たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

11歳の少女にあんなことやこんなことを言わせたい!「こーしょー19さい」

 
この漫画かなり特殊です。
中身は普通のファミリー型4コマ漫画で、出ているレーベルも「コミックハイ!」シリーズから出ているんですが、掲載誌がメンズヤングなんですよね。
メンズヤングとはなんぞや?
webメンズヤング
はい、成人向け雑誌です。(18禁マークはついてないですが、一応18禁)*1
じゃあエロイの!?PONPON先生の「ぼいトレ!」みたいのですか!? 紺野あずれ先生的な「こえでおしごと!」みたいのですか!?

と思ったら全然違います。
至って健全、健康、爽やかな4コマ漫画になっています。このバランスが面白い。
健全とは言ってもやっぱりエロマンガ雑誌に載っている4コマ。かるーいノリの艶笑譚的なギャグはあります。
ありますが、そのバランスがいかがわしくなくて、ニヤッとしながら楽しめる。
ロリコンな人も、そうでない普通の4コマ好きも楽しめるこのバランスは稀有だと思うので簡単に紹介してみます。
 

●19歳ですから!●

月刊4コマ漫画は描き方の手法として、大きく分けて「ファミリー型」「艶笑型」「萌え型」「ストーリー型」の4パターンに分かれると思いますが*2、その中でもこの作品は一つ目の「ファミリー型」に属します。
というのも、決め手はここ。


主人公やその家族がちょっと特殊なキャラで、その特殊性を最初の1ページ目で「こうです!」と打ち出して、その後ネタに入る形式をパターン化しているんですよね。適当に売っているファミリー系4コマ誌を買うと、だいたいがそのパターンを守っていますので多分定形なんだと思います。逆にこの解説的な4コマ、萌え4コマジャンルだとありません。
この形式、どこから読んでも内容が分かるのがポイント。萌え4コマやストーリー型は「キャラクターが分かることが前提」として、連続で購読するのが前提になっているのに対して、ファミリー系4コマは「いつ買っても楽しめなければいけない」んですよ。
メンズヤング」という特殊な舞台でこれをやったのは大正解だと思います。
同じコミックハイレーベルでも「男爵校長」シリーズは「コミックハイ!」という「毎月買う雑誌」として作られているため、萌え型・ストーリー型形式でこの解説コマを入れなくてもいいんですが、メンズヤング」を購読する層ってすっごく少ないわけです。
もちろん毎月買っている人もいますが、漫画自体はエロで単発(連続ものもありますが)、かつ「なんとなくエロマンガ読みたくなった」というコンビニ購買層狙いの雑誌ですから、連続購読している人の割合は相当低いはずです。
 

●「かわいらしい!」はエロとはちょっと違う。●

その中での4コマ。
これはものすごい重荷だったとも思います。まわりはみんなエロ! その中でギャグ!
エロマンガ雑誌の「普通の漫画」って面白いのが多い、というのはよく語られる話。「マコちゃん絵日記」や「ゲノム」や「エロ漫の星」がそれですね。
やはり「エロ」の中で埋もれず、面白くて定期的に見てもらえるようにする努力は半端じゃないはずです。下手したらエロ目当ての人には読み飛ばされるわけですもの。
このへんの試行錯誤はやはり前半見られます。

自分のようなロリコン狙い撃ちなネタですね!
悪く言えばオッサン臭いというか、セクハラまがい。だがそこがいいエヘヘ。
とはいえそれだけでは単なるエロマンガ劣化版になってしまいます。
 
逸架ぱずる先生はこのへんうまく試行錯誤の末、いい着地点を見つけて突進を初めている感じがします。
ようは、ちょっとシモネタを入れつつも、ちゃんと「女の子はかわいい!」という一番大事なポイントをキャラとして押さえ、かつ仕事としてのちょっといい話やあるあるネタを含めて、4コマとして非常に面白いものを作っているんですよ。
正直、ものすごいバランス感覚だと思います。
 
まず、一番大事な「かわいい!」の感覚。
もう言うまでも無いことだと思いますが、エロければかわいい、という考え方だけでは女の子のキャラクターは成立しません。
「かわいい」の中に「エロ」が含まれる、というほうが正しいと言うか。ようは「エロ」と「かわいい」別物で、重なるか重ならないかの問題です。
この作品の場合は「かわいい」9割に、ちょっとだけ「えっち」を1割入れた感じです。
実際読んでもらうと分かると思いますが「小学生にえっちなことさせるなんてけしからん!」という臭みが全くありません。0ではないですが、笑って許せるレベルです。それは加減が上手いから。
もちろんプラスマイナスの調節もされていますが、それはまた後ほど。もうちょっと「かわいい」を見ていきます。
 
19歳と偽っているのは、声優の仕事をするため。主人公の年齢は11歳です。
そのため、視点は周囲の大人達、声優さんやアニメ関係者、そして両親にあります。大人から見た11歳の少女像なんです。


それがうまーくロリ心をくすぐるといいますかね……。かわいいんだこれが。
小動物的に。
一生懸命パタパタ動き回るちびっこのかわいさ、というのは4コマではよく描かれるモチーフですが、それがうまいこと声優という特殊なジャンルを舞台に描かれています。とにかくちびっこくて、必死で、元気で、かわいい!
周囲の視線は基本的に大人、というかオッサンなので、そこにギャップも産まれますが、大人たちが性的な視線で彼女を見ていないから清々しさがあります。

なんともドキッとする会話のやりとりですが、これがネタで済むのは大人側が「この子は子供」としてみており、彼女も「仕事だからがんばらなきゃ」というフィールド感があるから。
これロリコン的には本気で聞きたいところですが、そういう下心ないんですよね。
これがある意味オヤジ臭いセクハラチックなんですが、2コマ目を見ていただければ分かるようにうまいこと彼女のかわいさを引き立てる演出になっているのが非常に上手い。
そうなのだ。
「かわいい」は、大人のダメな部分なんて簡単に帳消しにしてしまうのだ!
 
これ自分が彼女に言ったら、蔑んだ目で見られるなあと思うと、それはそれで。
 

●えっちキュートと、人間らしさのバランス●


声優ラジオと言えば、女性声優同士のドキドキ!
……は結構重要というか、もうタマランと思うのは自分だけじゃないはず。はず。
自分は「カレイドスター」ラジオの大原さやかさんと広橋涼さんのやりとりで目覚めて以来、色々なラジオの女性声優さんの掛け合いにドキドキする人種になってしまいました。
まあこういう「あるある」ネタを入れつつ、実はその片方が11歳というこっちだけが知っているニヤニヤ感がたまりません。

また、演じているキャラクターが「ちょっとえっちなアニメ」(エロアニメやエロゲではないのがポイント!)だというのが面白いところ。すごーい微妙なラインですが、今のオタク文化の「ちょっとえっちがベスト!」という感覚を見事についております。
そしてこの萌えキャラを演じているのが11歳だというのを知っているのはこっちだけというニヤニヤ感が……この秘密共有感はたまらないものがありますね。
 
そんなわけで、やはり11歳の女の子がこんなことを!という面白みは最大限に生かされています。
たとえばちょっとドキッとするネタではこんなところ。

「顔にかけるのが好きなんてヘンタイ!」
これを聞いて「子供になんてこと言わせるの!」と思った人のほうがヘンタイという罠。

ママが元凶なのが面白い。
いや、うん。エロくない。エロくないようん。
 
こういう「読者の感覚」をうまーくつつきながら、華麗にかわすこの作品。
とはいえそれが蓄積していくと「エロネタの多いマンガ」になってしまいますが、上手く昇華されているからこの作品非常に安心して読めます。
自分がすごいなあと思ったのは、学校のシーンで性教育の回を描いていること。
性教育ってマンガ・アニメで描くのすごい難しいんですよね……子どもたちの実情を知らないと描けないですし、下手に扱うと単なるエロネタで終わってしまう。作者さんの「性」への感覚がダイレクトに問われる部分です。

ヒロインの乃音も、クラスの女子も非常に性教育の授業に関してはピュアなんです。
実際どのような授業が行われているかは読んでみてください。
「小学生はエロ知識が豊富で云々」というウワサはあちこちであったりしますが、いやいや、意外と小学生の大半はピュアなもんです。多分(自分の観測範囲内では)。
時々おっさんたちが「11歳の女の子にちょっとえっちな単語言わせて見ちゃうぜエヘヘ」と遊んじゃったりするのに、こういう所で純朴さを出しているので、嫌味がうまい具合に消えてるんですよ。
面白いのは、大人の声優さんにはそういうセクハラ的なことはしないところ。ようはロリコンが子供にいやらしいことをする」んじゃなくて「大人が子供を茶化している」構図なんです。性教育の回が挟まることで、それがうまーく増幅・緩和されます。
 
「ちょいエロ」と「かわいい」の微細な綱渡りをして、うまく成功しているこの作品。
当然かわいらしい女の子好きな方はもちろん、うまい具合に声優さんの仕事場をのぞきこむような構図も持ち合わせているので、興味がある人は「まあネタとして」というノリで読んでみるのもオモシロイと思います。
なんといっても乃音の一挙一動を、親の視点で、監督の視点で、その他様々な視点で「かわいい!」として安心して読める素敵な作品です。
 
とはいえなあー。
やっぱり11歳の女の子にちょっとエッチなセリフ読ませたいよね……
あ、二次元での話ですよ!
 

逸架ぱずる先生はずーっとラグナロクオンラインのアンソロジーコミックのアーチャーの話を追っかけて読んでいました。エロ漫画のも読んでいたのですが、今回の新作がキュートな上に今までの面白さを生かした形で、バランスよくいい具合に針の穴に糸を通していたので、とてもツボ。
にしても繰り返しになりますが、エロ漫画雑誌の中のエロくない漫画ってどうして面白いのが多いんでしょう。補正かかってるのかしら。いや、ゲノムやマコちゃん絵日記は普通に面白いよね・・・。

*1:どうでもいいけどメンズヤングのサイト真っ赤っかすぎて見辛っ!!

*2:本当はもっと細かく別れますが今回は省略!