たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「不思議の国のアリス」と乱丁のおはなし。

今日のアリス。
俺得コーナー。完全に「書きたいから書いてるだけになっております。
 
キャロルの完璧主義+真面目さを物語るとあるエピソード。
テニエルイラストの初版本、話によるとインクが多すぎて裏まで透けてしまったという話があります。
悩みに悩んだキャロル、初版本を全部ゴミにするとして刷り直したら、普通に赤字だろう・・・そんな計算が日記にも残っていたそうです。そりゃそうだ。
しかしここで「それでも!」と言って刷り直し。1865年11月に「本当の意味での初版本」が完成します。
これが驚くべきヒットを飛ばし、「赤字がちょいちょい」と思っていたキャロルの計算を大幅にクリア。テニエル人気もあって1886年までに7万8000部を売り上げます。
19世紀でこの数字はちょっとおかしい。尋常じゃない。
 
では、その「印刷ミス版」はどうなったかというと。
2000冊刷って、1950冊は製本しない紙くずとしてアメリカに売却、コレクターアイテムになっているそうです。見てみたいなー。
で、残り50冊。製本されています。
一旦その50冊は友人などに送っているようですが(余丁の献本みたいなかんじですね)、新しい版(1865年版)が出来た時に送り返してもらうようにしたそうです。
では戻ってきたそれはどうしたかというと……ここがキャロルだなーと思うところなんですが、子供のための病院に寄付したそうです。
(ちなみに現在は博物館などのコレクションになっています)
本当に「子供」という存在が好きでしかたなかったんだなあーと考えるだけで、キャロルの真面目さと同時に、純粋さが見えてきます。
 
このヴィクトリア朝当時、もちろん偽善的な寄付も流行っていて、乞食は子供にさせるほうが儲かるというのがあったので、その子供に寄付をしてあげるおじさん、といういかにもな光景が美徳とされていました。無論しないよりする寄付なんですが、そのへんの乞食側の小賢しさと、お金持ち側の偽善っぽさが歪みをうんでいた時期でもあります。
キャロルはそういう泥からは遠い世界で黙々とくらしていた人間だと思いますが、この本の寄贈に関しては彼の純粋な「読んでもらいたい」という気持ちだと勝手に思い込んでしまいたくなるところです。無論本心はわかりませんが。
あるいは「どこかの子どもたちと一緒にありたい」という気持ちか。
 

これに収録されている「地下の国のアリス」、キャロルの手書きのオンリーワン版は、アメリカのサザビーオークションで行ったり来たりしますが、最終的に「やはりイギリスに戻すべきだべや」という話になり、買い戻されて現在は大英博物館にあるそうです。
一生に一度は見に行きたい代物。
ちなみに上の本はキャロル手書き版のアリスと、それを日本語訳したものにテニエルのイラストをいれた二冊セット。
4月23日のサンジョルディの日にプレゼントするとちょっとかっこいいかもしれない。
あ、すいません適当にいいました。サンジョルディの日祝ったことないです。
でも本のプレゼントはちょっとやってみたいなあ。合う合わないは分からないからこそ楽しそう。