たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「ひだまりスケッチ」5巻から、沙英さんとヒロさんのLOVEを考える。

ひだまりスケッチ」5巻読んだよー。
もう何が素晴らしいって、なずな殿のおっぱいが激小さくてフラットラインだということ宮子のおっぱい宮子の衣装チェンジですよ。
うん、宮子さんかわいい超かわいい。大好き。一緒に住みたい人ベスト3に入れていい。
(他のベストに入るのは律と乃梨子とりんちゃんさんとエーリカと佐々ちゃんとつかさとエノと……)
とはいえ、かわいいけど宮子はゆののダンナなので手は出さないのです。
 
さて、今回光っていたのはやはり沙英さんとヒロさんでしょう。
メガネできりりとしている沙英さん、ふわふわ砂糖菓子みたいなヒロさん、という先輩チーム二人ですが、この二人の夫婦っぷりは尋常じゃないですよね。
たとえばこんなシーン。

沙英が言った一言に照れてしまうヒロさん。
いやあ、なんと絶妙な距離感でしょう。これを沙英が「意識しないで言っている」のが面白いところです。
あ、これは後でまた引用しますのでとりあえずおさえておいてください。
 

●新婚さんいらっしゃい●

さて、まるで夫婦のようなやりとりをしているこの二人。
しかし「夫婦のような」ってどういう状態だろう?
ちょっと「百合」と言う語はとりあえず置いておいて、二人の関係性に絞って考えてみます。
 
たとえば「けいおん!」の律と澪もマンガ・アニメともに夫婦のようなコンビです。
(あ、作品の比較ではないです、関係性の比較ですよ、念のため)
ところがこの沙英とヒロとはちょっと違うんですよね。
律・澪はお互いがそばにいることをあまり言葉などで表現しません。が、お互いが一緒にいたほうがいい、いたい、と言うのは理解して、意図的に寄り添います。というかじゃれ合います。そして二人の関係を「形」や「言葉」にはせず、二人の距離を保つ努力を暗黙の了解の上でしています。
だから、ファンの間ではそれを茶化して「熟年カップルみたいだ」なんて声もありますね。全くそうだと思います。無理矢理に「特別」を作らない。
 
一方沙英とヒロを見てみると、「特別」を作ることを結構楽しんでいるんですよね。
日常生活においては、割とそれぞれ「一緒にいるのが当たり前」みたいにしていますからまさに絵柄的にも「夫婦」っぽい。
しかし、律澪を「熟年カップル」とするなら、沙英ヒロは「新婚さん」のようです。
5巻で周囲のひだまり荘の子達が「ハネムーン?」と言っているあたりからも、新婚さん的な空気が二人の間にあるのは共通認識になっています。

絵柄的にこうやって対面で座れちゃうのが沙英・ヒロなんですよ。
ゆのと宮子だったら多分、横に座るか斜めでしょうね。なずなと乃莉は横に座っていました。
他の作品の仲の良い女の子でも割と横か斜めだと思います。なかなか対面で座るってできないです。
それが出来る、いや、それをするのが、この二人なんです。
 

●一緒にいることを「形」にする●

この二人の関係においては、見た目は沙英がだんな、ヒロが奥さんみたいです。

宮子の考えたこのイメージが非常にしっくりきます。そうそう、片や「男の子っぽい」と自認する沙英、片や「ふわふわ女の子らしい」ヒロ。どうやっても二人並ぶとそう見えます。
ひだまり荘住人達がこの二人を「ダンナ沙英・奥さんヒロ」で捉えているのは実はちょっと面白いところ。
現実の二人の生活もまさにそんな感じですが、周辺の人がみんなそういう認識でいることによって、逆にこの二人の関係が作られている部分もあります。
なんかうまく表現できてないですね。
マンガとして「周囲がそう感じることで、キャラクターの関係が形作られる」状態が、まさにこの二人です。
そうすることで、一番最初に挙げた、沙英がさらっとときめく発言をしたあたりの関係が浮かび上がってきます。
 
ところがどっこい、作品を読んでいる人ならわかると思いますが、実質リードしていて旦那さん状態なのはヒロのほうだったりすることもあります。
沙英さんが「しっかり者で、男っぽい」というイメージを持たれ、自分もそう動いているのに対して、実は内面ものすごく乙女チック、というのをヒロが結構茶化すんですよね。
たとえばこんなシーン。

これは4巻ですが、恋愛にものすごく疎い沙英が、ヒロに寄りかかっているような状態の図です。
面白いのはヒロがそれを密かに理解していて、沙英と二人きりになると頻繁に彼女を茶化して遊ぶところ。
じゃれ合っている、というよりも、お互いが、お互いしか知らない秘密を共有していることの確認作業のように感じられます。
 
5巻だと「沙英がかわいいところばっかり行きたがるのよー」とヒロが茶化して、沙英が照れているのをヒロはわざと楽しんでいます。
ヒロにとって沙英は当然特別な存在。いつもそばにいてくれる人。
であると同時に、彼女といる時間が「当然」なだけじゃない。
ヒロさんの視点は「沙英といる時間」を特別にするための努力だったり、ひだまり荘全体のみんなといることを少しでも楽しむような思考で動いています。
 
一方沙英も「ヒロの気持ちを汲み取る」のが非常に上手い。
これが二人が一緒にいる鍵だとも思うんですが、まさにヒロのことを言葉で表現するというシーンがとても多いです。
先程の「ずっと一緒だよ?」もそうですし、ヒロの字を見て「ヒロの字って優しくていい字だよね」と言ったりします。
このシーンも、その前の悩める沙英のシーンがあることでものすごい意味がぐっと深まるので是非読んでみてください。97ページです。
 

●好きだよってあなたに表現したい●

こんな感じで、二人が「新婚さんのようだ」と感じるのは、
・意図的に言葉にしたり行動で、お互いを思いやっている
・照れや恥らいが多い
・「特別」を作ることを楽しんでいる
などからです。
心配したら「心配だったよ?」と、優しくしてくれたら「ありがとう」とちゃんと言える。
かと言って、付き合いたてのカップルのように距離感にどぎまぎしないのがまた特別ですよね。
だから「百合」って言葉を使うと、全くもって百合なんですがちょーっと「それ以上であり、それ未満」な不思議さもあります。
見ていて、時々ノロケのようにすら見えることもあるし、見ていてイチャイチャっぷりに悶えたりします。
が、その「好き」が友達同士だから以上なのか未満なのかさっぱりわからない。
 
ただ言えるのは、お互いをかけがえの無い存在として、ちゃんと認識して表現して距離を保っているという点です。
この点においては、なかなか他の作品でも見られない面白い関係だと思います。多分沙英はヒロに「好きだよ?」って言える子。
逆にそれ以上踏み込まないのは、沙英が恋愛に疎いという設定と噛み合っているからかもしれません。彼女は間違いなくヒロが好きだけど、それが恋愛なのか、友情なのかも考えたことが無い、考えつかないんだと思います。
周囲ひだまり荘の子達にしてみたら「あなたたちもうラブラブですから!」っていわれそうですが、分かっていないのもまた特殊。
なんとも不思議で、他に類のない新婚さんカップル。ニヤニヤしながら見られるのは幸せです。
 

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ここから私感。
作中にもあるんですが「ヒロさんが結婚したら」「沙英さんが結婚したら」というIFのシーン。
結構ぎょっとするんですが、……なんか妙にそれ有り得そうなんですよね。
可能性として「大学に行っても大人になっても一緒になんとなく住んでいる二人」というのが一番ビジョンとして強いんですが、そうではなくて「それぞれが結婚し、ママになった同士でおばあちゃんになるまで仲が良い」という映像。自分はなんとなーくこの二人だとしっくり来てしまいます。
まあ、そんな描写かけらもないので単なる想像ですが、「ヒロさんが結婚したら」「沙英さんが結婚したら」のコマは読者に、ひだまり荘の枠を出たときどうなるのかを問いかける興味深いシーンではありました。
 
ひだまりスケッチ」は「ひだまり荘」というクローズドな空間でのゆるやかな日常を描いているため、この二人の他にもゆのと宮子、なずなの乃莉などの「女の子二人ペア」が成立していますが、実は作品そのものはクローズドではないと思います。
むしろ、4コママンガとしてはかなり人間関係的にはオープン。
他の生徒や先生たちの人間関係がほのめかされているのもそうですし、宮子には宮子の、ゆのにはゆのの別の人間関係がそれぞれある、というのがある意味この作品のキモだと思います。全員バラバラの人間関係がありつつ、それを持ち寄りながら帰ってくる場所が「ひだまり荘」なんですよね。
だから、沙英とヒロもお互いほとんど同棲状態ですが、それぞれの見えない人間関係がある可能性もぼんやり見えるのが興味深い。
それも含めて・・・沙英とヒロのカップル(あえてカップルと言います!)は本当に特別だなーとじわじわ感じるのです。
 

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しゅわしゅわー。
アニメでも大家さんが二人のやりとりの新婚さんっぷりにあきれ返っていましたが、それがこの二人なんだよなあー。