たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

どうして律が拗ねたのかを、澪と梓は知っていると思うんだ。「けいおん!!」第三話

けいおん!!」三話見たよー。
いやー、最高でしたね。


この子!
腰に巻いてる自己主張の強いファッションの子。全体写真でも一人だけこの衣装貫いてました。
なにげに毎回出てます。すごいぞ、出演回数だけならすごいぞ!

こちらの子(唯の席の隣の子)は立花姫子さんと判明(仮)。
一人だけルーズソックス、なんだかマーガレットコミックス系のちょっと異色キャラなのに、妙に清純っぽい言動の品の良さで気づけば大人気。
実はOPにも出てます。やったね!

というか、二期のモブキャラの描き分けと設定が異常すぎます。だってこれ描かなくてもいいところなのに描いてるわけですよ。
キャラが多くて個性があるって描くだけでめちゃくちゃめんどくさいわけですよ。
いやんもう、京アニの本気がこんなところに。
重箱の隅つつき厨の自分大喜び。正直モブ探しのために何回も見てしまいます。だってモブの子の動きも個性あるんだもの。
しかもそれが、なにげに軽音部メンバー達の人間関係を外側からうまく表現する方法の一つになっているのが面白いところ。うーん、キャラを描くには内部からだけではなく外部から。積極的に世界を開く方向で描こうとする作品ってこの手の学園クラブ物だと貴重な気がします。
にしても、制服のスカート丈の違いが気になります。なんで長い子と短い子がいるんだろう?二人ほど長いですね。
あれかなあ、昔は長くてそれをお下がりで着ている子と、今は短めになってそれを買った子で差があるとかかしら。
左端のおとなしそうな子はなんというか、オトコノコ的なちょっかいを出して泣かせてしまってアワワとあわてて慰めようとして気づいたらラブコメ的展開になりそうなそういう。あ、どうでもいいですねすいません。
 
で、今回は律のドラムの話です。
ネタバレありなので収納。
 

ペロペロ(^ω^)
 
 
 
 

●律は「悩んで」はいない●

 
はて、今回はいきなり律がへそを曲げる妙な話でした。二期では初のオリジナル回ですね。
「ドラムやめる!」と駄々をこねてみたり、「楽器のかえっこしようぜ!」と言い出したり。
非常に妙ちきりんな展開ですし、考え方によっては1・2話の漠然とした不安よりももっと重大なものを抱えているような感覚すらありますが、その実3話が今までで一番明るかったような気がします。
律が悩む話なのに、なんでこんなに明るいのか??
 
りっちゃん愛好家として、また同じドラム経験者として、これをなんと言葉にすればいいかひじょーに悩みます。
ようするに、そもそも悩んでないんですよ。
なので、言葉にするのはもうちょい他のキャラの反応を見てからにするとして……。
 
ちょっとずつ「律の行動はなんだったのか」を解いてみます。
 
まず鍵になるのは律の表情です。
 

左は、唯にギー太を借りて返した後、大事そうにギー太を抱える唯を見ている律の顔。
右は、「私はベースじゃないとだめなんだ」と一生懸命に語る澪を見ている律の顔。
そう、スランプだったり、本当にドラムが辛かったりしたらこんな顔絶対しません。
むしろ、「私はこの楽器が好きです」という唯と澪を見て、微笑んでいるじゃないですか。
 
今回は全体的に、笑顔が多い回です。
律は確かに色々駄々をこね続けて周囲に迷惑をかけますが、律自体がそもそも悩んでいる顔をしません。そのため周囲のみんなも乗ってしまうんです。
だから全く暗さが無い。不安さが見られない。
これが一つ目の鍵になります。
 

●澪と梓は、わかってる●

この謎の感情。突然「ドラムやめてみようかなー」と言ってしまう感情に対して、他のキャラはどう思っているか。
これも表情で読み取ることが出来ます。
 
まずは澪。律との付き合いで言えば間違いなく長いです。
澪は律の感情の変化には非常に鋭い子です。阿吽の呼吸というか。
以前「ひだまりスケッチ」の沙英とヒロは新婚夫婦、という話を書きました。
「ひだまりスケッチ」5巻から、沙英さんとヒロさんのLOVEを考える。
それでいえば、律と澪はやはり熟年夫婦なんですよね。
お互い言葉にして表現せずに、相手の心の機微を読み取っている。
ではどんな顔で今回の律を見ているかと言うと。
 
まーったく心配してないんですよね。
もしですよ。仮に律が本当にスランプだったら、きっと澪はアンテナの高い子ですからすぐに気づいて、なんらかの反応を示すでしょう。
しかし今回、澪は律に対して一切干渉しません。今までになかったやりとりです。
つまり「律は悩んではいない」というのを澪は、すでにわかっている、ということです。
これは実はもうちょっと機微があるので、もう少し後に別に書いてみます。多分それが、一番の今回の鍵です。
 
次に、梓。
学年は下。律と接している時間は最短。
ただし、楽器歴はムギと同じかそれより長いくらい、かも。
では彼女はどう見ているかと言うと。
 
正確には二つとも「律を見ている顔」ではなくて「律のことを見ている唯を見ている顔」なんですが、見ての通り、心配を全くしていません。
むしろ、焦っている唯を見て「はあ。」と言葉に出来ない何かを、どう伝えるべきか迷っているようにすら見えます。
つまり、梓は律が何をどう思ってこうなったのかは分かっていると言っていいと思います。
ただ、澪と違って年下なので、そこまで律に対してあまり干渉出来ないだけ。むしろみんなでワイワイやっている状況を楽しんですらいますね。
こういうと語弊があるかもしれませんが……この「どう伝えればいいか分からないけどなんとなく分かる感情」という意味では今の自分の気持ちと梓はとても近いです。ほんと、言葉でどうこう言うものじゃない独自の感覚なんですよね、3話に流れている空気。
 

●唯はわかってない●

そのカウンターとして入るのが、唯です。
唯は分かっていません。
非常に純粋な子なので、「りっちゃんは悩んでいるんだ!」「みんなでなんとかしてあげなきゃ!」と、律の言葉を言葉のとおりに受け取ります。
 
ほんといい子ですよ!
心の底から心配して、おせっかいだろうがなんだろうが、みんなで問題は解決していこう!と手を差し伸べようとしてくれる本当に良い子。
特に一期の11話では唯にはどうにもできないほどの複雑な律の心の襞に触れたこともあって、「りっちゃんは大事な友達」「りっちゃんは強そうだけど守ってあげなきゃ!」という優しさがにじんでいるんだと思います。
が。
今回の律は悩んでません。
唯にはそれが分かっていないのです。
ここでポイントになるのは唯が一番楽器歴が短いということでしょうか。
それと、天然であるが故に、裏表なく「好きなものは好きです!」と言えちゃう彼女の性格。
一期最終話のけいおん、大好き!」は唯の性格をそのまま体現しているような言葉です。そう、だからこそ今回の律の行動が非常に不可解に見えるんです。
 
律は唯の「分かってない」行動に対してどう感じているか、というと、実は非常に感謝しているんですよね。
このへんがりっちゃんらしいというか。唯が善意で、しかも本気で自分の為に悩んでいるというのは分かっているから、ツッコミは入れつつも決してうざがったりしません。
それが上でとりあげた表情にも出ていますし、このシーンにも出ています。

この手、律のものです。唯の肩にそっと添えるんです。
なんてことのない、何気ないシーンですが、律の唯への感情を表している貴重なシーン。
そもそも普段の律と唯は「遊び仲間」ポジションです。
なにかある度に、顔を合わせタイミングをあわせて二人で行動を開始して、みんなの「楽しい」を引き出します。
澪とは違う意味で、かけがえの無い友人。
それが律にとっての唯です。
律は「唯は分からない」事も含めて、愛しいんです彼女のことが。
で、「分かってくれ!」ともいわないし「こうです」と説明もしない。唯が律の気持ちが分からないのはそのままでいい。
ただ、手を添えて、「あなたのことは大切だよ」と伝えられればそれでいい。
 

とはいえ、なんというか、唯の行動はさすがになんというか、あずましくない。
そもそもドラムが前に出されてしまうのは演奏的にNG。というのも後ろからドラムのリズム音が来るのを聞いて、ギターは演奏をするからです。これだとギターとドラムが合わなくなります。

そして一斉に律を見るのは……これほんとあずましくない。
4人4様の表情の違いが面白いんだよなあ。唯の「どや」顔の一生懸命さ、澪の分かっていてまあ付き合っている感じ、梓の「何やってるんだろうこの人は」という顔、一緒になってこのノリを楽しんじゃっているムギ。
 

●ムギは?●

そう、ムギ!
ムギは律の気持ちを分かっていたのか?と言われると……他の三人ほど明確に描写されているシーンがありません。
しかし結論としては「分かっている」と思われます。

これは、キーボードを触っている律と一緒に楽しんでいるムギの顔。なんともたまらぬぷるぷるキラキラ顔。これぞムギ!
ムギはある意味、何事も楽しめるバロメーターみたいな子です。
ようするに、なにか問題があれば一番パニックになったり感情が昂るのもムギです。
しかし、今回ムギは一切感情を揺らしませんでした。むしろ徹頭徹尾、笑顔でした。
そして最後の方のこのシーン。

律の一連の騒ぎの後に、ムギが曲を作って、澪が詞を書くカットです。
ムギが、律の一連のワガママを見た後に、そこから曲を作るんですよ!?
梓と同じかそれ以上に音楽歴が長いムギ。
ひょっとしたら律の行動を一番理解していて、それがむしろ楽しいことの一歩であるというのを分かっているのがムギなのかもしれません。
 

●いつも側に澪がいた●

ここで、律の心の話に結論を出す前に、もう一度澪に戻りたいんです。
正直今回一番輝いていたのは、澪だと思います。
まず教室でのシーン。
 
この対比をちょっと見てみます。
律はクラスの、軽音部以外の子ともものすごく仲が良い、クラスのムードメーカー的存在であるのが見て取れるカットです。そういえば一年・二年生の時も、率先してクラスの企画なんかを請け負ってましたね。
なので友人は極めて多い子、と思われます。話しかけられている側の少女達も楽しそうです。
そしてそれを見守る、軽音部+和。向こうが「友人」であれば、こちらは「親友」とか言っちゃってもいい? いいよね?
どうしてもこの4人の表情を見ていただきたくて大きめに引用しています。
自分はけいおん!!」で一番力の入っているのは、眉毛だと信じて疑いません。眉毛を見ればけいおん!!のキャラの心情がわかるとおもうんです。(だからムギがピックアップされやすい)
以前は律にべったりだった澪も、律と適切な距離をとりながらこういう顔で見られるようになっているんですよね。
この彼女の台詞が非常に興味深いです。

ムギ「りっちゃんは?」
唯「放浪中だね。」
和「渡り鳥。」
「よく言えばコージー・パウエル

そこでコージー・パウエルときますか。
コージー パウエル
コージー・パウエルは著名なドラマーの一人。ブラック・サバスEL&P、レインボーなどにいたドラマーなのですが、いかんせんあっちに行ったりこっちに参加したりと、まさに渡り鳥のようなドラマーでした。*1
律の事をずっと見ていた澪。信頼出来る友人であり、喧嘩仲間でもある親友。その様子をコージー・パウエルになぞらえて見ている澪の瞳は、心配も不安もありません。ただ、見つめているやさしい瞳です。

どうしても唯の面白顔に目がいってしまいますが、澪です。澪。
律がどうしてこうなったのか、彼女は分かっているんです。分かっているからあえて言葉にして律には言いません。
というか今までもずっとそうですね。澪は律に対して、律は澪に対して、お互い分かっているからこそ、言葉にせず行動にしてそれぞれの感情を伝え合います。
 
では今回、澪が律のことを最もよく理解していたであろうことが分かるシーンはどこかというと、自分はここだと思います。

律が勉強中、澪に本当にどーでもいいメールを送るシーン。
送った後、実に2秒後くらいに澪から返信が来るんですよ!
はええよ!
これ、漫才的やりとりとしても面白いんですが、よく考えてみてください。
そのスピードで返せるということは、すぐ手元にケータイを準備していたことにほかなりません。
偶然きたメールなら、手に取って返すまでタイムラグが有るはずでしょう。しかしほぼ2秒ですよ。もう、メールが今日は律から来ると分かっていたとしか思えない。
毎日こんなやりとりをしているから、かもしれません。でも特に、今日は律から絶対メールが来るだろうな、と分かって澪は待っていたんです。見えないけども。

そして、律の一悶着のあと、遅刻するシーンで澪も一緒に遅刻をします。
一緒に学校に行くのは日課になっていますが、おそらく律があまりにも遅れているのが分かっていても、彼女が出てくるまで待っていたのでしょう。家の戸口で。そして一緒に走ってくれるんです澪は。
ああ、なんていい子だろう。
 
ここで、もう一人ドラマーの名前が出てきます。The Whoキース・ムーン
律の大好きな、尊敬するドラマーです。
キース・ムーン - Wikipedia
ヘンタイドラマーとして名高いキース・ムーン。ドラムをぶっ壊したり家を火事にしたり全裸でパーティーに参加したりと、なかなかアナーキーなキャラをしたドラマーです。これまたある意味、トリックスターな律らしいというか。オチャラケながらも真剣に挑む偉大なるドラマーです。
そのドラマーの話を律から聞いて、澪は確信します。
ああ、やっぱり律は、ああだったんだな。大丈夫だ、と。
 

●律が拗ねたワケ●

で。
じゃあ律はなんで拗ねてワガママを言ったのか、駄々をこねたのか、という話に戻っていきます。
唯以外の楽器経験者はみんな分かっている。誰も不安に感じていない。
つまり、全員が通過したことがある道筋だったということです。
 
本当に言葉にしづらい。言葉にしてしまうと語弊が生じて正しく伝わらない気がして本当に難しい。
ですが、自分の経験上での話、と捉えて聞いていただけると幸いです。
 
多分、律は「好き」を確認する作業を経たかったのではないかと思います。
「ドラムやめる!」とか色々難癖つけたりすねたりするのは、好きだからに他なりません。
ただ、それをどう表現すればいいか分からないし、好きなのは好きなんだけども何か手応えが欲しいわけです。楽器なんて繰り返される日常の中で延々と繰り返し筋トレのようにやることもあります。だからこそ、好きだと分かっていても、わからなくなってしまうこともあります。
改めて自分の気持ちを確認する作業は、楽器のみならず色々なものにありますし、様々な確認の方法があります。
文章にすることだったり、誰かに相談することだったり、大声で叫ぶことだったり、無駄に走り回ることだったり。
で、彼女の場合は「なんとなく楽器取り替えてみる」という、言わば距離を置くことでの確認作業だったんじゃないかなと。
少しだけ、距離を置くことで蘇ってくる初心や感動って、いっぱいあるんです。

今回の回想シーンは秀逸すぎでしたね。
ドラムのスティックを買う、ギターのピックを買う。
楽器を始めるときの、最初の最初の最初の一歩。
でも、安いただのスティックやピックでもそれを買ったか、買わなかったかでもう世界ががらっと変わるわけですよ。
今まではドラムのスティックのない、ドラムをやる予定のない自分でした。
今日からはドラムのスティックのある、ドラムをやる可能性を手に入れた自分です。
この差はでかい。雲泥の差、天地の差。
楽器のいろはもなにも知らない状態で初めて入る楽器屋さんの興奮度ときたらもうね!
目の前に無限に何かが広がっているような錯覚に陥ります。それが錯覚じゃないことをちょっとずつ分かっていく興奮は何物にもかえられません。
 
初めて買った、今使っているドラムを買って帰るシーン。律の満面の笑顔に本当に泣きそうになります。
そしてそれよりも澪ですよ澪。
夢中になってスティックで遊んでいる律の側に寄り添い、ドラムを買って帰る律の手伝いを黙々とする澪です。
決してこれ、律のわがままに付き合っているだけではないと思います。澪もまた、この後(前かも?)自分だけのための大切なベースを悩みに悩んで、買うのですから。
 
初めて楽器店に行った時のドキドキ。スティックを握った時のわくわく感。
お金を貯めて楽器を買った時の感動。
どうしても毎日繰り返し繰り返し練習し続けていると、その感覚は抜けていきがちになります。が、決してドキドキやわくわくが失われているわけではありません。
「初心忘るるべからず」とはよくいいますが、忘れるな、じゃなくてむしろ「初めての時の感動は持っているんだよ、今もあるよ。」という言葉なんだと思うんです。
 
今回の律のワガママは、「好き」だと分かっていることの確認のための一つの作業でした。
ええ、「ワガママ」と言っていいと思います。ワガママです。自分のための。
そしてそれは、最初から結論の分かっている作業だったんだと思います。
特に澪と梓は、律がすぐにその地点に戻ってくることを分かっていたから、全く動じなかったんでしょう。もしかしたら、梓も同じようなことをしたことがあるのかもしれません。ギターを一週間封印するとか、ギター以外の楽器に触れてみるとかね。ありそう。
 

●言葉にする気持ち●

先程の、一人でうれしくなってしまっている、「作業」を終えて着地した律の顔、最高ですよ。
これと同じ顔を、ワガママを終えてみんなの前で見せることになります。

律の、最高の笑顔です。

わたしさ、ここでみんなの背中見ながら、みんなの音聞きながら、ガンガンドラム叩くの、大好きだ!

最初この台詞を聞いたとき、実はちょっと戸惑いました。
ここまで引っ張っておいて何言うんだお前と言われそうですが、「大好きだ」って改めていう必要があったのかな?と一瞬感じたんですよ。唯もこの時点で律の気持ちが分かったわけです。梓と澪は分かっていました。ムギもおそらく分かっていたでしょう。それをわざわざ言葉にする必要はなくて、音楽にすればいいだけじゃないのかな?と考えたんです。
物語の演出的な問題というよりも、人間関係的な話です。
 
しかし物語の中盤で、澪が必死になって、いかに自分がベースが好きかを語るシーンがあります。

先程も挙げたここですね。
澪はそもそも自分の感情を表現するのがあまりうまくない子です。唯みたいにストレートに表現できません。内気で、人見知りで、照れ屋です。
その澪が、自分の「好き」を表現したんです、言葉として。
なら律も、言わなきゃだめじゃないか!
多分律がここで「大好きだ」と言わなくても、「じゃあ練習するかー」といって思いっきりみんなで弾けば一発解決していたでしょう。そのレベルまで5人の気持ちは一つになっていたでしょう。
しかし、改めて言葉にすることで確認できることも、確かにあります。
 
一連のワガママが律の「ドラムが好きだ」を確認する作業だとしたら。
この「大好きだ」と言葉にすることは、みんなへの信頼を確認する作業なのかもしれません。

締めのカットが、律がドラムで座ってみている光景だ、というのがなんともニクいですね。
 

●彼女たちの居場所●

ここから余談的になります。
 
余談1。
  
二期になって、あからさまに遠くから彼女たちを眺めるカットが増えました。
もちろん構図のメリハリの意味もあると思いますが、内側の人間関係を描いていた一期と違って、外側に広がっていく、開かれた人間関係がここで見えてきます。
第三者視点として客観的な左側、さわ子視点の右側。
どちらも描くのが面倒くさい(特にクラスのシーン!めんどくさい!)カットですが、あえてそうすることによって「この世界にいるのは軽音部だけではない」ことが浮き彫りになります。
それぞれのキャラに人間関係があり、その中でもこの空間にいることを選んでいる彼女たち。彼女たちの様子を、通過した大人として見守るさわ子視点、ひいては視聴者視点。
「一緒にいたい」彼女達ではありますが同時に、「遠くからそっと見守りたい」彼女達としてえがかれているのが分かります。
このへん賛否両論ある部分だとも思います。一期の前半がインナーで閉じた世界の中での楽しさであったのに対し、後半がどんどん開けていって、ぶつかりあったり、ばらばらに行動したり、一歩踏み出したりと視点も人間関係も劇的に変わりました。
おそらくその流れをさらに広げているのが二期だと思います。
開けて広がっていくものは、知らない世界知らない人が入ってくる不安も持ち合わせています。だから、時に見ていて二期は不安を大いに感じます。しかも卒業の時間制限付きです。不安にもなりますよこわいよ!
それをこの「見守る視点」はある意味、緩和しているのかもしれません。大人が見たら憧憬の視点として。高校生が見たら「自分たちはこう見えているんだ」という視点として。
 
余談2
クラスの記念撮影のシーンがいいんだなー。これで一話出来るんじゃないかってくらいよかった!

まず人見知りで背の高い澪が隅っこに行きます。

そこに、すぐに駆け寄ってくるムギ! ムギは本当に積極的になった! いい!

背の順だ、と言っているのに澪にちょっかいをかけるかのような律。
律は普通か、それよりも小さいサイズの子なのでここにいるのはおかしいのですが、澪の横に、唯の後ろにいたい寂しがり屋さんです。それを素直に言えず、オチャラケてしまう彼女が愛しくてたまらん。
そこにきて、上で書いたように戦友?の唯の肩に回す手ですよ。ああもう、君たち最高だよ!
 
余談3

初めてギターを弾く律のシーンが非常にリアルでした。
梓の教え方が分かりやすいのはまあもちろんとして、唯の「やわらかくだよー」というのはほんと初心者にありがちな失敗なので、とても適切。手首が硬くなると上手く弾けずに弦に引っ掛かり、音がガビガビになるんですよね。フレットを押さえられずに音にビビリがあるのもえらいリアル。
ちなみに自分も、今でも音がビビリまくりの超ヘタクソです。なんでギターみんな弾けるのか理解できない……。おみそれしましたー。
こういう細かいところの音楽ネタを盛り込んでくれるのは「音楽を知らない人でも楽しい」「知ってる人は倍楽しい」という感じでニヤニヤできますね。
今回はあからさまにThe Whoコージー・パウエルの話が出てきて、ちょっとびっくり。
やはり唯はピート・タウンゼントだったか……。
「唯=ピート・タウンゼント」説は本当だった!……か?
面白すぎてニヤニヤニヤ。
ただ、コージー・パウエルキース・ムーンも亡くなっている方なんですよね。たまたまだと思いますがちょっとハラハラするがな。
さてこうなってくると、他のキャラと音楽のネタも楽しみなところ。ムギだったらジョン・ロードとかどうですか。キース・エマーソンとかどうですか!
いや、高校生でプログレはちょっと、アレですね。うん。
梓はやはりムスタングですしカート・コバーンあたりで是非……!
澪はダーシー・レッキー……というかスマパンでどうかな!
はい、妄想乙。
今後も音楽ネタがちょっとずつ入ってきそうで楽しみ……と思ってたら来週修学旅行回でした。音楽無しだ!
果たして京都の音がするピックは出てくるのでしょうか。
 
超余談。

梓「私の目が届く範囲にいてください」

もう、あかんて。悶え死んだ。
あずにゃんいいよ、いいよ! 唯先輩を見ていたいんだね!
 
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梓が膝の上にカバン乗せているシーンとかよく気づいたなあ……すごい!
ほんと見れば見るほど、探せば探すほど味の出るスルメみたいな気の配りっぷり。
あと、腰巻子は改めて見れば見るほど、学級写真だというのにフリーダムすぎて……好き……。
 
 
※本感想は、本放送放送地域在住の友人が録画したものを送ってもらった上でキャプチャ・引用しております。
 

*1:エマーソン・レイク・アンド・パーマーの後釜で参加したときは、パーマーが参加出来なかったため名前にPが入るからと言う理由だけでエマーソン・レイク・アンド・パウエルを組んでいる、という笑っていいのかどうなのかわからん話があったりします。笑いたいところですが裁判沙汰になってるようなのでなんとも。