女の子がすごく元気に飛びまわるとか最高じゃん。「エナ」
「女の子が元気に動き回る」
これです。
女の子達が飛びまわるために、緻密に世界を作り上げ、背景をぎっちり描きこむ。血湧き肉躍る痛快軽快明快少女アクション。それが磯本作品です。
●最強、女の子●
磯本先生の描く女の子は、気取ったりすることをほとんどしません。
まあ仕事のせいであったり、機械好きだったりするからです。
それってでも男の子から見たら萌えポイントですよね。すっぴん萌えというか。着飾らない君が好きさ！みたいなサバサバ萌えです。
まあ萌えという言葉だとちょっと違うかもしれませんね。女性として惹かれる一要因として、素のままでのびのび生きている子が好み、というか。
今作「エナ」は、サイボーグのエナが所狭しと駆け回りまくる話です。
色々複雑なシナリオや世界観が詰まっているのですが、全て「彼女が暴れるための舞台」と言い切っていいと思います。
また豪快なわけですよ彼女。
怪力が彼女の最大の利点なのではありますが、ありえないようなところで発揮する彼女の姿は、「アラレちゃん」を彷彿とさせます。
しかもこのアラレちゃんときたら、人間でもあるから羞恥の心や思いやりも持ち合わせているし、しかも巨乳でグラマラスだ！やったね！
しかもマユゲが太い！
マユゲ太めの女の子はいい子。そうすり込まれて生きてきた自分にとって彼女のルックスとアクションは心をウキウキさせるに十分すぎます。
色々なところで発揮されるその力ですが、普段は見せないように気を遣っているのもまたキュート。ついつい使っちゃうあたりも。
そして行動原理は常に、理由や損得じゃなく「正しいと思ったことをする」というまっすぐすぎる正義感。理屈を越えて感情で正義に進む彼女を見ていて、爽快な気持ちにならないわけがないよ。
●独自の浮遊感●
彼女は人間にあらざる力を持って画面の中を飛びまわるわけです。
それが細かな絵で描かれていくわけですが、特に彼女、ジャンプ力や疾走力も人間離れしているため、彼女の周りの時間の流れが微妙にゆるやかに見える描写方法がまた面白い。
川を飛び越えて着地するシーンなんですが、凄まじいスピードなはずなのにまるで時間が止まったみたいなんですよ。特に服装のはためきと、流動線のない背景がそう見せているのだと思います。
こういうシーンが彼女の周りで随所に差し込まれます。
彼女の目線では他の人間達の動きは、遅いのです。彼女の動きの方が断然はやい。
だからこそ彼女目線で、まるでゆっくり時間が流れるような浮遊感が生まれる、という不思議な画面構成が生まれます。
●気を抜いた女の子はかわいい●
ガチガチの正統派ヒロインアクション物な本作ですが、動き回る以外に魅力はもう一点。なんといっても彼女の気の抜きっぷりです。
女であろうという意識を過剰に持っていないんですよね。男の人の描いた理想の女性像というか、男に近い思考を持っています。でも女の子。その微妙なバランスが、かわいさの波状攻撃をしかけるわけです。
このカットとか、大石まさる先生を思い出しますね。
ダイナミックで色っぽい体をもっていながら、それをだらしなく投げ出す色気の無さ。そこが色っぽいんだよ！逆説的に。
サイボーグといっても心は完全に人間なので、女性らしさもたくさんあります。しかし磯本先生の描く女の子は「女の子」である以上にアイデンティティがすごくがっちりあって、マイペースなんですよね。絶対なびいたりくじけたりする気がしません。
すねたりもします。
けど見てくださいこのだらしなさ。
ビールかっくらって、フライドチキンもりもり喰って。
かわいすぎるな！
「女の子のだらしない瞬間萌え」って絶対あると思うんだ…。
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出てくるキャラの数も多く、世界観もなにげに複雑、情報量がものすごい多いマンガです。
ここに挙げた３姉妹も謎が多く、思わせぶりなセリフや行動てんこもり。
ですが、１巻できっちり終わっています。
読み終わった後に、この世界のキャラ達が暴れ回る様をもっと見たい！と感じるのは贅沢でしょうか。
いや、ちょっと物足りないくらいが作品としては正解でしょうか。爽快であるがゆえに、少し餓えた感が残る。そんな快作です。
でもやっぱり、廃墟や未来世界は、走り回る女の子のためにありますよね。
「東京奥多摩のヒカリ」はSFではないですが、リアルに田舎の臭いと機械臭のする傑作。
９０年代のサイバーパンクの血をしっかり持った、大人のためのアクション活劇を描く貴重な作家さんだと思います。
また、エナの釣りバンドとネクタイとタイトスカートが、男の子心くすぐるんだなあ・・・。太ももムチムチだよ。
