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「変わらない」んじゃなく「変えたくない」ぼくたちの関係。「キラキラ☆アキラ」2巻

曙はる先生の「キラキラ☆アキラ」がめちゃめちゃ好きなんですよ。
 
どーでもいいことではありますが、自分の女の子の好みの傾向が最近わかってきまして。
・元気で無駄によく動く。
・よくしゃべりよく笑うムードメーカー。
・だけど何気にきちんと色々考えている。
特に3番目大事な!!
とにかく元気っ子大好きなんですが、そういう子が何かを考えているのが描写されているともうキュンときて全身から鼻血出てしまうんですよ!たまらんよね!
逆に言えばあれですよ、色々考えられる子だから「元気」だという。
 
キラキラ☆アキラ」は題名の通り、ヒロインのアキラがキラキラな漫画です。
それがねえ。2巻になってどんどん味が出てきて、たまらんのですよ。かわいくて。まじで。
 

●自然な仲がうらやましくて●

あのこはぼくの部屋にやってくる(なわばしごで)。「キラキラ☆アキラ」 - たまごまごごはん

これは1巻のシーン。
ヒロインのアキラと。ぽっちゃりおでぶさんの林桃太郎(通称桃ちゃん)は、もうながーい付き合いの幼なじみです。マンションの上下に住んでいるので、上の階にいるアキラが縄梯子でいつも降りてくる、という関係で、そのまま現在16歳。先程のカットも実は16歳。
そう、二人の関係ってめちゃめちゃ幼いんです。掛け値なしにお互い「一緒にいようね!」というすごく純粋な仲。何かを打算することなく、お互い自分の体の一部のように一緒にいるのが当たり前な関係です。
彼女らの「高校1年生なのに小学生みたいに一緒にいる」という光景と、周囲から見た「どう見ても付き合ってない?」というギャップが、4コマ的に一番面白いところ。
どっからどう見ても、恋人同士の関係にしか見えないわけですよ。他の人から見たら。しかし二人はそんなことつゆも思っていません。お互いのことを恋人だとは決していいません。
あれ、本当に恋人じゃないんだろうか?
 
1巻では幼さの方が強調されていましたが、2巻になると他のキャラクター達がどんどんアイデンティティを確立していきます。
特に目立つのは、アキラのことが好きなアホな青島君と、漫画部で青島が好きで内気な牧さん。
いくら二人が「当たり前の仲」でも、それらの目から見たときアキラと桃ちゃんの関係はやはりすごく特殊なんです。

下が牧ちゃん。
読者の目は牧ちゃんにシンクロします。
分かってはいるんですよ。打算のない、特に恋愛とかの関係ない、本当につながった二人の仲だというのは。理屈では。
しかしそこに「男女の関係」を考えてしまうのはなぜなんだろう?
自分か?自分の目のせいか?どっちが「当たり前」なんだろう?
 
そう、男女関係や人間関係で「当たり前なんてない」ということにはっと気付かされてしまって、本当にドキドキするんですよ。
こうあるべき、こうでなければいけない、こうなって当然。それはあくまでも数の問題であって、実際そうであるかどうかは別問題。100人いたら100通りの人間関係があって、アキラと桃ちゃんの関係はふたりだけのもの。外野がどうこう言ってどうなると言うものじゃあない。
それは分かってはいてもさ。気になっちゃうんです高校生だもん。
気にしてしまう自分も、だけどなんかうらやましくてしかたない自分もいる。そんな一瞬がたくさんこの4コマには詰まっています。それが「キラキラアキラ」のキラキラの一つ目。
 

●君が側にいて欲しいから●

この作品、アキラがヒロインですが、彼女の思考はほとんど描かれません。
アキラは暴走がすごくて、アホで、純真で、元気。裏表の欠片もなく、誰からも愛される子です。そんなアキラを桃ちゃん視点や周囲の友人視点で眺めながら話は進んで行きます。そのためアキラの感情や思考は見た目絵から読み取っていくことになります。

桃ちゃんといるときは基本的に計算したり画策を練ったりしない、という絶対的な信頼関係が根っこにあるため、変に気を使う必要がありません。家族というか、本当に体の一部なんです。二人きりでいいムードになるよりは、二人で一緒にわいわい遊びたい!
かけがえのない存在だし、本当にお互い「好き」なんですが、そこに男女の関係は生まれていません。
歯がゆい!と感じてしまいそうですが、これが絶妙で、周りのキャラが歯がゆがっていても読者はこの二人が純真に遊んでいることですごく安心感が得られるように描かれているんです。なんとも不思議なんですが、それは文字で説明する説得力ではなく、パターン化された安定感にあります。
4コマって基本的に一貫したストーリーものじゃない限り、繰り返すことでにじみ出る面白さが存在します。だから一気にストーリーを作ろうとするよりも、繰り返し繰り返し人間関係をパイの薄皮のように重ねていくことで説得力を増します。アキラと桃ちゃんの、二人にしか分からない特別な関係もそれなのです。

「二人にしか分からない」関係ではありますが、基本的に桃ちゃん視点。
桃ちゃんにはアキラに対しての、「女の子なんだ」という感覚は芽生えてきています。しかしまだまだ他の周囲のキャラの感覚に比べればゆるい、という微妙なライン。一般的な「当たり前の関係」と「特別な関係」の間で揺れ動くキャラでもあります。
でも今まで何度も何度も繰り返した下地があるので、仮に何かが起きてもアキラの顔を見るだけで安定してしまいます。ここが絶妙。。
 
はて、「女の子としても好き」「友人としても好き」という桃ちゃんから見たら、アキラは本当にキラキラしています。これがキラキラの二つ目。
しかし「キラキラしている=完璧」とは限りません。
一見完璧っぽいんですよ。誰とでも仲良くなれるし、器用になんでもこなすし、はつらつとして凹んだりしなさそうだし。周囲はみんな「いい子だ」という目で見ます。でも「いい子」って結構大変なんです。

桃ちゃん視点で見ると、確かにキラキラしていますが同時に彼女が弱いことだってちゃんとわかっています。だってずっと一緒にいるのだもの。
振り回されることも多いけれども、「『強そー』なのはぼくでいたい」という気持ちが芽生えてくるのは、人間関係の成長のひとつの形でもあります。確実に一巻の時よりも、ふたりともちょっとずつ成長しているんです。
さてはたして、それをも超えて「男女の仲」にこだわらず二人の関係を保てるのだろうか?
 

●変えたくないもの●


アキラが何を考えているかというのは、言葉では描かれません。
ちょっとだけ、雰囲気だけでさらりと匂わせるだけです。これがもうね。あっちこっちから匂ってくるのにはっきりと明快な答えが無いから、いやがおうにも悶えてしまう!
ようするに、単なるアホの子じゃないわけですよ、アキラは。色々考えて、桃ちゃんとの関係もきちんと考慮して、どうしたらよろこぶか、どうしたらみんなが笑顔になるか、きちんと考えて行動出来ているんです。それを苦労だと思わず、がんばれる子なんです。
桃ちゃんの視点があるのでそれは分かるんですが、じゃあ桃ちゃんに対してアキラがどう感じているかというと、それははっきりは描かれません。描かれているのは、アキラの微妙な表情。これがもうね…いいんだ。すごくいい。一つや二つじゃない、とても複雑な感情の入り組んだ笑顔を随所で魅せてくれるんですよ。そこに彼女の感情の答えがあります。
 
アキラを好きな人間が出てきたりすることで、人間関係もじわじわ変化します。その中で微妙だけれども強固なバランスが保たれているのは、偶然なんかじゃない。

この笑顔!
桃ちゃんとアキラは、色々考え、試行錯誤した上で、二人にとって一番最善で幸せな時間を作ろうと、ちゃんと尽力しているんです。
「変わらないんじゃなく、変えたくないのかも」
いいセリフですが、「本当に?」と言いたくなる人もいると思います。すごくそのへん難しすぎる。あっけらかんとしているようで桃ちゃんもアキラも「難しい」のは承知の上。
でも二人が二人とも努力していれば、何かの真似をせず「ふたりだけの関係」を維持できるんじゃないかな。
そう感じさせてくれる安定感がとても心地いいんです。
仮に二人が結婚したりしようとも、多分この関係は変わらないはず。二人がそれを幸せだと思えるのならば。
 

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あのこはぼくの部屋にやってくる(なわばしごで)。「キラキラ☆アキラ」 - たまごまごごはん
 
アキラのかわいさが異常すぎるので、ほんと結婚したくて仕方ないくらいですが、なんせもうまぶしすぎるんですよ。キラキラすぎるんですよ。多分好きで仕方なくてもぼくはこの子に手を出せない。
むしろ、一生懸命アキラの笑顔のためにがんばれる桃ちゃん、桃ちゃんだよ!桃ちゃんかっこいいんだよ。デブだけど。アキラには桃ちゃんじゃなきゃだめだと本当に思わされる説得力がすんごく心地いい。
そんなわけで、というわけじゃないですが、はつらつとしつつも常識人で空気の読める、友人の坂口さんに一票。2巻の右の子です。割とクールな子なんですが、彼氏ができたお姉ちゃんの部屋でベットに寝そべったとき、色々意識して赤面したシーンがエロすぎました。主人公二人が純真な分、周囲からの意識が思春期すぎて性のにおいばんばんするのがなんとも生々しくて、いいんだなー。