たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「性」への目線は一体何処に向かうんだろう? 〜消失・または究極としての第三の性〜

今月の「LO」で、せきはん先生の単行本の予告が出てましたねー。
6月25日だそうです。すっごい大好きな作家さんなので楽しみでなりません。
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独特の突き抜けたエロと、出てくる少年少女の柔らかさが好きでしてねー・・・。女装少年の回はあの男女未分化な描写が非常にかわいらしくかつエロティックで最高でした。
 
で、その宣伝の台詞がちょっと面白かったんですよ。

お兄さんロリコンでしょ?
わかるよ
パンツより先に鎖骨見たもんね

これで「うわー!分かる!」という人と「えっ、どういうこと?」となる人がいるんじゃないかな?と思ったのですよ。
極端な話「ロリコン」「ショタコン」を自称する人でも、これを見て「分かる人」「感覚的に分からない人」がいるのではないかと。
 
そのあたり、非常にこれ面白い台詞だと思うので雑感を書いてみます。
あくまでも雑感なので、きちんと考えはまとまってないんですが、とりあえず形に残してみます。
 

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ロリコン」という語で、女子中高生を連想する人って結構多いと思います。
極端な話、「援助交際で女子高校生に手をだすおやじ」を「ロリコン」と捉えている人もいるでしょう。
うん、言葉なんて曖昧だから語としては「入る」と思いますが、おそらくそういう人は上記の宣伝の台詞の意味の分からないジャンルの人だと思います。枠は「ロリコン」だけど、全くの別物。
まあ、そもそも現実で手を出すのはNGというのは当たり前として、それはさておき、感覚の違いのおはなしです。
 
少女・少年に対して魅力を感じる人でも、見るポイントがあるとおもうんです。
それもすごい細かく分かれちゃう、っつうか100人いれば1000通りある(ケタ間違ってないよ!)くらいに。
眺めていたいか、手を触れたいか、とかね。
ロリとは言わないけど「少女の魅力」で言うなれば。
例えば宮崎駿アニメのキャラは女の子に触れる(トトロもカオナシも豚も)けど、マイマイ新子の大人達はおじいちゃん以外絶対に少女達に触らない、とか。どちらも「少女の魅力」は意図して盛り込まれている作品だと思いますが方向が違う。
言葉で説明しづらい部分ですが、感覚的に「遠くから眺めていたい」フェアリーみたいな少女美・少年美を見る人と、「触れたい、近づきたい」と接触を求める人はまず違う、という感じです。
あくまでも一例。性欲も芸術もごっちゃになっているのでそのまま受け取らない方が吉ですヨ。
ただ、この二つの方向性を極めていけば、「少年・少女」を描く美術にもなりうるし、セクシャルな表現にもなりえます。そのへんも面白い。
 

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はて、上記の「鎖骨」と「ぱんつ」ですが。
これを自分は・・・
・「小さな女性」として見ている→パンツを見る
・「性に未分化な第三の性」としてみている→鎖骨
と判断しました。
あくまでも自分の判断なので別かもね!
 
しかし、先程の援交云々の話を例に上げると、結局それって「女性で若い(小さい)のがいい」という「女性」性を求めているわけで、別に「少女性」を求めているわけではないです。
どうしても「ぱんつ」のような記号的アイテム、魅力的でなりませんが、やっぱり「女性」の記号であることにはかわりません。
 
一方、「第三の性」を求める人は「ぱんつ」とか「胸」のような、性として記号化されたもの「だけ」は求めないわけです。もちろんそれらが嫌いなわけではないです。
たとえば、少年少女の脚。
これは他にない、極めて美しいものだ、としてひたすらに描き続ける作家さんや画家さんや写真家がいるわけじゃないですか。
それこそ、パンチラしようが裸の絵があろうが、脚に目が行くんですよ、そこに自分の求めている感動や美しさや、時には欲望があるから。
こうなると、その人達が求めているのは「幼い男性・女性」ではなくて「少女性」「少年性」という第三の性なわけです。
「女性」や「男性」が若ければいい、という代替品じゃないんです。
  
おそらく、上記の「鎖骨」が示しているのはそこだと思うのです。
よくネットのネタ画像で「パンツや胸に目が行くのはロリコン、腰や脚に目が行くのは訓練されたロリコン」なんて冗談があったりしますが、わりと的を得ているなーと。
いやまあ、「ロリコン」の語は幅が広いので「訓練」も何も無いんですけどね。自慢するもんでもないですし。
 
とはいえ、芸術にせよ、エロマンガにせよ、求めている究極の「少女性」「少年性」が、そのような「第三の性」であるならば、それは絶対に手に入りません。
手に入らないから、コレクションしようと必死になります。
人形とか、イラストとか。
この場合、究極系としての「第三の性」があるとするのなら、先程の「触れる触れない」で言えば「触れられないところにあるからいい」に近いかもしれません。
 

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話が混乱してきましたがもっとカオスります。
 
Togetter - まとめ「男の娘に「好かれたい」?「なりたい」?それとも・・・?」
昨日も挙げたんですが「男の娘」が何故流行るのか?という話。
これまた別の機会ににも書こうと思いますが、
・「ちょっと変態チックな趣味の俺おもしれえ」
・「男の子同士だから気持ちをわかってくれる安心感があって、その上でかわいい女の子っぽいって最高じゃん?」
・「男性という枠組みから逃げたい、レッテルからの脱却をしたい」
で全然変わってくる気がしています。
特に二つ目と三つ目には「第三の性」としての、男性でも女性でもない存在の究極体を欲する部分への憧れみたいのがあるんじゃないかと。
 
ただ「男の娘」論になると「おちんちん」の存在がでかすぎるので、ちょーっと「少女コレクション」とは別の話になりますね。
ここでやめておきます。はい。
「透き通るような少年像」という「第三の性」の他にも、「男の娘」という「第三の性」が広まりつつある、という気がするので触れてみました。
 

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すごいまわりくどーい話になりました。
「性」を見る視線は単純な欲求の場合もあります。当然です。人間だもの。みつを。
しかし遠回りで「性から逃れたい」「性を失いたい」「男性・女性に囚われたくない」という思いも入り混じるケースもありうるのではないか?という雑感だったのです。
これを果たして「ロリコン」「ショタコン」と呼んでいいのか分かりません。
ただ、ぼんやりと人間の中に眠る不可思議な感覚の一つだとも思います。
 
性から逃れた究極の美を求めまくった先で手にするのは、結局「性から逃れる」という性を意識した自分本体の姿、という皮肉。
ああ、この世は鏡地獄。
でもその鏡地獄に映る姿が少女の鎖骨だったらどんなにか素敵だろうに。
残念ながらそうじゃないんだな。
「三日間だけ美少女でいられるけどその後死にます、どうしますか?」と聞かれて真剣に悩む人は多いのではなかろうか。
自分は……死にたくないのでじじいになるまで「第三の性」である少女の偶像を追い続けると思います。
馬の鼻の先にぶらさげた人参みたいだネ。
 

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名著というか、これで「完結」せず、ここからさらに色々な考えが、多くの研究家や表現者に広がっているのが澁澤龍彦のすごいところだと思います。まさに「序説」だ。
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最初ちらっと見て「あー、また偏った視点で書いてるんだろうなー」みたいな感覚で購入したんですが(実際掲載されている引用図はちと意図的な感じがするのが難点)、きちんと中身を読むと幅広く取られたインタビュー(ロリコンショップオーナーから、日本ユニセフまで!)がかなり踏み込んだ内容で興味深いんですこれが。幻想主義や偶像としてのロリコン、実際の犯罪、二次元、フェティッシュの心理などをきちんと整理していて好印象。現実を順序立てて切り取っているので、資料としては面白いです。「オタク」の語にこだわると混乱するかもしれませんが、あくまでも資料ということで「性からの脱却」や「眺め、憧れるフェティッシュ」などに触れられて文字にされているのがいいなーと思います。「ロリコン」の語に興味のある人や、昨今の規制問題の賛成意見にも反対意見にも「?」を持っている人にはオススメ。