たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

今まで通ってきた道、これから通る道「けいおん!!」第八話 その1

けいおん!!」八話見たよー。
いやー、最高でしたね。

この子な!
律と澪のクラスメイトの小学生女児なんですが、やべえ、めっちゃかわいい。
このなんともいえず体温高そうなキュートというか、いそうなデザインたまりません。
今後絶対に出てこない(回想シーンのキャラなので絶対。出てきても成長している)キャラなので、なんとも貴重です。
このあんまりかざってない活発っぽそうなところがいいですね。右の子の袖のヒラヒラもいかにもガーリーなパフスリーブ。
うーんすばらしい。むせかえるような小学生臭!
絶対ドッジボールうまいぜこの子。
 
今回は唯・澪・律の小学生シーンもあり、小学生分満載でした。
進路回だというからどんな重い話になるかと思いきや、回想シーンを使ったつなぎみたいなほんわかあったか回に!
うまーく原作の小学生回をつなぎましたね。
そのへんを唯・和を中心にしながらその1で見つつ、少しうがったかんじで主にさわ子・梓視点で「その2」で見てみたいと思います。
ではネタバレ有りなので収納。
 

ペロペロ(^ω^)
 
 
 
 

●もしもし亀よ亀さんよ●


まさかこの、学校に飾られている亀のオブジェがこんなにいい働きをするとは思いもしませんでした。
まあ、モデルになっている小学校に実際におかれているものらしいですが、うまくそこにテーマをあわせてきました。
うさぎとかめ
合間合間で出てくる歌詞は「うさぎとかめ」。

「もしもし かめよ かめさんよ
せかいのうちに おまえほど
あゆみの のろい ものはない
どうして そんなに のろいのか」

歌詞的にはあのお話そのものです。
有名なのは一番だけですね。自分も4番の歌詞とか初めて見ました。
面白いのは、唯が古文の助動詞の覚え方を「うさぎとかめ」の節で覚えていたシーン。

むつむつちしむましまほし
るららるさすりりり
つむたりけりたしたしきけむ
らむべしらしましなりめり

聞き書きなのであってるかどうかー。これ実際に使われてるのかな、「水兵リーベ」みたいな。
「うさぎとかめ」「浦島太郎」に出てくる亀のシーンを用いています。
今回はこんな感じで「唯=亀」という構図をがちがちに入れ込んできています。
他のキャラもひょっとしたら亀なのかな? みんな亀でいいじゃないということなのかな? とも深読みしてみたんですが、やっぱり今回は「唯=亀」押しでした。

幼稚園時代のシーンから。
非常に象徴的なシーンです。みんなは先生に呼ばれてすぐ集まれるけど、亀に気をとられて遅れてしまう唯。
第一期でもありましたが、一つの事に夢中になると周りが見えなくなる、というのが唯です。
ザリガニ風呂は強烈でしたね……あれは軽くホラーだと思います。
が、あれは逆に言えば能力でもあります。
 
唯は「天才」とよく周りに言われます。天才肌だと。
適当にやったことを覚えてしまう。だからこつこつやっている人間からすると、「なんでなんだよ!」と悔しくなることすらある。
しかし例えば、テスト勉強に集中しまくって満点をとると、ギターのコードを忘れてしまうほどに思いっきり両極端でもありました。
だから、天才とちょっと違う。一つのことに熱中するとそれにのめり込みすぎて周りが見えなくなる、極めて作業視野の狭いタイプの子だ、と考えた方が近い気がします。
梓なんかにしてみたら「え、なんでこの人こんなにだらしないのになんでもできるの!」って見えるかもしれませんが、和ちゃんにしてみたら違うんですよね。

幼稚園でコケるシーン。
これ見て、「けいおん!」一期の最初のシーンを思い出した人も多いかと思います。
なんだかんだで、基本的にはどんくさい、マイペース。
 
最初見たとき「うーん、亀?」と首をかしげはしたんですよね、実は。
というのも、唯ってなんだかんだで相当な努力家(努力を努力と思っていない)で、別に単にどんくさいわけじゃないからです。
しかし、逆の方向で考えてみました。
「うさぎとかめ」の亀って、努力家なんですよね。
ああそうか。唯は「グズでドジでのろまな亀」じゃなくて、「こつこつ自分のペースで前に進める亀」なんだ。

これは、なんとはなしに亀をなでる唯の手。
ちょっとエロいとか思った人は反省しましょう。はい、ごめんなさい。
こちらは、なんとなくなんですよね。唯自身、自分が「亀」のポジションなのなんだかんだで分かっているんです。
私はドジだし、のろまだし、あんまりうまく色々出来ないし……、と。
(客観的に見た場合、本当は出来ているのだが!)
だから、亀を見て自分を重ねあわせている部分、多少なりともあると思います。彼女にとって見れば「それがプラスなことなんだよ」というのはまだ分からないわけで、淡いコンプレックスに近いかもしれません。
もっとも唯自身そこまで悩むタイプではないんですけれども。

それでも進路という自分の未来について考えるとき、やはりアンニュイになりますね。
今回は漫画でもそうでしたが、第一回目の反復になっています。
ニートになっちゃうわよ!」というネタもそうですし、「唯、推薦って何か知ってる?」「さぁ?」というアホなやりとりも繰り返されています。
実質彼女自身、特に第一回目の時は「軽音部ってなあに?」に対しては本気で「さぁ?」でしたが、さすがに3年生の今回は違いましたね。
やっぱり、考えて入るんですよ。おちゃらけてはいるけど、「軽い音楽だよー」みたいなノリは感じられません。

亀ペースの私に何が出来るんだろう?
中学・高校の時の「未来のビジョン」は、そりゃはっきりしている子はしていますが、意外とみんな曖昧なものです。熱心だったりしても、大学に入ってころっと変わったり。「○○大学にいくんだ!」と強気で言っていても、隣の子の安定感を見て妙に焦ったり。みんな不安。唯だけじゃない。
でも唯は、自分を亀だと思っている。彼女が進路調査表に記入出来なかったのは、おふざけじゃなくて本気で分からないからだと思ったりします。
(地味に、律もそういう面ナイーブなので、おふざけっぽく見せて本当は悩みすぎて書けていないんじゃないかな?とか)
 
それに対しての和ちゃんの感覚はこうです。

これは和ちゃんが亀を撫でるシーン。
唯がなんとなーく自分に重ねて亀を見ているのと違って、和ちゃんは意識して亀を触っている感じがありますね。
そう、和にしてみたら唯は「のろまな亀」じゃなくて「マイペースでこつこつ前に進む亀」なんです。

非常に珍しい和ちゃんが笑うシーン。
いいよと。
それでいいよ、唯と。
「仕方ないなあ」という思いもあるでしょうし「ほんとこの子は」という思いもあると思いますが、和はなんだかんだで唯を嫌いません。なんだかんだで唯の側に、ずっと一緒にいるのです。
唯のことを、ちゃんと分かっているからです。
 

●唯の能力●


和ちゃんに甘える唯の図。
どうしてもこういうシーン多いですね。
和ちゃん自体、ここまで手をかけて一緒にかまうのは唯だけです。

ちょっと離れた構図が非常に面白い。「けいおん!!」独自の、突然引きになるカットが今回も多用されています。
少し離れた立ち位置から……ようするに「こちら側」から見ると、こうなんです、彼女たちの関係。
和ちゃんが唯をさりげなく突き放しているのが面白い。意外と冷静です。
けいおん!!」の第一話でも、唯がなぜか黙々とさくらの花びらを集めているのを見て「もうすぐ一ダースなんだよー」と言っているのに、和ちゃんは「そう、ところで」とさらっと流したのを見てびっくりした覚えがあります。
和ちゃんは唯を「受け止めるキャラ」じゃないんですよね。「受け流すキャラ」です。
それは唯がマイペースだから、というのもありますが、同時に「彼女には特別な力がある」のも知っているから。
 

幼稚園のころの和と唯。もーーーーー唯の唯っぷりがすげー唯で笑いたくなりますね。この幼稚園時代唯のデザインは本当にすさまじいです。
この時点で、「すごくマイペース」「ちょっとずれてる」「一つのことに熱中すると止まらなくなる」という性格付けが出来ています。自我らしいものはありませんが、「平沢唯」という性格は完成している感があります。
原作の通り、アニメでも失敗ばかりの唯です。レトルトカレーを持ってくるところがルーカレー持って来ちゃったり、たこ焼きなのにたこ忘れたりと。

小学校時代。
この所在なさげな感じがほんと唯らしいですよね。
なんもしてないんですよこの子。
しかもたこ忘れてくるし。いいとこなしじゃん!
だが! 平沢唯は嫌われない。
なぜか。

これですこれ。小学校時代ですでにこれ。
自分のミスなのに、へこまないんですよね。いや、反省はします。でも何もかもをプラス思考に変えてしまう。
なんといっても重要なのは笑顔です。
この笑顔が唯には常にあります。だから唯の周りにはいつも人だかりができます。
勉強ができるでも無し、運動が得意でもなし。特に取り柄があるわけでなし(今はあるけど)。
小学校の頃から、唯の周辺にはいつも誰かが側にいた。中学校の卒業写真なんかを見ても、彼女には友達が多いのがよくわかります。


後半出てくる、進路をみんなに聞いて回るシーン。
「唯が優柔不断」というのを表すシーンでもあるんですが……メインはそっちじゃないですよね。
唯はだれにでも話しかけられる子なんですよ。
これってすごくない?!
このクラスは割と雰囲気のいい仲良し学級ではありますが、それでも女子のグループはあるわけですよ。
律なんかは意図的に、色々なグループの子と話すように自らしている渡り鳥でした。
が、唯はこれ自然体なんですよ。当たり前のように、さらっとみんなに聞けてしまう。
だから相手も警戒心なく、自分の進路について唯に話せてしまいます。
こうして、唯はクラスのムードメーカーとして置かれることになります。
 

これは唯作文でちょっとアホなことを書いて、みんなに笑われるシーン。アホなことといっても、唯らしい可愛らしいネタなんですが、普通作文みんなの前で読んで笑われたらトラウマものですよ。「もう文なんて書かない……」ってなりますよ。
ならないんですよ唯は。みんなが笑ったら自分も笑える。
これが「唯の能力」といっていい気がします。怒らない、嫉妬しない。笑顔でいられる。
それが同時に軽い、本当に軽いコンプレックスでもありますが(例えば「けいおん!」最終話の遅刻のシーンなど)、すぐに笑ってクリアできるポジティブシンキングの持ち主です。
 

●もう一人の亀さん●

澪は逆です。
人間関係の境界線が曖昧で極めて人の輪に入りやすい唯に対して、逆に人に対して壁をつくってきたのが澪です。

これも原作にあった、律と澪の小学校のシーンですね。
澪は内向的で、人と接するのを苦手として、いつも本を読んでいる少女でした。
というかつい最近まで、高校に入ってからも人付き合い苦手な子でした。
それが今となっては、みんなの前で歌い、ファンクラブの前で自分の詩を朗読できるようになるなんて!
大きく育ったものです……。

ちょっかいをかける律の気持ちはわかりますね。あるある。

律「小学校の時って好きな子にちょっかいだしたくなるじゃん? あれだよあれ」

もうー、律さんったらナチュラルに愛の告白するんだから! もう。
律はこのころから割と「楽しい!」をメインに、ちょっとやりすぎなくらいの行動をとりがちな子でした。
彼女たちの人間関係が切り替わったのはおそらくこの瞬間でしょう。

これも引きの構図ですね。どうも「けいおん!!」の引きの構図が入るときは「何かある」と思ってみてもいいのかもしれません。
初めて澪が大きな声を出したシーンですが、実は澪は「内気でしゃべれない子」ではなくて「スイッチの切替ができればきちんとこなせる子」であることがここでも判明します。
確かに一年生時の学園祭で、歌を実際に歌う段階に来たとき、誰よりも陶酔していたのは澪でした。そういう子なんだと思うのです。

もいっちょ引きの構図。
律が人間の空気を読める子で、非常に気が使える子である性格の地が出た瞬間のシーンでもあります。
おそらく、幼いながらに「澪はやるときにはきちんと出来る子」というのを察知したんでしょう。だから嫌がらせ(愛情の裏返し)をしつつも、彼女の背中を思いっきり押すこともします。自分は道化役。スポットは当たらなくていい。

最初、原作にもありますが律の「なんか、面白い!」という澪を見て律が感じるシーン、どういうことなのかいまいち分からなかったのですが、なるほど、この面白いは「澪が面白い」ではなくて「澪は実は自分が思っていたの以上に広い世界を持っている」ということが分かったのが面白かったんだと思います。
澪に男言葉を教えるのも律ですが、律はうまいこと「このくらいなら、この子は受け止められる」「このくらいなら返してくれる」という加減がわかっているんですよね。
 
澪もまた、唯と同じような亀型です。
無論、「どんくさい」ではなく「こつこつ自分のペースでやる」という意味で。まあスピードはこつこつパワーが強いぶん、唯亀よりも早いかもしれませんが、これも律という存在が背中をことあるごとに押してくれるから。
引っ張っているのではないあたりがポイントというか差だと思います。
 
和に背中を押される、あるいは頼りつつも受け流される唯。
お互いに背中を押しながら、ちょっとずつ進んで行く律と澪。

律の話をする澪と、唯の話をする和を見て、ムギが羨ましがるのはちょっと分かる気がします。
そう、律・澪、和・唯は幼馴染がいるけれども、ムギにはいないんですよね。
そして実は3年生チームだとムギのみ、幼少期のシーンが描かれていません。
なんとなく今の予想だと、きっと今後もムギの幼少期は描かれないでしょう。それ描くと彼女の謎に包まれた背景全部見えちゃうんですよねえ。家の事情とか。
でもいいんです。ムギは過去からゆっくり歩くタイプの亀ではなくて、今この瞬間を最大限に楽しんで浮遊できる、ウミガメのような存在だから。
 
はて、じゃあ直接話に加われない梓と、それを見守るさわ子はどんな視線なんだろう?
その2に続く。
 
続き
梓とさわ子の見た、三年生の肖像「けいおん!!」第八話 その2