たまごまごごはん

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杉浦ちんぽみるく次郎先生の「ドナドナ」二話は、12ページまるごとキスシーン!

鶏と豚が目印!
今月のLO読んだよー。
はっきり言って今までの比じゃないくらいアダルトコーナーで浮いていました。すごい目立っていました。
表紙が「インフルエンザにかかればロリコンだって死ぬのよ!」と名言すぎるキャッチコピーが付いていますが、これを見た友人曰く。
「インフルエンザじゃなかったらロリコンは死なないの!?」
もっともで。
 
で、一応はエロマンガの話なので収納。

 
 

●キスシーンだけの漫画●

杉浦ちんぽみるく次郎先生の「ドナドナ」二話が本当にいい。
 
っていうかペンネーム長いよ! インパクトありすぎだよ! なんでこんなことに!
pixivでのネタらしいですが、もはやこのインパクトの前にはどうでもいい。なんていい響きなんだ。
とはいえ長いので、以下「杉浦次郎」先生で行きます。
 
LOという雑誌はエロマンガ雑誌なわけですよ。
ロリな子とのセックスメインな本ですよ(除く「マコちゃん絵日記」)。
ところが今回の「ドナドナ」二話、12ページほどあるんですがなんとセックスシーンが全くない。
今までも「挿入」がない漫画は色々ありましたが、何がすごいって12ページまるまるキスシーンだけなんですよ。
もっと正確にいえば、一応キスに至る前やキスの後の描写はあります、ありますが9ページは唇がくっついたままです。
 
最初はものすごいびっくりしました。
あれ? エロシーンないの?と。
しかし、見れば見るほどじわじわ胸に来る。
エロマンガがもたらすものの一つは「性的興奮」。そして「多幸感」です。
男女がまぐわうシーンを見てオナニーがしたい、というのはもちろん重要な目的の一つですが、「多幸感」型のエロマンガは同時に体を絡ませるシーンを見て心を絡ませる感覚が得たいわけです。心が絡むのを感じて幸せになりたい、そんな気持ちに答えるんです。


ならば、この12ページの作品は、とてもエロティックで幸せに満ちたエロマンガだ。
キスをするということは、こんなにも性的な行為なんだ。
 
このヒロイン、ナドナは唇を激しく求めます。
最初は「イチャイチャするのが憧れ」といって唇をやさしく重ね、次第に吸い付くように唇を重ね、舌と舌を絡めます。
男性器と女性器を絡めるシーンは一切ありません。
しかしナドナに強烈な快感が流れ込んでくるのがきっちり描写されるのです。
ああ、なんて幸せそうなんだろう。
そして、なんでこんなに読んだ後満たされた気持ちになるんだろう。
 

●本当にダメな男に天使が舞い降りた…のか?●

「ドナドナ」は連作です。第一話は2009年12月号に掲載されています。
とにかく主人公が、ダメすぎて仕方がない。

この圭介は、仕事をせず小学校に隣接するボロアパートで日がな一日幼女を観察しながらスケッチするだけの生活を送っています。
もうなんというかどこからフォローすればいいのか分からないにもほどがある設定が素晴らしいですね。
いやまあ、うん、こういう生活を夢見たことが無いとはいいません。・・・すいません夢見たことはあります。あるよ。
とはいえ極端にロリコンのダメな所だけを抽出してデフォルメされているので、逆に非現実的すぎて安心します。

にしても、いいとこなしというか、ひどい。
こんなダメな息子を更正させるべく、お父さんが連れてきたのがナドナ、正式名称「ナドナ・ド・テセノ・オシウコ」というわけです。
名前がもうまんまなのがいいですね。
 
ナドナ自体はどう見ても幼い日本の子供なんですが、一応24歳の外国人という・・・ことになっているから問題ないよ!
この子がまたえらいかわいい子で、前髪のぱっつんっぷりがキュート。強烈になまっているのがえらいめんこいです。

ものっすごいかわいいシーンですねこれ。
明らかに何かおかしいですし、主人公も「何か裏があるのではないか」と疑ってなりません。どう考えても不幸な境遇にしか見えないじゃないですか。
ところが、ナドナは一話二話通じて、不思議なことにずっと笑顔で幸せそうなんです。
理由などは一切まだ語られていませんが、何もないわけない。本当に24歳なわけがない。日本人じゃないわけがない。
 
圭介も本当にダメ人間なので、まあそれでもセックスできればいいやと満足してしまいます。
そこにきてこの二話目ですよ。性欲の塊みたいだった主人公がセックスしないでキスだけなんですよ。
性交も強要など一切ありません。振って湧いたような出来事なのに、とにかくそこにあるのは信じられないほどの激しい幸せです。
 

●広い空間の中、二人で。●

杉浦次郎先生は、幼な妻描写に定評のある作家さんです。幼な妻というか、ほんと年齢的に少女な奥さんがメインです。
今までも様々な幼な妻作品を描いていますが、いずれも幸せで満ち溢れています。ちゃんと子供を作って産んで、大切に育てるところまでいきます。
今回の主人公はダメなやつですが、しっかりした男達も沢山います。きちんとその妻だけを愛し、抱きしめ、子を産み、家庭を守るのです。この一連の人間の在り方を、最高の幸せとして描きます。
人生の「最高の幸せ」の一部が、セックスというエロス、という位置づけなんだと思います。
お涙頂戴にならないのは、作者独特のドライブ感がある言語が多用されているから。「夫のチンポを清潔に保つのは妻の務め!」とか、普通思いつかない台詞がバンバン出てくるので、笑いながらエロを楽しみ、キャラの幸せを見つめることができます。
 
今回の「ドナドナ」も相当勢いのある漫画です。
作者の感情そのものがガツンと叩き込まれて紙面に反映されるタイプの作風なので、読んでいる側の感情も飲み込んでねじ伏せる力があるんですよ。
セックスシーンにおいてその感情のぶつかりあいや波を描けるのもすごいことなんですが、今回はキスだけ。必死に相手の唇を、舌を求めることで二人の抑えようのない感情を描き出している。だから舌の動きを見ているだけで読者側も感情の渦に飲み込まれます。
 
面白いのは、特に今回の作品、空間がものすごく広いんです。
第一話の圭介の部屋にしても、何もない部屋に二人ぽつんと座っています。今回はだだっ広い旧校舎の中で、ぽつんと二人いるのです。
ものすごく広い空間の真ん中で、二人がお互いを激しく求め合う。この様子がキャラの心情そのものを表しているかのようです。
考えてみたら、圭介はまだナドナを「愛している」状態ではなく、単にロリコンなだけです。ナドナの方も氏素性全く分からない、ある意味一番大事な部分を全く明かさない、いついなくなってもおかしくない状態です。
しかし二人が触れあってキスをしたあと、セックスは出来なくても何かが確実に残っているんですよ。
それが何かは、まだわかりません。
まるで何も無い部屋に、二人きりでぽつんといるかのように。
ぽつん、だけど、確実にいるんだ。

一話より。
ナドナは泣くんです。
何故かは、分かりません。
性欲のままにしか動けない圭介の心がナドナの存在で揺れるとき、読者側にも何かが残ります。
何でもいい。残ったものがあるならば、それは幸せの種の一つになるはず。
  

最近は杉浦先生は「つぼみ」でも描いておられますね(notエロ)。
かなりドライブのかかった百合漫画なんですが、今は百合開拓期だと思うので裾野をどんどん広げてくれるんじゃないかと期待大です。
あっ! つぼみの方は「ちんぽみるく」付いてないですよ!
amazonでは取り扱ってないですが、子供の妊娠と愛のある出産までを描いた「ひよこのたまご」は傑作なので、書店で見つけたときは是非。