たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「けいおん!!」第一話は、ムギの眉毛が人間関係を物語っています。

けいおん!!」一話みたよー。
以下、ネタバレ全開で書いていきますので、一応収納しておきます。
ちょっとムギ贔屓気味です。

ペロペロ(^ω^)
 
 
 
 

●「けいおん!!」の軸は、ムギにある。●

えー、イキナリですが。
原作もアニメも、「けいおん!」という作品の主人公は唯ではありますが、軸になっているのは実はムギだと思っています。
これは割と本気で。
唯はあくまでも主観。梓とムギがそれを外側から見て、さらにその外側からさわちゃんが見る、という構造になっていると思うんですが、ムギは主観側にも入るし、外視点側にも回るキャラなんですよね。
つまり、ムギの表情が変わるときは、放課後ティータイムに何かが起きている時と捉えています。自分は、ですが。

例えばこれは、ほぼ最初の方のムギです。
澪が「相変わらずだなー」と言っている横で見ている彼女は非常におだやかな、まるで母親のような目線を送っています。これはムギが外視点に回っている時です。
 
一期の時は基本的に外視点に回ることが多く、どうしても暴走列車な唯&律に物語が振り回されることが多かったのですが、今回はムギ自身が出たり入ったりを能動的に行なっています。
このカットなんかは面白いですね。

そう、ムギが中心にいて、律と澪が寄ってきているんですよ。
しかも会話の中心になっているのもムギ。

ムギ「ちょきと一緒にぱーをくみあわせると」

何を言っているかは、分かりません、相変わらず。ゲル状。
まあいいです何を言っていても。そうじゃなくて。この3人だったら律がムギと澪を呼び寄せそうなんですが、ムギが自発的に話の中心になっているというのは地味に大進歩だと思うんです。「私も入れて」ではなく、軸の中心になってるんです。
 
もうちょっと主観側のムギを見てみます。
今回、ムギは「新年度」ということもあってやる気満々なんです。
そのため、きりりとしたナイス眉毛がさらにきりりと光ります。

まずは、律の腹黒大作戦にノリノリのムギ。唯が乗るのは分かります。しかし後ろにいる梓が呆れていることからもわかるように、どう考えても「有り得ない」ことを律がやっているんです。
が!ムギは乗るんだな!
しかも一番盛り上がって「クッキー」のおまけまでつけようとしました。
ムギが律の作戦を正しいと思っていたかどうかは分かりませんが、少なくとも「面白い!」とは思っていたんでしょう。
 
次に新勧演奏後のムギ。

いい眉毛してますねー!
これを「充実眉毛」と名付けましょう。
見ての通り、ムギは割と律が暴走しだすとそれに乗じる傾向があります。
このへんも原作の話(3巻収録)に続いていくことを考えると、ムギは律に何らかの憧れを持っているのも考えられます。
だから、多少無茶でもやっちゃうんですよね。なにげに今回の活動稼働率でトップクラスに動いていたのはムギかもしれないくらいです。

このカットなんか面白いですね。何も言わなくてもどのキャラが中にいるか分かってしまう。
馬が澪、ネコがムギです。
恥ずかしいとか、苦痛だとか一切考えていません。楽しんでいるのです全てを。
 
ムギが動けば、他のキャラも動きます。
意図してか偶然か、というのは判断しかねる部分がありますが、少なくとも他の4人は「ムギに楽しんで欲しい」という共通意識が無言のうちにあります。
気を使っている? ううん、ちょっと違います。
みんなが楽しい空間を作りたいんですよね。
それはなぜかというと、ムギが常に自分たちに「楽しく過ごしましょう!」と「楽しい」を提供してくれるから。物理的な点だとお茶やケーキ、精神的な点だとみんなへのさりげない声掛けと笑顔。
もちろん「梓のために」「律のために」等、全員が「誰かのために」を考え、言葉にせずとも動いているのがこの部のいいところですが、その中でもムギは特別。
色々な視点がありますがムギを中心軸とした「けいおん!!」という作品という作りは、第一回目から相当意識されています。
ムギの眉毛が太いのはネタの一つ、キャラ立ての一つではありますが、眉毛によって最も感情が分かりやすいキャラという位置にスライドしているのが非常に興味深いです。
 

●成長したよ、わたし!●

視点を唯にずらしましょう。
唯は第一期の第一話で、遅刻しそうで慌てて走って滑って転びました。しかも時計を見間違えました。
そして第一期の最終回、ギー太を忘れたときに慌てて走りましたが、転びませんでした。
走りきりました。みんなのところにたどり着きました。泣きながらだけど、彼女は「安心していい」と自分の居場所を見つけました!
 
そしてそこにきてのこのシーンです。

最初すっごい分かりづらいシーンだったので何が起きたのかわかりませんでした。
これ、唯が時計を見間違えて早く来てしまったんですよ。
ところがどうですか。一話の時の「慌て」は一切ありません。最終話の時のように泣きもしません。

彼女は、一人で音楽室でギターの練習をし始めるのです。
この成長っぷりの隠喩はかなりグッと来るものがあります。唯の一人称視点ではなく、どちらかというと「遠くから唯という子を見守っている視点」に近いです。
 
みんながいなくても、安心して音楽室で一人でいられる子になった。
 
元々熱中しだすと我を忘れる子なので特にその傾向が目立つようになった、とも言えますが、少なくとも1年生時の時の唯ではありえないシーンでしょう。
そこに徐々にメンバーが集まってくるという描写もグッと来るものがありますね。

ちょっとずつ増えていきます。
そして、最後にみんなで唯のいる音楽室へ集まる。
放課後ティータイムというバンドの姿そのもののようです。

それでもちょっとほっとするのは、見ての通り寝癖がなおっていないところです。
唯は成長しました。
しかし本質は変わっていない。
ああ、なんていい居場所なんだろう。
これを見たとき、自分もまた「けいおん!!」という居場所に戻ってきたような感覚に引き戻されました。
まだOPもかかってないのに泣きそうにさせるとかないよね! な、泣いてないよ!
「泣かせるシーン」として描いていないのに、今まであったたくさんの思い出を引っ張り出してくるこの出だしは、「すごい」と絶賛したいのです。 
 

●それぞれの人間関係●

OPの項目でも書きましたが、澪はそれほど交友関係のひろい子ではないです。ムギもおそらくそこまでは広くないでしょう、一人で出かけたりしないようなので。では唯は?律は?
このへんがうまいこと、校歌を歌うシーンで描写されているのは興味深い。


4人4様の歌い方。
澪は真面目な優等生的な歌い方です。ムギは校歌すらも楽しんでいます。
律はあんまり歌う気なさそうです。唯はバンドと同じように、小学校の学芸会のように大きく口を開けて揺れながら歌います。桜の花びらは頭に乗ったまま。
もう性格がそのまま出ていますね。
 
興味深いのは律でしょうか。やる気ないというのとちょっと違う、かといって真剣でもないし、ずるしているようでもない。
律自体「分かりやすい性格」に見えて、その実一番繊細な性格の持ち主でもありませう。一人だけ影になっていて横から視点、という特殊さもこれまたちょっと変わっています。
これは私感ですが、もしかしたら律には不安があるのかもしれません。
それは放課後ティータイムのことだったり、3年生という学年のことだったり。
唯は「あと365日もみんなで一緒にいられる!」と大喜びしますが、律は「少し落ち着けよー」と言います。
ひょっとしたら、卒業のことも含めて、ぼんやりとした曖昧な何かにつかまれているのは、律なのかもしれません。
 
とはいえ、律自体は非常に社交的な子なので、放課後ティータイムのメンツ以外とも割とサクサクと話せます。

クラスメイトに話しかける律の図。
あまりクラスの様子は描かれない(描く必要がない)んですが、今回はこんな感じで「他の学生の中での5人」が描かれているのが珍しい。
一話で自分がもっとも好きなシーンの一つがここだったりします。

桜を拾って集めている唯を中心に、右側はクラスメイトと思われる子、左は軽音部。
そう、唯は交友関係がものすごく広いんですよね。
そういえば一期でも、中学生の時の友人と一緒に学校祭で焼きそばを作っていたりしました。番外編の「ライブハウス!」では全然知らないバンドの子とあっさり仲良くなっていました。
唯は「仲良くなろう」という感覚がないのかもしれません。最初から「みんな良い人」「みんな友達」なのかもしれません。

しかしそれが、「けいおん!!」という作品をクローズドなものにせず、オープンな開けたものに変えています。
もちろん今後も物語的には、5人+さわ子+αを中心としたクローズドな軽音部を描くと思われますが、「ライブハウス!」で描写されたように「新しいつながり」を律や唯がどんどん広げて、「私たちだけの世界」で終了していないのがこのカットで描かれているんです。
オープンとクローズの関係は非常にバランスが難しくてどっちかに偏ってしまいがちですが、安心してみられる、綱渡り感が全く無い安定感を誇っているのは、唯というキャラクターのおかげだと思います。

唯が意味もなく桜の花びらを1ダース集めようとして1つ足りない、というシーン。
和ちゃんは「いつものこと」と分かっているのか、すげーさらっと流していてつい笑ってしまったんですが、これなんか意味ありげですよね。
1ダース。1セット。12個。そして1つ足りない。
なんだろう、軽音部には何か足りないんだろうか?
彼女たちの生活があと1つ充足されたら完成されるということなのか?
この点は隠喩なのか、それとも「全く意味がない」のかさっぱりわかりませんが、ちょっとだけ頭の隅っこにおいておこうと思います。
 

●あの時の思い出●

個人的に「うわー!」と嬉しくなったのはこのカット。

唯と梓のギターケースなんです。
よーく見ると、バックステージパスがついてるんですよ。
おお……一期の時の彼女たちと違うんだよ。
「私たちはこれが一枚目だね」
そのバックステージパスがしっかり貼ったままになっているんです。
彼女たちは、ライブハウスで演奏をした、結束の固い5人として一つ歩みを進めているんです。
「じゃあ、私たちはこれが一枚目だね。」 〜けいおん!番外編「ライブハウス!」〜
 
いつまでも同じじゃない。それは喜んでいいこと!
曲目も変わりました。

「カレーのちライス」から「いちごパフェが止まらない」に!
……相変わらずネーミングセンスが微妙ですね澪しゃん。CCBみたい。
考えてみたらこれ、自分の観測範囲外でなければ原作にない全くの新曲ですよね。
ちょっと気になります。正直「生『カレーのちライス』」聞きたかったんですが。だってーキーボードかっこいいんだもんあれー。
でもまあ、変化するのはいいことです。
 
んが。
メンツに関しては新キャラが入ることもなく、変化ありませんでした。
このへんは原作の通りです。
純ちゃんの台詞もそのままだったのが良かったですね。

純「多分軽音部って、五人が結束して見えて、外から入りにくいんじゃないかな?」
梓「そ、そっかな」
憂「みんな仲良くて楽しそうだもん!」
梓「うん!」
純「それか、軽音部の怪しい匂いをかぎとってるか!」
憂「純ちゃん!」
純「うそうそ!」

純ちゃんほんと、良い子やで……。3巻48ページの台詞そのままですね。シチュエーションは違います(原作は帰り道)。
原作はまさに「5人が結束している」ところに重点を置いています。
アニメ版はそれをうまく活かしつつ、変化がちゃんとあること、外とのつながりもあることをおさらいして、その「結束」の魅力を強化しています。
 
それにしてもあれですよ。

なんてさりげない間接キス!(中学生男子的な目で
うーわー、これだけで妄想広がるんですがどうなのよ!そこんとこどうなのよ!!!!!
たまごまごは純×梓派です。純はあんまり自分の気持ちに気づいていないんだけど、時折見せる梓に「仕方ないなあ」と茶化しながら、なんだか特別な感情をいだいていることに気づいているとかそういう脳内設定。純ちゃんかわいい!)
あ、そういえば純ちゃんは「コンビニで買う」派、憂と梓は「お弁当」派なあたりの書き分けが絶妙でしたね。
いやー、純ちゃんの出番増えるの楽しみだなあ。
 

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ピート・タウンゼントウインドミル奏法!!
参考・ピート・タウンゼンのウインドミル奏法

どうでもいい感じで、ニヤニヤする音楽ネタがちゃーんと盛り込まれているあたりも、「けいおん!」という作品の熟成度を感じます。
さすがに「原作読んでない、一期見てない」という人に勧めるのは難しい第二期ですが、逆に言えば両方見ている人なら「キタ!」となるシーンが山ほどあるはず。
見れば見るほど、細かい部分で「あ、あれが!」「これが!」とじわじわしみ出してくる、スルメみたいな第一話でした。
つか第一話からこのペースでダイジョブなの!? おいら死んじゃうよ!!!

と思いましたが、そのおかしくなりそうなテンションを抑えてくれるのがさわ子視点なんですよね。
ハイテンションの弾丸のような唯、暴走列車ながらもちょっぴり不安定な律、大黒柱で部の良心役の澪、安定度では一番のムギ、一番不安にかられているであろう梓。そんな子達のワイワイを、もう「一度通過した人間」として見ているさわ子先生の余裕さが、時分の視点を引き戻します。
時には唯のようにハイテンションになってもいい! 律みたいに「やるぞーうおー!」と叫んでもいい! 
でも、さわ子先生がいる限り、この作品は絶対線路から脱線して大事故を起こすことはないでしょう。一期の11話も、そうでしたものね。
さあ、待ってるよ二話!!!
 

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余談。
あんまりにも面白すぎてさ。
「二期を見ている」という「嘘」をつかれているんじゃないだろうかというおかしな錯覚に陥るのはぼくだけでしょうかぼくだけですねそうですね。
 
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