 - Wikipedia
やたら詳しいwikipediaさん。
まあ、「ガリバー旅行記」をはじめとして、巨大人間と極小人間のギャップの面白さや恐ろしさを描く場合が多いのですが、あくまでも巨大になるのは娘さんであることが重要。そう、巨大娘フェチはそこに性的な魅力を潜在的にたくわえまくったジャンルなのです。
ん?萌え? いや、これはもっと性的なもの。フェティシズムそのものです。
 

●49m46cm●

超弩級少女4946」が非常にその点、明るいラブコメと激しいアクションで立派に少年漫画しながら、ものすごい深い部分の巨大娘フェチを再現しているので、少し探ってみようと思います。
 
超弩級少女4946」は、身長49m46cmの超巨大少女衛宮まなと、モテない熱血漢飛田マコトのアクションラブコメディーです。
ほぼ50mとか言ったら傷つくのでだめです。ほら、女の子は繊細ですから。


通常の人間が下の男の子のサイズ。まなは相当でかいですね。
 
巨大な女の子に惹かれる心理は色々ありますが、ポイントになる部分を簡単にまとめてみます。

1、ビルよりも大きいこと
2、大きすぎるので着る物がないこと
3、大きすぎるが故に不自由が多いこと
4、大きいのに幼さを持ち合わせていること
5、小さな人間がまさぐったり内部に進入できること

1の大きさは、人それぞれ好みがあるので一概には言えませんが、少なくともガンダム級かそれ以上が好まれているようです。
このへん参照。
神社モドキ (Jinja-Modoki)
「巨大娘」のイラスト一覧 [pixiv]
細かいサイズはともかくとして、「ちょっとでかい」「家くらいでかい」じゃなくて、「ものすごくでかい」ほどいい。多分多くの人が思い出すのは、ウルトラマンゴジラではないでしょうか。
ウルトラマンなどの巨大特撮ヒーローは、建物よりも大きいのが魅力の一つです。建物と同じサイズ(パトレイバーなど)だと現実的なサイズすぎる。そのギリギリのラインの「ビルよりもでかい」を維持しています。
なぜビルにこだわるかというと。ビルを破壊することが非常に重要だからです。
ようするに、その女性はこちらの手の及ばないくらいに強力だということです。人間ではどうしようもないくらいに強い。その圧倒的な力の差を表現し、読者がストレートに興奮するには、非日常的な街の破壊描写が必要なのです。
 

●巨大娘の憂鬱●

巨大であるということは、同時に不自由であるということでもあります。
それが2と3のポイント。
この作品のまなというキャラがよく出来ている点として、着る物が貫頭衣のような布しかない、という点です。
そもそもこのサイズの服を作る労力を考えると気が遠くなるじゃないですか。ましてや人間扱いされていないとなると、わざわざおしゃれな服装を作ることは出来ません。
巨大娘は多くの場合、全裸や半裸であることもあります。上の原理があるため、仕方ないのです。仕方ないよね。仕方ない。フヒヒ。
そんな言い訳めいた気持ちも含め、ダイナミックな美しい女性の身体を拝むことができる。これは巨大娘というフェティッシュな存在に向けられる視線の理由に十分なりえます。
いわば「ドアップで女の子のおっぱいが見たいよ」という単純な欲求の延長線上みたいなもんです。
もっともこれには罠もあります。

これは「男爵校長DS」2巻のヒトコマより。巨大化じゃなくて小さくなった場合の比較の話です。
巨大な女の子の半裸ボディに興奮したい!という欲求は、実はリアリティを追求すると非常にハードルの高い話になります。『ガリバー旅行記』の巨人の国の章でもガリバーが言っていましたが、でかいとその分肌もでかくなるわけで、毛穴や皮膚のでこぼこまでくっきり見えてしまうわけです。男の人が夢想するなめらかな女性の肢体とは遠くかけ離れてしまいます。いや、同じなんだけども…比率が…。テレビのCMで皮膚のアップや毛穴のアップを映している、あれを思い出すといいかと。
それがいい!という剛の者もいると思いますが、どちらかというと「巨大」「でも肌はキレイ」というファンタジーがここで追究されます。
「何を贅沢なことを」ですって? まあそもそも巨大娘自体がファンタジーなんですし、いいじゃない。理想で。おしっこもうんこもしないよ。そのへんもこの作品きっちりフォローしていますので要注目。
(でも、おしっこに流されたいっていうファンタジーはあるね!)
 
さて、ファンタジーを引き立たせるには一滴のリアルが必要です。料理にワインを少量入れるように。
巨大娘はエロティックな男性の妄想を詰め合わせたファンタジーですが、やはりただの「女性の身体の塊」ではありません。大きな人間として描く場合、その心理は重要なファクターになります。
大きいと言うことは、人に疎まれる存在です。ビル破壊しかねませんし、踏まれたら死んでしまいますし。なんせ、大きいということは「恐ろしい」のです。

巨大娘の心理描写は「超弩級少女4946」でもっとも力の入っている所です。
そもそも怪獣なわけですよ。人間ではないわけですよ。正体は実際に読んでもらうとして。
だからその姿をみんなの前にさらすわけにはいかないですし、見られて疎まれることもあります。
怪獣の中にはそれで病んでしまい人間を憎むようになったものもいるかもしれませんが、彼女は非常に純真で素朴な少女なのです。そう、違うのはサイズ。内面は普通の少女とかわりがありません。
 
この雨に濡れるカットは非常にこの作品を上手く表している名シーンだと思います。
主人公はものすごい熱血漢ですが、どうにもならないこともあるんです。同じことは出来ないんです。
大きすぎるが故に、不自由もある。便利なことばかりではない。それに対して主人公が諦めないからこそ、ドラマが産まれていきます。
 
この点だけピックアップすると非常に暗い話に見えがちですが、巨大娘ものはむしろ「底抜けに明るい」というポイントも重要です。
でかくて賢いより、でかくて幼稚。この組み合わせがさらにフェティッシュを作ります。

このシーン。
まなの純真さを表すシーンでもあるんですが、見ての通りしゃべり言葉が片言だったりするんですよ。
ぎこちないしゃべり方は、彼女のかわいらしさの記号になっています。言動も裏表無し、とにかく幼く朴訥なのです。
巨大というだけで「恐ろしい」印象が強まってしまうのですが、なんと言っても一番重要なのはサイズよりも「女の子である」ということです。だからこそ、巨大娘には「あどけなさ」や「恥じらい」という記号を付加して、「巨大かつキュート」というイメージを添える必要があります。
 

●巨大娘最大のフェティシズム

さて、巨大娘最大のフェティシズムは、5の「まさぐれる」「中に進入出来る」ことに尽きます。
先ほども書きましたが、どアップで女の子を見たいわけですよ。おっぱいとかふとももに挟まれたいわけですよ。それを具現化したのが、巨大娘。

このコマは素晴らしいですね。布一枚の向こうに広がるワンダーランド。
現在連載分を読んでいくと分かりますが、作者さんこの点をものすごくよく咀嚼して、少年漫画にしています。
あくまでも物語を壊さぬよう、しかし読者のドキドキをきちんとそそるように、まなの身体の色々な部分に触れたり乗ったりするシーンが随所に挟み込まれています。6話のお父さんはその典型でありました。巨大でかわいい女の子の上に乗る…まるで夢のようですね。
上述のコマも、巨大すぎるとしても十分恋愛対象・または性的対象になりうることをよく表しています。リアルに考えたらとんでもない光景かもしれませんが、全てまなの照れ顔で打ち消されているんですよ。
マンガや映画だと、視聴者側はどんなに巨大な女の子が出てきても、実際にでっかいわけではないので「自分と同じ目の位置の少女」として見ることが出来ます。むしろ普通の人間や街が小さい、と見られるわけです。だから現実には怪獣のようなサイズかもしれなくても、見た目には普通の少女との線をクリアーしやすいのです。
 
最後に「中に進入出来る」という点について触れておきます。
巨大娘物の一つの要素として「体内侵入が出来る」物語性があります。一番分かりやすいのは飲み込まれること。耳や鼻や女性器に入るのもあります。場合によってはグロテスクな話ですが、要素としてはドキドキするから不思議。
心理的には胎内回帰願望がうんたら、というのもあるんでしょうけれども、ここでは簡単に「かわいい女の子と一体化出来る」「かわいい女の子に自分の身を預けられる」「女の子の身体の神秘に触れたい」という願望の具現化、としておきます。本当はもっと深い心理があるでしょうね。
ちなみに「超弩級少女4946」は体内進入嗜好についても、少年漫画的熱さを無くすことなく昇華しています。これには脱帽せざるを得ない。
東先生、巨大娘をよく研究されまくりだと思います。まさに巨大娘をこよなく愛し、調べ尽くした作家さんによる、絶妙なバランスのGTS作品。心より敬服!
 

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今回はフェティッシュな話だけ書きましたが、このマンガ非常に少年漫画の真髄をおさえていて好感が持てます。ニッチなネタなんですが、王道なのですよ。

巨大娘にあれこれしたい、なんていう願望はもちろんありますが、巨大だから強い、だからこちらが守られる、ではないんです。巨大だろうがなんだろうが、彼女は女の子だと。男として彼女の事を守りたい、と。
そうだよ男の子だもの! 彼のこのような言動が、まなを怪物扱いせず、一人の女性として大事にしていく作品のテーマにもつながっていきそうです。なので男の子はもちろん、女性でも読みやすい作りになっています。
実力的には守られるのは男の子側なんですけど、今後話の展開次第で「いかに強大な少女を、少年が救うか」にシフトしていきそうで、血湧き肉躍ります。

それはさておき、やっぱりなんというか…自分は、まなの背中をクライミングしたいです。自分の好みは街を踏みつぶすサイズではなくて「ちょうど手に自分がにぎられるサイズ」なので、まなの理想型にほれぼれです。あの貫頭衣は反則だよ…!
ところで『ウルトラマン』でヰタ・セクスアリスした人は意外と多いようですが、この作品でもヰタ・セクスアリスする少年続出しそうですね。
SIMPLE2000シリーズ Vol.50 THE 大美人
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巨大娘といったら欠かせないこの作品。simple2000なので中身はそれほどすごい出来ではないですが、作ったこと自体が偉大です。
ここに出てくる大美人は、大きな美人のモンスター。下手したら知能すらなさそうです。
 
〜関連リンク〜
ぷるぷるたいむ(作者ページ)
作品詳細 超弩級少女4946
一巻の続きから読めます。
 
〜微妙に関連あるリンク〜
神社モドキ (Jinja-Modoki)
巨大娘のみならず、シュリンカーものなども扱ったリンク集。一個一個見ていったんですが…どのサイトも「超弩級少女4946」への期待の高さがものすごい!
【AVレビュー】『全裸巨大少女 着る服がないの…〜隠しきれない強制露出〜(SODクリエイト)』 - WEBスナイパー
18禁注意。さすがSODというか。
体内進入嗜好 - Wikipedia
やたらと網羅されています。やりおるwikipedia
シュリンカー (フィクション) - Wikipedia
逆に小さくなるのはシュリンカーと言うそうな。これもまた深そうです。GTSの世界もかなり深そうなので、じっくり色々なイラストを見て楽しみたいところ。