たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「たまたま男装した女の子」に、女の子キャラがときめく瞬間。

昨日の「みつどもえ」のひとはの男装について、友人と話していました。
話の流れ的には「女の子がくると吉岡のママが嫉妬するので、男の子の衣装で遊びに行った」というシチュエーション。
その時のこれこれ、このコマ注目です。

あくまでも「男装」をしているひとはに対して、吉岡の表情なんだか「びっくり」というよりも照れに近い物があるんですよ。ママの表情と比べてみると顕著に違います。
もちろんこれは、「ひとはが男装をしている」というのを理解している上での表情。あくまでも「普段は女の子らしい子」が「男装をしている」のを見ているシチュエーションです。
これを踏まえた上で、最初の扉絵を見てみます。

めっちゃ意識してるんですよね。
ひとはが読んでいるのがエロ本だから、というのもありますが、どうも先ほどのコマとの関係を考えてしまいます。
 
普段男装しているキャラや、いわゆる宝塚系ではなく、「普段は女の子だけどたまに男装するキャラ」が持ってくる破壊力は、読者に対してもありますが、友人である女の子達に爆弾をぶつけるようです。
ちょっと見てみたいと思います。
 

●女の子らしさが滲む、かっこいい男性●

まずはちょっと懐かしいところ、「ニニンがシノブ伝」から。

 
4巻の56話「忍、男になるの巻」より。
変装術の練習をしていたシノブが、大好きな楓(女の子)と男になってデートする夢を見て、その変装をしてみた、というシーン。


シノブの変装代わりと完璧なため、楓はシノブの変装だと気づいていません。
この時のセリフの言い回しがちょっと面白いですね。簡単にいえば「キザ」なんですが、こういうセリフは「※ただしイケメンに限る」ではすみません。イケメンでも場合によっては歯が浮いてしまう。
しかし、シノブという女の子が演じることで、楓がもうメロッメロになってしまいます。理屈どうこうではなく、ほぼ一目惚れ。割とさばさばしていて、誰と話すときもさっぱりしっかりしている楓なのに、このオーラに完全にノックダウンしてしまうんです。あまりない描写だったので、すごいインパクトあります。
その他にもシノブの妹分にあたる雅ちゃんもメロッメロに。一番一緒に長くいて見ている人ですが、一発一目惚れ。
 
このマンガは明解なギャグマンガなのですが、男装シノブに楓らがストンと落ちる様は非常によく伝わってきます。
先ほども書いたように、言っていることは明らかに歯が浮く特殊なセリフなんです。
でも惹かれてしまう不思議なオーラ。これが「ごくまれに男装する女の子」の持つ魔力の有様です。
 

●理想の男性像●

もう一つ「恋愛ラボ」より。

表紙の右から二番目にいる、黒髪の女の子真木夏緒。生徒会長をやっていて、下級生の女の子からも慕われている、女の子オブ女の子な外見の持ち主です。
しかし恋愛にあまりに興味を持ちすぎているのと、天然でネジがとんでいるため、親しくしてみるとトンチンカンであることも明らかに。そこがおもしろキュートな4コママンガです。
この通称マキは、「理想の彼氏」を妄想するのがほぼ日課。
そんな彼女が男装してみたら…。

通称マキオ。
これまた、「ただしイケメンに限る」どころじゃないキザなセリフっぷり。
しかし、「男に王子性を求めるタイプ」の女の子のツボを知り尽くしているわけです。頭なでちゃったり、褒めて欲しいところをずばりほめたり。こりゃー惚れる。女心が分かる、どころじゃなくて女ですし。
いわば、「女心が完璧にわかる理想の姿の男性」を再現するという荒技。
 
こちらは、男装した女の子であることが最初から分かっています。
分かっているのに、まゆげがかわいいちょっと気の強いエノや、おとなしくてドジっこなスズを一発で陥落させますマキオさん。
 
男性が演出する最高の男らしさは、確かにかっこいいですが必ずしも完璧とはなりません。
普段女の子女の子している子が、色々脳内で「完璧な男性像」を作った上で演じられる、たまにする男装の破壊力は、やっぱり抜群。
こと、いつも見知っている顔が思いもしないかっこよさを見せたときのドキドキ感もありますし、何より側にいたんだから当然自分のことを知っているわけです、そこをも知り尽くした上で配慮する優しさに触れたら、確かにノックアウトですわ。
「たまの男装キャラ」、恐るべし。
 

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恋に恋する乙女な時期ならなおのことですが、そうでなくてもちょっとドキっとする感覚と、それに付随する「おいおい私オチツケ・・・」というのは見ていてかわいらしいものです。
それでいて相手が女性、友人であるのを分かっていたら、恋愛慣れしていない女の子でも「未知の存在である男」ではなくて、女の子だから大丈夫という安心感もありますし。
 
加えて表現技法として、男装した女性キャラに友人の女性キャラがときめく、というのは、同時に「その男装がいかにきれいか」の指標でもあります。やはりリアクションがあると「ああ、この男装はかっこいいんだ」と読者にとってもわかりやすい記号になります。
 
ところで吉岡とひとはの間にフラグは立つんでしょうか。どうかなー。とはいえなんだかんだで「たまにした男装」へのときめきは、一瞬の夢なのがいいんですよね。