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マイナス×マイナス=プラスになるなんて考え方でもいいんじゃないの?「ネガティブツインタワー!」

【レポート】「日本オタク大賞2009」開催! 「1/1ガンダム」、『ヱヴァ破』に競り勝った大賞は!? | ホビー | マイコミジャーナル
日本オタク大賞2009の話題に、小林ゆうさんが出ていて吹いた。なんとなく理解は出来るけども。
そんな小林ゆうさんがヒロインの声を当てている、音声付きマンガが公開されています。
「ネガティブツインタワー!」という作品。拳の効いた小林ゆう節バリバリです。
FlexComix Web|ネガティブ・ツインタワー!(+Voice)
作者はけものの★先生。この方といえば肉感的でふわふわハッピーなエロマンガを描かれていた作家さんです。むちむちぷりん+ケモノ。これはエロじゃないです。
基本設定としては「でかくておっかないかおの女の子が実はコンプレックスに苛まれている」という話なんですが、それが×2で倍になっているのがかなり特殊。まさにツインタワー。
一見恐ろしく見える二人の女の子の、うまくいかないコミュニケーション奮闘記が、次第にじわじわと「二人のつながり」に変幻していく有様がものすごくいいんだなあ。
 

●大きな二人●

ネガティブ・ツインタワー! 1 (Flex Comix)

表紙絵の二人が一番雰囲気としてはわかりやすいと思います。
背が182cmの長身を誇る二人は、他の生徒にはこう見えているはず。右が無表情で口数が少なく、眼光で人をびびらせる宍戸真琴。左が無差別に攻撃する強烈な破壊力の持ち主兵頭要。
どうみても凶暴なんだけど実はとてもかわいい…というのは定番のネタではあります。

真琴が無口で冷たい眼力を持っているのは、単に照れ屋なだけ。
相手に対してどんな反応をすればいいのか、分からないだけ。
うーん、マンガの視点は神の視点になるので、彼女たちの正体が分かっているからどんな失敗でもかわいく見えますな。
 
「他の人とのコミットの方法が分からない」キャラクターは色々いると思います。
しかし「コミットする気が無い」のと「コミットしたいのにできない」のでは全く意味が違います。この二人は間違いなく後者。
これが一人で、もう片方が手をさしのべる側であれば割とよくある話なんですが、面白いのは二人とも「コミットしたいのにできない」ということでしょうか。
傷を舐めあうと言うより、気づいたら一緒にいたと言うか。まさに背の高さ的にツインタワー。
マイナス思考の平行線っぷりもツインタワー。
 

●世界が私を拒絶している●

基本コメディなこの漫画を読んでいて、やりきれなくなってジワジワくるのがこのシーン。

「怖い」と恐れられていたり、本人達も人に声をかけるのが苦手なので、教室にいられないわけですよ。それで二人して昼休みはこそこそと体育準備室へ。
ちょっとこれは見ていて辛いぞ。いや笑うところ?
 
彼女たち、決して孤高でありたいわけじゃないんです。
友達だってたくさんほしい。彼氏だって普通にほしい。談笑しながらみんなと楽しく過ごしたい。でもできない。
努力だってしています。人と話すとき笑顔になるための訓練とか、相手に送るメールを色々考えるとか。
でもできない。
 
「ネガティブ」と題名についていますが、実のところ本当の意味でネガティブなわけじゃありません。「私なんてもうだめだ・・・」と落ち込んでいるわけじゃないです。どちらかというと、誰かと友達になるために努力は惜しまない方なのでプラスともいえます。
しかし、最後の最後の!つめが!マイナスなんですよ!二人揃って!
具体例。

このシーン、ひょんなことで知りあってしまった女の子と友達になるべく、初めてのメールを作成しているシーンです。
二人で。
たかがメールされどメール。その一通に人生のすべてを託す勢いです。
しかし、いざ送る段階になって二人の中のネガティブが芽を出すんですよ。
ひょっとして「メル友になる」だなんて、全部嘘なんじゃないだろうか?
「マジになんなよ」と笑われるんじゃないだろうか。
そして押せない、送信ボタン。
 
まあ笑うところなんですが、自分にも全く無いとは言えないので、いい意味で笑えない。
この二人の思考回路の根っこには拒絶への恐怖があります。
もっとも「見た目が怖い」という意味で拒絶され続けている二人だからなおのことではあるんですが、やはり「誰かに信頼されたことがない」というのが一番の要因でしょう。
ささいな拒絶でも、人の心を不信にさせる力は十二分にあります。
 
「この世界は私を騙そうとしているのではないだろうか?」
実はみんな知っていることを私だけ知らない。実は一生懸命やっている自分のことをみんな指さして笑っている。
どんなに前向きなスイッチを入れていても、一旦ここでひっかかるとネガティブにスイッチが切り替わります。
自分も割とそのスイッチが入りガチで、高校時代は色々やろうと動いたものの、最後の一歩を踏み出せず足踏みして後悔したものです。
 
何もネガティブスイッチが入るのは特別なことではなく、結構多くの人が大小の差こそあれ経験していることかもしれません。
問題はそこからどう脱出するかなんですよねえ。
一番いいのは信頼に値する友人関係を自分から作っていくこと、なんですが、それは小学生時代に経験している人も入れば、大人になってようやく経験する人もいます。下手したら大人になってから裏切りにあって、心に壁を再度作ってしまう人だってたくさんいる。
ここで、「ん?」とハテナが浮かびます。
この漫画のヒロイン…一人じゃなくね?
 

●マイナスとマイナス●


この二人、二人きりだとものっすごいキュートなんですよ。
女の子らしくて、イキイキしていて、自分の好きなことを何でも言える。お互いが心置き無く付き合える、そんな仲です。
右側の要はどちらかというと積極的な方なので、真琴に自分の希望をバンバン言えます。まあ暴走しては失敗を繰り返すので、他の人には緊張して何も言えないんですが。
しかし左の真琴がちょっと興味深いです。
顔が怖いだけで、彼女はものすごーくいい子なんです。要は割と「自分がこうなりたい、こうしたい」という欲求が強いんですが、真琴は「人に迷惑をかけてはいけない」「誰か(要とか)に幸せになってほしい」と思いやりがものすごい強いんです。だからといって自分を卑下するわけでも、見返りを求めるわけでもない。
そんな真琴と、がんばっても空振りばかりの要が、額を寄せ合い悩みに悩んで「誰かと仲良くなりたい」と思う気持ちは、笑いどころなんだけど笑えないよ!
このへんがこの作品のさじ加減のうまいところで、笑っているうちにどんどんこの長身少女二人が愛しくなってくるから大変。
 
二人の思考は同時にマイナスのスイッチが入るので平行線です。
平行線ではあるけども、ベクトルは微妙に異なっています。極めて似ているけど異なっています。
まだ二人は気づいていませんが、それぞれシャイで内気でネガティブだとしても、一番信頼してくれる人が、一番信頼する人がそばにはもういるんです。
1巻の最後のおまけページでちょっとだけ触れられていますが、実は二人にとって誰かと新しいコミュニティを築いていくよりも、側にいる相方のことを心から感謝する方が、二人にとって大切な成長なんじゃないかなあと思ったりしました。
最新話もまた二人の関係にちょっとだけスポットが当たっているので、今後が楽しみです。
勝手な希望としては・・・二人のケンカ回とかみたいなあ。ケンカしないとさらなる人間関係に踏み出せないよ、ねえ。
 

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はて、けものの★先生といえば、フェティッシュあふれる女の子描写です。
今回は「長身少女」ですが、これがもうかわいい。

特に長身好きじゃない人でも、余裕で目覚められるだけのパワーあるよ。
長身故のかわいらしさと、ギャップ萌え。両方を詰め込んでいるからニヤニヤできます。
けものの★先生らしいキャラといえば、1巻後半にでてくる玉留ちゃん。

けものの★先生が我慢出きなかったようです!(耳とか
待ってました!というキャラ造形。ちんまくて、小動物っぽい動きで、よく動いて、感情豊か。うーんかわいい。かわいすぎる。
今後彼女の出番がどうなるかわからんですが…。
 
FlexComix Web|ネガティブ・ツインタワー!(+Voice)
ネガティブ・ツインタワー!最新話

 

エロマンガはさらに肉感的でフェティッシュですが、POPでかわいらしいのでエロマンガの入門編としてもいいのではないかと思います。
個人的には、たまに描かれるけものの★先生のロリ漫画が大好きでしてなあ……是非そっちの路線も続けて欲しいのですが、「ツインタワー」も面白いので両方ガンバッて欲しいところです。