たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

レッツぶっかけ!「フィギュアB×B」で、魂と無機物の愛の融合を知ろう!

 
チャンピオンREDいちご、普段買ってない方でも今月号は見ていただきたいです。
なぜなら安永航一郎先生が載っているからデス。
美少女満載雑誌に安永先生?と不安を抱いた方。あなたは正しい。そして喜ぶべきだと思います。
なんせ題名からしてすごい。
「フィギュアB×B」
正式名称「フィギュアぶっかけ部」。
もうすでに題名オチのレベルなんですが、それだったら紹介しません。ちゃんと漫画として面白いからさすが安永航一郎先生。
しかも、美少女の裸がいっぱいないちご本誌だというのに、女の子は脱ぎすらしない!
すげえ。
 
え、「フィギュアぶっかけ」って何かって?
えーと。
ググらない方がいいんじゃないかな!
少なくとも画像検索ではやめた方がいいと思いますよ!
言ったからね!
・・・真面目な話としては、はてなキーワードあたりで見るといいんじゃないでしょうか。
 
以下、ネタバレ?ありのため収納。
フィギュアぶっかけ」の意味を理解できる紳士・淑女だけが見るようにしてください。
 
 
 

●安永流、フィギュアぶっかけの美学●

まー要するにフィギュアぶっかけとは「フィギュアに精子をかけること」でございます。
これが意外なことに世界中に広まっており(広まってるの?ほんとに?)検索すればとりあえずすぐ見られるレベルには到達しています。まあ18禁画像じゃないですしね、一応。
読者もドン引きする人多いと思いますが、ヒロインはもちろんドンドンドン引きです。
 
が、それを理屈でねじ曲げるのがいつもの安永流。
熱い魂と巧みな言葉と、ヒロインの価値観を歪める展開で一気に叩きかけます。

いやいや、「キレイ(はーと」じゃないよ。
わからんでもないけど。

無機物であるフィギュアに、生命の源となる液をかける事によって、
単なるモノから愛の対象へと深化する。
その瞬間を切り取るのが われらの喜びなのだ。

なんかえらい納得させられるじゃないですか。直球ですよ。ストライクど真ん中、論法を使わずそのまま真ん中にズドン。
もっとも「そうだね!」と言えるかどうかはちょっと自分には判断しかねますが、熱意は伝わりました。
 
安永先生の作風って、時々超絶出オチな場合が多々あります。結構多いです。かなり多いです。
今回はその最たる例。
しかし安永先生の漫画が面白いのは、その出オチを真剣に最後までやり遂げ、説得力と力技で読者に納得までさせてしまうところ。やってることは「ヒドい」のを意図してやっているんですが(ちんこフェンシングとか)、それでも最後まで真剣にやりとげてしまう上に、すらっといい話ではなく飄々と終わるのがミソ。
そういう意味では今までの安永作品を見ている人なら「やってくれるぜ!」となるでしょうし、新規読者層なら「なんかすげー人がいる!」とこの一編で伝わる、と思います。
それでひっくり返っちゃう人は、うん。
アクが強すぎるのは否定しませんので、仕方ないと思います。日本の漫画売上で安永航一郎先生が一位になったらちょっと怖い。
全員には勧められない。だが、この安永節は是非見て欲しい漫画の描き方ではあります。
 

●奥深きフィギュアぶっかけの世界!●

フィギュアぶっかけ、なんてネタ自体とがりも尖ってるのですが、それをいかにも自然に見せるのも安永流。
いや、全然自然じゃないけど。

少なくともワールドワイドです。COOL!
そしてここでも台詞がまた、巧みですね。

国や言葉や肌の色は違っても
精子の色はぜんぶ白っ!!

なんだこの力強さ。
なんだこの情熱。
なんだこのあたたかさ。・・・あたたかさ?
ちなみに自分は世界中でどのくらいこれが流行ってるのかはリサーチしていませんので分かりませんが、少なくとも日本だけ・・・ではなさそうな予感。アメリカくらいならあるんじゃないかしら。
分かりませんが。ホント分かりませんが。検索したら分かりそうだけどごめんむり。
 
この出オチ気味なネタを熱く訴えるのも面白いんですが、これがちゃんと短編部活モノとして成立しているんですよ。
そう、ふざけてないんですよ。彼らは真剣に部活しているんですよ!フィギュアぶっかけに真剣なんですよ!!
女の子が脱いで頑張るとかそういうサービスシーンはありません。いらないのです。
だってぶっかけるのは男でしょう。ぶっかけられるのはフィギュアでしょう。それが美学だからしかたないね!

ただし、洗うシーンはあります。このふへんのフェティッシュのさじ加減がまたもうね。
ああ、漫画で良かった。だってにおいしないもん。
なんにせよ、ぶっかけに魂と青春と精子をかける彼らの活動に乞うご期待!
いや、続かないけど。
でも、本気でフィギュアぶっかけに挑む男たちの、女の子に見向きもしない美(?)へのひたむきさはあまりにも真摯で、ぶっちゃけとても健全でした。
 
安永ファンだったら、これどこかの単行本に入る気がしないのでおさえておいた方がいいかもです。
小学館集英社、徳間、電撃系では描いてたけど、秋田では他に書いてたかしら・・・なんでチョイスされたのかしら。)

そりゃもう、定期的にいちごに短編載るようになったらうれしいけども!
 

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ほんと、全員に勧めるのは難しすぎるレベルの安永ワールドなんですが、個人的にはこれが今の「いちご」に載ったことが嬉しかったりします。
「REDいちご」自体は「メイドいんジャパン」と「セーラー服と重戦車」と松林悟先生目当てに買い続けているんですが、それこそ「メイドいんジャパン」や、初期のいちごが持っていた鋭さが蘇ってきたような嬉しさがあったんですよ。
例えば高遠るい先生の「女の子が人間ぶった切る漫画」だったり、蟲がごっそり出てくる漫画だったり、石黒正数先生が中学生の男の子の悶々とした性欲を描いたりしていた、あのソリッドな「REDいちご」が!
裸の女の子の乱舞もいいけどね、かつての美少女萌えの皮をかぶった、凶暴なミミックだった「REDいちご」が、自分はまた、読みたい!
 

やっとでるよー!待ってたよー!!
でないのかと思って諦めてたのでうれしいのなんの。しかも一気に連続出版。
なんかこのへんも「安永航一郎先生らしいな!」と思えてしまうのはなぜかしら。
 
あと、今月も「メイドいんジャパン」はすごかった。熱かった。
やってることは相変わらずバカなんだけど(ティン・コーベルとか)、どうにもこうにも魂に訴えかけてくるパワーがある。
無茶な理論の中に逆に真実がある。
もう、本当にこの作品、好きだー。