たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

男性にとって、マンガのエロシーンに男の体の描写は必要ですか?

WEB拍手より。

こんにちは。いつも楽しく拝見しております。
最近、BL漫画も読むようになって思う事があるのですが、BL漫画のエッチって男子が感じている表情や身体の表現シーンが他ジャンルの漫画に比べて丁寧に描かれているのでは?と。(この場合の男子とは男女で言う所の「男」役の方)
レディコミや一部の少女漫画のセックス描写シーンで男キャラの感じている顔等描いているモノはありますがBLほどではなく、やはり女キャラに重きがおかれてるかな・・・。大半のエロ漫画や男性誌のエロシーンにおいての男キャラはフレームアウト又はチ○コのみ、とかの扱いですし。(男性向けですから当たり前か)
とすると、女性が手にする漫画で「カッコイイ・イケてる・カワイイ男が快感に喘いだり、感じたり、イクのを必死に我慢したりしている姿」を綿密に色っぽく描かれたモノを読むことができるのはBLだけなんじゃないか?と、ふと思ったのです。もしかしたら、BLという市場が拡大した一因にそこら辺もちょっと関係あるんじゃないかな、と。つまり、男性が可愛い女の子や綺麗なお姉さんが身を捩って悶えてる姿を見たいと思うのと同じように、女だってイケメン男子や渋いお兄さんが気持ち良くなったり、潤んだりしてる姿が見たいんだぜ!というニーズに答えたのがBLなのでは?という事です。もちろんリレーションシップを緻密に描いてきた事が、人気を獲得してきた主なる要因であるとは思うのですが。
 エロ漫画でも男キャラをもっと丁寧に描写すれば女性読者を増やせるんじゃないでしょうか?あ、そうすると反対に男性読者が減っちゃう?
男性からしたら「男の喘ぐ顔や身体なんか見たくねーよっ!」「男のエリアに女が入ってくんな!」って感じでしょうか。
私的には「エマ」の作者の森薫さんが描かれる様な女体に、イイ身体のイケメンが絡むエロエロな漫画があったら喜び勇んで買ってよみます。
 
たまごまごさんはどう思われます?やっぱりエッチィ場面にエロスな男体は要らないですか?萎えますか?

これは面白いお話。
「エロければいい」というのが最終的な結論であるとしても、その「エロを感じさせるにはどうすればいいか」は真剣に考えていかないと、作れない重要な問題だと思います。
で。
どうあがいても男性の感覚と女性の感覚には差異があります。そして、男性内の中でも当然差異はあります。
今回は「自分はどう見ているか」を、男性視点で書いてみようと思います。
あくまでも自分個人の感覚なので、全ての男性がそうだとは受け取らないでいただけると幸いです。一意見です。
 

●BL作品における男性の裸体●

自分はBL作品大好きです。雑誌までは買わないレベルで、ベタな名作を幾つかあさって読んでいる程度、だと思ってください。ショタはすごく好きで、とても読みますが、青年以上となると数はそこまで多くないです。あと、男性同士のエロシーンは基本的に平気です。
 
で、BLでその男性の裸体がでてくることに関しての受け取り方ですが、端的に言うとあまり見えない方が興奮します。
 
興奮はね、するんですよ。本当にいいBL作品を読んでいると、確かにそこに行ってしまうよな、そっちを選んじゃうよな…!というのが分かるわけじゃないですか。心の葛藤があったりして。
悩んだりしながら距離を詰めていく様子や、流されてどんどん好きになってしまう状態、言うに言えない心の迷いとかがすごい好物なわけです。
ようするに、そこに至るまでの物語が読みたいのです。
だから、最中のほのめかしや、事後の照れ顔なんかは、物語がしっかりしているほど見ていてニヤニヤしますね。あるいは「よかったねー」と感じることすらあります。
 
しかし、男性の裸体が詳細に描かれると、やはりバリアが自分の中に生まれるのは否定できません。
簡単に言うと、物語にのめりこんでいたのが、現実に引き戻されてしまうわけです。
こればっかりは物語への没入度によるので一概に言い切れないんですが、ほのめかされて妄想で補完できるのと、実際に目の当たりにするのでは「同性」の裸であるが故に大きな差があります。
 
BLとはいっても幅がものすごく広いので(エロの有無、どこまで描くか、などなど)「あり」な男性の裸と「壁がある」男性の裸の描写は確実に存在します。
有名どころだと、中村明日美子先生なんかは「男性が見てもエロい」と感じる男性の体を描いていると思います。

超有名どころですが『同級生』はびっくりするほど興奮しました。
なんというか…触り方とか、距離の取り方、うまいんですよ。こうされたら確かにしかたないわ、と納得させられるんですよ。
そういう「納得」があると、ドキドキします。ストーリーに没入していると、普通にたちます。いやほんと。
加えて、中村先生の絵柄がいい意味で現実味がなく、独自の世界観を持っているからなんだとも思います。こっちも有名どころ。
比較的絵はリアル寄りになりますが、物語が丁寧なのでこれは飲み込まれました。あーこっちいくよね、そうだよねと。
そういう順序があるとすんなりエロシーンも入り込めます。
逆に突然エロシーンがくると、多分自分はびっくりすると思います。
没入するまでの段階が欲しいんです。
 
はて、同人の方ですが、BLマンガでもエロマンガ的文法で描かれている物もあります。見せ方やクライマックスへの引っ張り方、ピロートークなどの順序がエロマンガに似ている、ただし男同士、というものです。
それは自分の場合ものっすごい読みやすいです。突然エロシーンが来ても割とすんなり読めます。むしろ好き。
多分、エロマンガ慣れしすぎているから、なんだと思うので、誰しもがそうではないと思いますが…BLの表現も多様化しているので、きっと「男も楽しめる男の裸」の描写は研鑽されているんではないかとにらんでいます。
 

エロマンガの男性の裸体●

はて、男性向けエロマンガです。
自分は比較的、男性も女性も裸でイチャコラしている、という構図が好きなんです。
なので女の子がキュートなのは当然として、男の子の方も裸でいてほしいし、元気に張り裂けそうなオティンティンも描いて欲しいなあと思う派です。ほら、その方が男の子本当に興奮しているんだーって思えますし。シチュエーション萌えですね。
 
しかし一方、男性の裸体はほぼ0の作品も非常に多いです。
いわゆる「インスタントエッチ」というか、チャックあけてチンコだけ出すタイプのエロマンガ。このタイプはとっても多い。
何故なのか、と言われたらまずは男の裸見たくないから・描きたくないからでしょう。
先ほどの没入度の話でも書きましたが、できるだけファンタジーであってほしい、と思う場合、男の裸は現実に引き戻すマイナス要因になりかねません。
加えて、ほとんどのエロマンガは「抜きツール」という役目を担っている点がBLとの大きな違いです。もちろん物語を見せるための作品もありますが、「とにかく興奮したい」と言うニーズに応じるための作品の方が多いです。
そのため、本当にいらないものは極力切り捨てる、まさにダイヤモンドを生成する作業のような匠の技で、エロを追究する作家さんも多くいらっしゃいます。
追究する過程の中で、男性の裸体が絶対不可欠となる作品もあります。逆に男性なんて描く必要皆無という作品もありますし、男性が不細工であるほど女の子が引き立つという逆転効果を狙うものもあります。
 
こう書くと、男性向けエロマンガで男性の裸体は壊滅的なように思えるかもしれませんが、そんなことはないと思います。
 

●男が見たい男の体●

エロマンガにしろ、BLのエロシーンにしろ、「男が見たい男の体」ってのは描き方によってはあると思います。
ただし、それは「快感にむせぶ男性」ではありません。
自分は、女性・相手を引き立てる男性の体、だと思います。
 
ようするにメインじゃないんですよ。サブです。
エロマンガであれば、女の子がより柔らかく見えるための比較対象として、またその女の子が愛情を注いでしまう対象としてのキレイな男性の裸体は、究極的には相手の女の子が喜ぶ引き立て役として必要です。
BLの場合であれば、相手の心を包むための裸体であれば、見たいです。自分が気持ちよくなるため、じゃないんですよ。与える側の(と言っても「受け」側が与える場合も多々ありますが)器としてのカラダです。
 
悶えるのが見たくないわけじゃないんですよ。
悶える感情ならば正直、顔を見たい。
松本ミーコハウス先生の描く赤面とか、こっちがときめくよ…ほんと…。
男の赤面は、自分は男としても大好物です。そこはもうじゃんじゃん入れてくださいと言いたい。
 
コメントにあった「男のエリアに女が入ってくんな!」というのは自分はほとんどないです。じゃんじゃん入ってください。むしろ「大好きなもの」だから、エロマンガの話もBLの話も性差なくしたい。いや、性差は絶対あるんですけど、そういうのを交流するの面白いじゃないですか。あえていえばエロビデオコーナーに女性が入ってきたときの気恥ずかしさ、みたいのはあるかもしれませんが。
 
エロマンガ作家さんにしたって男性であれば、できるだけ女の子を描きたい気持ちもあると思います。漫画の描写方法という面でも着衣の方が画面的に面白い、という演出上の問題もあると思います。読者の需要も先ほど述べたように、そこまで大量に男性の裸を必要としていません。だから来年再来年レベルで変化することはまずないと思います。
しかし女性のエロマンガ作家さんで、ものすごくいい物語を、エロを描く作家さん多いわけじゃないですか。そういう作家さん達が「男性の裸体が出ることでエロティックさが増す」描写を積み上げていくことで、男性も女性も満足できるエロマンガって絶対出てくると思うんですよ。
きっとそういう作品も、出てくるはず。
 
はて、BLと対比するなら「百合」だと思うんですが、この二つは「エロ無しがいい」という層も非常に多いと思います。
しかし、エロ有りがいい、という需要も男女共に確実にあります。
もうそこはジャンルとして切り離していかないといけないんでしょうね、商業的には。切り離しながら、男が楽しめる作品、女が楽しめる作品とさらに切り分けられることで「頂点」へ向かう準備がやっとできます。
しかし、「どちらをも楽しませる」作品が頂点に向かうこともあります。エロさを心に刻みつける作品もあると思います。
それは恐らく作品の持つ圧倒的な説得力次第だと思います。
 

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色々書きましたが、一個人の意見なので鵜呑みにせず、サンプルの一つだと思ってください。
男性が男性向けエロマンガを読む時ですら、色々な目線があって一概に「これは興奮できる」と言い切れないので。
改めて自分でも、どういう目線でBLを読んでいるか再確認できたわけですが、やっぱり端的な問題として、たつかたたないか、というのはものすごいくっきりした指標になりますね。
心のチンコは割とさくさくとたつんですが、限界はあるようです。面白い面白くないとは全く別の次元の話です。
 
エロマンガに関して言えば、大量にエロマンガを読んでいる女性層もやはりあるわけで、そういう人でも「これはエロい」と満足させる描写の作品は多いと思います。それは物語だったり、女性の描き方だったり、男性の位置だったり、です。
むしろその点では裸体よりも「男性が思い浮かべる男性像」と、「女性の思い浮かべる男性像」の差異の方が大きな溝かもしれません。
 
追伸。
先日やった雑誌表紙の比較の記事で「なんでBLないのん?」という声がいくつかあったんですが、意図的に外しました。自分がはっきり知らなかったのです。アンソロなのか雑誌なのか分からないのが多くて…。もうちょっと調べたらエロマンガとBL雑誌の表紙はやってみたいです。