たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

あなたはサンタクロースを信じますか?「みつどもえ169卵性」

いきなりですが、今回のベストコマはここだと思ってます。

クリスマスを破壊せんと企むだめな海江田先生。もうすぐ三十路。
まあこの世界だから三十路にはなりえないんですが。逆に永遠に29歳で「三十路」っていわれ続けるのも、ある意味地獄のようです。まあ、わかる、わかるのぜ。クリスマス中止のお知らせをしたいその気持は。
個人的な趣味として、こういう「ダメな先生」はすごく好きなので、後ろから抱きしめて「同情なんていらないのよ!」「同情じゃないよ、君とクリスマスを過ごしたいんだ」「えっ・・・」というのを勝手に妄想してニヤニヤしていました。妄想するのは自由なのよ。まあぼくは宮下と過ごすけどね。
ダメ女独身教師…本当にツボなんですが、サンタの夢をばらすのはやっぱりダメだと思いました。うん。だめだな。うん。
こんなところにラスボスがいたとはね。
 

●4回目のクリスマスの継続性●

みつどもえ世界のクリスマスも4回目です。
一回目は2巻の29卵性。2回目は4巻の76卵生。3回目は7巻の124卵性。
ここで注目すべきは、6年生という時間をループしつつも、人間関係は進歩しているところです。

なんと二回目の登場となる千葉サンタ。
千葉サンタが初登場したのは2回目のクリスマスなんですよ。龍太にサンタを信じさせるために色々な子がサンタの真似をしたはいいものの、千葉サンタが一番しっくりきたというのが76卵生です。
それを引き継いでのクリスマスで、今回(169卵性)は彼がサンタの衣装を最初から着ているんです。
いわば、千葉氏、龍太のみならず、全員が「前回のクリスマス」というのを認識しているんです。
 
実はそのへんの、時間だけループして心理状態はループしていていないのはもう一点からもわかります。
今回龍太をかばうためのサンタ作戦に集っているのが、丸井家ではみつばしかいないんですよ。これは2回目の千葉サンタ回も同様。
実は1回目と3回目がつながっていて、1回目で「ふたばがサンタを信じているのでひとはがサンタ役をやる」という展開、3回目で「ひとはがサンタを演じるとバレるので、ふたばにプレゼントをあげる役目をやべっちがやる」というルートが出来ています。
ようするに、今回ふたばとひとはが出てこないのは、丸井家でふたばがサンタを待っているからに他なりません。
4回目である今回は、1・2・3回目すべてを引き継いだ上で、
・千葉サンタが龍太にプレゼントを渡す役になっている
・ふたばはサンタを信じているので家でもう待っている
という状態から今回が始まっています。
加えて、今回途中からしんちゃんと千葉氏が来ているので、3回目にあった合コンという名のクリスマスパーティーはなかったようですね。ひとはもそれなら家にいる可能性大です。
 
友人が、みつどもえ世界はいわゆる「サザエさん時空」とちょっと違うんじゃないか?という話をしていたのですが、今回は特にそれを感じました。
時間だけは6年生ですが、人間関係は確実に積み重なっているんですよね。
何がすごいって、それだけ人間関係の進歩や成長が見られるのに、「6年生」という枠からはみ出していないことでしょうか。
うーん、こういう不思議時空はなんて呼ぶべきかしら。
 

●みんなでサンタの夢を守りたい。●

面白いのは、全員が龍太の「サンタはいる」という思いを守るために奮闘しているところです。

メンバーはご覧のとおり。隠れているのは千葉サンタ。
まあ、みっちゃんは杉崎家の食い物目当てで来ている、と言う方がみっちゃんらしいので置いとくとして。チーム杉崎の宮下・吉岡の付き合いのよさはもちろん、しんちゃんと千葉氏の付き合いのよさにはちょっと頭が下がります。
だって、龍太に夢を見せるためだけにわざわざクリスマスの夜にやってくるんですよ?これやちょっとすごいことじゃないか?
 
この世界でサンタを信じているのは、登場人物では龍太とふたばのみ。
すべてのキャラが、それを守るためにびっくりするほど努力します。海江田先生(29)以外、全員が粉骨砕身しまくる様はちょっと感動的。笑うところなんだけど、笑えないよ! これ愛情だよ!?

杉崎みくはとても弟思いのいいお姉ちゃんなので、これだけ気にかけてあげるのもわかります。
二回目のクリスマスの時は「ご馳走したんだから」という理由でしんちゃんと千葉氏を呼んでいますが、今回はご馳走一所に食べてすらいません。完全に千葉氏としんちゃんの善意です。
 
サンタはいるかいないか、と聞かれて「いるわけないじゃん」というのはまあそのとおり。
でもいざ大人になってみると「サンタっているんだよ」と夢見せたい、という気持ちもまた沸いてくるのが分かるようになりました。
ようは、「ありえないものに空想を働かせる」「夢をみる努力をしてみる」という行為そのものがすんごく尊いんですよ。大人になると下手に知っている分できないドキドキってあるじゃないですか。
サンタが来るって信じてワクワクしたあのときめきは、子供の時じゃないと手に入らない。
だから、それを作ってあげたい。そんな思いがこの作品全体に備わっている気がするんです。だからキャラ達もそういう行動を自然ととります。
ひいては、ガチレンジャーに本気ではまる大人や子供を描いたりするのも、エロ本を河原で広ってワクワクするのも、同じことなんじゃないかと。
今回の話も色々ありつつ、龍太はサンタを信じて幕を閉じますしね。龍太のクラスの子たちも「サンタなんていない」って噂しているにも関わらず、龍太だけはあらゆる人の愛情でサンタを信じることができた。できたんだ。
そうとも。
サンタは、いていいんだと思うんだ。
 
ネタバレになるので言いませんが、「子どもたち」が「さらに幼い子」の夢を守ろうとしていたのを、最後の最後に死守してくれた人物こそが、この「みつどもえ」という作品においての作者の思想そのものなんじゃないか、と思っています。
 

●それぞれのクリスマス●

はて、今回はいつものメンバーだけじゃなくて、その他のキャラのクリスマス模様も描かれています。

まずは杉ママ。
みんなが遊びに来ているのに酔っ払って寝ているというね。
なにこれエロすぎるだろ。
しかも、仕事で忙しくて帰ってこないパパを夢見て、帰ってきたのと勘違いして大喜びするとか…。
…たまには人妻もいいね!
結構素でキュンときました。
 
もう一方、佐藤が好きでしょうがない隊。


彼女らに、クリスマスパーティーなんて不要なようです。
佐藤のいないクリスマスなんて無駄だということですね。クリスマスイブにストーキングとはなかなか凄まじい怨念を感じますが、特に怨念すごいのが。

伊藤さん。
簡単に人を殺せそうな目をしています。普通に怖いよ。
うーん、ラスボスは海江田先生(29)か伊藤さんではないだろうか…。そろそろ暗黒伊藤さん回が来そうな予感がします。
 
 


みつどもえ 1 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 2 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 3 (少年チャンピオン・コミックス)
みつどもえ 4 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 5 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 6 (少年チャンピオン・コミックス) みつどもえ 7 (少年チャンピオン・コミックス)
みつどもえ8巻発売中!
Made in USSR : みつどもえ169卵性 メリークリスマス、アゲイン!/目の付け所が佐藤

新情報は杉崎家のパパがニューヨークにいる事。麻里奈ママも子供二人抱えて家を守って実は大変なのかもしれません。パパにラブラブの様だし。

ですよね。みつどもえは思わぬところで情報を、間接的にもらすからあなどれないです。
  

アメリカの新聞社に届いた「友達はサンタクロースなんていないと言っています」という手紙に対しての答えが書かれた素敵な文章。名著ですね。