たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

エロスと物語を楽しもう! 2009年エロマンガマイベスト、ストーリー編

ようやっと2009を振り返る余裕が出てきたので、ここで「たまごまご版、2009エロマンガベスト」を挙げてみます。今回は物語メインに選んでみました。
エロマンガの話ですので収納。
 
 
ちなみに自分はこういうのに順位をつけることが出来ない人間なので(いいものはみんないいよね、ということで)列挙形式で行きます。
、自分は最近どうも「セックスには何かしらの背徳感がある」「性によって幸せと同時に問題も生じうる」という感覚を持っているっぽいので、そういう物語を求めている傾向があるのを先に書いておきます。その上で見ていただけると幸い。
あとおっぱい大きいのがめちゃくちゃ少ないんですが、そのへんはなんというかごめんなさいな感じ。すいません。
 

当然のごとく選びます。町田ひらく先生の今まででもっとも長く、そして行き場のない大長編の完結編。性と死が紙の上一面に広がって、ラストはとんでもないところまで行ってしまう展開が強烈です。
最初期(「黄泉のマチ」)は男たちが女の子を延々と、それこそ死ぬんじゃないかと思わされる状況まで追い込むわけですが、気がつけば性欲に満ちていた男たちは、少女たちの許容によって生かされているのでした。
ほら、おれの性欲、笑われてるよ。
ちなみに「町田ひらく先生作品で抜くのは無理だ」と自分も最初思っていたのですが、むしろそこでダメな男どもとシンクロして、事を終えた後に「なんてだめなんだろう、なんて滑稽なんだろう」と絶望に打ちひしがれながら、美しい少女を夢見るのが楽しみの一つだと理解しました。
大人の贅沢な遊びです。
 やあ女装作家くん、なんでエロマンガを描くんだい?「姉と女装とエロ漫画家」
女装大好きTS大好きなエロ漫画家、幾夜大黒堂先生の長編。
女装をしたまま女性に襲われる、という夢のようなシチュエーションを再現して性癖を満たしてくれるなかなか類まれな作品ですが、同時に物語が進んで行くにつれ、「エロマンガ」というジャンルに対して向かっていく主人公の様子の熱さに飲み込まれます。
「謝罪なんかいらない、必要なのは完成原稿よ、こっちも描く気のないヤツの相手をしているほどヒマじゃないわけ」にはぐっさりきました。
主人公や周囲の漫画家の名前がペンギンクラブのメンツそのまま。それらの点のニヤリも含めて、初めての単行本が出るまでの道のりと興奮とエロスを描いた傑作。
ちなみに幾夜大黒堂先生が今連載しているトランスセクシャル漫画がものすごいので、TS好きな人は見れ。まじで。
 アクションファンタジーエロ漫画の決定版。
なんといっても、ファンタジー世界舞台でありながらも基本ラブラブエッチ中心なのが素晴らしい!基本に愛があるので、安心して読み進むことが出来ます。
それでいて相当熱血分の多い作家さんでもあるので、ファンタジーアクションも非常に精巧な絵柄で描き出します。
ファンタジーストーリー部分が過剰になりすぎず、えっちシーンに飲み込まれすぎず、とてもバランスの保たれた優秀な一冊。表紙に惹かれたら安心してオススメ出来る一冊だと思います。
とりあえず「ほそっこいロリエロのラブラブ」が見たければまずマチガイなし。
 人にあらざるものを、なぜ愛するのですか?「たくらまかん動物園」
ゾンビ大好き人外大好き田倉先生。ぎりぎり2009年、ですよねたぶん。
漫画だから描ける人体改造された女の子たちのキュートなエロスはもちろんのこと、「人の命ってなんなんだろう?」という、エロマンガの根底に流れている一つのテーマを死体をヒロインに据えることで描いています。これも作者の主張とエロのバランスが絶妙な上に、きちんと読み終わった後笑顔になれるのが見事。
 表紙にもいる、前髪パッツん、基本すぐ怒りだしそうな委員長がヒロインの中編。
ツンデレというよりもクーデレに近いようなヒロイン宮代がもうかわいくて仕方ない。真面目だけど一応エロいことにも興味があって、セックスを「性行為だ!」と言い張るあたりもめんこくてなでなでしたくなります。多分なでたら噛まれるけど。
最初は興味本位だけれども、どんどん恋愛に代わっていく様がとても丁寧。読み進んで行くにつれて「都合のいい女の子」から「かけがえのない女の子」へと変貌していくはず。擬似恋愛体験ここにあり。
宮代は人気があるようで、最近またMUJINで復活してましたね。「私たちは全裸での経験がないな」とか言って。ひーかわいい。委員長キャラ好きなら必見。
 まるで少女漫画のようなエロマンガ。とにかく「妹」という存在を徹底して透き通ったモノにしており、そこにあるのはひたすら純粋な「求め合う兄妹」の姿。
特に短編「I Can't Fly」なんかは傷を舐め合い二人でクローズドな世界に没頭して行く、光の見えない瓶詰地獄状態ですが、それでも体を、心を求め合います。さみしいよ、すきだよ、だいすきだよと。
「Stay」シリーズは、オーケンの「ステーシー」のように「捨て妹」を拾い愛する不思議な話。しかし「妹」という表象を心から愛そうとする人間像には自然と頬が緩みます。この独特な、ハッピーエンドにみえて本当はどうなのか分からない近親相姦の世界を、ふわっふわの砂糖菓子でくるんだ手腕には恐れ入ります。
 ツンデレ声優とか的な夢を我らに与えたまえ!「ぼいトレ!」
「木野里志(きのさとし)」と小学生の声優「針美谷エリ(はりみやえり)」が繰りなす恋愛模様。はいどっかで聞いたことあるよその名前!
声優さんへのラブラブドリームを、どこかで見たようなアニメみたいなシチュエーションで漫画化したこの作品、ロリエロとしての需要もきちんと満たしつつ、PONPON先生らしい鬱展開から復活に向かって爆進する熱さもたたえた熱量高い一冊。コミケでは同人でこの作品の外典的なものも出ていました。
ここまでストレートに愛も熱も伝えられるのはよいものです。
 浦井民先生の「Hole Sweet Hole」が持つ、悩める性への感覚の世界。
「ちんこもぐエンド」が印象的な浦井先生の長編が、これまた強烈な展開でびっくり。
人間の体はドーナッツだ、とか、ドーナッツの穴は穴として存在してるわけじゃなくてドーナッツが存在するから穴足り得るのだ、という不思議な言い回しとシンボルを多用しながら、少年少女の行き惑う道のりを描いた作品。
「子供同士でセックスしてはいけない」という理念が先にありきで物語が展開していくため、非常に読んでいて困惑を覚える作品でもあります。確かにそれは心に引っかかり、人に迷惑をかける行為になってしまった。だけど理屈じゃない部分で、逃亡する二人の姿には共感出来る不思議なお話。
他の短編も読んでいて不思議な後味が残ります。性やセックスについて何か考えさせられるものが、明確ではないけど形になっているそんな作品集です。
 オチに何が来るのか、読んでいていつもビクビクさせられるハッチ先生。血縁ロリ物で恐ろしい刺を撃ってくる作家さんです。
あとがきでも作者さんが書いていますが、「ロリ漫画雑誌です」という前提の上にその中で描ける作品っていうのがあるんだなあと実感させられる作品集でもあります。ロリコンであることの背徳感や、近親者のセックスを見ることの後ろめたさ、ハッピーにならない性の在り方…。それらはロリコンに向けて描かれているから力強い声を放ちます。
「のりちゃん」のギリギリ感、「雪解」の逃げ場の無い密閉感、「腐の遺伝子」の性の昏倒感。迂闊に手を出すと噛み付かれるんですが、いっそ噛み付かれちゃえばいいと思います。

 

セックスが描き出す一瞬の快楽と日常のリアル。「彼女が恋人を好きになった理由」

リビドー編に入れるべきがストーリー編に入れるべきか迷って、やっぱ物語ありきだよなあと思ってこちらに。
何にせよ2009を語る上で欠かせない漫画だと思います。ほら、アニメとか漫画で日本の田舎よく描かれるようになったじゃないですか。なんであんなに田舎に惹かれるのか、日常描写に惹かれるのかを性の視点から切り取った作品だと思ってます。ほめすぎですがそのくらい、よく捉えられています。
MARUTA先生は性を日常の一環として描き、何もかもがセックスで解決されるわけではないことも紙の上で雄弁に語ります。人生の中でそういう瞬間があって、興奮したりしたとしても、それはそれ。感情の転機にはなれども、問題の解決にはなりませんし、むしろ問題を産むこともあります。それでも性に惹かれて行く、幸せが欲しいと叫ぶ人間の淡々とした日常が魅力的すぎるのです。
 

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まだ買ってないのですが、多分買ったら間違いなくラインナップに加えるであろう本がこれ。

最初から女性が「便器」という職業に徹し、完全にモノ扱いされながらもその中で肉便器としての職業を全うし、仕事を終えたときには「よくがんばったね」と褒められるというかなり異質な作品。エロマンガの面白さがダイレクトに生きている作品です。
 
追記・買ってきたです。
やはり一番のポイントは、強制ではなく自らの意思で選択して、立派な仕事として肉便器になるというところだと思います。
表紙の通りエロはドギツイので万人に勧める作品じゃないですが、読み終わったあとなんだかほっこりできる不思議な作品。短編のほうも徹底的に女性をものとしてあつかっていながら、女性側がその世界でしっかり生きているのが面白い。
 
去年と同様、明日には「リビドー編」をまとめてみようと思います。
続き・性の快楽の開放を夢見て! 2009年エロマンガマイベスト、リビドー編
 
2008年、エロ漫画はエロあってこそ!エロ漫画の持つ底力を見た! ストーリー編
2008年、やっぱりエロ漫画はエロくて気持ちよかったぜ! エロス編
 
こちらも参考に是非。
デジタルニューススレッド : 2ちゃんねらーが選ぶエロ漫画大賞2009
ヘドバンしながらエロ漫画!  2009年エロ漫画私的ベスト20作