たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

ふたばにプライドが芽生えはじめました。「みつどもえ171卵性」

今回、衝撃的なコマがありました。


ふたばが!
ふたばが、照れてる!
しんちゃんのフォローで照れてる! 
今までにないリアクション…ついに彼女の中の「女の子」が目覚めたのか?
勝訴!勝訴です!
 
とまあ一回目見たとき浮かれていたのですが、よくよく見ていると「あれ?」となりました。
どうも彼女の中に芽生えたものは簡単なものじゃあないっぽい。
 

●ふたばのアイデンティティ

さっきのコマだけだとわかりづらいので、どういう流れでこうなっているか2コマ続けて見てみます。

「ち、違…勝手にこんな形に!!」とは言っていますが、しんちゃん、男前ですよね。かっこいい。
これ別にしんちゃんがふたばを襲っているわけじゃなくて、ふたばが転びそうになったのを支えているシーンです…ん?やっぱり素敵じゃないか。
 
はて、この時のふたばのリアクションは、今までにないものでした。
幼い頃からの「しんちゃん大好き!」と全く変わらないふたば。
何もなければおそらくここでこういうリアクションは取らないでしょう。
だからこそこのシーン見るとちょっとドキッとするんですが、どうも彼女の心中では「しんちゃんが自分をたすけてくれた」というのは比重が重くなさそうです。

その後のシーン。
青ざめるふたば、というのは今までほとんどありません。人間関係で落ち込むことは何度かありましたが(伊藤さんの回など)、青ざめるのは相当珍しいはず。
 
ふたば本人は、とても空気の読める子です。
というか、読める読めないというよりも「読もうと努力できる子」です。みつば、杉崎、宮下あたりが空気読まないところにおいてのいいバランサーになっているのがふたばです。
ゆえに、欠点として「目立たない」。自己主張しないですしね。
自分の我を通すよりも相手を優先。とはいえ自分を押し殺しているわけではなくのびのびと生きている。
まさに理想的な生き方をしているふたばさんでした。
 
ふたばの優等生ではない「良い子」ぶりは、とても愛らしいです。
その「良い子」というのは、今まで彼女の中のプライドとかが発露していなくて、発達段階的にアイデンティティが明確では無かった、とも言えます。
今回幼い子を見ているような愛らしさに近いんだ、というのが彼女の自我の目覚めで気付かされることになります。
上のしんちゃんに対する「ごまかし」は、彼女がその自我の目覚めに困惑している証でもあります。
 

●ふたばのプライド●

ふたばは、ある意味都合のいいキャラでした。
なんせ素直な行動を取ってくれるし、逸脱をしても人の心理に踏み込むことをしない。
逆に彼女の心理にずけずけと誰か(例・みつば)が踏み込んできても怒ったりしませんでした。自分的にギョッとしたのは今までふたばの描いたマンガがみつばやひとはに破られたり捨てられた時、ふたばがピクリとも怒らなかったこと。「それ怒るところだよ!」とこっちが思っても、ふたばは怒らなかったのです。
タフとも言えるし、単に気にしていないだけとも言えます。このへんは余り詳細に描かれていませんが、他のキャラから雑に扱われていたのも事実です。
ひっくり返せばそれだけ信頼されている子だ、ということでもありますが、ふたばだって成長しているのです、あまりにも雑に扱われたらちょっとかわいそう。
 
今回は彼女が靴を履けないという以前描かれていた弱点から派生して、スポーツが出来ないという事に対する彼女の中の歯がゆさが描写されています。

「悔しい」という語がふさわしいのか。一言では表しづらい感情です。
彼女は自分の言動やマンガやファッションについて人から言われても、人から理不尽な命令をされても、決して嫌な気持ちにならなかったわけですよ今まで。しかしスポーツに関して人に負けることで悔しさを今回はじめて感じているのです。
実際6年3組のクラスの子達で、ふたばにかなう子はいません。ダントツトップです。
特にトップであることを気にするタイプの子ではないんですが、気づいたら彼女の中に「スポーツではトップでいたい」という思いが芽生えていたようです。
 
面白いのは、それが自我の芽生えだとふたば自身が気付いていないことです。
「今まで味わったことのない」経験なんです。
今まで彼女が怒らない性格の持ち主だったのは、事実なんです。人のタメに気を使って怒らなかったんじゃなくて、怒る気持ちがわかなかったんでしょう。
しかし今回彼女は胸にモヤモヤを抱えます。特にこのカット、ひとはがスケートを滑れるのに自分が滑れない、というシーン。嫉妬なんですよ。
確かに今まで、ひとはに対してお姉さんだったふたばです。ひとはに自我が生まれて困惑していたとき、手を伸ばしたのはふたばでした。人の輪にひとはが入れるように手を引いたのはふたばでした。泳げないひとはを指導したのはふたばでした。一応今までずっとひとはにとっての「お姉さん」でいたのです。
気づいたら、するっとすりぬけていったひとはを見て、得も言われぬ感情に襲われるふたば。

ひとはの言葉をわざと使って当て付けているのも、ふたばという子にしてみたら相当に珍しいことです。そのくらい、彼女は自分の気持ちに気づいてショックを受けているんですよ。
 
別に嫉妬してひとはを嫌いになったとかでは全く無いです。
ただ、モヤモヤが生まれるというのは彼女に取って大きな成長の一歩だと思います。
雑に扱われ続けていたふたばが、ここにきてようやく「自分の意思」「自分のプライド」に目覚めます。
今後彼女は人のためだけでなく、自分のやりたいことをはっきり言うようになっていく可能性もあります。しかし根はやさしいふたばです、今回のラストのコマでもコケたみつばをおんぶして帰ってきています。だから人に対しての接し方はきっと今後も変わらないはず。
ただ、「好き」「嫌い」「嬉しい」「悔しい」を彼女がはっきり言うようになったら、周囲の関係はきっと変わってくるんじゃないかな、と思うのです。
 

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にしてもみっちゃんは相変わらずですね。
誰かが成長段階において不安定になったとき、他のキャラは安定している、というバランスを保っているので安心できるのはさすが。
 

 
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今月のメガミマガジン、びっくりしましたよ。もうみつどもえのグラビア載ってるの!
はえー。チャンピオンですら載ってないのにはえー。
グラビアになってもみっちゃんは低重心の変顔で素敵でした。